「トランプは戦争をしない」は嘘! 米大統領がバイデンでもトランプでも、イスラエルのやることは全部支持! キリスト教に妥協したユダヤ教徒と、福音派の猛烈な支持を抜きには考えられず、イスラエルの利益を最大限に追求!~岩上安身によるインタビュー第1176回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長・宮田律氏 2024.12.28

記事公開日:2024.12.30取材地: 動画独自
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特集 中東
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 2024年12月30日午後7時より、岩上安身による現代イスラム研究センター理事長・宮田律(みやた おさむ)氏インタビューを、撮りおろし初配信した。2024年、年末最後の配信となった。

 現代イスラム政治の専門家である宮田氏は、中東情勢についても多くの著書を執筆されている。2024年4月には、ガザ紛争についての最新刊『ガザ紛争の正体~暴走するイスラエル極右思想と修正シオニズム』(平凡社新書)を上梓され、年明け2025年1月16日には、新著『イスラエルの自滅~剣によって立つ者、必ず剣によって倒される』(光文社)が発売予定である。

 12月8日、シリアのアサド政権が崩壊した。

 アサド政権の崩壊後、イスラエル軍はシリア全土を空爆し、シリアの軍事基地を破壊。さらにゴラン高原の非武装緩衝地帯を超えて、シリアに地上侵攻した。

 ロシアによるウクライナへの軍事介入を非難した米国は、この国際法違反のイスラエルの電撃作戦に支持を表明した。

 現バイデン政権にせよ、次期トランプ政権にせよ、米国がイスラエルに一方的に肩入れする背景には、米国の全人口の25%とされるキリスト教福音派(エヴァンジェリスト)の多大な影響がある。

 宮田氏は、福音派について、「イエスの再臨を待望する狂信的なキリスト教徒」「エルサレムにユダヤ人が集まれば集まるほど、キリストが暮らしていた頃のパレスチナに近づき、キリストの復活があると考え、イスラエルに絶大な支持を与える」「パレスチナで『ナクバ』(イスラエル建国時のパレスチナ人追放による難民化)が固定したのは、キリストの再臨を待望するという狂信的なキリスト教徒たちのエゴも重大な背景となっている」と指摘している。これについては、次回以降のインタビューで、詳しく解説していただく予定である。

 この日のインタビューでは、イスラエルと米国のシオニスト達が、こうしたカルト宗教的な理由によって、「イランとの戦争」という「ハルマゲドン」に向かっているのではないか、という観点から、シリアのアサド政権崩壊前後の中東情勢を読み解いた。

 12月10日付『ワシントン・ポスト』は、「ウクライナが、150機のドローンとそのオペレーターをシリアに派遣している」と報じた。日本ではほとんど報じられていないが、シリアのアサド政権を崩壊させた反政府組織は、ウクライナのドローンで武装していたのである。これは、ウクライナによるテロ支援としか言いようがない。そのウクライナに、日本政府は1兆2000億円もの経済支援を送っているのだから、日本はテロ支援をしていることになる!

 そのウクライナが支援した反政府勢力のシリア解放機構(シャーム解放機構、HTS)は、イスラム原理主義(ジハード主義)のアルカイダ系組織・ヌスラ戦線が中心となって構成されている。米国を筆頭に、あれほどアルカイダを忌み嫌っていたのに、米国とイスラエルの戦略にとって都合よく暴れる時には、何も非難されず、虫ケラのように殺されたりはしない。

 ウクライナは、世界最大のテロリスト援助国である、米国の手先に過ぎないとも言える。

 一方、アサド政権の崩壊を受けて、シリアの軍事基地を破壊し、シリア上空の防空力を排除したイスラエルは、イランの核施設を攻撃する可能性も報じられている。

 宮田氏は「こういうイスラエルのシリア攻撃が、いかに酷いかということを伝えるメディアがない」と指摘した上で、次のように語った。

 「イスラエルが次の何を狙っているかというと、まさに、イランへの攻撃を狙っていると思うんですよね。

 イスラエルとすれば、まず最初に2003年にアメリカにイラクを撃たせて、サダムフセイン政権を倒した。これはやっぱり、ネタニヤフみたいな連中が考えたシナリオだと思うんですね。

 で、それに呼応したネオコンが、イラクを最初にやって、次はシリア、イラン、リビアというふうにいっていた。

 それがなかなか、アメリカもやっぱり資源が限られていますから、イラクだけで終わっちゃったんですけど、だんだんネオコンのシナリオが、ここに来て急速に動き始めた。

 で、今回のシリアの政治変動では、アルカイダ系の武装集団に、イスラエルが金を渡していたという話もあるんですよね。

 この間、中東のニュースではあったんですけれども、イスラエルの情報機関が、アルカイダ系の12人の武装集団に金を渡したということを言っている。考えられると思うんですよね。

 で、今のシャーム解放機構は、基地が(イスラエル軍に)やられても、ただ単に眺めているだけっていう連中ですね。別に、そのシリアの基地を守ろうともしないし」。

 宮田氏は、現在のシリアの政権を握った勢力が、「イスラエルに対する戦争をやるとは思えない」と述べ、破壊されたシリアの軍事力が、「イスラエルに対する抑止力になっていた」と指摘した。

 他方で宮田氏は、イスラエルに対しては、イエメンのフーシ派の攻撃が大きなダメージを与えていることを、以下のように語った。

 「最近、(あまり大きく)伝えられてはいないんですけれども、結構、フーシ派の攻撃によって、イスラエル向けのタンカーが沈んでいるみたいなんですね。

 X(旧ツイッター)の動画とかにも、出てきますよ。フーシ派によって沈められる船舶の動画とかが。

 イスラエルの南部に、エイラートという港湾都市があるんですけど、そこの港湾会社が、今年の7月に破産宣告しちゃったんですよね。フーシ派の攻撃によって、船舶での輸送ができなくて、物資の陸揚げができないから、そのエイラートの港湾会社が倒産しちゃったんです。

 だから、フーシ派の攻撃というのは、イスラエルの経済に、相当打撃を与えているんです」。

 さらに宮田氏は、イスラエル経済の苦境について、次のように指摘した。

 「今、(イスラエル軍が)予備役を徴収しているでしょう。イスラエルのハイテク産業を担ってきた労働力というものが、予備役に取られちゃってるわけです。(中略)

 これまで徴兵に取られなかった(ユダヤ教)正統派という人達も、兵力が足りなくて、今年の7月だったかな、イスラエルの最高裁が、彼らにも兵役義務があるという判断を下したんですね」。

 宮田氏は、「そういう連中まで戦争に駆り立てなきゃいけないほど、イスラエルは今、兵力が足りなくなっている」と述べ、次のように続けた。

 「(イスラエルは)戦争で、ちょっと手を広げ過ぎたんです。いわば、大東亜共栄圏みたいなものです。

 (ガザ以外に)レバノンをやって、シリアをやって、今度はまた、イエメンをやって。本当に大東亜共栄圏。戦線が延びきっちゃってます」。

 イスラエルが周辺諸国に戦線を拡大する理由について、宮田氏はシオニストによる「大イスラエル主義」という概念を表したパワポを示した。

 その地図には、ヨルダンやレバノンだけでなく、シリアやイラク、サウジアラビアやクウェート、エジプト、トルコの一部までが含まれた「大イスラエル」が描かれている。

 宮田氏は「今、イスラエル人の国民の3分の2が、自分のことを右翼と考えていますから、これを支持する人達が圧倒的に多いんでしょう」と語った。

■ハイライト

  • 日時 2024年12月28日(土)15:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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