【IWJ号外】<ジェフリー・サックス教授講演「平和の地政学」(その2)>「ヨーロッパが米国の敵となることは危険だが、米国の友人となることは致命的である」! 欧州には、本物の外交政策が必要! 日本も同様! 他人事ではない! 冷戦後、今に至るまでの35年間のすべての謎が解ける! 東京大学松里公孝教授が推薦! 2025.3.22

記事公開日:2025.3.22 テキスト

(文・IWJ編集部)

特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!|特集 IWJが追う ウクライナ危機
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 ジェフリー・サックス教授は、2025年2月19日、欧州議会で演説を行い、ウクライナ紛争を含む米国の外交政策を強く批判しました。

 「平和の地政学」というイベントに登壇したサックス教授は、米国の一極覇権主義を強く批判し、ウクライナ紛争は米国による代理戦争であり、「欧州には、現実にもとづいた独自の外交政策が必要」だと訴えました。

 冷戦後、一極支配を目指してきた米国が、何をしてきたか、その過程があますところなく、しかもシンプルかつ明晰に、語られています。

 3月19日にお送りした号外では、サックス教授の講演の前半をお送りしました。

 本日は、続編として、(その2)をお送りします。どうぞ、IWJ会員となって、全編をお読みください。以下、内容の小見出しです。

10)2004年、NATOの東方拡大第2ラウンドが始まり、旧ソ連の連邦構成共和国のひとつであるジョージア(旧グルジア)は破壊された! これは冷戦後の秩序からの完全な違反! 米国が一極覇権を信じていたかったのが、その理由!

11)ロシアは、ウクライナに領土的利害や意図をまったく持っていなかった!「プーチンがロシア帝国を再建しようとしている」というのは、幼稚なプロパガンダ!

12)米国の「政権交代作戦」としてのユーロマイダン・クーデター! 米国は100回以上、外国の気に入らない政権を転覆している! それがCIAの仕事!

13)ドンバス紛争を停戦させるミンスク合意2は、米国とウクライナによって破られた! 米国の民主党も、共和党も、今やまったく同じ好戦派!

14)バイデン大統領補佐官ジェイク・サリバンは、「心配するな、ジェフ、NATOはウクライナに拡大しない。戦争にはならない」と断言した! 米国外交は、他国と話し合わない、一方的な「非協力ゲーム理論」で動く!

15)IWJが検証レポートを出していた、ランド研究所の『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争』が、バイデン政権の戦略だった!

16)赤ん坊の地政学ですらない! NATOの最も愚かな考えは「開放政策」!

17)NATOは、ロシアの国境近くにあるアメリカ合衆国! それ以上でも、それ以下でもない! もし中国やロシアが、米国国境近くに軍事基地を建設すると決定した場合、10分以内に戦争が起こる! NATOの東方拡大は、それと同じこと!

18)2002年、米国が一方的に、弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)から離脱したため、今、核の先制攻撃を抑える枠組みは存在しない! さらにその前、2019年に、INF条約も米国が一方的に離脱したため、現在では、核兵器使用制限の枠組みも存在しない!

19)2022年春、和平交渉が米英によって頓挫させられたのは、米国が「そうしろ」と命じ、英国首相のボリス・ジョンソンが念押しに行ったから! その目的は、ウクライナのためではなく、西洋の覇権のためだった!

20)これは純然たる代理戦争である。ウクライナ人100万人が死傷したが、「米国人は1人も死なずにロシアを弱体化できた。我々の金の素晴らしい使い途だ」と、腐敗した米議員達は、ほくそ笑んだ!

21)米国はロシアが腰砕けとなり、引き下がると、なめていた! ウクライナ人達に、ヘンリー・キッシンジャーの格言「ヨーロッパが米国の敵となることは危険だが、友人となることは致命的である」を繰り返し伝えるも、聞き入れられず!

22)トランプは負け戦を望まない! 彼は「敗者」であるウクライナと欧州に関わりたくないので、ウクライナ紛争は終わるだろう! トランプ政権の核心は「帝国主義者」!

23)ヨーロッパには、ロシア恐怖症ではない、本物の現実的な外交政策が必要である! 米国にヨーロッパを侵略させないために!

24)米国の政治は、イスラエル・ロビーに支配されている! 米国とイランの戦争を夢見るネタニヤフに、米国は外交政策を完全に委ねてしまった!

25)中国は敵ではない! 中国は経済的に成功した、単なる「成功物語」である!

 *小見出しは、IWJで付けています。


ジェフリー・サックス教授、2月19日「平和の地政学」EU議会での講演

(続き)

10)2004年、NATOの東方拡大第2ラウンドが始まり、旧ソ連の連邦構成共和国のひとつであるジョージア(旧グルジア)は破壊された! これは冷戦後の秩序からの完全な違反! 米国が一極覇権を信じていたかったのが、その理由!

 「2004年には、NATOの次の拡大ラウンドがあり、バルト三国、ルーマニア、ブルガリア、スロベニア、スロバキアの7ヶ国が加わりました。

 この時点で、ロシアはかなり動揺しました。これは、ドイツ再統一とともに合意された戦後秩序の完全な違反でした。

 本質的には、米国が協調体制から離脱する、根本的な策略でした。なぜなら、米国は一極覇権を信じていたからです。

 さて、皆さんもご存知のように、先週ミュンヘン安全保障会議(※2025年2月14日-16日)があったばかりですが、2007年(の同会議で)プーチン大統領が「もうたくさんだ。もうたくさんだ。今すぐやめろ」と言いました。

 もちろん、その意味するところは、2008年にアメリカが、NATOの拡大をウクライナとジョージアに強行しようとしたことです。

 これは、長期にわたるプロジェクトです。

 私は2008年5月に、ニューヨークでサーカシビリ氏(※ミハイル・サーカシビリ、第3代ジョージア大統領、在任2008-2013)の話に耳を傾けましたが、私は席を立ち、(妻である)ソーニャに電話して「『この男は狂っている』と言いました。

 そして1ヶ月後、アメリカが『我々がジョージアを救った』と、この男に言ったせいで、戦争が勃発しました。

 この男は、外交問題評議会(※Council on Foreign Relations)で演説し、『ジョージアはヨーロッパの中心にある』と述べました。

 いや、皆さん、それは違う。(ジョージアは)ヨーロッパの中心ではありません。

 最近の出来事(※EUへの加盟交渉中断と大統領選挙をめぐる大規模デモ)は、ジョージアの安全にとって有益ではないものです。そして、治安部隊がそっちに行ったり、欧州議会議員や欧州の政治家達が(ジョージアに)行ったりしています。

 ジョージアを破壊する。

 ジョージアを救うのではなく、ジョージアを破壊する。

 実際、2008年に、完全に破壊されたのです。

 ご存じの通り、元CIA長官のウィリアム・バーンズは、コンドリーザ・ライス(※第66代国務長官、在任2005-2009)に長いメッセージを送りました。NATOの拡大については「ニェット(※ロシア語の「No」)が意味するのは、ニェットだ」と。

 私はこれを、ジュリアン・アサンジ(※)から知りました。なぜなら、信じてください、最近ではアメリカ国民にも、あなた方にも、何も(事実も真実も)伝えられていないし、どの新聞も何も(事実も真実も)伝えていません。

 ですから、私達はジュリアン・アサンジに感謝しなければなりません」。

(※)ジュリアン・アサンジ。ウィキリークスの創設者。米国の国防情報入手・開示の罪で起訴され、2019年から英国の刑務所に別の罪で勾留されていたが、2024年6月、米司法省との司法取引でスパイ活動法違反の罪を認め釈放、母国オーストラリアに帰国した。

11)ロシアは、ウクライナに領土的利害や意図をまったく持っていなかった!「プーチンがロシア帝国を再建しようとしている」というのは、幼稚なプロパガンダ!

 「しかし、私達はそのメモを詳細に読むことができます。

 ご存知のように、ビクトル・ヤヌコビッチは、2010年に中立の立場を掲げて、(ウクライナ大統領に)当選しました。

 ロシアは、ウクライナに領土的利害や意図をまったく持っていませんでした。私は、その当時、数年間、そこにいたのでよく知っています。

 ロシアが交渉していたのは、(黒海に面したクリミアの)セヴァストーポリ海軍基地の、2042年までの25年間のリース契約でした。それだけです。クリミアのためでも、ドンバス地方のためでも、ありません。そのようなことは、ありませんでした。

 『プーチンがロシア帝国を再建しようとしている』という考えは、幼稚なプロパガンダです。

 もし、日々の歴史や年ごとの歴史をご存知の方がいらっしゃったら、お許しください。これは幼稚な話です。幼稚な話の方が、大人っぽい話よりもうまくいくようです。要するに、(ロシアにはそんな帝国再建の)計画などありません。

 アメリカは、この男(ヤヌコビッチ大統領)を打倒しなければならないと決めました」。

12)米国の「政権交代作戦」としてのユーロマイダン・クーデター! 米国は100回以上、外国の気に入らない政権を転覆している! それがCIAの仕事!

 「これは政権交代作戦(regime change operation)と呼ばれています。米国による政権交代作戦は、これまでに100回ほどありました。皆さんの国でも、世界中で数多く行われています。それがCIAの仕事です。いいですか、知っておいてください。

 これは、非常に変わった外交政策です。しかしアメリカでは、相手が気に入らなければ、交渉もしません。できれば秘密裏に相手を転覆させようとしますが、秘密裏にうまくいかなければ、あからさまにやります。いつも『我々のせいではない。彼らは侵略者だ。彼らは敵側だ。彼らはヒトラーだ』と。

 これは2、3年ごとに起こります。サダム・フセインであれ、アサドであれ、プーチンであれ。非常に都合が良い。アメリカ国民が外交政策について説明を受けるのは、それが唯一の機会です。

 そう、『我々は、1938年のミュンヘン(※ナチス・ドイツのチェコ侵攻に宥和的なミュンヘン協定が結ばれた)に直面している。相手側とは話し合えない。相手は滑稽な敵で、悪である』。

 それが、私達がマスメディア通じて耳にする唯一の外交政策のモデルです。そして、マスメディアはそれを完全に繰り返します。なぜなら、完全に米国政府に買収されているからです。

 さて、2014年には、米国はヤヌコビッチを打倒するために積極的に動きました。

 私にとってコロンビア大学の同僚であるヴィクトリア・ヌーランド(※アメリカ合衆国国務次官補ヨーロッパ・ユーラシア担当、在任2013-2017)と、ジェフリー・パイアット米国大使の電話(※2014年1月28日)は傍受され、誰もが知っています。これ以上の証拠はありません。

 ロシアが彼女の電話を傍受し、それをインターネットに流しました。聞いてみてください。興味深いですよ(※)。

(※)ヌーランドは、ウクライナの次期首相のアルセニー・ヤツェニュクが最有力候補だと述べ、「EUなんてクソくらえだ」と話している。この電話音声はYouTubeに数多くアップロードされている。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ヌーランドの発言を「絶対に受け入れられない」とする声明を発表した。

 ちなみに、私は、この人達全員を知っています。そうすることで、彼らは全員、バイデン政権で昇進しました(※ヌーランドは国務次官に昇進した。在任2021-2024)。それが仕事ですから。

 マイダン(クーデター)が起こったとき、私はすぐに呼び出されました。

 『ああ、サックス教授、ウクライナの新首相が、経済危機について話をしたいので会いたいそうです』と。

 私は、その分野にかなり精通していますから。

 それで私はキエフに飛んで、マイダンを歩き回りました。そして、米国がマイダン周辺のすべての人々に金を支払った経緯を聞きました。

 (マイダンクーデターが)『自発的な尊厳の革命』だと!?

 皆さん、ちょっとお待ちください。

 これらのメディア報道は、どこから来たのでしょうか?

 この組織は、どこから来たのでしょうか?

 これらのバスは、どこから来たのでしょうか?

 呼び集められた人々は、どこから来たのでしょうか?

 冗談じゃない。これは組織化された作戦です。これは秘密でも何でもなく、欧州と米国の市民以外には、秘密ではありません。他の人々は皆、はっきりと理解しています」。

13)ドンバス紛争を停戦させるミンスク合意2は、米国とウクライナによって破られた! 米国の民主党も、共和党も、今やまったく同じ好戦派!

 「それからミンスク合意、特にミンスク合意2が締結されました。ちなみに、ミンスク合意2は(※米国の)南カロライナ州の自治をモデルにしています。

 ベルギー人(※)は、ミンスク合意2に非常に共感していました。ウクライナ東部のロシア語話者の地域には、自治権があるべきだ、と主張していました。

(※)ベルギーは、ウクライナ同様に、複数民族国家で、複数言語国家。公用語は、オランダ語、フランス語、ドイツ語と3つ。連邦国家である。

 国連安全保障理事会は満場一致でこれを支持しましたが、米国とウクライナは、これを実行しないと決定しました。

 ドイツとフランスは、ノルマンディー・プロセス(※別名:ノルマンディー・フォーマット。独、仏、ウクライナ、ロシアの対話の枠組み)の保証人でしたが、それを放棄しました。

 それは、アメリカによる、いつもの欧州に対する一極覇権的な行動によるものでした。(※独仏が)合意の保証人であったにもかかわらず、ヨーロッパを完全に役立たずの脇役として扱ったのです。

 トランプは、軍備増強を勝ち取りました(※オバマが紛争の激化を恐れて最後まで承認しなかったウクライナに対する対戦車ミサイル等の殺傷兵器の供与が、第1期トランプ政権下の2017年12月に承認された)。

 ドンバス地方では、ウクライナによる砲撃で、数千人の死者が出ました。そこに(停戦合意である)ミンスク合意2は、ありませんでした。

 そして、バイデンが就任しました。繰り返しになりますが、私はこれらの人々を全員、知っています。

 私は、かつて民主党員でした。私は今、厳格に無所属であることを誓っています。なぜなら、(民主党も共和党も)両者は同じだからです。

 これは私自身のことです。民主党は時が経つにつれ、完全な好戦派となり、平和について語る声は、ひとつもありませんでした。ちょうど、あなた方(EU議会の)議員のほとんどと同じです。

 同じやり方です。1991年の終わりと」。

14)バイデン大統領補佐官ジェイク・サリバンは、「心配するな、ジェフ、NATOはウクライナに拡大しない。戦争にはならない」と断言した! 米国外交は、他国と話し合わない、一方的な「非協力ゲーム理論」で動く!

 「プーチンは、欧州の草案と米国の草案と、2つの安全保障協定草案について、最後の努力を議論で示しました。米国は、2021年12月15日、議論の俎上に載せました。

 私は、ホワイトハウスにいるジェイク・サリバン(第29代国家安全保障問題担当大統領補佐官、在任:2021-2025)と1時間もの間、電話で話しました。

 私は、ジェイクに『戦争を回避してくれ』と懇願しました。『戦争は回避できる。NATOがウクライナに拡大しないと宣言すればいいだけだ』と。

 すると、彼は私に言いました。『NATOはウクライナに拡大しない。心配するな』と。

 私は言いました。『ジェイク、それを公に言うべきだ』。

 『いや、いや、いや、公には言えない』とジェイクは言いました。

 『起こるはずのない戦争になるぞ』

 『心配するな、ジェフ、戦争にはならない』

 彼らは、あまり賢い人達ではありませんでした。

 私が、正直な意見を言えるのであれば、彼らはあまり賢い人達ではありません。

 私は、40年以上も彼らと仕事をしてきました。彼らは、自分自身に話しかけるだけ。彼らは、他の誰とも話し合いません。

 彼らは『非協力ゲーム理論』で遊んでいるのです。相手と話し合うことはせず、ただ戦略を練るだけです。これが、ゲーム理論の本質です。

 それは、交渉の理論でもなければ、平和の理論でもありません。一方的な『非協力理論』です。形式的なゲーム理論を知っていますか。それが、彼らのやっていることです」。

15)IWJが検証レポートを出していた、ランド研究所の『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争』が、バイデン政権の戦略だった!

 「それは、ランド研究所で始まりました。

 2019年に出た、ランド研究所の論文に『ロシアをどうやって拡大するか(How do we extend Russia)』(※)というものがあるのを知っていますか?

 バイデンが従った論文です。『どうやってロシアを困らせるか』。

 文字通り、それが戦略でした。『どうやってロシアを困らせるか?

 挑発し、分裂させ、政権交代や不安定化、経済危機を引き起こそうとしている』それが同盟国に対する態度です。冗談じゃない」。

  • 米国の最も有力な軍事シンクタンクであるランド研究所による2019年のレポート『ロシアの拡張―有利な立場からの競争』には、現在進行中のウクライナ紛争の、米国の戦略シナリオが掲載されていた!? IWJは、全300ページに及ぶ報告書の抜粋仮訳を進めています!(日刊IWJガイド、2022年8月22日)
    会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20220822#idx-3
    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51210#idx-3
  • <検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? 米国ランド研究所の衝撃的な報告書『ロシアを拡張する―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』の翻訳・検証シリーズ開始!(その1)サマリー(概要)の抜粋の仮訳!(日刊IWJガイド、2022年12月10日)
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    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51634#idx-4
  • <検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? 米国ランド研究所の衝撃的な報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』の翻訳・検証シリーズ開始!(その2)「第3章経済的手段」の「手段1 石油輸出を妨げる」の全文仮訳(グラフ除く)!(日刊IWJガイド、2022年12月18日)
    会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20221218#idx-2
    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51667#idx-2
  • はじめに~<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? 米国ランド研究所の衝撃的な報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』の翻訳・検証シリーズ開始!(その3の前編)「第3章経済的手段」の「手段2 天然ガス輸出の抑制とパイプライン拡張の阻害」の全文仮訳(グラフ除く)!(日刊IWJガイド、2023.1.25号)
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    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51798#idx-1
  • <検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争は米国ランド研究所の青写真通り!? ランド研究所の衝撃的な報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』の翻訳・検証シリーズ開始!(その3の後編)「第3章経済的手段」の「手段2 天然ガス輸出の抑制とパイプライン拡張の阻害」の全文仮訳(グラフ除く)!(日刊IWJガイド、2023.2.8号)
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    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51852#idx-4

16)赤ん坊の地政学ですらない! NATOの最も愚かな考えは「開放政策」!

 「そんなふうに、私はサリバンと、長くて苛立たしい電話をしました。私は凍えるような寒さの中で外に立っていました。たまたまスキーを楽しもうとしていて、そこにいたのです。

 『ジェイク、戦争は起こすな』

 『戦争なんて起こらないよ、ジェフ』

 私達は、その翌月に起こったことをたくさん知っています。彼らは交渉を拒否したのです」。

<ここから特別公開中>

「NATOの最も愚かな考えは、いわゆる「開放政策(open door policy)」です。冗談じゃない。NATOは、近隣諸国の意見を一切聞かずに、どこへでも行く権利を留保しています。

 まあ、メキシコやカナダの人達には、『そんなこと(米国の真似)は、やめておけ』と言いたいですよね。

 トランプは、カナダを占領したいのかもしれません。

 カナダは中国に対して、『オンタリオ州に軍事基地を建設しないか?』と持ちかけることもできます。私は、そんなことは勧めません。

 アメリカは『まあ、それは開放政策だ。彼らの問題だ』『彼らは、やりたいことをやればいい。それは我々の問題ではない』とは言わないでしょう。

 しかし、ヨーロッパの大人達はこれを繰り返しています。

 欧州委員会、欧州連合の代表のことです。これはナンセンスな話です。これは赤ん坊の地政学ですらない。まったく何も考えていないのです。

 そうやって、戦争が始まりました。

 プーチンの戦争における意図は何だったのでしょうか? 彼の意図が何だったのか、お話ししましょう。

 それは、ゼレンスキーに中立交渉を迫るためでした。そして、それは侵攻開始から7日以内に起こりました(※)。

 このことを理解すべきです。このことについて、書かれているプロパガンダ、『ああ、彼らは失敗した、彼はウクライナを占領しようとしていた』というようなことではなく」。

(※)2022年2月28日に、ウクライナとロシアは、ベラルーシ国境で第1回の停戦交渉を行った。

17)NATOは、ロシアの国境近くにあるアメリカ合衆国! それ以上でも、それ以下でもない! もし中国やロシアが、米国国境近くに軍事基地を建設すると決定した場合、10分以内に戦争が起こる! NATOの東方拡大は、それと同じこと!

「皆さん、基本的なことを理解してください。(米国の意図は)NATOを維持することでした。NATOとは何でしょうか? ロシアの国境近くにある、アメリカ合衆国です。それ以上でもそれ以下でもありません。

 非常に重要な点を付け加えなければなりません。なぜ、彼ら(ロシア側)は、それほどまでに強い関心を持っているのでしょうか?

 中国やロシアが、リオ・グランデ川(※メキシコと米国の間を流れる川)やカナダ国境に軍事基地を建設すると決定した場合、アメリカ合衆国はパニックに陥るだけでなく、10分以内に戦争が起こるでしょう」。

18)2002年、米国が一方的に、弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)から離脱したため、今、核の先制攻撃を抑える枠組みは存在しない! 2019年に、INF条約も米国が一方的に離脱したため、核兵器使用制限の枠組みも存在しない!

「しかし、米国が2002年に一方的に、弾道弾迎撃ミサイル制限条約(※ABM条約。米ソ間で1972年5月締結・発効)を破棄し、それによって核軍縮の枠組みを終わらせました。これを理解しておくことが極めて重要です。

 核軍縮の枠組みは、(核兵器による)先制攻撃を阻止しようとする試みにもとづいています。ABM条約は、その重要な要素でした。米国は2002年に一方的にABM条約から離脱しました。

 ロシアは激怒しました。私がこれまで説明してきたことは、核の枠組みの崩壊という文脈でもあります。

 2010年から、米国は、ポーランドとルーマニアにミサイルシステムを配備しました。ロシアはそれを快く思っていません。

 2021年12月と2022年1月に、テーブルの上にあった議題の1つは、米国がウクライナにミサイルシステムを配備する権利を主張するかどうかでした。

 そして、2022年1月、ブリンケン国務長官はラブロフ外相に『米国は、中間距離ミサイルシステムを、CIS諸国(※)のどこであれ、望む場所に配備する権利を留保する』と述べました。それがあなたの同盟国です。

(※)CISとは、独立国家共同体の略称。旧ソ連の連邦構成共和国によって設立された経済・軍事面での協力機関。アゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ベラルーシ、モルドバ、ロシアで構成されている。ウクライナはユーロマイダン・クーデター直後の2014年3月に脱退。ジョージアは、ジョージ・W・ブッシュ政権がNATO加盟を提案した2008年に脱退した。

 そして今、中距離ミサイルシステムをドイツに戻そうというのです(※)。米国は、2019年にINF条約を一方的に脱退しました。今、核兵器の(使用の制限・抑止の)枠組みは存在しません。全くないのです」。

(※)2024年7月11日、ワシントンでNATO首脳会議が開催され、バイデン米大統領(当時)とショルツ独首相が共同声明を発表、この中で「米国は2026年に陸上発射型の長距離攻撃能力をドイツに配備する」と宣言した。

19)2022年春、和平交渉が米英によって頓挫させられたのは、米国が「そうしろ」と命じ、英国首相のボリス・ジョンソンが念押しに行ったから! その目的は、ウクライナのためではなく、西洋の覇権のためだった!

「ゼレンスキーは、(※ロシア軍の侵攻から)7日後に『交渉しよう』と言いました。私はこの詳細をすべて知っています。なぜなら、私はすべての当事者と詳細に話し合ったからです。

 数週間以内に、ラブロフが提示し、プーチン大統領が承認した文書が交換され、トルコの仲介者が管理しいました。

 私はアンカラに飛び、仲介者が何をしているのかを詳しく聞きました。

 ウクライナは、ほぼ合意に達していたのに、一方的に立ち去りました。

 なぜでしょうか?

 それは、アメリカが『そうしろ』と言ったからです。

 イギリスはさらに追い打ちをかけ、ボジョ(※Bojo、ボリス・ジョンソン、当時の英国首相)が、4月初めにウクライナに行って説明しました。彼は、最近も行きました。

 もし、あなたの安全保障がボリス・ジョンソンの手に委ねられているとしたら…、私達、皆に神のご加護がありますように。

 キア・スターマー(※ボリス・ジョンソンの3代後任の現在の英国首相)は、さらに悪いことが判明しました。

 想像を絶します。でも、本当です。ボリス・ジョンソンが説明しているので、調べてみてください(※)。ここで問題になっているのは西洋の覇権。ウクライナではなく、西洋の覇権です」。

(※)2022年4月9日、「ブチャの虐殺」の報道の後、ボリス・ジョンソン英首相(当時)はキエフを訪問し、「プーチンは戦争犯罪者であり、交渉するのではなく圧力をかけるべき」「プーチン大統領は思ったほど強力ではなく、今が『彼に圧力をかける』チャンス」だと述べた。

20)これは純然たる代理戦争である。ウクライナ人100万人が死傷したが、「米国人は1人も死なずにロシアを弱体化できた。我々の金の素晴らしい使い途だ」と、腐敗した米議員達は、ほくそ笑んだ!

「2022年の春に、マイケルと私は、バチカンでグループと会い、この戦争から、ウクライナにとって良い結果は、何ひとつ生まれないことを説明する文書を書きました。『今すぐ交渉すべきだ。なぜなら、戦争が長期化すれば、大量の死、核のエスカレーションのリスクを引き起こし、戦争の敗北を意味するだろうから』。

 当時、私達が書いたものから、一字一句変えるつもりはありません。あの文書には、何ひとつ間違ったところはありません。

 あの文書以来、米国が交渉のテーブルから交渉者が離れたと話して以来、およそ100万人ものウクライナ人が死亡したり、重傷を負ったりしています。

 そして、想像できる限り最も意地悪で、ひねくれて、腐敗したアメリカの議員達は、『アメリカ人が死んでいないのだから、これは我々の金の素晴らしい使い道だ』と言っています。

  • はじめに~米国の元陸軍指揮官で国防長官補の顧問をつとめたダグラス・マクレガー元大佐が「ウクライナ軍兵士の死者は40万人。ロシアが71歳の戦車部隊兵士を捕虜にした。訓練を受けていない兵士はただ単に、挽き肉機に送り込まれているようなもの」と戦場の現実を暴露! 米国によるウクライナへの支援を「最善の投資」と語ったミット・ロムニー上院議員に対し「私たち(米国民)が唯一成功したことは、ウクライナ国民を殺し、国を破壊したことだけ。この男(ロムニー議員)は狂気じみているか、病的な嘘つき。少なくともサイコパスの域に達している」と痛烈批判!!(日刊IWJガイド、2023.9.13号)
    会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230913#idx-1 非会員版

 これは純然たる代理戦争です(※)。

(※)マルコ・ルビオ国務長官は3月5日、「ウクライナ紛争は米露の代理戦争」だと認めた。 ・【第1弾 米国のマルコ・ルビオ国務長官が、「ウクライナ紛争は米露の代理戦争」だと認める!!】(『FOXニュース』3月5日ほか)ロシアもルビオ長官の発言に全面同意! 米国はウクライナ紛争を終結させて、欧州の安全保障問題から離脱し、対中国戦争に向けて全力を集中する! 次は対中国代理戦争に、台湾と日本が駆り出される!(日刊IWJガイド2025.3.8号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20250308#idx-5
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 私の近くにいたブルーメンソール(※リチャード・ブルーメンソール上院議員、コネチカット州民主党)という上院議員の1人が、これをはっきりと口にしました。ミット・ロムニー(上院議員、ユタ州共和党)は、はっきりとこう言っています。『アメリカが費やすことができる最高の支出だ。アメリカ人は誰も死んでいない』(※)。信じられません」。

(※)ブルーメンソール上院議員「世界中の民主主義国家における自由と独立に特に関心のない米国人でさえ、ウクライナへの投資で投資額に見合う価値を得ていることに満足するはずだ」「我が国の軍事予算の3%未満で、ウクライナはロシアの軍事力を半減させることができた。その間、アメリカ軍の女性兵士や男性兵士は一人も負傷したり死亡したりしていない」 ミット・ロムニー上院議員(ユタ州共和党)「これまでで最良の国防費支出だと思う」「ウクライナでは誰も命を失っておらず、ウクライナ人はロシアに対して勇敢に戦っている」「我々はごくわずかな資金でロシア軍を弱体化させ壊滅させている…ロシアが弱体化するのは良いことだ」

 さて、昨日(2月18日)の状況(※)に話を戻すと、これは失敗しました。このプロジェクトは失敗したのです。プロジェクトの考え方は、『ロシアが手を引く』というものでした。ずっと考えられていたのは、『ロシアは抵抗できない』というものでした」。

(※)ロシアと米国の政府高官による交渉団は2月18日、ウクライナ戦争に関する二国間協議について、サウジアラビアで会談を行った。

21)米国はロシアが腰砕けとなり、引き下がると、なめていた! ウクライナ人達に、ヘンリー・キッシンジャーの格言「ヨーロッパが米国の敵となることは危険だが、友人となることは致命的である」を繰り返し伝えるも、聞き入れられず!

「1997年に、ズビグネフ・ブレジンスキー(※)が説明した(※)ように、アメリカ人はこんなふうに考えていました。

※ポーランド出身の米国の政治学者。戦略家。1928-2017。ジョンソン大統領の顧問、カーター大統領の補佐官を務めた。ソ連を憎悪し、ベルリンの壁崩壊やソ連崩壊などにも関与したとされる。

『我々は優勢だ。我々は、彼ら(ロシア)をハッタリで騙すつもりなので、我々が勝つだろう。彼らは本気で戦うつもりはない。彼らは本当に核オプションを動員する勇気はない。

 我々が何をするかと言えば、スウィフトから彼らを切り離し、経済制裁で彼らを追い詰めるだろう。軍事的には、「ハイマース」と「F-16」で彼らを倒すだろう』

(※)

 正直に言えば、私はこんな話を70年間、聞いてきました。半信半疑で聞いてきたので、56年くらいと言った方がいいでしょうか。

 彼らは毎日、無意味なことを話しています。私の国、私の政府。これは私にとって非常に慣れ親しんだもので、完全に身近なものです。

 私は、ウクライナ人達に懇願しました。私には、ウクライナ人との(深い交流の)実績がありました。

 私は、ウクライナ人に『私はまったく、反ウクライナでも、親ウクライナでもない』『命を守り、主権を守り、領土を守り、中立を保ちなさい。アメリカ人の言うことを聞いてはならない』と助言しました。

 私は彼らに、ヘンリー・キッシンジャー(※)の有名な格言を繰り返し伝えました。

『アメリカ合衆国の敵になることは危険だが、(米国の)友人になることは致命的だ』と。

(※)ドイツ出身のユダヤ人で、ナチスを逃れて米国へ亡命。国際政治学者、外交家。1923-2023。ニクソン政権およびフォード政権で大統領補佐官、国務長官。冷戦下のソ連と緊張緩和を推進、極秘交渉で米中関係を正常化した。

 オーケー、わかりますか。もう一度言います。

『ヨーロッパが米国の敵となることは危険だが、友人となることは致命的である』」。

22)トランプは負け戦を望まない! 彼は「敗者」であるウクライナと欧州に関わりたくないので、ウクライナ紛争は終わるだろう! トランプ政権の核心は「帝国主義者」!

「それでは最後に、トランプ氏について少しお話したいと思います。

『トランプは負け戦を望まない』。これが(戦争が終わる)理由です。トランプとプーチン大統領が戦争終結に合意する可能性が高いので、この戦争は終わるでしょう。

 ヨーロッパが、精一杯、戦争を煽っても、それは問題にはなりません。戦争は終わりつつあります。

 だから、あなたがたの(好戦的な)システムから離れてください。同僚に、『終わった』と、『トランプは敗者を支援したくないから、戦争は終わった』と、伝えてください。

 そういうことです。偉大な道徳観などでは、ありません。彼は敗者に関わりたくないのです。

 これは『敗者』です。

 今行われている交渉によって救われる者は、ウクライナです。そして次に、ヨーロッパです。

 交渉の恐ろしいニュースにもかかわらず、ここ数日、(欧州の)株式市場が上昇していますよね?

 この議場では、この交渉の恐ろしいニュースに大きな恐怖が感じられたことを、私も知っていますが、これは今、あなたがたが得ることができる、最良のニュースなのです。

 私は、勇気づけられました。

 彼らは、私の言うことを聞きませんが、私は何人かのヨーロッパの指導者に働きかけようと試みました。ほとんどの人は、私の意見など聞こうとしませんが、私は『キエフに行くのではなく、モスクワに行って、カウンターパートの人々と話し合うんだ』と言いました。

 冗談じゃない。あなた方はヨーロッパであり、4億5千万人の人口を抱えています。20兆ドルの経済規模です。ロシアの主要な経済貿易パートナーとなるべきです。それは、自然なつながりです。

 ところで、もし、米国がノルドストリームを爆破した経緯について、議論したい方がいれば、喜んでお話ししましょう。(議会で大きな笑い声)

 要するに、トランプ政権の核心は『帝国主義者』です。それは、世界を支配する巨大な権力です。

 そうです。私達(※米国)は、できるときに、やりたいことをやるのです。私達は、老化したバイデンよりも、マシになるでしょう。必要なところで、損失を削減するでしょう」。

23)ヨーロッパには、ロシア恐怖症ではない、本物の現実的な外交政策が必要である! 米国にヨーロッパを侵略させないために!

「世界にはいくつかの戦場があり、中東もそのひとつです。私には、それがどうなるかはわかりません。

 繰り返しますが、もしあなたがたが適切な政策をとれば、その戦争を止めることができるでしょう。どのようにするか説明しますが、中国との戦争も起こり得ます。

 ですから、『平和の新時代』が到来したとは言いません。今現在、私達は、非常に様々な種類の政治の中にいるのです。

 ヨーロッパは、(ロシア)恐怖症の根源となるだけの外交政策ではなく、ロシアの状況、ヨーロッパの状況、アメリカの存在やその主張を理解した、現実的な外交政策を持つべきです。

 アメリカにヨーロッパを侵略させないように、挑戦すべきです。

 アメリカがまさに、デンマーク領に軍隊を上陸させることも不可能ではないからです(※)。

 私は、冗談を言っているわけではありません。彼ら(トランプ政権)が冗談を言っているとも思いません。

(※)ドナルド・トランプ氏は、大統領就任前から、グリーンランド(デンマーク領)を支配することが、ロシアや中国との関係において、米国にとっての国家安全保障上必要であると主張してきた。大統領に就任後、グリーンランドを米国領にすると、実際に公言した。グリーンランドを支配するためには「軍事力行使を排除しない」とさえ述べている。

  • はじめに~日本政府をはじめ、西側諸国は「力による現状変更は許されない!」と米国に抗議しないのか!? トランプ氏はグリーンランド強奪に軍事力も排除しないと発言! これに対し、イラン軍がグリーンランド、カナダ、メキシコ、パナマを軍事支援すると反応! 第2次トランプ政権では、北極圏利権が国際的に争われる時代に!(日刊IWJガイド2025.1.14号)
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 ヨーロッパには外交政策が必要です。「はい。トランプ氏を大歓迎し、歩み寄ります」というようなものではなく、本物の外交政策です。それがどのようなものになるかはご存知でしょう? 後で、電話をください。

 ヨーロッパのトップに、アメリカの役人を据えないでください。ヨーロッパの役人を据えてください。ヨーロッパの外交政策を展開してください。

 ロシアとは、長い付き合いになるでしょう。だから、ロシアと交渉してください。

 本当の安全保障上の問題が、俎上にあります。大言壮語や(ロシア)恐怖症の根は、まったく安全保障には役に立ちません。ウクライナの安全保障にとっても、まったく役に立ちません。

 ウクライナでは、100万人が犠牲になりました。あなたがたが署名し、先頭に立って応援した、この馬鹿げたアメリカの冒険のせいで。何も解決していません」。

24)米国の政治は、イスラエル・ロビーに支配されている! 米国とイランの戦争を夢見るネタニヤフに、米国は外交政策を完全に委ねてしまった!

「ところで、中東について。

 米国は、30年前に、外交政策を完全にネタニヤフに委ねてしまいました。イスラエル・ロビーがアメリカの政治を支配していることに、疑う余地はありません。私は、その仕組みがどう作用するか、について何時間でも説明できます。非常に危険です。

 私は、ネタニヤフのせいで、トランプが自身の政権を崩壊させ、さらに悪いことに、パレスチナの人々を破滅させないよう願っています。ネタニヤフは、国際刑事裁判所(ICC)で、正式に起訴されるべき戦争犯罪人だと、私は考えています。

 そして、これ以上語る必要はありませんが、1967年6月4日の境界線上に、パレスチナ国家を建国するのが、国際法に則った、平和への唯一の道です。

 ヨーロッパが、中東との国境に平和をもたらす唯一の方法は、2国家解決策です。そこには、たったひとつの障害があります。それは、国連安全保障理事会における米国の拒否権です。

 あなた方が影響力を持ちたいのであれば、アメリカに電話して、拒否権を放棄させればいいのです。世界180ヶ国が、あなた方と一緒にいるのです。

 パレスチナ国家に反対しているのは、アメリカ、イスラエル、ミクロネシア、ナウル、パラオ、パプアニューギニア、パラグアイ(※)だけです。

 ですから、ヨーロッパが大きな影響力を行使できる場面なのです。

(※)サックス教授は、「東マレー」と述べているように聞こえるが、2024年11月14日の国連決議では、パレスチナ国家承認が、日本を含む170ヶ国の賛成で採択された。反対はアルゼンチン、イスラエル、ミクロネシア連邦、ナウル、パラグアイ、アメリカ合衆国の6ヶ国であった。

 ヨーロッパは、JCPOA(※Joint Comprehensive Plan of Action、イラン核合意)とイランについて沈黙しています。

 ネタニヤフの人生における最大の夢は、米国とイランの戦争です。彼は諦めていませんし、それが実現する可能性もゼロではありません。

 なぜなら、この点において米国は、独自の外交政策を持っていないからです。それはイスラエルによって運営されています。悲劇的です。驚くべきことです。

 ところで、それは終わるかもしれません。トランプは、外交政策を取り戻したいと言っているようです。おそらく。そうなることを期待しています」。

25)中国は敵ではない! 中国は経済的に成功した、単なる「成功物語」である!

「最後に、中国について話しておきたいと思います。

 中国は敵ではありません。中国は、単なる『成功物語』です。中国が米国よりも大きな経済大国であるがゆえに、米国は中国を敵視しているのです。それだけのことです」

(拍手)


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