IWJ記者の「米国から睨まれても、経済制裁網から抜け出てイランの原油輸入の可能性はないか?」の質問に、萩生田大臣は「企業の判断によるが、現時点ではイラン産原油輸入の状況にはない」と回答~11.26萩生田光一 経済産業大臣 定例会見 2021.11.26

記事公開日:2021.11.26取材地: テキスト動画
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(取材・文、IWJ編集部)

 2021年11月26日(金)11時半頃より、萩生田光一経済産業大臣の定例会見が、経済産業省会見室にて開催され、IWJ記者が質問を行った。

IWJ「日本及び各国政府は石油備蓄の放出を決定しましたが、OPECプラスの生産抑制により、価格抑制効果を得られず、さらに高騰する可能性があります。特に日本は円安で、他国以上にダメージを受ける懸念があります。

 原油の輸入先として、たとえばイランは米国とイスラエルによる経済制裁のため、石油増産の余力があります。

 日本は米国の圧力でイランとの取り引きが細り、また、中国がイランと石油の大量輸入契約をしていることなどから、難しい面はあると思われますが、たとえ米国から睨まれても、経済制裁網から抜け出してイランからの原油輸入を増やす方策の可能性はないのでしょうか?」

萩生田光一経済産業大臣「2019年の5月に、米国の国防授権法上の例外規定の適用が終了し、制裁対象となって以降、日本企業はイラン産原油の輸入を行っていないという状況が続いております。具体的な原油の調達先などについては、個別企業の判断によるものでありますが、現時点では各企業がイラン産原油の輸入を行う状況にはないと承知をしております」

 他社からは、毎日新聞が、「協調放出を訴えたことで、市場への効果はあったとみているか?」と質問。萩生田大臣は「国際原油市場の価格等々についてコメントすることは差し控えさせていただきたい」「今回の措置に限らず、原油国に対する増産の働きかけ、農業や漁業等に対する業種別の既に持っている対策、今回のガソリン、灯油の急激な値上がりに対する激変緩和措置等を確実に講じたい」等と回答した。

 共同通信の「激変緩和措置に関して、本日の閣議決定で、必要な経費として23億円を決定されたと聞いたが、金額は十分か?」の質問に、萩生田大臣は「年末に向けて機動的に対応したいとの思いがあったので、使えるお金を積んでおくということで、予備費を使わせていただくことにした。十分かと聞かれると、そうではない。動向を見ながら3月までやる。まずは目先の資金として積ませてもらった。これがすべてではない」と答えた。

 産経新聞の「来週明けからのWTOの閣僚会議での、日本としてのポイントは?」との質問には、萩生田大臣は「日本としては、医療関連物資へのアクセス改善、デジタル・ルールの必要性、紛争解決手続きの機能改革を含め、WTO体制の維持強化を訴えていきたい」と回答した。

 毎日新聞記者は「ロシアのガス大手の北極海のLNGプロジェクトから欧州の複数の銀行が融資団から撤退している。LNGや(日本からの)支援は否定しないが、環境意識が高まる中、(日本の)融資額もそうだが、政府系の機関の比重が大きい。主客転倒していないか?」と質問。

 萩生田大臣は以下のように答えた。「本プロジェクトは我が国のエネルギー多角化に貢献。北極海航路という新たな調達ルートを確立し、長期かつ安定的にLNGを供給できる極めて重要なプロジェクト」「私は7月の北極圏サミットの議長を務め、北極圏航路の必要性を、加盟国の皆さんと合意をし、まとめた」「時代錯誤ではとの批判には、天然ガスをそのまま使い続けることを目指すならそうだが、日本は水素に変えたり、CCUSで戻したりすることも含めて、技術的にきちんと解決することを宣言している」。

 アラブニュース・ジャパン記者は「石油備蓄放出が決定されたが、価格は高止まりしている。サウジアラビアやUAEなど、一部産油国は、日本への原油輸出を増やす形で協力している。日本はさらなる備蓄放出を行うのか? それとも産油国に一層の協力を求めるのか? 1バレルあたりどの程度の価格を求めているのか?」と質問した。

 萩生田大臣は次のように回答した。「今回の措置は、従来から行ってきた油種の入れ替えを前倒ししたもので、備蓄法にもとづく備蓄放出ではない。備蓄を放出し続けることは、法律上認められない。今回はアメリカをはじめ関係国が備蓄を出そうという提案があって、日本は法律上出せないが、毎年一定程度出している油種の入れ替えがあり、本当は年明けに入れ替え時期を考えようと思ったが、この時期なので、協力できることをした。したがって、これをもって何かを解決するということを目的としてない。産油国に増産要求はしっかりしていきたい」「国際原油市場に影響を与えるような、具体的な量や価格については差し控えたい」。

■全編動画

  • 日時 2021年11月26日(金)11:10~
  • 場所 記者会見室(経済産業省本館)

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