IWJ質問「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)署名で、経済と安全保障の圏域がずれていくことに対する見解は?」に大臣は「中国に引きずられることはない」と断言したものの、なぜかずれた回答!?~11.17 梶山弘志経済産業大臣定例会見 2020.11.17

記事公開日:2020.11.17取材地: テキスト動画
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(取材・文:木原匡康)

※2020年12月1日、テキストを追加しました。

 2020年11月17日午前9時50分、梶山弘志経済産業大臣の定例会見が行われ、IWJが中継を行った。

 IWJ記者は「東アジア地域包括的経済連携(RCEP、アールセップ)」について、梶山大臣に質問した。

 RCEPはアジア太平洋地域の貿易促進を目的とする自由貿易協定(FTA)である。11月15日、日本をはじめ東アジア・オセアニア・東南アジア15カ国が署名したことを、日刊IWJガイドでお伝えした。

 日本は15日に梶山大臣が署名し、茂木敏充外務大臣も別途署名した。批准、発効すれば、世界人口の3割・約20億人を含み、国内総生産(GDP)や貿易額で世界の3割を占める巨大な自由貿易圏となる。

 また11月16日に岩上安身が行った田代秀敏氏へのインタビューでも、RCEPを取り上げている。

IWJ記者「先日日本も署名した、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)についておうかがいします。

 RCEPで最大の経済大国は、コロナ禍をいち早く乗り越え、主要国で唯一プラス成長している中国です。世界最大の市場でもあります。

 日本とオーストラリアがRCEPに入るということは、中国包囲網のための安全保障上の枠組み、安倍前総理が唱えた『セキュリティ・ダイヤモンド』(注1)、あるいは『クアッド』(注2)の4か国、米、日本、オーストラリア、インドのうち、日本とオーストラリアの2か国が中国を中心とする巨大自由貿易圏に入るということになり、米国とインドは別の道をゆくことになります。

 一方では日本と中国が経済的に接近し、他方で米国と中国の覇権をめぐる対立に引きずられる形で日本は米国に追従してゆく。このように貿易圏、経済的な圏域と、安全保障の圏域がずれていくことについてどう考えていますか? もはや日中デカップリング論などありえないのではないでしょうか」

(注1)セキュリティ・ダイヤモンド
 2012年末の第二次安倍政権発足直後、安倍前総理が英文サイトのみで発表した論文「アジアの民主主義 セキュリティ・ダイヤモンド」で提案した安全保障構想。対中国脅威論を過剰なまでに煽り、「オーストラリア、インド、日本、米国ハワイによって、インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダイヤモンドを形成」して、中国を南シナ海から排除すべきと主張。詳しくは、岩上安身が下記で解説のうえ、全文翻訳を掲載している。

(注2)クアッド
 日米豪印戦略対話または四カ国戦略対話(Quadrilateral Security Dialogue、通称Quad)。2007年の第1次安倍政権の構想に発した、日米とオーストラリア、インドの外交・安全保障の協力体制。直近では2020年10月6日に日米豪印外相会合が開催された。

■全編動画

  • 日時 2020年11月17日(火)9:30~
  • 場所 経済産業省本館 記者会見室(東京都千代田区)

(…会員ページにつづく)

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