IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その11)。米軍は「好ましくないフライホイール(弾み車)」に乗っている! 米軍の「伝来のプラットフォーム」は不要に! 2022.2.21

記事公開日:2022.2.22 テキスト
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(仮訳、文・IWJ編集部 文責・岩上安身)

 本記事は、「IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!」の第11弾で、「アリソン・レポート」「Military(軍事)」篇の最終章「結論:ここから我々はどこへ向かうのか(Conclusion: Where Do We Go From Here?)」の仮訳を掲載する。なお、第1弾~第10弾は本記事末尾でご案内する。

 米ハーバード大学ケネディ行政大学院(ケネディスクール)のグレアム・アリソン氏が中心となって作成し、2021年12月7日に発表されたレポート「The Great Rivalry: China vs. the U.S. in the 21st Century(偉大なるライバル 21世紀の中国vs.アメリカ)」(以後、『アリソン・レポート』)は、米国が、中国との対比で自らの技術と軍事を冷静に自己評価した重要なレポートである。

 米国が中国の技術水準と軍事水準をどう見ているのか、また、今後、米中覇権競争が技術と軍事という中心的な領域でどう競いあうのかを見極めるための必読文献の一つである。

▲『アリソン・レポート』を作成したケネディ・スクール元学長のグレアム・アリソン氏(Wikipedia、Mass Communication Specialist 2nd Class Zach Allan, U.S. Navy)

 この「結論:ここから我々はどこへ向かうのか(Conclusion: Where Do We Go From Here?)」の章は、アリソン・レポート軍事篇の結論部分である。

 このレポート全体で、米軍は戦争になれば中国軍に負けると、直接・間接に論証してきたが、この章では、「Just the facts(まさに事実)」として、現実を直視することの必要性を説いている。

 米軍が負ける理由は、米軍が「好ましくないフライホイール(弾み車)」に乗っているからだと、この結論の章は喝破している。

 そのフライホールに乗り続ける限り、米軍はもちろんのこと、今や米軍の二軍と化してしまった日本の自衛隊も、中国軍に勝てない。

 アリソン・レポートは、弾み車を回し続ける3つの要素をあげている。それらは、これまで米国の戦争の原動力だったが、今や米軍最大のアキレス腱になっているのである。「成功こそ失敗の始まり」とは、まさにこのことである。

 詳しくは記事本文を御覧いただきたい!

▲米軍の「好ましくないフライホイール(弾み車)」を回す要因の一つが、軍艦など兵器の数を軍のアイデンティティとしていることとされる。写真は空母ロナルド・レーガン率いる第5空母打撃群と空軍機B-52ストラトフォートレス、海軍機F/A-18ホーネット(2018年9月)。(Wikipedia、U.S. Navy Mass Communication Specialist 3rd Class Erwin Miciano、B-52 and FA-18 aircraft flying over the Carrier Strike Group Five during Valiant Shield 2018

記事目次

米軍は「好ましくないフライホイール(弾み車)」に乗っている!

 本記事では、全52ページの「Tech(技術)」と、全40ページの「Military(軍事)」の2部構成からなる『アリソン・レポート』の「Military(軍事)」篇の最終章「結論:ここから我々はどこへ向かうのか(Conclusion: Where Do We Go From Here?)」の1章分を全篇仮訳してご紹介する。

 なお、「Military(軍事)」篇は、英文全40ページで、
「Executive Summary(要旨)」
「The Rise of a Peer(対等者の台頭)」
「China’s A2/AD Advantage(中国のA2/ADの優位性)」
「War Games: A Perfect Record(ウォーゲーム:完璧な記録)」
「Technologies of the Future(未来のテクノロジー)」
「The Curious Question of Defense Spending(防衛費という不思議な問題)」
「Conclusion: Where Do We Go from Here?(結論:我々はここからどこへ向かうのか)」
という7章から構成されています。

 以下から「結論:ここから我々はどこへ向かうのか(Conclusion: Where Do We Go From Here?)」の章の翻訳となる。注記と小見出しはIWJ編集部が便宜上付与した。

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