2020年4月13日、東京千代田区の臨時会場と東京電力本社を結ぶネット中継による定例記者会見が行われた。
4月13日、福島第一原子力発電所プロセス主建屋で、除染材剥離作業をしていた協力企業の作業員が内部被ばくした。汚染箇所は顔面で、鼻腔スミヤの採取で汚染がわかった。被ばく量および、顔面汚染の原因はまだ調査中とした。
発電所内の使用済核燃料共用プールの1次系冷却ポンプが、作業員のミスにより停止した。共用プール2次系にある温度制御器の温度表示不良解消のため、計器の電源を切るにあたって誤って近くにあった別の電源(1時系冷却ポンプ用電源)のスイッチを切ってしまったことによる。誤った原因は「温度制御器とポンプの電源装置の機器番号が一緒だったため」とした。
ポンプ停止により警報が発令され1次系冷却ポンプを再稼働するまで停止していた時間はおよそ2時間だが、その間も別の冷却ポンプが作動していて温度上昇は0.1度、プラントパラメータ及びモニタリングポストの指示値に有意な変動は無かったとした。
東京電力ホールディングスグループ内では4月7日に東京電力パワーグリッド品川支社で1名、4月12日に東京本社内のフュエル&パワーで1名のコロナウィルス罹患者が判明している。東電ではそれぞれ濃厚接触者、感染ルートを確認中としており、今後も増える可能性がある。
今回の会見は、東電が新型コロナウイルス対策として国から非常事態宣言が出たこと及び社内感染者の発生にともない、東電本社への部外者の出入りを制限したことにより、本社近隣の会場と本社会見場をインターネットで結び、実施された。東電側は音声と画像を、記者側は、音声による質問を相互に提供する形で行われたが、東電側から送られる画像が小さいことと併せて、音声も聞き取りづらく、途切れがちだったために、記者側は何度も質問することとなり、短時間で会見を切り上げたいとする東電側と対立する場面も見られた。
参加した記者たちからは、情報公開が後退しないためにも、文字情報、音声・画像情報などの的確な伝達に必要な改良を要求する声が出され、課題の多い会見となった。