2021年2月2日、東京都千代田区の経済産業省で、梶山弘志経済産業大臣による定例の記者会見が行われた。
昨年末から年初にかけて、卸売電力市場の市場価格が高騰した。一時は昨年中旬ごろの30倍ほどに値上がりした。
高騰の原因として、冬の寒さによる暖房需要の増加に加え、国内の石炭火力発電所が老朽化していて十分な出力を確保できなかったことが挙げられているが、外的要因として、発電燃料の液化天然ガス(LNG)を積んだタンカーが新型コロナウイルスの蔓延によりパナマ運河で待機させられていたり、オーストラリアの天然ガスパイプラインの故障で輸出ができなくなったり、供給会社が需要を読み違えたりと、複数の原因が挙げられている。
しかし、より大きなファクターに、国内の卸売電力市場に構造的な欠陥があり、価格の急上昇を抑えられなかった、との分析がある。
- 「ゴーゴンLNG施設でひび割れ、操業に懸念」(NNAアジア経済ニュース、2020年7月24日)
- 「電力市場の価格高騰要因を公開データから読み解く」(日経ビジネス、2021年1月21日)
会見で、IWJ記者が「卸売電力市場に対する監視を強化する必要があるのではないか」と指摘したのに対し、梶山弘志経産大臣は「市場の在り方もあわせてビジネスモデルも考えていかなければならない」と述べ、構造的な問題があることを認めた。