2020年10月19日、東京千代田区の東京電力臨時会見場で定例の記者会見が行われた。
会見では、福島第一原子力発電所に貯留している、トリチウムを含む処理済汚染水の海洋放出について、東京電力の態度をただす質問が集中した。海洋放出については、梶山弘志経済産業大臣が10月27日にも方針を述べると見られていた、
海洋放出は、地元の漁業関係者を始め、根強い不信感がいまだ拭えない。この時期の決定は、時期尚早ではないかとの世論に対して、東電は貯留タンク増設の敷地がないため、2022年夏にタンクの貯水量が飽和を迎えると主張している。
タンク増設の余地がないと主張している東電に対し、「敷地内にはまだ空き地があり、増設は可能なのではないか」、と質問する記者に対して東電は、今後行われるであろう、燃料デブリ取り出しのための施設の敷地確保を理由として掲げ、タンクの増設が、廃炉作業を遅滞させると主張する。国と東電は、廃炉までの工程を、今後30年程度としているが、廃炉作業の見通しは事実上立っていない。
IWJ記者は、廃炉作業の見通しが立たないがゆえに、敷地利用計画も立っていないことを指摘。政府のトリチウム水タスクフォースでは、処理済汚染水の5つの処理案が提示されていたが、地元産業が甚大な被害を被るのにもかかわらず「圧倒的に安くて早い」ことを理由に事実上海洋放出案だけに絞られ、加害者側だけが経済的利得を得る点を矛盾だと述べた上で、東電に対し、国の決断の前に自主的対応をうながした。
これに対して東電の柏木・広報担当は「情報をはっきり正確に出していく、透明性を確保していく、風評のところに対してしっかり対応していく」と動揺を隠せず、わけのわからない返答に終止した。