2022年3月1日(火)、萩生田光一経済産業大臣の定例会見が、経済産業省にて9時20分過ぎから開催され、IWJが生中継した。
萩生田大臣は冒頭報告の中で、ロシアのウクライナ侵略に対する制裁措置として、ロシアの軍事関連団体に対する輸出等に係る禁止措置、ロシアの軍事能力の強化に資する汎用品の輸出等の禁止措置について閣議了解したと報告した。
IWJ記者は以下の2つの質問を用意して挙手し続けたが、指されなかった。
「ウクライナへの武器供与に関して、米国はもちろん、ドイツ政府も慎重姿勢を改め、各国が武器供与や資金提供を宣言しています。
日本は、2014年閣議決定の『防衛装備移転三原則』で、それまで禁じられていた武器輸出が一定条件で認められ、経済産業大臣が許可を与えることになっています。
2021年2月の経済産業省『防衛装備の海外移転の許可の状況に関する年次報告書』では、『平和貢献・国際協力』や『我が国の安全保障に資する』などの名目で輸出された『防衛装備』は1179件に上ります。
『防衛装備移転三原則』では『紛争当事国』への武器移転は禁じられていますが、『目的外使用及び第三国移転について日本国政府の事前同意を相手国政府に義務付ける』としており、他の国を通じたウクライナへの武器供与が可能と読めます。
日本から第三国を通じるなどの形で、ウクライナに武器供与する可能性はありますでしょうか? その場合、ロシアから敵視されることは計算済みという事でしょうか。
仮にこのあと紛争がエスカレートして、NATO諸国とロシアが交戦し、NATO対ロシアとなった場合、日本は米国との同盟国でもありますし、ロシアから敵視され、米国と集団的自衛権によって、直接的に国境を接する大国の隣国でもあるロシアとの戦争状態に陥る可能性が高まるということはお考えでしょうか?」。
「ゼレンスキー大統領は27日、ウクライナ兵と共にロシア軍と戦う外国人兵士を募ると発表しました。
それに対し、デンマークのフレデリクセン首相は、『ウクライナ側で紛争に参加するためにウクライナに行くことを法的に妨げるものはない』と発言しました。この発言は、自国の若者がウクライナに義勇兵として参加することを後押ししたものと受け取られています。
今後、ウクライナの義勇兵として参加したデンマークの若者がロシア軍との交戦で死亡し、デンマーク政府がそうした事態を自国に対する攻撃と認定した場合、NATOの集団的自衛権が記されたNATO条項の第5条にある『NATO加盟国の一国でも攻撃されれば加盟国全体への攻撃とみなし、集団的自衛権を行使する』という定めに相当すると考える可能性はありますでしょうか?
そうなれば、一気にロシア対NATO全体の戦争へとエスカレートしていきます。米国と同盟を結んでいる日本は、集団的自衛権行使容認により、NATOとロシアの戦争に巻き込まれていくことも考えられますが、萩生田大臣はこの義勇兵募集からのエスカレーションにどのような懸念をお持ちでしょうか? ご見解をお聞かせください。
また、ウクライナの外国人兵士は、日本でも在日ウクライナ大使館のツイッターアカウントを通じて募集されています。特に自衛隊で経験を積んだ者を求めるとのことです。
日本政府は、この兵士募集に対しての個人の自由と責任で参加を放任する、ということですか? それとも、参加を希望する者に対して規制をかけるお考えですか。
また、もし日本人が参戦し戦死した場合、我が国に対してロシアから攻撃をされたとみなすのでしょうか?」
会見について、詳しくは全編動画を御覧いただきたい。