┏━━【目次】━━━━
┠■はじめに~激戦地バフムト、ソレダル、ウグレダルでウクライナ軍が化学兵器を使用か!? ドネツク人民共和国軍戦闘員に吐き気、嘔吐、激しいめまい!! ドネツク側は「ウクライナ軍がドローンで化学兵器投下」と主張、しかも今回のウクライナ軍の化学兵器使用は認めてはないとも!「ジュネーブ条約違反。国連に訴える!」と主張!
┃
┠■IWJは最大の経済的危機です! 1月の31日間でいただいたご寄付額が確定しました! 第13期6ヶ月間の累積の不足額は、1月末時点で1117万円にまで増えてしまいました! 岩上安身からのIWJの借り入れ総額は、現時点で1600万円になります! 岩上安身の私財には限界があります! このままでは、皆さまのご支持・応援、会費、そしてご寄付・カンパによるご支援がなければ、活動が立ち行かなくなります。米国が自らの覇権維持のために世界の緊張を高める「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、緊急のご支援のほど、よろしくお願いします!
┃
┠■【中継番組表】
┃
┠■<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争は米国ランド研究所の青写真通り!? ランド研究所の衝撃的な報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』の翻訳・検証シリーズ開始!(その3の後編)「第3章経済的手段」の「手段2 天然ガス輸出の抑制とパイプライン拡張の阻害」の全文仮訳(グラフ除く)!
┃
┠■英サッカーFAカップ第4ラウンドでリヴァプールを下したブライトン三笘薫選手(25)の驚異的なゴールが、FAカップ公式ツイッターの投票の1位に! 三笘選手はリーグ戦でも今季5点目をあげ、第22節ベスト11にも選出の大活躍!! ツイッターでトレンド世界一を記録! 日本サッカー史上、最上級のケタ違いのスター誕生か!?
┃
┠■<IWJ取材報告>「同性婚に賛成か反対か?」記者の質問に対し西村大臣は答えることなく、「丁寧に議論を進めていくことが大事だ」~2.7西村康稔経済産業大臣定例記者会見
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┠■IWJスタッフが複数名、新型コロナウイルスに感染したという日刊IWJガイドでの報告に対し、会員の皆さまからあたたかい応援の言葉、励ましのお言葉をいただき、本当にありがとうございました! IWJはコロナワクチン問題にも取り組んでいきます!(前編)
┗━━━━━
■はじめに~激戦地バフムト、ソレダル、ウグレダルでウクライナ軍が化学兵器を使用か!? ドネツク人民共和国軍戦闘員に吐き気、嘔吐、激しいめまい!! ドネツク側は「ウクライナ軍がドローンで化学兵器投下」と主張、しかも今回のウクライナ軍の化学兵器使用は認めてはないとも!「ジュネーブ条約違反。国連に訴える!」と主張!
おはようございます。IWJ編集部です。
ウクライナ紛争をめぐって、ドネツク人民共和国側は、ウクライナ軍が化学兵器を使ったと訴えています。
2月6日付けロシア『RIA』は、ドネツク人民共和国(DNR)代表代行のデニス・プーシリン氏が、ロシアのテレビ局『ロシア24』で語ったこととして、アルテミフスク(バフムト)方面、ウグレダル方面で化学兵器が使用され、DNR兵に倦怠感を与えているとのことです。
※Пушилин заявил о применении ВСУ химоружия под Артемовском и Угледаром(RIA、2023年2月6日)
https://ria.ru/20230206/khimoruzhie-1849999525.html
『RIA』は、以下のように報じています。
「プーシリン氏によると、兵士からの苦情は少なくとも3週間は続いているとのこと。
プーシリン氏は、『彼らは我々の部隊の場所に、ドローンから化学兵器を投下した』と付け加えた。
ウクライナ軍による化学兵器の使用は、特殊部隊『アクマット』司令官兼ルガンスク人民共和国(LNR)人民軍第2軍団副司令官アプティ・アラウディノフ氏からも報告された。
アラウディノフ氏によると、これは手製の弾薬で、人を嘔吐させたり、意識を失わせたりするものだという。しかし、アラウディノフ氏は、『ひどい影響はない』と指摘する。
アルテミフスクはDNRのキエフ支配地域、ホルリウカの北に位置する。ドンバスにいるウクライナ人グループに供給するための重要な輸送拠点だ。プーシリン氏によると、ロシア民間軍事会社ワグナーグループの戦闘員は、市の北部と東部の郊外に拠点を置いている。
また、プーシリン氏は、ウグレダルにおけるウクライナ軍の状況が深刻に悪化しており、そのため、ウクライナ軍司令部は、アルテミフスク方面に向けられた予備兵力の一部をそこに移動させていると述べた。プーシリン氏によれば、ウクライナ武装勢力は、ウグレダルから撤退する場合に備えて、すでに高層ビルを爆破しているとのことだ」
ウクライナ軍による化学兵器使用については、6日付け『タス』も、次のように報じています。
「ウクライナ軍は日曜日(5日)にソレダルとアルテミフスク方面で化学兵器を使用した。これは、軍事・政治専門家でドネツク人民共和国(DPR)代表代行の顧問であるヤン・ハギン氏がタス通信に報告したものだ。
『部隊長から、戦線の様々な場所、主にソレダルとアルテミフスク地区で、ウクライナ側が化学兵器を使用したとの報告があった。一部の戦闘員は、吐き気や嘔吐、激しいめまいを経験している』と、ハギン氏は語った。
ハギン氏は、ウクライナ側による化学兵器使用の事実はこれが初めてではないことを強調した。
『これは一般的に、前線の至る所で起こったことで、産業用ヘリから特殊な容器に入った物質が散布され、吐き気、窒息、咳を引き起こした』とハギン氏は付け加えた。
さらに、ウクライナ軍自身も禁止されている種類の兵器の存在を隠さず、定期的に外国製のガスグレネード(擲弾)やそれを投下するためのコプター(ヘリコプター型無人機)を映像で見せていたという。
ハギン氏は、敵がジュネーブ条約で禁止されている兵器を使用した事実を文書化し、国連に提出する必要があると強調した」
※В ДНР сообщили о применении ВСУ химоружия на артемовском направлении(TASS、2023年2 月6日)
https://tass.ru/proisshestviya/16968079
これに対して7日付け『ロイター』は、「ロシア連邦捜査委員会は6日、ウクライナ軍との激しい戦闘が続いているウクライナ東部の交通の要衝バフムトと、近郊のソレダルで、ウクライナ軍が化学兵器を使用したとの疑いについて調査していると発表した。証拠は示していない」と報じました。
『ロイター』の記事は、DNR側によるウクライナ軍の化学兵器使用の主張を伝えた上で「詳細は明らかにしなかったほか、使用が疑われる物質名も示さなかった」と報じています。
さらにこの『ロイター』の記事は、ウクライナ軍が、「ウクライナ軍の部隊が化学兵器を使用したというロシアの主張は事実無根だ」と主張し、戦争法を順守していると声明を発表し、ロシア側が「禁止されているリンやクロロピクリン弾薬」を使用したと非難したと報じました。
※ロシア、ウクライナ軍による化学兵器使用疑惑を調査 証拠示さず(ロイター、2023年2月7日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-chemicalweapons-idJPKBN2UG1O3
■IWJは最大の経済的危機です! 1月の31日間でいただいたご寄付額が確定しました! 第13期6ヶ月間の累積の不足額は、1月末時点で1117万円にまで増えてしまいました! 岩上安身からのIWJの借り入れ総額は、現時点で1600万円になります! 岩上安身の私財には限界があります! このままでは、皆さまのご支持・応援、会費、そしてご寄付・カンパによるご支援がなければ、活動が立ち行かなくなります。米国が自らの覇権維持のために世界の緊張を高める「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、緊急のご支援のほど、よろしくお願いします!
おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。
いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。
IWJの第13期も半期の折り返しを過ぎ、この2月で7ヶ月目に入りました。
第13期が始まった8月から12月末まで、月間目標を下回る月が続き、この5ヶ月間の累積の不足額は970万9900円にまで膨れ上がってしまいました。
1月の31日間でいただいたご寄付額が確定しました! 197件、243万8900円です。これは、単独月間目標額390万円の63%に相当し、146万1100円の不足となっています。
第13期6ヶ月の累積の不足額は、現時点で1117万1000円と、1000万円を超えてしまいました!
2月1日から6日までの6日間でいただいたご寄付は、21件、31万9000円です。これは、単独月間目標額390万円の8%に相当します。
厳しい経済状況の中、IWJにご寄付をお寄せいただき、誠にありがとうございます。
しかしながら、IWJの内部留保も底を尽き、12月は、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、500万円をIWJにつなぎ融資することでしのぎました。そして、今年に入り、1月も私が、さらに500万円をIWJにつなぎ融資することを決めました。
私がこれまでにIWJに貸し付けてまだ未返済の残高は約600万円。この2ヶ月間のつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。
加えて今年に入って年頭からスタッフの中にコロナ感染者が出て、1月末まで6人の感染者を出しており、予定されていたインタビューを2件延期せざるをえなくなりました。また、新たなインタビューの予定も入れることもできなくなり、1月はインタビューが1本もない月となってしまいました。岩上安身によるインタビューにご期待いただいていた会員や応援・支援くださっているIWJファンの皆さまには、大変申し訳なく思っています。
幸い、1月27日を最後に、体調を崩す者や、検査で陽性になった者も出ていないため、社内での感染の拡がりはストップしたものと思われます。2月からは巻き直す勢いでインタビューを入れていきたいと存じます。
皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。
しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。
2023年「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。
今、日本は、戦後最大級の危機に見舞われています。
岸田文雄総理は、昨年末閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて岸田総理は鼻高々でした。
しかし国会での議論と承認がなされなくても、閣議決定し、米国からの承認があれば軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。
バイデン大統領は、「これほど日米関係が緊密になった時はなかった」などと全面的に支持を表明、岸田総理は「トマホーク」の購入まで約束してしまいました。
たしかに、これほど緊密に自衛隊が米軍の支配下に組み込まれたことはなく、日本が米国の対中「代理戦争」のコマとして米国の戦略に組み込まれたことはかつてなかったことでしょう。日本国民として、決して喜ぶべきことではありません。
中国メディア『環球時報』は15日、「日本が米国の戦略方針に従えば『アジアのウクライナ』になる危険性がある」とする論説を出しました。
これは脅しとして、聞き流すべきではありません。ロシアとウクライナの紛争は、実のところ米露戦争の「代理戦争」であるように、東アジアで起こる米中の戦いは、台湾や日本を戦場とする「代理戦争」となり、日本の国土は、焦土となって、陸続きのウクライナと違って国民は難民にもなれず、石油も手に入らず、燃料もなく、兵器も動かせず、食糧もなくなって、国民の大多数が餓死せざるをえなくなります。
「地域を見渡せば、米国の戦略を忠実に踏襲し、地域情勢を危機の淵に追いやっているのは日本である。東京の動きには、大いに警戒に値する。もし、日本がアジア太平洋地域で米国の手先となり、ここで問題を巻き起こし続けるのであれば、日本自身が米国の犠牲になるか、あるいは東アジアのウクライナになることを覚悟しなければならない」(環球時報、15日)
『環球時報』は、「改定版安保3文書」の内容が中国に対していかに敵対的であるかを述べ、7月に中国外交部の趙立堅報道官(当時)が述べた言葉を引用しています。
「日本が本当に平和で安定した東アジアを望むのであれば、軍国主義の侵略の歴史を真剣に反省し、そこから教訓を引き出すべきであり、問題をあおったり炎をあおったりしてはならない」
※Japan risks turning itself into ‘Ukraine of Asia’ if it follows US’ strategic line(Global Times、2023年1月15日)
https://www.globaltimes.cn/page/202301/1283843.shtml
残念ながら、今の日本は、趙報道官の言葉とはまったく逆の方向へ、つまり、「東アジアのウクライナ」への道をまっしぐらに突き進んでいます。
日本がこのまま米国追従を続け、米国の一極覇権を支えるのか。独立した主権国として中立を確立し、地域の勢力均衡をめざす多極的な外交姿勢をめざすのか。日本がどの道を進むかで、米中覇権争いの捨てゴマにされるかどうか、決まってしまいます。
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預金種目 普通
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店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル
ゆうちょ銀行
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店番 008
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※ご寄付・カンパのお願い
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どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!
岩上安身
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◆中継番組表◆
**2023.2.8 Wed.**
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。
【IWJ_YouTube Live】13:30~「『#軍拡より生活!~未来の子どもたちのために平和を!』軍事費増大の方針撤回と生活者の目線にたった政策を求めるオンライン署名6.2万筆の署名簿提出と記者会見」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured
「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」主催の署名簿提出と記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた安保3文書関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%ae%89%e4%bf%9d3%e6%96%87%e6%9b%b8
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◆中継番組表◆
**2023.2.9 Thu.**
調整中
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◆昨日アップした記事はこちらです◆
石田淳・東京大学大学院教授「『抑止』とは『反撃の威嚇』。『安全保障のジレンマ』となり、結局安全を確保することはできない」~2.5 立憲デモクラシー講座V 第1回 緊急企画「戦後」の現在 ―安保関連3文書を読む
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513911
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■<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争は米国ランド研究所の青写真通り!? ランド研究所の衝撃的な報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』の翻訳・検証シリーズ開始!(その3の後編)「第3章経済的手段」の「手段2 天然ガス輸出の抑制とパイプライン拡張の阻害」の全文仮訳(グラフ除く)!
ランド研究所が2019年にまとめた報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』(以下「ランド報告書」)は、米国の対ロシア戦略を見る上で、予言的な報告書です。
Extendの他動詞は、範囲・領土を「拡張する」、勢力を「伸ばす、広げる」という意味が一般的です。しかし、ここでは「extend」が持つ、相手に「全力を出させる」という意味を用いることにします。相手に「全力を出させる」ことから、文字通りロシアの軍事費の支出を増やし、国力を「疲弊させる」、経済的に「力を使い果たさせる」、という意味で仮訳します。
現在進行中のウクライナ紛争での米国の行動は、まるでランド研究所の描いた青写真通りに、対ロシア戦略を実行に移しているように見えます。
IWJは、ランド研究所の報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』で提示された対ロシア戦略と、現実の米国政府の行動を突き合わせて、この青写真を米国が実行に移した結果、どうなったのか、あるいは、米国は、この青写真を本当に実行できたのかどうかを、検証していきます。
2022年の12月10日に掲載した第1回では、このランド報告書が、その目的を「本報告書は、何らかの次元でロシアとの対決は不可避であるとの認識のもと、米国が優位に立ちうる領域を明確化することを目指すものである。ここで検討されるのは、ロシアの国内外における軍事的地位、経済的地位、現体制の政治的地位に圧力をかけるための方策であり、同国が現在抱えている諸々の弱点や不安を利用するかたちで取りうる非暴力的手段のレパートリーである」としている点をご紹介しました。
そして、その手段としてランド報告書が提示したのが、「経済的手段」、「地政学的手段」、「イデオロギー的手段と情報手段」、「空と宇宙における手段」、「海における手段」、「陸と多領域における手段」の6つでした。
これらに対するIWJの分析は、以下から御覧になれます。
※<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? 米国ランド研究所の衝撃的な報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』の翻訳・検証シリーズ開始!(その1)サマリー(概要)の抜粋の仮訳!(日刊IWJガイド、2022年12月10日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51634#idx-4
また、日刊IWJガイド2022年8月22日号では、ランド報告書をウクライナにおける「代理戦争」実現のシナリオとして分析しつつ、第4章「地政学的手段」に言及しています。
この第4章では、欧州に近いロシアの西部だけでなく、ロシア南部のコーカサス、中央アジア、そして西に飛んでモルドバまで、同時進行で影響を与えることやシリアの反体制勢力を強化して、アサド政権を揺さぶろうとまで計画されているのです。
詳しくは、ぜひ、日刊IWJガイド2022年8月22日号を御覧ください。
※米国の最も有力な軍事シンクタンクであるランド研究所による2019年のレポート『ロシアの拡張―有利な立場からの競争』には、現在進行中のウクライナ紛争の、米国の戦略シナリオが掲載されていた!? IWJは、全300ページに及ぶ報告書の抜粋仮訳を進めています!(日刊IWJガイド、2022年8月22日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51210#idx-3
第2回は、「経済的手段」の「手段1 石油輸出を妨げる」を、グラフを除き全文仮訳してご紹介し、現実の石油価格の動向と対照させて分析しました。
12月5日の石油価格の上限設定時点でのIWJの分析は、米国も欧州も、石油価格は、米国一国のタイトオイル(シェールオイル)生産の増加分だけでは、石油価格を下げることができず、しかも、サウジアラビアの増産の協力も取り付けることができずに、指標原油の高騰を招いている、というものでした。
第2回の検証レポートは以下のURLから御覧になれます。
※<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? 米国ランド研究所の衝撃的な報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』の翻訳・検証シリーズ開始!(その2)「第3章経済的手段」の「手段1 石油輸出を妨げる」の全文仮訳(グラフ除く)!(日刊IWJガイド、2022年12月18日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51667#idx-2
第3章「経済的手段」では、ロシアの力を使い果たさせる経済的手段について言及しています。
ランド報告書は、提示したすべての手段の中で、米国のエネルギー生産の拡大とロシアへの貿易・金融制裁といった経済的手段が、ロシア経済、政府予算、国防支出を圧迫する可能性が最も高いと断言しています。
実際、バイデン政権は、まさに、このランド報告書の提言通りに、ロシアに対して厳しい貿易・金融制裁を課して、その一方で自国のエネルギー生産の拡大と欧州市場におけるロシアのシェアを奪い取りました。
日刊IWJガイド12月9日号でもお伝えしましたが、ウクライナ紛争が進行するにつれ、ロシア産石油の禁輸、ロシア産天然ガスの禁輸、SWIFTからの排除といった過酷な経済制裁が行われ、「ノルドストリーム1、2」は停止し、さらにはとどめとばかりに、爆破工作まで行われました。まさに、米国の大戦略の「シナリオ」通りにロシアを弱体化するプロセスが進められています。
※<本日の岩上安身によるインタビュー>本日午後6時半より、「米国主導の対露制裁がもたらした大矛盾! ロシアへの制裁に参加した国々がエネルギー資源高騰で苦しむ一方で逆に制裁不参加の国々が潤っている!!」と題しまして、岩上安身によるJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)原田大輔氏へのインタビューを、冒頭のみフルオープンで生配信します!(日刊IWJガイド、2022年12月9日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51631#idx-1
ランド報告書の第3章は「経済的手段」と題され、具体的にロシアに対して4つの対策が掲げられています。
第1にロシア産の石油の輸出を妨げる、第2に天然ガス輸出の抑制とパイプライン拡張の阻害、第3にロシアに対して制裁を加える、第4にロシアの頭脳流出を強化する、です。
第3回(前編)は、報告書の第3章「経済的手段」の「手段2 天然ガス輸出の抑制とパイプライン拡張の阻害」を、グラフを除き全文仮訳してご紹介しました。
第3回(前編)の検証レポートは以下のURLから御覧になれます。
※はじめに~<検証! ランド研究所報告書>ウクライナ紛争はランド研究所の青写真通り!? 米国ランド研究所の衝撃的な報告書『ロシアの力を使い果たさせる―有利な立場からの競争(Extending Russia -Competing from Advantageous Ground)』の翻訳・検証シリーズ開始!(その3の前編)「第3章経済的手段」の「手段2 天然ガス輸出の抑制とパイプライン拡張の阻害」の全文仮訳(グラフ除く)!(日刊IWJガイド、2023年1月25日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51798#idx-1
第4回の今回は、報告書の第3章「経済的手段」の「手段2 天然ガス輸出の抑制とパイプライン拡張の阻害」の後編となります。
※Extending Russia -Competing from Advantageous Ground(RAND Corporation、2019)
https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR3063.html
(第3回の続き)
「期待される効果
ロシアを経済的に疲弊させるという点では、ロシアのガスに代わる供給源を作ることの主なメリットは、ロシアの輸出収入が減少することである。ロシア連邦の予算は、国防費の削減が計画されていることもあり、既に圧迫されており、ガス収入の減少は、さらに予算を圧迫することになる。
さらに、ロシアが地政学的な理由でガスを遮断するという脅しや、実際に遮断されたとしても、EU内やEUのパートナーである国、あるいはウクライナのように、パートナーになろうと努力している国の国民に与える影響ははるかに小さくなるだろう。
欧州にとって、エネルギーセキュリティが高まるだけでなく、欧州の個々の市民やその企業が直面する脅威のレベルも低下するだろう。
リスク
ガス供給関係の変更には、3つの重要なリスクがある。
第一に、欧州へのガス供給の信頼性を低下させる可能性がある。ノルドストリーム2の建設の是非をめぐる争いは、これを如実に示している。欧米の一部には、ロシアの侵略の犠牲となったウクライナ経由でロシアがガスを輸送し続けることで、ウクライナが年間20億ドルの輸送料を得ることができるようにすべきだという意見がある。
しかし、ウクライナのガス抜き取りやロシアとの定期的なガス価格紛争により、このルートはロシアとヨーロッパの顧客双方にとって信頼性が低くなっているという意見もある(※IWJ注)。さらに、米国の政策では、世界のエネルギー市場の競争力と弾力性を高めるために、供給源と輸出ルートを増やすことが長い間支持されてきた。
※IWJ注:1991年のウクライナ独立以来、ウクライナ領を通過する天然ガスのパイプラインは、ウクライナがガス代の支払いを滞らせたり、組織的にガスを抜き取り転売する「泥棒」に悩まされたりと、常にロシアとウクライナの間でトラブルが絶えない状態にあった。「ノルドストリーム1、2」は、ドイツとロシアを連結し、ウクライナを通過しない「ウクライナ外し」のパイプラインである。
※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプラインノルドストリームの阻止!! その3」~2004年オレンジ革命から2006年のウクライナへのガス供給停止事件へ、本村真澄氏「ロシアはエネルギーに関して『政治』から離れて『経済』に専念した」(日刊IWJガイド、2023年2月4日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51839#idx-6
第二に、代替ガスの供給は、インフラコストとガス価格の両面でより高価になる可能性が高い。政府がインフラ整備に補助金を出せば、他の支出を減らすか増税をしなければならず、いずれも景気の足を引っ張る可能性がある。ガス価格の上昇は、欧州の人々が他の商品やサービスを購入する能力を低下させ、これもまた経済の足かせとなる。
第三に、ロシアのエネルギーや物資の輸出を制限することの弊害の一つは、ロシアの西側市場への依存が、制限の範囲内で、抑止力の要素になるということである――この(ロシアの西側市場への)アクセスは、紛争の緊張がエスカレートした場合、遮断されるだろう。
平時にロシアの西側市場へのアクセスを遮断すれば、紛争によってさらに遮断される規模は小さくなり、その結果、そうした脅威の抑止効果も小さくなる。このことから言えるのは、西側がロシアからの購入量を減らすのではなく、むしろその増加を抑制するべきだということである。
1980年代の東欧諸国に対する西側の融資も同じような状況である。これらの国々の経済状況の悪化と、西側の融資によって東欧諸国が得た利益を、西側の一部の人々は、この地域の将来の開発に対するレバレッジ(梃子)だと考えている(注62)。
(注62) Keith Crane, The Creditworthiness of Eastern Europe in the 1980s, Santa Monica, Calif.:
RAND Corporation, R-3201-USDP, 1984; Central Intelligence Agency (CIA), Directorate of Intelligence, The Soviet Bloc Financial Problem as a Source of Western Influence, National
Intelligence Council Memorandum 82―10004, 1982, approved for release through the Historical Review Program of the Central Intelligence Agency, February 25, 1994」
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■英サッカーFAカップ第4ラウンドでリヴァプールを下したブライトン三笘薫選手(25)の驚異的なゴールが、FAカップ公式ツイッターの投票の1位に! 三笘選手はリーグ戦でも今季5点目をあげ、第22節ベスト11にも選出の大活躍!! ツイッターでトレンド世界一を記録! 日本サッカー史上、最上級のケタ違いのスター誕生か!?
昨年行われたサッカーのカタールワールドカップ。強豪ドイツ、スペインを撃破した試合で、いずれの試合も長友選手との交代で、後半途中出場ながら、攻撃の主役を演じ、一躍世界の注目を集めたのが、ミッドフィールダー、フォワードの三笘薫選手でした。スペイン戦での幼いころからの同級生、田中蒼選手の逆転ゴールをゴールラインぎりぎり割るかどうかでアシストした「三笘の1ミリ」も有名です。
三笘薫選手は、川崎市出身で、Jリーグの強豪川崎フロンターレの下部組織川崎フロンターレジュニアチーム出身で、高校卒業時にそのまま川崎フロンターレにあがることもできたのですが、「まだ自信がない」との理由から、国立の筑波大学に進学しました。
サッカー部に在籍し経験を積み、筑波大学在籍中に川崎フロンターレから特別指定選手として呼び戻され、J1選手として活躍し、卒業後2シーズン、川崎フロンターレに所属し、海外(欧州・ベルギー)へと渡りました。三笘薫選手は、大学生時代に、プロチームとの試合があり、活躍できたことが「自信になった」と、当時を振り返り述懐しています。
現在、英プレミアリーグのブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCに所属する三笘選手は、W杯後のリーグ戦で大活躍を続けています。
1月29日に行われた英FAカップ第4ラウンドのリヴァプール戦では、三笘選手があげた決勝ゴールが、「芸術的」「衝撃的」と評され、FAカップ公式ツイッターの投票で、全9544票のうち49.6%を集めて「ゴール・オブ・ザ・4thラウンド」の第1位に選ばれました。
ファーサイドで左からのクロスを右足のトラップで空中で浮かせ、相手ディフェンスをボレーシュートを打つというフェイントでかわし、一度も空中から地面に落とさないまま、右足アウトサイドでゴールを決めるという、この三苫選手の華麗な「ダブルタッチ」と呼ばれるプレーは、サッカーファンでなくても、思わず何度も繰り返し見てしまいます。歴史に残るプレーかもしれません。
ゴールの瞬間は、このFAカップ公式ツイッターで見ることができます。
※Emirates FA Cupの公式ツイート(2023年2月2日)
https://twitter.com/EmiratesFACup/status/1621117706216046594
1月30日付け『スポニチ』は、「各国を席巻した『Mitoma』が(ツイッターの)世界トレンド1位を獲得した」と報じました。
※ブライトン・三笘のスーパーゴールに話題沸騰!「Mitoma」世界トレンド一位に まるで漫画みたい?(スポニチアネックス、2023年1月30日)
https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2023/01/30/kiji/20230130s00002021202000c.html
また、三苫選手はリーグ戦でも、2月4日の第22節ボーンマス戦で、今季15試合で5点目となる決勝ゴールを決めました。この三苫選手の決勝ゴールにより、ブライトンはリーグ6位に浮上しました。
英『BBC SPORT』は5日、サッカー評論家のガース・クルック氏が選ぶ「今週のチーム」(ベスト11)に、三苫選手が選ばれたことを報じました。
この『BBC SPORT』の記事の中でクルック氏は、三苫選手を次のように評しています。
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https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php
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■<IWJ取材報告>「同性婚に賛成か反対か?」記者の質問に対し西村大臣は答えることなく、「丁寧に議論を進めていくことが大事だ」~2.7西村康稔経済産業大臣定例記者会見
2月7日午前9時40分頃より、東京都千代田区の経済産業省にて、西村康稔経済産業大臣の定例記者会見が開催されました。
質疑応答にて、IWJ記者は残念ながら指名されませんでしたが、NHK記者より、次のような質問がありました。
「先日、LGBTQに対する発言を受けて、荒井(勝喜)元総理大臣秘書官が更迭されました。これに対する受けとめと荒井氏の今後の処遇について、おうかがいできればと思います」
これに対し、西村大臣は「岸田政権で、『多様性を尊重し、包摂的な社会を実現する』という大きな方針の中で、総理秘書官という立場でありながら、まさに、言語道断の発言であるというふうに思います」とした上で、次のように述べました。
「(荒井氏に)猛省をするようにと私の方から伝えたところであります。(中略)
当面は大臣官房付でありまして、後任の秘書官の引き継ぎのサポート、これに徹してもらうということにしております」
続いて、テレビ朝日記者から次のような質問がありました。
「同性婚の合法化について、岸田総理が、『すべての国民にとって、家族観や価値観、社会が変わってしまう』というふうに国会で述べられましたが、この総理の答弁について、どのように大臣は受けとめていらっしゃいますでしょうか? その上で、同性婚の法制化について、賛成か反対か、いかがでしょうか?」
この質問に対し、西村大臣は「私は、丁寧に議論を進めていくことが大事だというふうに思っております」とし、賛否については明言を避けました。
会見冒頭、西村大臣は、「中小企業の賃上げ原資の確保に重要な、価格転嫁対策の新たな取り組みとして、昨年12月に公表した9月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査の結果を受け、交渉と転嫁の状況が芳しくなかった約30社の親業者に対し、今月、指導助言を実施する」と明らかにしました。
さらに西村大臣は、発注側企業150社について、交渉、転嫁の状況のリストを、6日に実名で発表すると表明しました。
※価格交渉促進月間(2022年9月)のフォローアップ調査の結果を公表します(経済産業省、2022年12月3日)
https://www.meti.go.jp/press/2022/12/20221223005/20221223005.html
西村大臣は、「多くの企業、大企業は、賃上げに向けて非常に前向きな取り組みが公表されるなど、進みつつあると思います。けれども、鍵は中小企業でありますので。雇用の7割は中小企業ですから」と述べ、「中小企業の賃上げを全力で後押ししていきたい」と述べました。
詳細については、ぜひ全編動画を御覧ください。
※「同性婚に賛成か反対か?」記者の質問に西村大臣は「丁寧に議論を進めていくことが大事だ」と答えず~2.7西村康稔経済産業大臣定例記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513970
■IWJスタッフが複数名、新型コロナウイルスに感染したという日刊IWJガイドでの報告に対し、会員の皆さまからあたたかい応援の言葉、励ましのお言葉をいただき、本当にありがとうございました! IWJはコロナワクチン問題にも取り組んでいきます!(前編)
IWJスタッフが複数名、新型コロナウイルスに感染したことを、日刊IWJガイド1月20日号でご報告いたしました。この報告に対し、会員の皆さまからあたたかい応援の言葉、励ましのお言葉をいただき、本当にありがとうございました。
ようやく自宅療養中のスタッフが2人にまで減り、それぞれ日刊に、動画取材にと動き始めました。自宅療養中の2名も、幸い軽症で、もう数日で復帰する予定です。
岩上安身によるインタビューも再開します。詳細は日刊IWJガイドなどでお知らせしていきますので、ぜひ御覧ください。
※<岩上安身によるインタビュー延期のお知らせ>PCR検査の結果、IWJのスタッフが複数名、陽性に! ~(日刊IWJガイド2023年1月20日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51784#idx-1
いただいた応援のなかに、ウクライナ問題などでIWJは、大変良心的で勉強になる報道をしてきたと評価しているけれども、コロナ関連では、コロナワクチンの問題については、報じ方が甘かったのではないか、というご意見を、一部からいただきました。ワクチンの副反応や後遺症だけでなく、「ワクチン詐欺」という疑惑についても正面から取り組んでほしいというご要望もいただきました。
IWJは、ワクチンの副反応報道などに無関心でいたわけではありません。コロナワクチン接種が要因ではないかとされる死亡例への対処などについて、これまで繰り返し、大臣会見などで厚生労働大臣に質問をかさねるなどの取材をしてきました。主な記事のリンクを、末尾につけますので、どうぞ御覧ください。
しかしIWJとしては、ワクチンの副反応等の問題を、故意の「ワクチン詐欺」と断定的に決めつける視点から、取材や記事を行ってはきませんでした。それは、ワクチンの効果と副反応の評価が非常に難しいと考えているからです。ワクチンや薬は効果があれば、副反応や副作用を伴うのが一般的です。ワクチン接種による副反応が出れば、「副反応があった」と考えることができます。しかし、一方で、ワクチン接種によって、コロナ感染から守られた人の数、重症化や死亡を回避できた人の数を知ることはできません。
新型コロナウイルス・ワクチンの開発が急いで行われ、通常であれば踏まなければならない治験プロセスを飛ばし、ワクチンメーカーと各国の契約も非公開ながら、副反応の補償はワクチンメーカーではなく、各国政府が行うなど、メーカーに有利な条件が盛り込まれているという批判もありました。
新型コロナワクチンは、政府が半ば強制的にワクチン接種を国民に行う以上、副反応被害に対する補償は丁寧にすべきであり、現在の政府の対応はまったく不十分であると思います。その点についても、IWJは厚生労働大臣会見などで、批判的な質問もしてきました。
2020年3月11日、世界保健機関(WHO)、新型コロナウイルス・パンデミックを宣言してからもうすぐ3年になります。2021年には、新型コロナウイルス・ワクチンの接種が世界で始まり、日本も欧米諸国に数ヶ月遅れて、高齢者や医療従事者へのワクチン接種が始まりました。
ワクチン接種が進むと同時に、日本で超過死亡数が急速に増えているという指摘があり、ワクチンに対する不安が広がりました。
「新型コロナウイルス感染症等の感染症サーベイランス体制の抜本的拡充に向けた人材育成と感染症疫学的手法の開発研究」によると、2020年1月から7月までは、死亡数は、予測閾値下限を下回っており、過少死亡の状況が続きていました。しかし、年8月ごろから死亡数が増え予測死亡数並みとなり、12月には予測閾値上限ぎりぎりの状態が続きました。
※日本の超過および過少死亡数ダッシュボード(新型コロナウイルス感染症等の感染症サーベイランス体制の抜本的拡充に向けた人材育成と感染症疫学的手法の開発研究、2023年1月26日閲覧)
https://exdeaths-japan.org/graph/weekly
2021年1月から3月の間は予測死亡数並みでしたが、4月から10月の間、予測閾値上限を上回る超過死亡状態が半年にわたって続きました。
例えば5月2日の週は、予測閾値下限が2万4370人、予測死亡数2万5583人、予測閾値上限2万6823人に対して、観測死亡数は2万8087人でした。予測閾値上限を1264人超え、予測死亡数よりも2054人多くの方が亡くなっています。超過死亡率は、4.7%から9.8%でした。
日本では、2021年2月から第1回目のワクチン接種が始まり、3月から急速にワクチン接種数が増え、6月から10月にかけて、1日あたり100万回接種を超え、最大で169万回接種(7月11日、7日間移動平均)を行いました。超過死亡が観測された時期と一致しています。
2021年11月から2022年1月までの3ヶ月間は、死亡者数は予測閾値内に収まっていましたが、2022年2月に入って死亡数が急増し、4月まで超過死亡状態が続きました。
2月27日の週に超過死亡数は、最大となりました。予測閾値下限が2万7777人、予測死亡数2万9313人、予測閾値上限3万0886人に対して、観測死亡数は3万5117人でした。予測閾値上限を4231人超え、予測死亡数よりも5804人多くの方が亡くなっています。超過死亡率は、13.7%から19.8%でした。
日本では第2回目のワクチン接種が2022年1月に始まり、2月から4月にかけて1日あたり50万回接種を超え、3月5日に100万回接種でピークを打ち、6月には1日20万回まで減少しました。第2回目のワクチン接種が多かった時期と超過死亡者数が増えた時期も一致しています。
4月中旬から7月にかけて死亡数は予測閾値内に戻りますが、この時期はワクチン接種の谷間にあたり、1日あたりの接種回数は12万回から40万回ほどです。
8月ごろから、超過死亡数が急増します。最大となったのは9月4日の週、予測閾値下限が2万4671人、予測死亡数2万6252人、予測閾値上限2万7876人に対して、観測死亡数は3万1158人でした。予測閾値上限を3282人超え、予測死亡数よりも4906人多くの方が亡くなっています。超過死亡率は、11.8%から18.7%でした。
7月には第3回目となるブースター接種が始まりました。接種回数が最大となったのは7月31日の60万人です。7月下旬から8月にかけて1日あたり50万回以上の接種が行われています。
このように、ワクチン接種時期と超過死亡が増加した時期がよく一致しているため、ワクチン接種による副反応で超過死亡が増加したのではないか、とする仮説を支持する人々が出ました。
※Daily COVID-19 vaccine doses administered(Our World in Data、2023年1月26日閲覧)
https://ourworldindata.org/covid-vaccinations
一方で、超過死亡が増加する時期は、コロナ感染拡大時期ともよく一致しています。
・第1波(2020年3月~4月)、1日あたり感染者数の最大は、4月17日:572人
・第2波(2020年7月~8月)、1日あたり感染者数の最大は、8月7日:1597人
・第3波(2020年11月~2021年1月)、1日あたり感染者数の最大は、1月16日:7028人
・第4波(2021年4月~6月)、1日あたり感染者数の最大は、5月12日:7059人
・第5波(2021年7月~9月)、1日あたり感染者数の最大は、8月20日:2万5975人
・第6波(2022年1月~3月)、1日あたり感染者数の最大は、2月1日:10万4520人
・第7波(2022年7月~9月)、1日あたり感染者数の最大は、8月19日:26万1004人
・第8波(2022年12月~)、1日あたり感染者数の最大は、1月6日:24万6600人(1月26日現在まで)
※日本国内の感染者数<全期間俯瞰>(NHK、2023年1月26日閲覧)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/
第3波の間、2020年12月20日の週から観測死亡数が予測死亡数を超え、予測閾値上限と同水準まで増えます。1月17日の週に初めて予測閾値上限を超え、その後は再び予測死亡数に戻ります。
第4波を迎えた、4月18日の週に、観測死亡数が予測閾値上限を超え、途中2週間、予測閾値上限まで下がりますが、6月13日の週まで超過死亡の状態が続いています。
第5波を迎えた、7月25日の週に、観測死亡数が予測閾値上限を超え、途中2週間、予測閾値上限まで下がりますが、9月26日の週まで超過死亡の状態が続いています。
第6波の間、2月6日の週に、観測死亡数が予測閾値上限を超え、途中1週間、予測閾値上限まで下がりますが、4月10日の週まで超過死亡の状態が続いています。
第7波の間、7月3日の週に、観測死亡数が予測閾値上限を超え、途中3週間、予測閾値上限から予測死亡数まで下がりますが、統計のある9月25日まで超過死亡状態が続いています。
つまり、超過死亡数の増加は、コロナワクチンの接種時期だけではなく、コロナの感染拡大期にもよく一致しています。超過死亡の問題は深刻な問題ですが、ワクチンだけを「標的」にしてコロナ感染やその副反応などがあいまって引き起こされている可能性も考えられます。
しかし、「日本の超過および過少死亡数ダッシュボード」による、死因別の超過死亡数・過少死亡数を見ると、新型コロナウイルス以外の死亡も、全体の超過死亡数・過少死亡数とよく似た動向を示しています。つまり、コロナの感染拡大が超過死亡を押し上げた最も有力な要因かどうか、という判断も難しいところです、
死因の中で超過死亡が顕著なのは、老衰です。
2020年10月下旬から2021年1月、2021年4月から11月初旬、2022年1月から4月にかけて、超過死亡状態となっており、2022年2月27日の週には、予測死亡数3238人、予測閾値上限3413人に対して、観測死亡数は3874人でした。
超過死亡数は461人から636人、超過死亡率は13.5%から19.6%となっており、同時期の超過死亡を押し上げている可能性があります。
老衰の超過死亡が増加している要因として、コロナ・パンデミックにより、自宅などで引きこもり生活を送る高齢者の身体が弱っているからではないか、とする仮説もあります。
超過死亡数の増減が、ワクチン接種時期とよく一致することだけを根拠として、ワクチンの副反応疑惑の問題は別途、論じなくてはならないにせよ、ワクチンはもともと危険性しかない「詐欺」的で犯罪的な薬剤である、と決めつけてしまうことは、現段階としては難しいと考えるべきかと思います。
「反ワクチン」派の中には、このような我々の、暫定的な見解をも、「生ぬるい」とし、揶揄する、強硬姿勢を示す方もいることでしょうが、現状、我々は根拠もなく、その急進的な「反ワクチン派」の見解すべてに賛同することはできません。
一方で、日刊IWJガイド1月22日号でお示ししたように、現在、世界で最大の新規感染者数を確認している日本(83.3%)や韓国(85.8%)、台湾(86.3%)などでのワクチン接種率は、世界で見ると決して低くはありません。
※はじめに~1日あたりコロナ死亡者の3人に1人は日本! ~(日刊IWJガイド2023年1月22日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51789#idx-1
世界的に見て、これまでに世界で最も多くの累計感染者数を記録している米国は、規定回数のワクチン接種率は69.1%ですが、感染の波も穏やかになり、1日あたりの新規感染者数は、90万人を記録した2022年1月に比べると、2万人から3万人と大きく低減しています。
累計感染者数2位のインドは、規定回数のワクチン接種率は67.1%ですが、新規感染者数はもはや報告されていません。
累計感染者数3位のフランスは、規定回数のワクチン接種率は78.4%で、新規感染者数はまだ増減の波が見られるものの、最大を記録した2022年の1月に比べれば、8分の1から9分の1になっています。
累計感染者数4位のドイツは、規定回数のワクチン接種率は76.2%で、新規感染者数はまだ増減の波が見られるものの、最大を記録した2022年の3月に比べれば、6分の1から7分の1になっています。
累計感染者数5位のブラジルも、規定回数のワクチン接種率は81.5%で、新規感染者数はまだ増減の波が見られるものの、最大時の5分の1以下に低減しています。
このような統計を見ると、ワクチン接種率が高ければ、感染拡大を防げるというわけではないこともわかります。
日刊IWJガイド1月22日号でご紹介した大阪公立大学大学院・城戸康年教授は、「ワクチンは3回接種していれば十分、4回目以降はあきらかなメリットはわからない」と発言されています。もう少し時間が必要かもしれませんが、コロナワクチンの効果をどう評価するかという議論も成熟していくと思われます。
※Coronavirus (COVID-19) Vaccinations(Our World in Data、2023年1月26日閲覧)
https://ourworldindata.org/covid-vaccinations
※COVID-19 CORONAVIRUS PANDEMIC(worldometer、2023年1月26日閲覧)
https://www.worldometers.info/coronavirus/
それでは、本日も1日、よろしくお願いします。
※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230208
IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、浜本信貴、六反田千恵、前田啓、中村尚貴)
IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
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