2023年4月11日午前9時20分頃より、東京都千代田区の経済産業省にて、西村康稔経済産業大臣の記者会見が開催された。
冒頭、西村大臣より、大阪・関西万博(大阪府大阪市夢洲地区2025年4月13日~2025年10月13日)の会場整備工事の起工式などに参加するため、13日から大阪に出張をする旨の報告があった。
続いて、大臣と各社記者の質疑応答となった。IWJ記者は、「石油の輸入に関する日本の今後の方向性」について、次の通り、大臣に質問した。
「約1ヶ月前の3月10日、2016年から断交していたイランとサウジアラビアが、中国の仲介により、外交関係を正常化することで合意しましたが、これにより、中東における米国の影響力が低下し、中国の存在感が大きくなることは確実だと思われます。
日本は、石油の9割以上を中東に依存しており、この先、中国と中東産油国との関係が密になり、同盟関係を結ぶまでになる可能性も否定できません。
米国一国に依存・従属している日本が、例えば、『台湾有事』などをきっかけとして、中国と戦争状態に陥れば、中東の石油が手に入らず、戦争遂行はおろか、産業活動も、国民の暮らしの営みも、すべてストップする事態に至ることは、十分あり得ることのように思われます。
日本は、これからも、従来通り『対米従属』一本やりの姿勢で問題はないのでしょうか? 石油を獲得するために、必要な外交政策はとられないのでしょうか? 西村大臣のお考えをお聞かせください」
この質問に対して、西村大臣は以下の通り回答した。
「はい、サウジアラビアとイランの関係正常化に向けた動きについては、中東地域の平和と安定、これに向けた前向きな動きとして歓迎をしたいというふうに思います。今後の具体的な動きをしっかり見ていきたいというふうに思っております。
その上で、中東産油国と我が国は、これまで長年にわたる、歴史的にも友好関係があります。私自身、1985年に経産省へ入ったとき、入省した時の最初のポストが資源エネルギー庁の石油部でありまして、そのとき以来、産油国とのいろいろな関係を持ってきております。
そうしたことも、経験も踏まえながら、年末にはサウジアラビア、オマーン、そして1月にはUAEを訪問したところでありますけれども、その中で、原油などの増産、安定供給の働きかけ、あるいはトランジションに不可欠なLNGですね、この長期契約の基本合意を、オマーンとも結びました。
- 西村経済産業大臣がサウジアラビアに出張しました(経済産業省、2022年12月27日)
- 西村経済産業大臣がオマーンに出張しました(経済産業省、2022年12月27日)
- 西村経済産業大臣がアラブ首長国連邦に出張しました(経済産業省、2023年1月16日)
また、脱炭素社会の実現に向けて、水素、アンモニアなどのクリーンエネルギーや産業の多角化などについても議論をし、幅広く連携強化を進めているところであります。
- 水素政策小委員会(経済産業省)
イランについては、昨年、秋にオウジ石油大臣が来られて、意見交換もしたところですけれども、やはりJCPOA(Joint Comprehensive Plan of Action、イランの核問題に関する包括的共同作業計画)での『核の議論』を再開してもらって、ぜひ、国際社会に復帰することを我々としては期待をしたいというふうに思いますし、日本としてもできることをしていきたいと思っております。
- 西村経済産業大臣はオウジ・イラン石油大臣と会談を行いました(経済産業省、2022年9月28日)
私自身、イラン議連の幹事長もしておりますし、サウジの議連は会長もしておりますので、今の経産大臣としての立場も含めて、この中東の安定・平和、そして繁栄に向けて、経産省としてできること、これを全力で進めていきたいというふうに思っております。
昨日も、ヨルダンの国王と、こうした中東の平和と繁栄に向けて連携をしていくということも確認をさせていただきました。
- 西村経済産業大臣のアブドッラー2世・ヨルダン国王陛下への表敬(経済産業省、2023年4月10日)
今日の首脳会談でも、この中東の平和と繁栄に向けての両首脳間で、岸田総理とアブドラ国王の間で、そんな議論も交わされるものというふうに思いますし、私も同席をしてしっかりと経産省としてできることをやっていきたいというふうに考えております」
詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。