米国から訓練・支援を受けていた「ウクロナチ」勢力が、暴力革命によって成立させた親米欧政権は、何をしたか? ウクライナ人がウクライナ人をジェノサイドし続けた8年間の記録を振り返る! 岩上安身によるインタビュー第1187回ゲスト 黒龍會・アジア新聞社会長 田中健之氏 第5回 2025.3.25

記事公開日:2025.3.29取材地: テキスト動画独自

(文・IWJ編集部)

特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!|特集 IWJが追う ウクライナ危機
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 2025年3月29日、「岩上安身による黒龍會・アジア新聞社会長田中健之氏インタビュー 第5回」を初配信した。

 田中氏は、2024年10月に、『天使の並木道~ウクライナ人がウクライナ人をジェノサイドし続けた8年間の記録 2014~2022』(ヒカルランド)を編集・上梓した。

 同書は、ウクライナでユーロマイダン・クーデターによって親欧米政権ができた2014年から、ロシアによるウクライナへの軍事介入(プーチン大統領が命じた「特別軍事作戦」)までの間に、ウクライナ東部のドンバス地方で、ウクライナ民族主義者(ネオナチ)やウクライナ軍によって、同じウクライナ国民であるロシア語話者に対して行われてきた、差別、虐待、ジェノサイドを記録した、フォトジャーナリストによる膨大な量の写真を中心に構成されている。

 インタビューの第1回から第4回は、ぜひ以下のURLから、会員向けサイトのアーカイブをご視聴いただきたい。

 第5回目のインタビューの前半では、「第2次トランプ政権が主導するロシア・ウクライナ停戦交渉は果たして成立するのか?」と題して、最新の停戦交渉に関する情勢を分析した。

 田中氏は「難しいと思いますね」との見方を示した。

 トランプ大統領は、3月18日にロシアのプーチン大統領と、3月19日にウクライナのゼレンスキー氏と個別に電話会談を行い、「エネルギー施設に対する部分的停戦に合意した」と明らかにした。

 しかし、ウクライナ軍は、3月19日夜にロシア南部の石油貯蔵施設を、3月20日夜から21日にかけては、クルスク地方のガスステーションを攻撃した。

  • トランプ米大統領の仲介で合意したはずの、ロシアとウクライナのエネルギー施設やインフラに対する30日間の攻撃停止に、ウクライナは即日違反! ロシア南部の石油貯蔵施設やクルスクのガスパイプラインを攻撃!「ウクライナの軍事情報長官キリル・ブダノフ氏は、ウクライナが紛争で負け始めた場合、国内の原子力発電所を爆破することを提案した」と、ゼレンスキー氏の元側近アレストヴィッチ氏が、明らかに! ブダノフ長官は、「我々はみな死ぬが、彼らも死ぬ」と、正気の沙汰ではない、破滅的な発言! トランプ政権の「ウクライナの原発を米国が所有」との提案は、核の大惨事を防ぐため!?(日刊IWJガイド、2025年3月26日)
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 岩上安身が、「このような攻撃は、ゼレンスキー政権を担いでいる軍や秘密警察、ネオナチのメッセージというか、示威行為ではないか」との見方を示すと、田中氏は、「軍とか秘密警察というのは、もう、ドンバスのドネツクとかルガンスクの政府の方に入ってしまっているので、ネオナチでしょう」と述べた。

 田中氏によると、軍や秘密警察の幹部は、「もともと、ソ連時代からの幹部で、専門家だから、(2014年に)米国によって作られたクーデター政権なんか、承認できない」という気持ちから、「(ドンバスの)武装勢力の方に参加している者が多い」とのことである。

 田中氏は、「ゼレンスキー政権を支えているのは、ネオナチですよ」と断言した。

 その上で田中氏は、合意後のこうしたウクライナ軍によるロシアのエネルギー施設への攻撃について、「悪あがきでしょう」と述べ、次のような見方を示した。

 「結局、彼らを支えていた海外勢力は、米国のバイデン政権でした。

 ところがトランプ大統領は、ウクライナよりもロシアと直接話をしている。

 米国の支援がなくなった段階で、ゼレンスキー政権はどうなるかわからない。

 ただやはり、ゼレンスキー政権を支えているネオナチを、根本的に潰さないと、表向き停戦になっても、(実際にはそれは)長期的な停戦じゃないんですよ。

 長期的な平和につながる停戦というのは、政権中枢の支持基盤、いわゆるネオナチを解体するしかないんですよ。

 そのために(プーチン大統領の)特別軍事作戦が、対ネオナチの軍事作戦として発動されているわけですからね。

 軍とか情報機関みたいになってしまったんですよ、ネオナチが」。

 さらに田中氏は、米国のロシア敵視の背後には英国がいて、両国は「セットなんです」と、次のように語った。

 「この間、ロシア政府の関係者と縁があって、話をしました。ちょうど、ゴルバチョフの話だったんですね。

 日本人は、非常にゴルバチョフに対する評価が高い。理由としては、ソ連を崩壊させたからだと。だけれども、ロシアとしては、ゴルバチョフは普通の人物で、ただ役割的に、その立場いただけの人、特別なものではないと。むしろ、弱い人物なんだと。ロシアでは、弱い人物というのは、そんなに評価が高いものではないんだ、という言い方をしてるんですね。

 確かにそうでしょう。要するに、アメリカはソビエトが崩壊するころから必死になって、いろいろな工作を仕向けてきて、それでようやくソ連が崩壊して、エリツィン政権ができて、(米国がロシアを)支配できると思ったら、プーチンが出てきて抵抗を始めた。じゃあ、(プーチンを)やっつけちゃえ、みたいな。

 私のこの本に書いてあるのは、『強いロシアは許さない』というアメリカのスタンスであって、その背景に、実はイギリスもいるわけです。

 やっぱりイギリスも、(『強いロシアは許さない』という思いが)強いわけですよ。

 だから、ウクライナ特別軍事作戦が発動された直後に、和平をやろうとしたら、ウクライナの安全保障に関わる人物が暗殺された。

 その後に、イギリスのジョンソン(当時首相)が出てきて、泥沼化していったという部分がある。

 イギリスは、表向きアメリカを悪者に仕立てて、いい子になっているわけです。

 だから、イギリスというのも、やっぱり今回のことでは、非常に悪いと思っています。アメリカとイギリスというのは、ある面ではセットなんですね」。

 後半では、『天使の並木道』の内容に沿って、田中氏に話をうかがった。

 ロシアによるウクライナへの侵攻(軍事介入、特別軍事作戦)が始まった2022年2月24日の1年ほど前、2021年初めから、2月20日までの間に、米英をはじめとする西側諸国から、1ヶ月の間に、2000トンもの最新兵器、弾薬、防衛機器が、ウクライナに持ち込まれた。

 さらに2021年12月には、米バイデン政権は、対戦車システム、擲弾発射機(グレネードランチャー)、銃器、弾薬などを含む2億ドルの追加支援を承認した。米国は、2014年のユーロマイダン・クーデター以降、2022年にウクライナ紛争が始まる以前に、ウクライナに計27億ドル(約4062億円)もの軍事支援を行っている。

 また、米欧・西側諸国は、アゾフ連隊をはじめとするウクライナの極右過激派(ネオナチ)に、軍事訓練を施してきた。

 『天使の並木道』には、ナチスのマークをつけた軍服を着たウクライナのネオナチが、西側諸国の軍事訓練を受けている写真も、多数掲載されている。

 また、ウクライナの内戦(ドンバス戦争)の休戦協定である「ミンスク合意」を、キエフ政権側は、遵守しなかった。『天使の並木道』では、その件数が、「計200万件近い」ことや、「2022年に入ってから(ウクライナ紛争が始まる2月24日までの間)だけでも、欧州安全保障協力機構(OSCE)のウクライナ特別監視団は、1万件以上の停戦違反を記録」している事実を指摘している。

 さらには、ウクライナ最高議会は、2020年7月15日に、「ミンスク合意を原則的に否定する」と決議し、停戦協定であるミンスク合意から、事実上脱退した。

 2月28日に、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談したゼレンスキー氏は、「プーチンは何度も(ミンスク合意の)停戦を破っている」と発言したが、メディアの前でトランプ大統領とヴァンス副大統領に対し、虚偽の発言をしたのである。

  • 米ホワイトハウスでのトランプ大統領との公開会談で、ウクライナのゼレンスキー氏がメディアの前でロシアのプーチン大統領への敵意をむき出しにし、トランプ大統領とヴァンス副大統領と激しい口論に! 鉱物資源と引き換えに和平交渉を仲介する米国との協定調印も白紙に! 元国連主任査察官のスコット・リッター氏は「トランプ政権は、ゼレンスキー氏にうんざりしている」と指摘! それでも英・仏・独などEU諸国の多くはウクライナ支持を表明!! 戦争継続か、停戦かで、米国と欧州が分裂!(日刊IWJガイド、2025年3月3日)
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 インタビューではこの後、『天使の並木道』に掲載されている、ウクライナ軍やネオナチらの無差別攻撃で殺され、戦うドンバスの人々の姿を撮った、貴重な写真を見ながら、田中氏に解説していただいた。

■ハイライト

  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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