2021年4月13日(火)、午前9時30分より、東京都千代田区の経済産業省本館にて、梶山弘志経済産業大臣の定例会見が行われた。
会見冒頭、梶山大臣より、この会見に先立ち、菅総理出席のもとで開催された、廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議において、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針を決定したことについて、報告があった。
梶山大臣は、「3月で福島第一原発事故から10年が経過したが、福島の復興はまだ道半ばであり、引き続き、政府の最重要課題である」とし、「復興を成し遂げるには、『廃炉』を進め、周辺地域のリスク低減を図ることは不可欠だ。
その一環であるALPS処理水の処分も、避けては通れない課題であると認識している。本件は、風評の懸念を伴うため、長年にわたる懸案事項となっていたが、復興を更に進めるためには、前に進めなくてはならないと考える。
こうした認識のもと、本日、ALPS処理水について、安全性を厳格に確保し、第三者の目も入れつつ、透明性高く監視することを前提に、『海洋放出する』方針を決定した」と述べた。
続いて、大臣と各社記者との質疑応答となったが、質問は大臣から報告のあった「海洋放出」に集中した。
IWJからは以下のとおり質問をした。
「福一原発事故前の10倍量のトリチウム水が40年間にわたって海洋放出し続ければ、国内外からの強い批判・反対の声が上がるのは避けられないと思われます。
原子力市民委員会は、以前より『汚染水は海洋放出すべきではなく、堅牢な大型タンクによる陸上保管の継続か、モルタル固化による処分を選択すべきである』と提言し、先日も海洋放出を中止するよう緊急提言を行いましたが、政府は今日までノーアンサーを決め込んでいます。
自公政権にいくら提言しても聞く耳をもたないと絶望した国民の中には、トリチウム水の海洋放出という暴挙を止めさせるには、近日に予定されている北海道と長野の補選、広島の再選挙、そして来たるべき衆院選で、梶山大臣を含め、この海洋放出を決定したすべての自公議員、そして、それと足並みを揃える一部の野党議員を落選させるしかない。その上で、モルタル固化の代替案を採用すると約束する野党に政権交代させるしかないと腹をくくる人たちが数多く出てくるのではないかと思われます。
こうしたことも覚悟の上で、海洋放出を実行されるのか。それでファイナルアンサーということでよろしいでしょうか? お答えをお願いします」
これに対し、梶山大臣は、「選挙のことについては、コメントを差し控えさせていただく」としつつ、以下のように答えた。
「ただ、先程も申しましたが、これは大変重い責任をともなう決断だということで、私自身はそう考えている。
あと、モルタル固化というものが、本当に正しいものなのか、どうなのか、ということもあろうかと思われるし、トリチウムの水蒸気放出、熱を持ちますから、水蒸気放出という形につながっていきます。そういった時に、大気中にそれが拡散された時に、どうやってモニタリングをするのか、という方法についても、確実なものがないということだ。
モニタリングの仕方も含めて、海洋放出というものが、今の時点では適切だという判断にいたっており、まあ、他に適切なものがあれば、それはそれで考えていくということ。柔軟な考えはこれからも、技術開発も含めて、持っていく。
しかし、今あなたがおっしゃった、モルタル固化というのは、水蒸気放出、熱を持ったうえで、水蒸気放出を伴うということで、あまり適切ではないという表現がされている。それを、どう技術的に裏付けしていくか、ということが求められるのではないかと思っている」
梶山経産大臣の記者会見、および質疑応答の一部始終については、全編動画を御覧いただきたい。