日刊IWJガイド・非会員版「ウクライナの著名作家がロシアにシンパシーを感じているウクライナ人に『赤い星』を付けるよう提言!まるでナチス!」2023.2.9号~No.3801号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~ウクライナの著名児童文学作家がロシアにシンパシーを感じているウクライナ人に「赤い星」を衣服に縫い付けるよう提言! やることがまるでナチス! ウクライナのロシア人は「21世紀のユダヤ人」! ウクライナ国家を挙げてロシア語話者に対する「民族浄化」が進行中! これでも世界は黙って見過ごすのか!?

■IWJは最大の経済的危機です! 1月の31日間でいただいたご寄付額が確定しました! 第13期6ヶ月間の累積の不足額は、1月末時点で1117万円にまで増えてしまいました! 岩上安身からのIWJの借り入れ総額は、現時点で1600万円になります! 岩上安身の私財には限界があります! このままでは、皆さまのご支持・応援、会費、そしてご寄付・カンパによるご支援がなければ、活動が立ち行かなくなります。米国が自らの覇権維持のために世界の緊張を高める「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、緊急のご支援のほど、よろしくお願いします!

■【中継番組表】

■ナフタリ・ベネット元イスラエル首相が爆弾発言! ウクライナ紛争は「主に米国が主導する戦争」であり、「アメリカ人に、私は言いたいのです。『私はプーチンの耳を持っている。私はパイプになり得る』と」、ゼレンスキーは「『私を助けてくれますか』と電話してきたんです」!(その1)

■連続強盗事件への関与が疑われる2名が8日、フィリピンから強制送還され成田空港へ! 残りの2名も9日中に強制送還! 元国際捜査刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は「大ボス渡辺容疑者の上に黒幕が存在すると考えるのが自然」、「警察は誰がトップかわかっているはず」! 北海道・札幌では「フィリピンに行けば詐欺で稼げる」という話は数年前から広がっていたと、今村容疑者・藤田容疑者の知人が語る!

■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その33)>第二部 蒼ざめた異族「第六章 ロシアの〈他者〉なるチェチェン ―一九九一年十一月―」(part5)
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■はじめに~ウクライナの著名児童文学作家がロシアにシンパシーを感じているウクライナ人に「赤い星」を衣服に縫い付けるよう提言! やることがまるでナチス! ウクライナのロシア人は「21世紀のユダヤ人」! ウクライナ国家を挙げてロシア語話者に対する「民族浄化」が進行中! これでも世界は黙って見過ごすのか!?

 おはようございます。IWJ編集部です。

 ドイツにサーバーを置くニュースサイト、ePrimefeed.comが、2月3日付けで、「ウクライナでは、ドイツ人がユダヤ人に印を付けたように、ロシア人に印を付けることを提案した」という記事を配信しました。

※In the Ukraine, they offered to mark the Russians, as the Germans marked the Jews.(ePrimefeed、2023年2月3日)
https://eprimefeed.com/latest-news/in-the-ukraine-they-offered-to-mark-the-russians-as-the-germans-marked-the-jews/248410/

 この記事を執筆したパック・ヘンリー記者は、「『ウクライナにはユダヤ人の大統領がいるからナチズムはない』という西側の呪文を我々はみな覚えている」と書き出しています。

 そして、次のように、ウクライナにはナチズムが現実に存在することを暴露していくのです。

 「ナチズムとは、もっぱらユダヤ人に対する迫害であり、この国の代表者に対する排他的な弾圧であると信じている欧米の紳士淑女の皆さんは、不思議な人たちである。

 一方、ウクライナのロシア人はとっくに『21世紀のユダヤ人』になっており、第四帝国のウクライナが、第三帝国と唯一異なるのは、ロシア人やロシア側にシンパシーを持つ人たちにとって、境界監視塔と人肉を引き裂く訓練を受けた軍用犬を備えた強制収容所と絶滅産業――ガス室、火葬場など――くらいである」

 ウクライナがナチスと異なるのは、強制収容所と絶滅施設が、今のところ、ないことくらいだというのです。

 ヘンリー記者は、「しかし、ゼレンスキーとそのチームが政権を維持する限り、これは長くは期待できないだろう」と述べ、驚くべき事実を述べ始めるのです。

 「悪名高いガリツィア(ウクライナ南西部)の児童文学者ラリサ・ニツォイ(Larisa Nitsoy)は、ロシアにシンパシーを持つ人すべてに、強制的に自分の服に赤い星を縫い付けて外出するよう提案した。

 これはナチスがユダヤ人に着るように命じた『ダビデの星』とどう違うのだろう!? 線の数が6本でなく5本であること、色も黄色の星でなく赤の星であることが違うだけである。その他の違いについては、なぜかまったく何も見えてこない。

 関連性はあまりに明らかで、ニツォイ自身にもそれがわかるために、自己正当化せざるを得ない」

 女性児童文学者ラリサ・ニツォイが、ロシアにシンパシーを持つ人に、ダビデの星ならぬ「ソ連の赤い星」を衣服に縫い付けて外出させるように提案したというのです。

 ここで、ヘンリー記者が、「悪名高い」という形容詞を、ラリサ・ニツォイ氏に対して付けているのにはわけがあります。

 彼女には、数々の「前科」があるのです。

 ラリサ・ニツォイ氏は、児童文学者ではありますが、ウクライナにおける愛国キャンペーン、裏を返せば、ロシア語話者排斥キャンペーンの中心人物なのです。

 ※ここから先は【中略】とさせていただきます。御覧になりたい場合は、ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して御覧ください! 会員へのご登録はこちらからお願いいたします。

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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 このように、著名「愛国者」を使い、メディアを使い、ウクライナにおいて、ロシア語話者の「ユダヤ人化」とウクライナ国家の「ナチス化」が急速に進んでいます。

 「ウクライナに少数民族は存在しない」という、ロシア語話者の存在自身認めないイリーナ・ファリオン女史の言葉や、ウクライナのロシア人全員をポリグラフにかけて「ロシアに協力しているか」という質問に対し、疑いの徴候があったら、全員、終身刑にせよ、と主張するコンドラチュク将軍の言葉には、戦慄が走ります。

 そして、それにこうしたウクライナの民族浄化に対し、協力しているのが、EU・ウクライナ首脳会議などで「ウクライナの民主主義をロシアの全体主義から守る」キャンペーンを行っている日本政府を含む米欧のNATO諸国政府なのです。彼らは、「民主主義」と「民族浄化」をはき違えているのではないでしょうか!?

■IWJは最大の経済的危機です! 1月の31日間でいただいたご寄付額が確定しました! 第13期6ヶ月間の累積の不足額は、1月末時点で1117万円にまで増えてしまいました! 岩上安身からのIWJの借り入れ総額は、現時点で1600万円になります! 岩上安身の私財には限界があります! このままでは、皆さまのご支持・応援、会費、そしてご寄付・カンパによるご支援がなければ、活動が立ち行かなくなります。米国が自らの覇権維持のために世界の緊張を高める「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、緊急のご支援のほど、よろしくお願いします!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 IWJの第13期も半期の折り返しを過ぎ、この2月で7ヶ月目に入りました。

 第13期が始まった8月から12月末まで、月間目標を下回る月が続き、この5ヶ月間の累積の不足額は970万9900円にまで膨れ上がってしまいました。

 1月の31日間でいただいたご寄付額が確定しました! 197件、243万8900円です。これは、単独月間目標額390万円の63%に相当し、146万1100円の不足となっています。

 第13期6ヶ月の累積の不足額は、現時点で1117万1000円と、1000万円を超えてしまいました!

 2月1日から6日までの6日間でいただいたご寄付は、21件、31万9000円です。これは、単独月間目標額390万円の8%に相当します。

 厳しい経済状況の中、IWJにご寄付をお寄せいただき、誠にありがとうございます。

 しかしながら、IWJの内部留保も底を尽き、12月は、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、500万円をIWJにつなぎ融資することでしのぎました。そして、今年に入り、1月も私が、さらに500万円をIWJにつなぎ融資することを決めました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けてまだ未返済の残高は約600万円。この2ヶ月間のつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 このままではどうにも立ち行きません。インフレと不況による変化が急激すぎて、なかなかオフィスの縮小などの対応が追いつけないのが現実です。

 加えて今年に入って年頭からスタッフの中にコロナ感染者が出て、1月末まで6人の感染者を出しており、予定されていたインタビューを2件延期せざるをえなくなりました。また、新たなインタビューの予定も入れることもできなくなり、1月はインタビューが1本もない月となってしまいました。岩上安身によるインタビューにご期待いただいていた会員や応援・支援くださっているIWJファンの皆さまには、大変申し訳なく思っています。

 幸い、1月27日を最後に、体調を崩す者や、検査で陽性になった者も出ていないため、社内での感染の拡がりはストップしたものと思われます。2月からは巻き直す勢いでインタビューを入れていきたいと存じます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 2023年「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。

 今、日本は、戦後最大級の危機に見舞われています。

 岸田文雄総理は、昨年末閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて岸田総理は鼻高々でした。

 しかし国会での議論と承認がなされなくても、閣議決定し、米国からの承認があれば軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 バイデン大統領は、「これほど日米関係が緊密になった時はなかった」などと全面的に支持を表明、岸田総理は「トマホーク」の購入まで約束してしまいました。

 たしかに、これほど緊密に自衛隊が米軍の支配下に組み込まれたことはなく、日本が米国の対中「代理戦争」のコマとして米国の戦略に組み込まれたことはかつてなかったことでしょう。日本国民として、決して喜ぶべきことではありません。

 中国メディア『環球時報』は15日、「日本が米国の戦略方針に従えば『アジアのウクライナ』になる危険性がある」とする論説を出しました。

 これは脅しとして、聞き流すべきではありません。ロシアとウクライナの紛争は、実のところ米露戦争の「代理戦争」であるように、東アジアで起こる米中の戦いは、台湾や日本を戦場とする「代理戦争」となり、日本の国土は、焦土となって、陸続きのウクライナと違って国民は難民にもなれず、石油も手に入らず、燃料もなく、兵器も動かせず、食糧もなくなって、国民の大多数が餓死せざるをえなくなります。

 「地域を見渡せば、米国の戦略を忠実に踏襲し、地域情勢を危機の淵に追いやっているのは日本である。東京の動きには、大いに警戒に値する。もし、日本がアジア太平洋地域で米国の手先となり、ここで問題を巻き起こし続けるのであれば、日本自身が米国の犠牲になるか、あるいは東アジアのウクライナになることを覚悟しなければならない」(環球時報、15日)

 『環球時報』は、「改定版安保3文書」の内容が中国に対していかに敵対的であるかを述べ、7月に中国外交部の趙立堅報道官(当時)が述べた言葉を引用しています。

 「日本が本当に平和で安定した東アジアを望むのであれば、軍国主義の侵略の歴史を真剣に反省し、そこから教訓を引き出すべきであり、問題をあおったり炎をあおったりしてはならない」

※Japan risks turning itself into ‘Ukraine of Asia’ if it follows US’ strategic line(Global Times、2023年1月15日)
https://www.globaltimes.cn/page/202301/1283843.shtml

 残念ながら、今の日本は、趙報道官の言葉とはまったく逆の方向へ、つまり、「東アジアのウクライナ」への道をまっしぐらに突き進んでいます。

 日本がこのまま米国追従を続け、米国の一極覇権を支えるのか。独立した主権国として中立を確立し、地域の勢力均衡をめざす多極的な外交姿勢をめざすのか。日本がどの道を進むかで、米中覇権争いの捨てゴマにされるかどうか、決まってしまいます。

 皆さまにはぜひ、ご支援いただきたく、IWJの存続のために、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

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支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身

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◆中継番組表◆

**2023.2.9 Thu.**

調整中

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◆中継番組表◆

**2023.2.10 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

3月13日に再審可否が決定される袴田巌さんの無実を訴え、50人を超えるボクシング関係者が東京高裁前に集結!~2.6 袴田巌さんの再審開始・無罪判決を求める、ボクシング関係者を中心とした宣伝・要請アクション
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513933

「同性婚に賛成か反対か?」記者の質問に西村大臣は「丁寧に議論を進めていくことが大事だ」と答えず~2.7西村康稔経済産業大臣定例記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513970

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■ナフタリ・ベネット元イスラエル首相が爆弾発言! ウクライナ紛争は「主に米国が主導する戦争」であり、「アメリカ人に、私は言いたいのです。『私はプーチンの耳を持っている。私はパイプになり得る』と」、ゼレンスキーは「『私を助けてくれますか』と電話してきたんです」!(その1)

 イスラエルのナフタリ・ベネット元首相のYouTubeチャンネルで公開された5時間のインタビューが大きな話題となっています。

 作家でコメディアンのハノク・ダウム氏との対談で、ベネット元首相はインタビューの全文を公開することを条件とし、土曜日の夜(2月4日)、ベネット氏は自身のYouTubeチャンネルに、数時間に及ぶ対談の全文を英語字幕付きで掲載しました。

※ナフタリ・ベネット氏のYouTube
https://www.youtube.com/watch?v=qK9tLDeWBzs

 ベネット氏は、仲裁のため、昨年3月にモスクワへ行き、戦争中のウラジーミル・プーチン大統領に会った数少ない西側指導者の一人です。ウクライナ紛争を「この戦争は主に米国が主導する戦争」であると、明言し、「我々がみなウクライナのために結集する」ことを、米国が「はっきりと期待していた」と言いきっています。非常に重要な証言です。

 この5時間に及ぶロングインタビューでは、ウクライナ紛争についてだけ語っているわけではありませんが、紛争初期の迅速な終結を試みるために行われていた裏方外交と緊急努力に光を当てており、大変興味深いインタビューとなっています。

 IWJは、このロングインタビューの中で、ウクライナ紛争に言及した部分を中心に翻訳を試みました。

 それだけでもかなりの分量になるので、何回かに分けてご紹介します。

 今回は、その1です。

 ベネット元首相「(ウクライナ)戦争が勃発すると、私はすぐに難しい立場になりました。一方で、米国ははっきりと期待していました。この戦争はおもに米国が主導する戦争であり、我々がみなウクライナのために結集するのだと。

 他方、私には、対立する二つの利害があります。一つはシリアにおける我々の通常の活動です。それは週に1回か2回、シリアのイラン軍を攻撃するという活動です。

 超大国のロシアは、シリアにS-300防空システムを保有しています。もし、ロシアがそのボタンを押せば、イスラエルのパイロットは撃墜されます。誰がパイロットを救出するでしょうか。誰が、第二のロン・アラド(Ron・Arad)(※)を助けるでしょうか。バイデンですか、ゼレンスキーですか。それが私の問題だったのです。

 これらはみな歴史の余白に属することですが、それはわかっていますが、私には国家的なニーズというものがあります」

※)ロン・アラド(Ron・Arad)は、イスラエル空軍の戦闘機パイロット。1986年、レバノンでPLOを攻撃中に撃墜されてヒズボラに引き渡されたと見られている。

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https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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■連続強盗事件への関与が疑われる2名が8日、フィリピンから強制送還され成田空港へ! 残りの2名も9日中に強制送還! 元国際捜査刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は「大ボス渡辺容疑者の上に黒幕が存在すると考えるのが自然」、「警察は誰がトップかわかっているはず」! 北海道・札幌では「フィリピンに行けば詐欺で稼げる」という話は数年前から広がっていたと、今村容疑者・藤田容疑者の知人が語る!

 一連の広域連続強盗事件に関わったと可能性があると見られ、日本の警察がフィリピンに強制送還を求めた4人のうち、今村磨人容疑者(38)容疑者と藤田聖也容疑者(38)が、フィリピンのビクタン入管施設から送還され、7日午後2時20分ごろ成田空港に到着しました。『NHK』(7日)など、各社が報じました。

 2人は成田空港から警視庁の車両に乗せられ、渋谷警察署に到着、今村容疑者は原宿警察署へ、藤田容疑者は麻布警察署へ、それぞれ移送されました。

※【詳報】機内の様子はどうだった フィリピンから日本への送還(NHK、2023年2月7日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230206/k10013972571000.html

 7日付『東京新聞』によると、残る2人の渡邉優樹容疑者(38)と小島智信容疑者(45)も、フィリピン国内での告訴が虚偽と判明、8日深夜にフィリピンから送還され、9日には日本に到着する見通しです。

 フィリピンのレムリヤ法相は、この4人の中に、一連の広域連続強盗事件の指示役で「ルフィ」がいると述べています。

※残る2容疑者、8日に送還 比法相「ルフィは日本に帰る」(東京新聞、2023年2月7日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/229818

 4人の今回の逮捕容疑は、2019年11月、他の仲間と共謀し、東京都足立区の高齢男性に虚偽の電話をかけ、キャッシュカード10枚を盗み、現金を引き出した「窃盗」の容疑です。

 4人は、窃盗容疑とは別に、全国各地に広がる一連の広域連続強盗事件で「ルフィ」などと名乗って、指示を出していた疑いがあり、警視庁が捜査中です。

※フィリピンから2容疑者送還、逮捕 広域強盗事件の全容解明は?「ルフィ」の関与は(東京新聞、2023年2月8日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/229880

 すでに1月30日付『朝日新聞』などで報じられているように、4人はフィリピンに設けた拠点などから日本へ虚偽の電話をかけ、高齢者からキャッシュカードを盗む手口を用いる特殊詐欺グループの幹部であった疑いが持たれています。

 30日付『朝日新聞』によると、高齢者を主な標的としたこの特殊詐欺グループによる「被害は、2019年までの2年間に日本国内で約1700件、15億円以上」だとされています。

 『日刊IWJガイド』2月7日号でお知らせしたように、『NHK』は31日、「一連の被害はおよそ2300件、35億円にのぼる」「これまでに70人以上が検挙されていて、渡邉容疑者はグループの首謀者とみられる」と報じました。その後、『TBS』などが、被害額は60億円以上とも報じました。

※本格的な取り調べ始まる 特殊詐欺G今村容疑者らフィリピンから渋谷署に到着 被害総額60億円以上とみられる特殊詐欺Gの幹部か(TBS NWES DIG、2023年2月7日)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/316866

 『朝日新聞』の報じた被害額「15億円以上」と、『NHK』が報じた「35億円以上」とでは、かなり差がありますが、「60億円以上」ともなると、さらに差があります。いずれが真実に近いのか、今後明らかになってゆくと思われます。

 2019年11月にフィリピンの拠点が摘発され、主に電話役だったとみられる日本人36人が拘束され、2021年7月までに日本に強制送還されましたが、上記4名を含む一部のメンバーは、この時は摘発を逃れています。

※容疑者4人判明、3人同年齢 「ルフィ」特定へ日本側は一斉返還要求(朝日新聞、2023年1月30日)
https://digital.asahi.com/articles/ASR1Y6TLDR1YUTIL00Q.html

※広域強盗 フィリピンの4人は被害総額約35億円の詐欺事件関与か(NHK、2023年1月31日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230131/k10013965921000.html

※はじめに~「弱きを助け、強きをくじく」などの任侠幻想はとっくの昔に破綻!「ルフィ事件」から読み解く暴力団と半グレの変質!「オレオレ詐欺」グループが「より良いコスパ」を求めて、「強盗殺人」グループへ転身!「闇バイト」がマニュアル通りに標的となった老人を殺すまでに! 高齢化の進む中、「ルフィ事件」は誰にとっても他人事ではない!(日刊IWJガイド、2023.2.7号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51849#idx-1

 2019年の検挙から3年以上も経ち、一連の強盗事件・強盗殺人事件が起きてから、ようやく、主犯格と見られる渡邉容疑者ら4人が日本に強制送還されることになりました。

 上記『日刊IWJガイド』2月7日号でお伝えしたように、この3年間の間に、特殊詐欺から強盗へ、強盗から強盗・殺人未遂、強盗殺人事件へと特殊詐欺グループの手口はエスカレートしてきました。なんとかもっと早期に、犯行の連座とエスカレーションを止めることはできなかったのでしょうか?

 谷公一国家公安委員長は7日、記者会見で、渡邉容疑者らの送還が遅れた責任を問われ、日本政府としては順次要請を行なってきたが、フィリピン当局でどのように検討が行われてきたのかについてはお答えする立場にない、と述べました。

 「日本政府といたしましては、フィリピン当局に対し、2019年11月以降、順次退去強制の要請を行ってきました。何もしていないということではございません。(中略)

 我々といたしましては、順次退去強制の要請を行ってきたと。ただ、我々は要請する立場ですから、フィリピン当局においてどういうふうに検討が行われてきたのかということにつきましては、国家公安委員会委員長としてお答えする立場にはないということを、どうか御理解を願いたいと思います」

 谷委員長は、渡邉容疑者らの送還が遅れたのは、フィリピン当局の都合によるものだと釈明しました。

※国家公安委員会委員長記者会見要旨(関連部分のみ)(国家公安委員会、2023年2月3日)
https://www.npsc.go.jp/pressconf_2023/02_03.htm

 元神奈川県警刑事・元国際捜査刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は7日、『MBSニュース』に出演し、「谷委員長は実情をよく知らないで話しているが、フィリピンに逃れた犯罪者が、日本への強制送還を遅らせる目的で、フィリピン人に裁判を起こさせるという手口はずっと以前からある」と解説しています。

 「これはですね、谷国家公安委員長があまりこういった事柄を知らないでしゃべっているんだと思います。実際に、私は国際捜査課というところにいて。2000年前後なんですけども。

 その時、実際、この手口というのは、以前からあるんです。日本に帰国したくないために、虚偽の申告をフィリピン人にさせ、留まる。そのうち裁判が始まるとなると、告訴を取り下げる。そしてまた違う告訴をするといった繰り返しが多いんですね」

 小川氏は、3年も4人はフィリピンの入管施設に留まり続け、今回突然、1週間ほどで強制送還になった理由について、「マルコス大統領訪日の手土産という政治的な側面もあるかもしれないが、特に珍しいことではない、日本政府が強く要請すれば、フィリピンは応じてくれる」と述べました。

 「これまでも、フィリピンに逃走していた有名な地面師が捕まったこと(※1)、記憶にある方もいるかと思うんですが、その時もそんなに長い間滞在していたわけではない。日本の政府がある程度強く言えば、フィリピンからは、返してもらえます。これまで(強制送還を逃れるための告訴が)棄却されなかったことは一度もないんですね。

 ただ、今回はこの4名の者というのが、罪名が『窃盗』であったということと、収容所自体がロックダウンをしていて、定員140名のところ、実際700名ぐらい入っていた時期もあるんです。これは、コロナの関係なんですけれども。

 そういったことで、日本に帰国する者が渋滞していた、それプラス帰りたくない者がいたということがあわさってこうなっているだけで、今回の1週間というのが特別早いわけではありません。これまでも1週間程度で帰国、強制送還した例はいくらでもあります。

 今回、大統領が来るということで、8日にあわせたということは、手土産的なものがあるかもしれないけれど、そうでなくてもある程度は、強制送還に、フィリピンと日本の警察は非常に友好な関係を保っているので、可能だったということは言えると思います」

※1(IWJ編集部):積水ハウス地面師詐欺事件。2017年に積水ハウスが55億円を騙し取られた事件。2018年12月に逃亡先のフィリピンで捕まり、同入管当局に拘束されていた、羽毛田正美(はけた まさみ)こと「カミンスカス操」容疑者が2019年1月11日に日本に強制送還された。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%8D%E6%B0%B4%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9%E5%9C%B0%E9%9D%A2%E5%B8%AB%E8%A9%90%E6%AC%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 小川氏は、「ルフィ」の関与が疑われる強盗事件は、「8都県で起きた14件で、すでに30人以上の実行犯が逮捕されている」と述べました。小川氏によると、さらに6つの府県で発生した強盗事件への関与も捜査中です。

 小川氏は、フィリピンの当局者の給料は年間50万円から60万円くらいと安いため、収容された外国人から多額の賄賂を期待できるビクタン収容施設に勤務したくて、上司に賄賂を渡す者もいるほどだという、フィリピンの実情を明かしました。

 小川氏は、ビクタン収容施設では、エアコン付きの部屋を提供すれば12万円、Wi-Fiは6000円くらいの賄賂がフィリピン当局者のポケットに入ると述べました。

 小川氏は、今後の捜査は、まず、キャッシュカードを盗んだ「窃盗罪」を足がかりに、次に35億円とも60億円とも言われる振り込め詐欺と余罪、強盗事件の中の「堅い」事件へと進むだろうと予測しました。

 量刑について川崎拓也弁護士は、同『MBSニュース』で、通常は窃盗罪なら「10年以下の懲役、または50万円以下の罰金」、強盗殺人罪は「死刑、または無期懲役」だが、「指示役」は、実行役と同等の量刑になる共同正犯か、「より重い量刑になることが多い」と述べています。

※【連続強盗関連】「今まで4人が送還されなかったのは”日本が強く要請してなかったから”」…元国際捜査刑事・小川泰平氏が指摘(MBS NEWS、2023年2月7日)
https://youtu.be/qnezT07xXNY

 小川泰平氏は8日の『MBSニュース』で、容疑者である4人の関係性やその「黒幕」について、「大ボス渡辺容疑者の上に黒幕が存在すると考えるのが自然」、「警察は誰がトップかわかっているはず」と指摘しました。

 これまでの報道で、渡辺容疑者が複数のグループを束ねる「大ボス」、小島容疑者が渡辺容疑者の「右腕」、今村容疑者が「1グループのリーダー」、藤田容疑者が「現金化担当」などとされています。

 「まだそこ(渡辺容疑者の上の黒幕の存在)は判明していないんですが、通常一般的に考えれば、ビクタンの収容所の中の、この4人で完結する問題ではないだろう、というふうに思います。

 特に闇のバイト、そういうリクルーターの者、実際に情報を収集する者、どこにタタキ(IWJ編集部注:強盗のこと)に行くかという。あとは、現金の受け渡し、現金の流れ。

 実際に先日フィリピンから日本に帰国した者が逮捕されていますけれども、そういった者に一体誰がお金を渡す、分配をするのか。というようなことを考えれば、渡辺容疑者のグループの上に黒幕というか、指示をする。本当にこの指示役に指示をする者がいても、別になんら不思議ではない、というふうに思います」

 小川氏は、情報機器の分析、お金の流れ、収容施設での面会者などから、捜査が進められていくだろうと述べました。

 小川氏はさらに「警察は(黒幕を逮捕できるだけの情報がなくて)捕まえることができなくても、誰がトップかはある程度分かっているんですね」と述べました。

※「大ボス渡辺容疑者の上に黒幕が存在すると考えるのが自然」「警察は誰がトップかわかっているはず」…元国際捜査刑事・小川泰平氏の見解(MBS NEWS、2023年2月8日)
https://www.youtube.com/watch?v=zxteBp6ZYYs

 今回強制送還される4名の背後関係についての情報も、さまざまに、出てきています。

 「極道ユーチューバー」を称する、元六代目山口組系・3次団体「義竜会」組長の竹垣悟(たけがき さとる)氏は、現在NPO法人・五仁會代表です。2005年、二代目古川組の盃を拒否して破門処分となり、義竜会を解散して堅気となりました。

※竹垣悟(任侠大辞典YKUZA WIKI、2023年1月8日閲覧)
https://www.yakuza.wiki/?%E7%AB%B9%E5%9E%A3%E6%82%9F

 竹垣氏は、小島智信容疑者について、「遠藤総業(誠友会)の、遠藤健児組長の元若い衆」で、「フィリピン裏社会の尻尾を牛耳る元有名暴力団の息子」だとしています。

 竹垣氏は、「小島容疑者は2014年に養子縁組をするまでは『サイトウ智信』という名前だったらしい」、「遠藤総業にいた時に入れ墨を入れたのだろう」と述べています。

 竹垣氏は、フィリピンと日本の暴力団の関係について、「元暴力団の息子がフィリピンで闇ルートを作って、『いつでも日本から来た暴力団の組長クラスを受け入れる用意がある』と言うてな」と述べています。

※ルフィの片腕 サイトウこと 小島智信は誠友会 遠藤総業 遠藤健児組長の元若い衆 フィリピン裏社会の尻尾を牛耳る元有名暴力団の息子(YouTube「竹垣悟チャンネル」、2023年2月6日)
https://www.youtube.com/watch?v=CiEZakPgTbU

 北海道出身の今村容疑者について、『日本テレビ』(8日)が、北海道の元同居人に取材をしています。元同居人によれば、今村容疑者は覚醒剤を常用しており、1年ほどコールセンターに勤務していたが、会社の金を使い込んでしまい、それを返金するために突然フィリピンに渡った、と述べています。

 「フィリピンで詐欺で稼げる、というのは札幌では結構広まっていた話ではある。先輩から『こういう話あるぞ』ってすぐ回ってくるので。すすき野に行ったときもそうでしたし」と元同居人は述べています。

 『日本テレビ』は、「すすき野では、フィリピンでの特殊詐欺の仕事の誘いが何年も前から横行していたということです」と報じました。

 同じく北海道出身である藤田容疑者の中学時代からの友人は『日本テレビ』の取材に対して、フィリピンでの仕事について「儲かる、みたいな。人材派遣みたいな(と藤田容疑者は言っていた)。(藤田容疑者は)そういうようなこと(犯罪)をするようなタイプではない」と述べています。

※【2人の“素顔”】元同居人が“異様な生活”語る 連続強盗事件“ルフィ”との関連は(日本テレビ、2023年2月8日)
https://www.youtube.com/watch?v=gMsn0KKMZWI

■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その33)>第二部 蒼ざめた異族「第六章 ロシアの〈他者〉なるチェチェン ―一九九一年十一月―」(part5)

岩上安身は、1989年から1994年まで、29歳から35歳まで、足かけ6年かけて、崩壊前夜のソ連から、ソ連崩壊後の「民主ロシア」誕生の裏面まで、現地で取材しました。

 現地取材をまとめた著書『あらかじめ裏切られた革命』(1996年、講談社、講談社ノンフィクション賞受賞作)は、当時のソ連・ロシアの実態を記録した貴重な資料ですが、残念ながら絶版となっており、入手困難な状況となっております。

 ウクライナ紛争の長期化、そして西欧諸国が世界を支配してきた構造、米国による一極支配構造に揺らぎが見え始めた今こそ、改めて1991年のソ連崩壊前後に戻って、歴史を振り返る必要があると思われます。日刊IWJガイドで、『あらかじめ裏切られた革命』の復刻連載を進めていきます。ぜひお読みください。

 下記URLから、初回の復刻連載(その1)をお読みいただけます。

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その1)>序文「ゴーリキーパークの世界精神」(日刊IWJガイド、2022年11月20日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51557#idx-4

 直近の復刻連載は、下記URLからお読みいただけます。

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その31)>第二部 蒼ざめた異族「第六章 ロシアの〈他者〉なるチェチェン ―一九九一年十一月―」(part3)(日刊IWJガイド、2023年1月24日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51795#idx-5

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その32)>第二部 蒼ざめた異族「第六章 ロシアの〈他者〉なるチェチェン ―一九九一年十一月―」(part4)(日刊IWJガイド、2023年2月5日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51842#idx-5

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(◆血の復讐こそ民族の掟 後半)

 では、そのチェチェン・マフィア達は、現在のチェチェンの政治的変化にどのような役割をはたしているのか。私の質問に、彼はあっさりとこたえてくれた。

 「彼らは、三カ月前にモスクワから代表者を派遣し、『チェチェン独立革命』のための資金として五十万ルーブルを寄付してくれました。三カ月前の五十万ルーブルは大金でした。残念ながら現在のハイパー・インフレで目減りしてしまいましたけどね」

 「独立革命」の陰にマフィアからの資金援助があった――。これは普通ならば立派に「スキャンダル」になる話である。しかしこの話をするガリーエフ補佐官には、悪びれた様子がまるでない。それどころか、マフィアをめぐる話題になると俄然、雄弁になった。

 「民族独立のためのチェチェン革命は、まだ始まったばかりですが、チェチェン人であるならば、この革命に協力しないことは許されない。モスクワのチェチェン・マフィアだって例外ではない。モスクワにいるチェチェン人達はお互いをひとつの家族の一員、共同体の一員だと思っている。その結束力の強さは、我々チェチェン民族の誇りでもある。モスクワのロシア人達はそのチェチェン人コミュニティをマフィアだと考える。もし、その民族共同体をマフィアだというならば、ここにいるチェチェン国民全員がマフィアだということになる。

 誰も彼もが、『チェチェン人』と『マフィア』という二つの名詞を結びつけたいらしい。いいでしょう。それならひとつ、余談になるが、面白いエピソードをお話ししましょう。

 御存知の通り、マフィアはイタリアのシチリアが発祥地です。ところが、イタリアにはゲノア(ジェノヴァ)という古い町があるが、その町を建設したのはチェチェン人であるという古い記録があるのです。そもそもゲノアという言葉は、チェチェン語では『遠くへ旅をする人』という意味なのです。それだけではない。イタリアの火山の名前のいくつかはチェチェン語の言葉が使われている。

 これらはいったい、何を意味するのか? 要するに遠い昔に我々の民族の一部が、ヨーロッパ各地に移住した痕跡なのです。イタリアにはこのカフカスからチェチェン人達が移住した痕跡があるし、ハンガリーの一部にもチェチェン人に非常によく似た民族が住んでいる。スペインのバスク人のルーツは、カフカスの民族であるという歴史学者もいる。そもそもカフカスというのは『アジアの門』という意味なのですが、この言葉も、古いチェチェン語からきている。チェチェン人は、非常に古い歴史を持つ民族なのです。チェチェン人のルーツは、さかのぼるとシュメールにまで至るという歴史学者や考古学者もいる。つまり、先ほどから話してきた『血の復讐の掟』といったチェチェン人の民族共同体の特徴は、実はシュメールの文明に起源をもち、今にいたるまでその文明の遺産を保存したものなのです。

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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、尾内達也、浜本信貴、前田啓)

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