各国のコロナ対応で見えてきた国家システムの競争。米中対立に巻き込まれる日本には、軍事的緊張のリスクを回避する調整機能が必要!
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岩上「米中の対立という、すごく大きなテーマなんですけれど、これ、ただ単に覇権交代っていうだけでなくて、そこに理念とかイデオロギーとか、国家のシステムみたいなものの競争と言いますかね、比較優位性みたいな話になってくるじゃないですか。
で、今、中国は、コロナに戦いえたのは、自分たちが、かなり統制の強い社会体制を持ってることで、コロナを倒すことができたんだということを誇ってるわけですけれども、それに対して自由主義陣営の方は、自由な市場経済で。
だから、民間の病院もあるっていうことは、みんな自由にやっていいってことじゃないですか。自由は素晴らしいんだけど、自由だけのまんま放置してたら、連携がないために、全体主義的な体制よりも遅れをとるっていうですね、すごくこれ、重大なテーマです」
小西議員「ジレンマというかですね」
岩上「ジレンマですよね」
小西議員「はい」
岩上「そこには、やっぱり、資本主義とか市場経済という上に、修正資本主義のようなものが必要だったり、やっぱり、ネットワークとか公共政策とかが、ものすごく重要なんじゃないかと思うんですよ。ちょっと、ここ、ひと言ほしいなと思うんですね。
だから、ひとつひとつの新自由主義みたいなあり方ではなくて、やはり、そこに、もうひとつ調整機能が必要だって言ってるのは、ものすごい、現場で見られてておっしゃてるから、説得力すごくあるんですけど、もう少し理論的に考えても、すごく重要なことではないかなと思うんですね。
ずーっと、この自民党政権の中で、小泉政権以降、特に。また、第2次安倍内閣以降、極端ですけれども、新自由主義的な傾向っていうの強まって、公の部分を減らしてくじゃないですか(※1)。
『自助・共助・公助』と言いながら『公助』が全然ないっていう方向に向かって行ってる。やっぱり、『共助・公助』の部分、すごく重要なんじゃないかなと思うんです」
小西議員「さっきおっしゃってた、中国がやろうとしてる自分の国のための資本主義みたいなやり方ですよね、産業政策みたいな。だから、それ多分、フェーズが2つあって、そのひとつは技術開発ですよね。
一方で、アメリカが軍事研究、インターネットもアメリカの軍事研究から生まれたものですけども」
岩上「スピンアウトしたものですね」
小西議員「そういう、その国のために、国がものすごい投資をして、ある技術、革新的なゲームチェンジをするような技術を作り出すと。
それは、中国、今それ、ものすごく力を入れてやってる(※2)んですけど、一方でそれは、アメリカなんかもある程度やって、それをさらに強めていくっていうことも言ってるんですが、問題はそこで作られた、世の中をゲームチェンジしてしまうような技術を、社会のシステムにまで実装する時に、やはり、その国の国益っていったもので絡められてしまう。
それで、いろんなインターネットのサービスなどが、中国で囲い込まれ、中国に我々の情報が取られちゃいかんので、中国製品は使わないとか、中国のネットワークは使わないだとか、今、そういう分断してますけれども」
岩上「米中がね。デカップリングで。それに日本、巻き込まれてるんですよ」
小西議員「はい。ただ、それはもう、しばらく、やっぱり、そうなるんじゃないですかね」
岩上「この過程はね」
小西議員「だから、そこを何とか調整するような、別の何か、資本主義なのか、国際政治なのかっていうものが。そういう問題意識や、そういうものを作って、そういうことをしてかなきゃダメだ。そうしないと、もう、お互いが、昔の何かブロック経済(※3)みたいにですね、これ、イメージですよ」
岩上「いや、そうです。おっしゃる通り」
小西議員「実際は、もう、ものすごい、日本と中国、日本から見たら最大の貿易相手国で、台湾から見ても中国って最大の貿易相手国(※4)なんですが。ただ、やっぱり、何かそういう切り離したブロック的なことを強めていくと(※5)、それが軍事的な緊張なんかにつながるっていうリスクってのは、あると思いますね」
岩上「かなり高いですね」
小西議員「そのリスクを回避して、リスクを潰すための何らかの経済の仕組み、あるいは、国際政治の仕組みっていうのが必要ですよね。
だから、私も今、外務省なんかにも言ってるんですが、バイデン大統領になって、中国に対して強気というか、もう、明確な姿勢、示してるわけですけども、そうは言っても、米中首脳会談(※6)、アメリカの大統領と習近平が、バイデン・習近平が一緒に顔を合わせて、何日か話し合う。それはやっぱり、年に1回か2回はやらないと。対立ばっかでいくと……」
岩上「大変なことになる」
小西議員「なりますから。どんなに対立してる国でも、やっぱり、首脳会談っていうのはやる。そういうような国際社会でないといけないですね。
ちなみに、昔あった、北朝鮮を、何とか核開発やめさせるための6ヵ国協議(※7)って枠組みがあって、その6ヵ国協議、ロシアとか中国だとか韓国だとかアメリカ、参加してるわけですけど、そこの首脳で北朝鮮の首脳とですね、会えてないのは日本の総理だけなんですよね。
だから、安倍総理は北朝鮮に『圧力だ、圧力だ』とか言ってただけですけど、やっぱり、圧力だけじゃなくて、ちゃんと会ってですね。会って、拉致問題はじめ解決を導いていくっていうのが外交なんですけども、実は、日本だけが会えてないんですよね」
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(※1)小泉政権以降、特に。また、第2次安倍内閣以降、極端ですけれども、新自由主義的な傾向っていうの強まって、公の部分を減らしてくじゃないですか:
政府は「規制改革」の旗印のもと、保健所の削減、PCR検査を行う衛生研究所の人員や予算カット、医療費削減を強く推進してきた。
こうした政策で公的病院は整理され、民間病院はギリギリの経営を余儀なくされてきた。
「医療費亡国論」を掲げ、1998年から2018年までの間で、全国の病床の総数は約189万2000床から約164万1000床、9210床あった感染症病床は1882床にまで削減された。
特に安倍政権下の2019年9月には、厚労省が全国の公立病院や公的病院の25%にあたる424病院に対し「再編・統合の議論が必要」と公表。2019年10月の経済財政諮問会議では、官民あわせて13万床の病床削減が必要だとの提言が出された。
また、1994年に保健所法が地域保健法に改定されたことで担当地域が拡大。その結果統廃合が進み、1994年に全国で852カ所あった保健所は、2020年には469カ所にまで減った。
参照:
・令和元年第9回経済財政諮問会議議事要旨(内閣府、2019年10月28日)
【URL】https://bit.ly/3ydBSi9
・公立病院経営改革事例集(総務省、2016年3月)
【URL】https://bit.ly/2WAo2bY
・公立病院改革懇談会(総務省)
【URL】https://bit.ly/37ahH9e
・[主張]医療費削減が招いたコロナ禍(東京保険医協会、2020年7月14日)
【URL】https://bit.ly/2ViFrp1
・新自由主義経済学者の大罪(日医オンライン、2021年5月20日)
【URL】https://bit.ly/2V2jkmR
・「今度の都議会議員選挙は都民のみなさんの、命を守り抜けるかどうか、それがかかった重要な選挙!」~210625_東京都議選 新宿区 日本共産党 大山とも子候補 第一声―応援弁士:宇都宮けんじ・元日弁連会長、志位和夫共産党委員長ほか 2021.6.25(IWJ)
【URL】https://bit.ly/2VkLTeU
・都立大塚病院を独法化から守り、ジェンダー平等と痴漢ゼロの東京を~6.27東京都議選 豊島区 日本共産党 米倉春奈候補 街頭演説 2021.6.27(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3j9bzDQ
・加藤候補「都民の命と健康が守られる政治に変えていく!」枝野代表は自己責任論を批判、支え合う社会の実現を訴え!~6.27東京都議選・北多摩第3選挙区 立憲民主党 加藤良哉候補 街頭演説―応援弁士:枝野幸男代表 2021.6.27(IWJ)
【URL】https://bit.ly/2V4Gp8j
・陥没事故を起こした外環道の工事を凍結し「命と福祉に転換すべき」と訴える田中智子候補は「保健所とPCR検査の充実を求めていく」~7.2 東京都議選・北多摩第3選挙区 日本共産党 田中智子候補 街頭演説 2021.7.2(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3BX6rLh
・宇都宮健児氏都知事選出馬表明!この都知事選が担うのは「都民の生存権」だ!会見場に沸き上がる拍手。「もう決して退くことはない」~5.27宇都宮健児氏 東京都知事選出馬記者会見 2020.5.27(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3ia1lUk
・反貧困運動グループが集い、活動報告。事務局長瀬戸大作「ひとが死ぬ状況がある。生存権が奪われている。今回は中間報告だが、政策要望も出していく」~6.12「新型コロナ災害緊急アクション」活動報告会 2020.6.12(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3yqkPti
・「今の新しい政権は自助・共助・公助をうたっているが公助がスルーされていく」新型コロナで格差と貧困がいっそう拡大! 「公共の劣化」から「公共を取り戻す」~10.4 官製ワーキングプア研究会の調査と休業補償問題 2020.10.4(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3zRSZ9I
・東京五輪における看護師500人確保は「役割が別なのでコロナ医療に影響なし」!? 病床削減推進法案も「今日明日の削減でないから問題なし」と主張!~4.30田村憲久 厚生労働大臣 定例会見 2021.4.30(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3yffeWW
・船橋二和病院労働組合書記長 柳澤裕子氏「医療は社会になくてはならない。経営者側は『ベッドを埋めろ』と言う。私たち医師は『埋める』のではなくベッドにいる患者さんを退院させたい」~7.15 船橋二和病院労働組合記者会見 2020.7.15(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3icUQQI
(※2)その国のために、国がものすごい投資をして、ある技術、革新的なゲームチェンジをするような技術を作り出すと。それは、中国、今それ、ものすごく力を入れてやってる:
中国の習近平指導部は、2015年5月に産業政策「中国製造2025」を発表。次世代情報技術や新エネルギー車など10の重点分野と23の品目を設定。建国100年の2049年に「世界の製造強国の先頭グループ入り」を目指す長期戦略の根幹である。
第1段階の2025年までの目標は「世界の製造強国の仲間入り」で、例えば次世代通信規格「5G」のカギ、移動通信システム設備は25年に中国市場80%、世界市場40%が目標。
参照:
・中国製造2025とは 重点10分野と23品目に力
(日本経済新聞、2018年12月7日)
【URL】https://s.nikkei.com/3gN9OvC
(※3)ブロック経済:
1929年の世界恐慌に見舞われた帝国主義諸国がとった経済政策。
輸出不振に陥った各国は、各国通貨の平価切り下げで輸出を増やそうとしたが、為替相場は激動、貿易はますます減少した。
その中で、国内資源や植民地を有する「持てる国」は、それぞれ経済圏(ブロック)を作って生き残ろうとした。
主要国が自国の決済通貨を軸に、いくつかの国でひとつの経済圏を形成し、グループ内の関税は軽減して域内通商を確保、グループ外からの輸入には高関税をかけて自国産業を保護した。
1932年、イギリス連邦がオタワ協定によって特恵関税を軸とするスターリング・ブロック(ポンド・ブロック)を形成したのが、ブロック経済の始まり。
金本位制の維持のために、フランスが中心となった金ブロック(フラン・ブロック)、アメリカを中心とするドル・ブロックなどが続いて作られた。
これらの「(経済圏=植民地等を)持てる国」に対し、「持たざる国」であったドイツ、イタリア、日本は、自給自足圏を確保するために軍事的侵略の道を選んだ。
ドイツはナチスが権力を掌握すると、勢力を東ヨーロッパへ拡大することを目指し、イタリアはファシスト政権の下、北アフリカからバルカン半島、中近東まで視野に入れた野心を抱いた。日本はアジア市場に円ブロックを築くべく、大東亜共栄圏を構想。
しかし、排他的なブロック経済は多角的な自由貿易を破壊するものであり、結果的にブロック相互間の政治的、経済的な摩擦が高まり、第2次世界大戦を引き起こす要因のひとつになった。
21世紀の現在、グローバル経済から世界最大の経済の結びつきを米中に分離していくことは可能か、実態はどこまで進んでいるのか。
参照:
・ブロック経済(世界史の窓)
【URL】https://bit.ly/3zFe4nL
・ブロック経済(コトバンク)
【URL】https://bit.ly/3zFxER0
(※4)日本から見たら最大の貿易相手国で、台湾から見ても中国って最大の貿易相手国:
日本の2020年の貿易相手国別割合は、中国が輸出22.1%、輸入25.8%でともに1位。2位は米国で輸出2位18.4%、輸入2位11.0%。輸出3位は韓国7.0%、輸入3位はオーストラリア5.6%。
台湾の2020年の貿易相手国別割合は、中国が輸出29.7%、輸入22.2%でともに1位。輸出2位は米国14.6%、輸入2位は日本16.0%。輸出3位は香港147.2%、輸入3位は米国11.4%。
参照:
・2020年の日中貿易、日本の貿易に占める対中比率は過去最高に(日本貿易推進機構、2021年6月15日)
【URL】https://bit.ly/3zygODY
・2020年の輸出、過去最高を更新(台湾)(日本貿易推進機構、2021年01月21日)
【URL】https://bit.ly/3zwcapZ
(※5)何かそういう切り離したブロック的なことを強めていくと:
トランプ米大統領は2020年、米中経済の「デカップリング(分断)」を打ち出した。
バイデン米大統領就任後の動向を、日本経済研究センターは以下のように概観した。バイデン氏は中国を「最も重大な競争相手」と位置づけ、重要部材のサプライチェーンを見直す大統領令に署名。「米国の国益になる場合は協力する用意がある」とも述べたが、中国への投資規制強化や中国人留学生・研究者の受け入れ厳格化など、デカップリングはモノや技術だけでなく、カネやヒトにも広がり始めている。
中国は「双循環(2つの循環)」と呼ぶ内需に軸足を置いた新たな成長モデル構築に着手。独自のサプライチェーンづくりに動き始めたとされる。戦略物資などの輸出制限を強化する輸出管理法を施行するなど、米国に対抗する態勢固めを進めている。
しかし、調査会社オックスフォード・エコノミクス日本代表の長井慈人氏は以下のように述べる。「中国にとってデカップリングは、経常黒字が続くことを難しくし、内需主導へ舵を切っても、人口動態のために成長率は大きな制約を受ける」「米国にとっても、ここまで相互依存が進んだ貿易や企業活動に対するデカップリングのコストは甚大だ」。
参照:
・トランプ氏、中国との取引「しなくてもいい」 経済デカップリングに言及(ロイター、2020年8月24日)
【URL】https://bit.ly/3DyA8TR
・米、中国から雇用取り戻す 経済デカップリング=トランプ大統領(ロイター、2020年9月8日)
【URL】https://bit.ly/3kHhMaC
・米中デカップリングとサプライチェーン(日本経済研究センター、2021年3月29日)
【URL】https://bit.ly/38oYvoR
・最新理論で読み解く「グローバル・インバランス」、米中デカップリングはどこまで進むか(ダイヤモンド・オンライン、長井慈人、2021.8.4)
【URL】https://bit.ly/2V2fXfD
(※6)米中首脳会談:
バイデン米大統領の就任以降、米中首脳会談は行われていないが、2021年10月ローマで開催されるG20に両首脳出席見通しで、実現可能性はあるとサリバン米大統領補佐官が6月18日に示唆した。
一方、7月26日、中国を訪問したシャーマン米国務副長官は天津で中国の王毅外相らと会談したが、首脳会談実現の可能性は議題とならなかった。
・米中首脳会談を模索 今秋G20で対面実現か―サリバン米大統領補佐官(時事通信、2021年06月18日)
【URL】https://bit.ly/2WImoVS
・米中、首脳会談巡り協議せず 国務副長官が王外相と会談(ロイター、2021年7月26日)
【URL】https://bit.ly/3mOKkBY
(※7)核開発やめさせるための6ヵ国協議:
北朝鮮の核開発問題について、外交的な解決を目指して、関係各国が外交当局の局長級担当者を参加させて直接協議を行う会議のこと。
北朝鮮、韓国、日本、中国、米国、ロシアの6ヵ国が参加し、2003年8月、北京で第1回会合を開催した。六者会合、六者協議とも呼ばれる。
2005年9月19日、初めての共同声明で、北朝鮮はすべての核兵器および既存の核計画を放棄すること、脱退宣言をしていた核不拡散条約(NPT)への早期復帰を約束した。
米国は、朝鮮半島に核兵器を持ちこまず、北朝鮮に対して核兵器や通常兵器による攻撃または侵略の意図がないことを確認し、米朝両国は、相互の主権尊重、平和共存、国交正常化への措置を取ることも約束している。
しかし、同時期に米財務省がマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)を「マネーロンダリングの主要懸念先」金融機関に指定し、この影響でBDAにあった約2400万ドルの北朝鮮関連口座が凍結された。
北朝鮮は「米国の金融制裁」を理由に協議参加を拒否、この共同声明の履行は暗礁に乗り上げた。
2006年、北朝鮮は6ヵ国協議の約束を破ってミサイル実験(7月)や核実験(10月)を強行し、国際社会からの厳しい批判を受けた。その後、2008年を最後に6ヵ国協議は開かれていない。
参照:
・六者会合に関する議長声明(仮訳)(外務省、2008年12月11日)
【URL】https://bit.ly/3icANSx
・6ヵ国協議とは何ですか(しんぶん赤旗、2016年3月28日)
【URL】https://bit.ly/3xdHuYM
ワクチン争奪戦に遅れをとった日本。菅総理は戦争協力と引き換えに米国からワクチン供給を!? ロイターは『日本から対中強硬姿勢を引き出すため』と指摘!
岩上「日本、蚊帳の外みたいになってるわけですよ。本当に、それが重要な問題で。今ね、バイデン政権が、対中政策において、国内の問題もあるからでしょうけれども、すごい強硬姿勢で。それに対して中国も、強硬な態度を示してると。
で、ワクチンの話と、今、軍事対立の話、関係ないんじゃないの、と。あるいはコロナの話と。
でも、そうでもないんですね。
訪米、この間されましたけれども、菅総理がですね、全国民へのワクチン供給の目処(がついた)っていう話なんですけれども(※8)。聞いてくと、え? って。米国の戦争の協力と引き換えに、ワクチン供与してもらうの? って話なんですね、と聞こえるんです」
▲訪米した菅総理「全国民へのワクチン供給めど」米国の戦争への協力と引き換えにワクチン供与?
岩上「ロイターは、4月9日に菅総理の訪米について、中国製ワクチンが、もし、使われてね、東京五輪が成功することを米国側は『避けたい』と。なので(米国から)日本へワクチンの供与があるのではないかと予測し、『バイデン大統領は国防生産法適用』(※9)。
これは、戦時体制の法律ですよね。そんな法律で、特別に生産を強化すると。(戦時体制の法を)適用して『ワクチンの増産を強力に推進』して、『日本へのワクチンの供与』を行うと。それは、『対中強硬姿勢を引き出すための判断である』。そうであるならば、『国防政策とも合致する』。こういう風にロイターは、報じてるんですね。論評を入れながら報じてるわけです。
だからこれ、言い換えれば、米国の戦争への協力と引き換えに、米国製ワクチンが供与されると。日本は絶対、後回しにされてますよね。ファイザーばっかりに頼りすぎなのかもしれませんけれども。他のワクチンにも目を向けたらいいんじゃないの、とも思いますが。
しかし、(実際のファイザーの提供は)ヨーロッパよりも後回しにされてますから。ワクチンというエサで釣られてる。
しかしね、これは、ロイターがそう言ってんですよ。アメリカが言ってんですよ。これはやっぱり、遺憾じゃないですか。やっぱり、こういうことをね、対中強硬姿勢のために、日本を引っ張ってくために、ワクチンを利用してるっていうことをですね、わざわざアメリカのメディアが、こう、平然と報じてるわけです」
小西議員「(菅総理は)電話しかできないですけど、まさに訪米の時に、ファイザーのCEOと電話してますからね。
ただ、アメリカとしては対中国で、とにかく日本をどんどん引き込んで、自衛隊がアメリカ軍と、もう、ある意味、同等にですね」
岩上「あるいは、もっと下です。従属です」
小西議員「あるいは、本来、アメリカ軍がやるような役割も自衛隊にやらそうっていうのは、それはもう、明らかだと思いますから、そのためにはアメリカとしては、何でも手段は使うっていうのは、それは、ある話かもしれないですね」
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(※8)菅総理がですね、全国民へのワクチン供給の目処(がついた)っていう話なんですけれども:
4月15日から18日に、曽我総理は米国ワシントンD.Cに総理として初訪問し、総理はアーリントン国立墓地で献花後、ハリス副大統領の表敬を受けた。
午後、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談及び共同記者会見を行い、1.自由で開かれたインド太平洋を形作る日米同盟 2.新たな時代における同盟 3.今後に向けて、の3項目を骨子とする共同声明を発出。
菅総理は晩餐会に招かれず、ハンバーガー会食で済まされた事、新型コロナウイルスワクチン製造大手の米ファイザー社には訪問できず、電話会談で終わったことが話題になった。
参照:
・日米首脳共同声明 「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」(外務省)
【URL】https://bit.ly/38pRpjZ
・記者会見で質問スルー、現地にいるのに電話会談…菅首相の訪米珍道中、識者の評価は?(東京新聞、2020年4月20日)
【URL】https://bit.ly/3t9rab2
(※9)『バイデン大統領は国防生産法適用』:
ブルームバーグは、国防生産法適用について以下のように報じた。
「『モデルナ社とファイザー社が早いペースでコロナウイルスワクチンを米国に追加供給することに先週同意したのは、国防生産法(DPA)の発動を受けたものだ』。
バイデン氏は『生産を支援してより多くの機器を確保できるよう、われわれは国家防衛法を発動した。これによりわれわれは両社の計画を前倒しさせることができた』と話した。大統領が言及したのは、国家の緊急時に民間企業に必要な物資の生産を強制できる国防生産法(DPA)とみられる」
・バイデン大統領、コロナワクチン追加確保のため国防生産法を発動(ブルームバーグ、2021年2月17日)
【URL】https://bit.ly/2Y1GKK7
恐ろしげな2012年の改憲草案がソフトな「改憲4項目」にイメージチェンジ! しかし、緊急事態条項という猛毒が潜んでいる!
▲これだけある2012年自民党改憲フル草案の「緊急事態条項」の問題点!
岩上「『これだけある2012年自民党改憲フル草案の「緊急事態条項」の問題点』。
緊急事態条項というのは、実は2012年、あろうことかですね、東日本大震災と、それから原発事故が起こった翌年にですね、自民党がまとめてきたんですけど、そん中にはとんでもないことが、いくつも、いくつも、いくつも、いくつも書かれていて、そのうちの一番とてつもない問題が、これだったわけですよね。
緊急事態条項を出すにあたって『国会の事前同意』はいらない。基本的人権を制限する。『法律と同じ効果を持つ政令』を、内閣限りで出す。そして、『総理大臣が予算措置を行える』。だから、国会の立法権と、それから予算措置っていうことを、全部、権能を奪ってしまうっていうことですね。
で、『「緊急事態」の期間に制限がない』。だから、どこまでもできると。いつでもできるということでもあり、いつまでもできる、ということでもあります。
『内閣は衆議院の任期を延長できる』。つまりは、議員は、あるんだけれども、国会はかたちとしてはあるんだけど、延長するために、ずーっと続いて選挙がない。だから、もう国民がですね、政権を変えようということが不可能になると。民主主義がなくなるってことです。地方自治もなくなります。
『司法は「統治行為論(※10)」によって行政のやることの是非の判断を』、今までも下さなかったし、もう、もはや何でもこの政令というのは、国会の議論を通りませんのでね、裁判官の任命は全部、行政府が出せるとか、どんなことを言おうと、今の現行憲法に反するあり得ない政令が出ても、誰も何も抵抗もできないと。
『集会・結社・言論・報道の自由』、全部、制限されるでしょう。『国民すべてが公権力に従わざるを得ない状況に』なるだろうし、『ヒトラー独裁を実現した全権委任法と同じ』であると。これ、ヒトラーの研究の第一人者の石田(勇治)先生もおっしゃってます。
『国家総動員体制の再現』であると。これはですね、憲法学の泰斗なんですね、長谷部(恭男)早稲田大学の教授も、はっきりとおっしゃっております。こういうものが露骨だったんですね、露骨だったんです。
ところが、あまりに批判があるので、もう、僕がずーっと批判し続けましたから。そうしたら、2018年になってですね、『自民党憲法改正推進本部』っていうところが、『改憲4項目』という『たたき台素案』というものを出してきた」
▲自民党憲法改正推進本部の改憲4項目の「たたき台素案」(2018年3月25日)ソフトに見せかけるめくらまし!?
岩上「で、そん中は、9条の云々というのはありますけれどもね、一番重要なのは緊急事態条項で、あとは目くらましですね。この『抱き合わせ4項目の中に猛毒条項』、1個入ってるわけです。そういう条文を、この2018年に出してきました。
これは、『新たに73条の2の1項、2項と、第64条の2』しかない、以前よりもはるかにソフトに見える文案ですけど、中身がとても危険です」
▲自民党の改憲4項目に騙されてはいけない!! 永井幸寿弁護士が警鐘!!
岩上「続けて。ちょっと言わせていただきます。のちほどコメントいただきたいと思いますが、昨日もちょっと申し上げましたけれども、自民党に緊急事態条項がいかに危険かということに対して、最も積極的に、一番早く声あげたのは、災害問題に取り組んでらっしゃる、永井幸寿弁護士でした。
永井先生はですね、その後、国会にも呼ばれるところまでいきましたけれども、永井先生はですね、この4項目に騙されてはいけないと、わざわざ私どもに連絡をくれてですね、IWJで喋らせてくれと言われてですね、2018年にお話をしたんですけれども。
改めて掲げた改憲4項目。『旧自民党案より恐そうな条項がなくなったような印象を受ける』と。だから、反対の人たちも、ボルテージ、一気にダウンしたんですね。だけれども、『旧案よりはるかに危険になっている』と言っていると。『災害をダシに憲法を変えてはいけない』と警告。緊急事態条項によって『いつでも独裁』『いつまでも独裁』が可能になると指摘しています。
それに、2012年版にあった、『基本的人権を守る』みたいなことは、かろうじてあったんですね。その言葉がまったくなくなってるって、これは、ものすごく恐ろしいことだと。もう、まったくそれがない。そもそも(基本的人権は)存在しないと。『基本的人権を制約する』ですらないんですよね。それが、ないんです。すごいことだなと思うんですけれども」
▲緊急事態条項(1) 第73条の2
岩上「こういう風に書かれております。第73条の2の第1項というかたちで付け加えられるんですが、『大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる』。
だから、2012年案の根本である、国会が法律を作るんではなくて、政府が政令を出すんだと。立法府を空洞化してですね。立法権の簒奪っていう根幹部分は、ここに書いてあるわけですね。
で、第2項『内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない』。いかにも、国会の承認求めますよ、って。国会はちゃんと機能するかのようですよ、と。僕なんかでも、うっかり読んでしまいそうなんですが、永井さんが、こうおっしゃってます。
『法律と同じ効力を有する政令を制定する、と言っているに等しい』。これはもう、『独立命令』であると。『独立命令』というものである。そして、『大日本帝国憲法の緊急勅令を復活すること』である。だから、これ、緊急勅令なんですね。そう言うと、重みが全然違います。で、これは『国家緊急権を作るという』発想であると]
▲永井弁護士が指摘する自民党改憲案・国家緊急権の問題(1)政令は法律と同じ効力 (2)主観的判断で認定
岩上「『「政令」の効力は法律と同じ』であると。で、『旧憲法の緊急勅令の復活(法律に代わるもの)』であり、『法律と同じ効力』があると。
で、大問題は、『要件が広すぎる』。『内閣に立法権を認めるなら国会が機能しない場合のはず』なんです。ところが、『国会が閉会や衆議院解散で臨時国会や緊急集会』、こういうこともできるわけですね。『を求められない場合に、災害により国会による「法律の制定を待ついとまがない」と認めれば良い』。これ、実は、主観的判断でしかないと。
『認定権者は国会ではなく内閣』なんですね。だから、内閣が、自分で本当に、実情と間に合わないねって言っている、何かいろいろ大変だねと言ったら、いつでも言い出せるんですね。
で、『災害関連法規が野党の与党批判で審議が進まないので「待ついとまがない」とすることもできる』と。
たとえば小西さんが、ものすごく、『それ、おかしいじゃないか』と言って、国会が停滞してると。じゃあ、これは、ちょっと間に合わないんで、待ついとまがないですね、ということで、じゃあ、緊急勅令出します、っていう風に、緊急事態宣言、出しちゃいますよ、というような。極端に言えば、そういうことが起こり得る」
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(※10)統治行為論:
憲法76条1項で、司法権はすべて裁判所に属することになっているが、国家統治の基本に関する「高度な政治性」を有する国家の行為については、たとえ裁判所による法律判断が可能であっても、司法審査の対象から除外するという理論。これまでに統治行為論が用いられた判決としては、砂川事件と苫米地事件がある。
日本で初めて統治行為論が用いられた砂川事件は、1957年、東京都砂川町(現在の立川市)の米軍基地拡張に反対する学生ら7人が、抗議行動の際に基地に立ち入り、刑事特別法違反の罪で起訴されたもの。
旧日米安全保障条約の合憲性が争点となったこの裁判で、1959年3月、東京地裁の伊達秋雄裁判長は、米軍駐留について憲法9条2項が禁じる戦力にあたり違憲だと判断、全員に無罪を言い渡した(伊達判決)。
検察は跳躍上告し、最高裁は「主権国としてのわが国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ高度に政治性を有するものというべきであって、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、その条約を締結した内閣及びこれを承認した国会の高度の政治的な意思自由裁量的判断と表裏をなす点がすくなくない」「一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは裁判所の司法審査権の範囲外」との統治行為論によって、原判決を破棄した。
砂川事件ののち、本格的に統治行為論を認めた判決として、苫米地事件がある。
1952年8月28日、第3次吉田茂内閣が、自民党内の権力闘争を理由に衆議院を抜き打ち解散。当時の衆議院議員の苫米地義三が、「衆議院の解散は憲法69条の場合に限られるにもかかわらず、本件解散は憲法7条3号のみに基づいてなされており、また国事行為たる天皇の解散行為には内閣の助言と承認が必要であるが、本件ではこれらを欠いていた」として訴えを起こした。
これに対して、国は「衆議院解散のように政治性の強い行為について裁判所は審査権を有しない」と主張し、解散の合憲性とともに裁判所による違憲審査権行使の可否についても争われた。
1960年、最高裁は「直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為のごときはたとえそれが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の判断が法律上可能であっても、かかる国家行為は裁判所の審査権の外にあり、その判断は主権者たる国民に対して政治的責任を負うところの政府、国会等の政治部門の判断に委され、最終的には国民の政治判断に委ねられているものと解すべきである」として、法的判断が可能かどうかにかかわらず、「高度に政治性のある国家行為」については審査できない、という判断をもって上告を棄却した。
参照:
・統治行為論不要説(九州大学学術情報リポジトリ)
【URL】https://bit.ly/3x6W04u
・今こそ「統治行為論」を消去せよ!(論座、2020年6月29日)
【URL】https://bit.ly/3rAWOxf
・「統治行為論がある限り政府の権限をコントロールすることは不可能だ」早稲田大・長谷部恭男教授が緊急事態条項に警鐘!仏、独、米の憲法体系を踏まえても「いらない」と断言! 2016.2.5(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3x7nHtR
「災害対策に緊急事態条項が必要」という詭弁! そこには「武力攻撃災害」が含まれていて、戦争にも適用される!
▲永井弁護士が指摘する自民党改憲案・国家緊急権の問題(3)戦争に適用できる (4)期間も無制限
岩上「それから、重要なこと。『災害』と書いてあるんですが、『戦争に適用できる』。
なぜなら、『「自然災害」ではなく「災害」』と書いてある。これ、重要で、『災害対策基本法の「災害」は自然現象だけでなく事故も含む(2条施行令1条)』に書いてあるそうです。
それから、『国民保護法(2条4項)に「武力攻撃災害」の概念』。『武力攻撃事態』じゃなく、『災害』という概念があって、『「災害」に武力攻撃災害が含まれうる』。
すでに、法文の中に、この『災害』というのは、武力攻撃災害が含まれるようになってしまってるので、ただ『災害』と書き込んだ場合は、武力攻撃災害が入る。ということは、緊急事態条項は、戦争に用いることが可能なんである。これはトリックですよね。ここまで、やっぱり、もう徹底的に法律を知ってる方じゃないと、とてもわかりませんが。
それから『期間が無制限』であると。『緊急権は発動の期間制限が』何にもない。『解除の規程もない。「いつまでも独裁」が可能』であると」
▲永井弁護士が指摘する自民党改憲案・国家緊急権の問題(5)なんでも立法可能 (6)効力を失う規定がない
岩上「そして、『立法内容にほとんど限定がない』。ほとんどってか、まったく限定がないですね。『「国民の生命身体財産を保護するため」なら政令を制定でき、「災害」と無関係な政令の制定も可能』。
『国民の生命身体財産を保護するため』にですね、隣国と大戦争をして、国民の生命身体財産を失うというですね、こともできるわけですね。名目ですからね。保護する名目で始めたことが、大災害を、大惨劇をですね、招くことだってあり得る。
『事後の歯止めが』何にもない。さっき、『国会の承認を必要とする』とあるんだけれども、『事後に国会の承認を必要とするが、承認が得られない場合に政令が効力を失う旨の規定がない』。
これ、目から鱗でした。国会の承認、必要だと言っているけれども、じゃあ、承認得られなかったんですか、ああ、そうっすか、って言ってるだけの話なんだと。あっそう、それは別にいいっすよ、つって、『政府の立法に対して国会の統制がまったく及ばない』って。だから、『権力濫用の危険』がとてつもなく高いと。『民主主義を根底から覆す「政府独裁条項」』であると。
こういうね、ご解説をですね、ざっとしていただいたんですけれども。あと、これですね。まだ、もうひとつあります」
▲緊急事態条項(2)第64条の2
岩上「『(64条)の2の方、2つあるんですね。『大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の普通選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の3分の2以上の多数で、その任期の特例を定めることができる』。何かこれ、ごくごく普通の文章に見えるわけですよね」
▲永井弁護士が指摘する自民党改憲案・人気延長の問題(1)独裁の危険 (2)広範な適用範囲
岩上「ところが、永井先生のご批判によりますと、まず、これ『独裁の危険』。『認定するのは国会。多数派のお手盛りで定められる。期間の制限や特例を解消する規定がない』。
だからこれは、いったん始まっちゃったら、いつ解除するんですか? その規定がないんですよ。で、議員が固定されるわけですね。そして、固定されて、総理大臣も固定される。どういうことかっていうと、選挙がなくなっちゃうわけですね。我々の手で、議員を変えることができない。
それから、『広範な適用範囲』。『「選挙の適正な実施が困難」だ』って、これもう、すごく抽象的なんで、恣意的に判断できちゃうわけで、『大規模災害では必ず多数の避難者が出るので選挙人名簿の住所地で投票できず「選挙の適正な実施」が困難と言える。過去の災害でも適用可能』である。どんなことでも、できるってことです。どんな言いがかりでもついて、できるという」
▲永井弁護士が指摘する自民党改憲案・任期延長の問題(3)武力攻撃事態を含む ほか
岩上「これは、さっき言ったことですね。『「自然災害」ではなく「災害」』。で、『武力攻撃事態を含む』という。
で、『立法事実が』そもそも『ない』。『任期延長は災害が発生した後に立法で災害対策を行う考え。しかし「準備してないことは」』、元々、『「できない」』。
早い話が、災害というのは、災害が起こってから『緊急事態だ!』とかって言って、権力を集中したらできるんですかって、そうじゃなく。で、災害対策が法のレベルでちゃんと日頃から対策を整え、おっしゃっていた基本法のようなもの、今回、コロナに、基本法が必要だとおっしゃってるのと相通じると思いますけれども、そうしたものを用意して、訓練をして、『日頃から立法等で準備をしておくべき』なんだと。
これが本来の筋なのに、何かのきっかけで、超ウルトラ強権を内閣に与えましょう、あとは、皆さんは黙れ、みたいなかたちですよね。
『そもそも災害対策は現行の法制度で対処可能・改憲は必要ない』『任期満了の選挙実施(公選法31条、32条)繰延投票(公選法57条) 選挙制度改革(憲法47条)』、こういったものであるんで、もう何にもやる必要はないと。
災害対策なんていうのも充分、今の法制度の仕組みで、運営はともかく、やろうと思えばできると。まだ、もちろん、法レベルでいろいろなことができる必要は、たとえば、この感染症に対する法はあるけれども、コロナは、もうひとつ別次元と見て作るべきだというご提言がありました。だけれども、今、自民党が狙ってるのはこれなんだ、っていう話なんですね。
さて、ちょっと小西先生のお考えをね、お聞かせ願いたいと思います」
小西洋之議員「この水曜日ですね、4月の28日に参議院の憲法審査会が開かれたんですけども。自由討議なので、各党発言したい人が手を挙げてですね、発言し合うんですけど、自民党議員のほとんどは、この緊急事態条項が必要だって意見を言ってましたですね。で、言ってたのは、戦争、災害、あと、コロナで緊急事態条項が必要だって意見を言っていたんですね。
ただ、共通するのは、どういう場合に必要なのと。今、ご説明いただいたように、自民党の、今、提言してる、2012年のは、もう本当、ハチャメチャですけど、歴史上あった、人類を苦しめてきた国家緊急権の悪い所を集めたような、とんでもない案でしたけど、それをごまかしてソフトに見せているのが、今、出されてる、この4項目の緊急事態条項なんですけれども。結局、どういう時にそういうのが必要なのか、具体的な説明がないんですね」
岩上「『戦争』と言ってる人は、いるんですね?」
小西議員「はい。戦争もいましたよ」
岩上「じゃあ、やっぱりそれ、考えてるんですね」
小西議員「たとえば、ここ、『大震災』って書いてますけども、日本は1000年に一度って言われる東日本大震災の経験がありますよね。じゃあ、東日本大震災の時に、今、ご説明いただいたような、国会がもうまったく機能しないので、内閣が国会の代わりに法律を作るような必要があったかっていうと、それは、なかったわけですよ」
岩上「ないです」
小西議員「むしろ、3月11日の大震災があって、私はもう、大震災があったその日に国会図書館に電話して、2つのお願いしたんです。
阪神大震災の時の法律、立法例と、かつ、関東大震災の時の立法例を、すぐ調べてくれと。そしたら、翌日には資料を、国会図書館、そろえてくれましたけど。つまり、東日本大震災、3月11日にあって、翌日には、われわれ国会議員は、未曾有の大震災を受けて、われわれがやらなきゃいけない法律を、過去の例から勉強して、立法体制にもう入ってた。当時の民主党ですけども。ですから、いらないんですね。
もう少し具体的に詳しくご説明すると、実は、東日本大震災の経験を踏まえて、次、南海トラフなどの恐ろしい震災が予想されてますから(※11)」
岩上「そうですよね」
小西議員「それに対処するために、災害対策基本法っていうのを変えたんです。憲法を変えるんじゃなくて、憲法の下の災害対策の要の法律は変えたんです。
じゃ、何を変えたかというと、東日本大震災の時に、臨時で病院を作る時の規制緩和が一部足りないってことが、経験的にわかったんですね。あと、非常に辛いことですけど、たくさんの死者の方が出た時に、死者の方を埋葬する時の法律のルール、これをもう少し柔軟にできるようにした方がいいっていうような教訓があったので、そういうことは新しく法律で整えたんですよ。
しかし、1000年に一度と言われる東日本大震災であっても、国会が役に立たないから内閣がやらなきゃしょうがない、内閣が法律作らなきゃいけないっていう事実は、ないんですね。これは、単にないだけじゃなくて、当時、政府で、東日本大震災を踏まえて、必要な法的措置の、専門家集めて審議会を開いたんです。そこでも結局そういう必要性って言われてないので。だから、立法事実からして、ないんですね。ない。
で、さらにいいですか?」
岩上「どうぞ」
小西議員「今の災害対策基本法の中にも、実は、こういう緊急事態のための制度っていうのがあるんです。何かって言ったら、『緊急政令』っていうのがあって。
緊急政令、これ、たとえば、東日本大震災の時、実際はそこまでのものは起きなかったんですが、一時期、心配されたんですけど、たとえば大震災が起きて、ガソリンが足りなくなるとか、あるいは、トイレットペーパーが足りなくなるとかなった時に、そういう買い占めをですね、止めるために、本当は法律なんかを作ったりする必要があるんですが。
それをもう、内閣が、政令にもとづいてやってしまう、あるいは、その買い占めの際に、これが一番重要なんですが、物価がガーッと値上がりする場合がありますよね。そうすると、一般の方が生活必需品、買えなくなるので、その物価を政府が統制する。物価の、物の値段を政府が決める。本来、これ、法律でないとできないんですが、それを、生活必需品については、そういう場合は政令でやっていいっていうのが、災害対策基本法の中に『緊急政令』っていう仕組みがあるんです」
岩上「それは、あれですね、たとえば、トイレットペーパーが市場原理で、どんどん100円が1000円と上がってきますよ。ダメ、それは150円で売らなくては、違反」
小西議員「(適正な価格で)なければダメだっていうのを。これはもう、政府が物の値段を一気に決めるわけです」
岩上「だから、投機ができなくなるんですね」
小西議員「はい、そうです。
普通は、それは法律でないとできないんですけども、今でも法律でいろんな、最近減ってますけど、価格を統制するのは、法律でやってる例はあるんですけども。それを、あらかじめ法律で、政令に授権するんです。こういう憲法の枠内で、というようなものがあるんですが。
ポイントはですね、そういう緊急政令の枠を広げる必要があるんだろうかと。東日本大震災の経験を踏まえて。これは、だから、国会が役に立たない時に、やむなく内閣が政令でやるって。それで、この緊急事態条項と考え方が非常に似てるんです。似てるんだけど、その緊急政令っていうものを、増やす必要があるかっていうと、結論からして『いらない』ってことになったんです。
今も、じゃあ、緊急政令で、何か事前に広げておくものがありますか、という風に政府が与党に聞いて、具体的な話、出てきたことないです」
岩上「なるほどね」
小西議員「そうすると、端から、いらないんですね」
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(※11)次、南海トラフなどの恐ろしい震災が予想されてますから:
南海トラフとは、静岡県の駿河湾から九州東方沖まで続く深さ約4000メートルの海底のくぼみ(トラフ)で、過去にマグニチュード8前後の地震が100年から150年の間隔で発生している。
政府の地震調査研究推進本部は、この南海トラフを震源域とする巨大地震について、2018年1月1日を基準日として、今後30年以内にマグニチュード8~9クラスの地震が起きる発生確率を70~80パーセントと発表した。
また、南海トラフでマグニチュード9.1の地震が起きた場合の被害想定について、最悪のケースで死者約32万人、負傷者約63万人、建物の全壊は約239万戸、経済的損失は約220兆円としている。
土木学会は2018年6月7日、南海トラフで巨大地震が発生した場合、発生から20年にわたる経済的な被害総額を1410兆円と試算した。
震災による直接の被害額170兆円に加えて、交通インフラの寸断や工場の長期操業停止、国民所得の減少など、経済的なダメージが20年続く影響として1240兆円の損害額を推計しているが、ここには地震による原発事故の被害は想定されていない。
参照:
・長期評価による地震発生確率値の更新について(地震調査研究推進本部、2018年2月9日)
【URL】https://bit.ly/3f1q3UJ
・津波評価(地震調査研究推進本部、2020年1月24日)
【URL】https://bit.ly/2UTyRoX
・南海トラフ被害、20年間で最悪1410兆円 土木学会推計(日本経済新聞、2018年6月7日)
【URL】https://s.nikkei.com/3eXvaFy
・「国難」をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書(土木学会、2018年6月)
【URL】https://bit.ly/3zAIiYY
国会を止めて内閣に権力を集中させる緊急事態条項。「民主主義国家で、国会を止めて、国民が幸せだった例があるんですか?」
岩上「しかも、ちょっとね、確認のためにお聞きしますけど、緊急政令なるものは、あくまで、たとえば、ひとつの具体的な項目についての政令であって」
小西議員「そうです」
岩上「で、そのために、いつまでも国会を停止させるだとか、そういう空洞化させてしまうだとか、政府が政令を制定する権限を永続的に持つとか、そうした話ではないということですよね」
小西議員「はい、そうです」
岩上「全然、本質的に違いますね」
小西議員「はい。国会は、今、いつでも開けるので。しかも、国会議員の3分の1がいれば開けますから。ですから、東日本大震災の時は、まさにあれ、国会が開いてる時に大震災が起きたんですけども、仮に国会が閉会中でも、すぐ国会を召集すればいいだけですので」(※12)
▲東日本大震災・津波によって浸水した宮城県仙台市宮城野区沿岸(2011年3月12日)。津波火災も発生した。(Wikipediaより)
岩上「そうですよね」
小西議員「で、国会が召集されれば、必要な法律を作ることができると。
なので、実は災害対策基本法の時も、国会が本当に招集できないような究極の事態を書いてあるんです。で、その時に、あらかじめ法律で緊急政令っていうものを内閣に授権しておくと。なので、考え方は同じなんです。
じゃあ、そういう具体的な必要性のある、さっきおっしゃられた、政令で定めるべき物価の統制だとか、具体的な災害対策のそういうものが、事項があるかっていうと、結論から言うと、それを誰も、まだ見つけられてないわけですよ」
岩上「隠された意図がなければ、大地震じゃなくて、さっき言った戦争ですね、その戦争というものも、日本人に正面から説いて、どうだ、この戦争はしなくちゃいけないでしょうと言って、みんながそうだねと、国を守るためにやろうと、『イエス』って、とても言えないような後ろ暗い戦争。
はっきり言って、望まれない戦争。アメリカにくっついてくだけの戦争。そういう、日本の主権のもとにないですね、指揮権もないね、戦争に、ただ行って、そして報復攻撃を受けてですね、日本が火だるまになるような、そんな戦争、賛成する人、『はーい』って言って、手挙げる人はいないわけですよ。
右派の人も聞いてね。本当に聞いてくださいね。そのミサイルは、あなたの頭の上に落ちてくるかもしれないんです。だから、皆、生身の、アパホテルの人たちも聞いといてください。あなた方のホテルは燃やされてしまうかもしれない。
それに、これ、国家総動員法と同じということを、長谷部先生(長谷部恭男教授)おっしゃったんですけど、国家総動員法、知らない方もいらっしゃるんですよね。今、やっぱり、ピンとこない人もいるんですけど。
これは1930年代に定められたものですが、国防授権法のナチスと、独裁と変わらないほどのね、強靭さをもって、まずは、人の命をですね、一銭五厘の赤紙で徴兵(※13)できるだけじゃなくて、銃後にいる普通の人々や、子どもや女性まで動員してですね、学校に行かせないで軍事工場で働かせて。ヒロポン(※14)打ちながら働かせてたんですからね。覚醒剤ですよ。覚醒剤、打ちながら、不眠不休で働かせていたようなことをしたりとか。
あるいは、富裕層の人も聞いといてね。富裕層の持っている財産というのも、徴発で根こそぎにしたんですよ。
それから、あと、MMT(※15)大賛成の人も聞いといてね。国債をガンガンにやって、軍費が足りませんから、国債をガンガンにやって、そして、その戦時国債(※16)を強制的に国民に買わせたわけですね(現在、日本の国債の水準は、大戦末期のレベルである)」
小西議員「で、戦後、紙くずになったわけですよ」
岩上「紙くずに、なったわけです。
で、戦争は来ないと思ってるっていう風な発言をする人が、政治家の中でも、MMT支持者の中でいらっしゃるんですけれども、来ないと思ってるって言うんだったら、今の、この事態をですね、まったく見えてないと言うしか言いようがない。こんな理不尽な(緊急事態条項の導入などは)、戦争目的以外にはあり得ないってことですよね」
小西議員「だから、真剣に災害対策を、これ一応、『大震災その他災害』って書いてるので、真剣に災害対策を考えているんだったら……」
岩上「やるもんじゃないですね」
小西議員「せめて、こういうケースがあるんじゃないんですかっていうことは、やっぱり、言えるはずなんですけど、そういう具体的な議論がない。つまり、立法事実がない。
もうひとつは、さっき弁護士の先生(永井幸寿弁護士)がですね、説明していただいて(※17)、要するに、濫用の危険があるっていうことですよね」
岩上「そうですね。というか、濫用を目的としている(※18)」
小西議員「何に使われるか本当にわからない。で、おっしゃる通り、この『災害』っていう言葉ですけれども、場合によっては戦争。戦争によって大災害、起きますから、そうしたものも読めるんじゃないかと。で、一回、そう読めるような条文置いちゃうと、やっぱり、使われてしまうので」
岩上「読んじゃいますよね」
小西議員「かつ、これ、自民党の解説のものがあるんですけど、党内で、やっぱり、『戦争の時の緊急事態が必要だ』という意見があったっていうの、わざわざ書いてあるんですよ」
岩上「書いてあるんですよね(笑)」
小西議員「書いてあるので、するとやっぱり、本音が透けて見えると」
岩上「見えます」
小西議員「なので、やっぱり、国会を完全に止めてしまうと、本当に内閣のやりたい放題になってしまいますから、その時に国民の皆さんが幸せにいれた例っていうのが、世界の民主主義国家の中で、国会止めて、行政権だけで好き放題やらして、国民の皆さんが幸せだった例ってあるんですかね? 多分ないと思いますよ」
岩上「一番近いところでの、第二次大戦中の日本の経験もあるんですけど、あの時ですら形式的には国会、動いてるんですよ。だから、それよりひどいんですよ」
小西議員「それよりひどい。だから、大政翼賛会よりひどい(※19)。大政翼賛会すらない」
岩上「ないんですよ。選挙もないんですよ(※20)。すごいんですよ。あの時、戦時中、選挙ありました。もちろん、大政翼賛会のもとの選挙でも。その選挙すらね、なくなるんです。すごいですよ。
これ、菅総理、至るところで、たとえば、国内でも国外でもですね、民主主義とですね、それから人権と、法の支配といった普遍的な価値をもってですね、私は断固としてね、一歩も下がらないと。譲歩しないと言う。
この間、前回、前々回ですか、CSISでですね、中国とは断固として、価値観が違うんだから、断固としてやると(※21)。いや、これ、まったく違う国になるんですけどと。中国の共産党も一党独裁ですけど、(緊急事態条項のもとでの全体主義国家は)そのレベルじゃないんです。中国でも積み重ねて会議を経るんですから。(自民党改憲案では)議会に立法権がないんです。だから、(中国の)全人代すらないって話。ないんですよ」
小西議員「そうですね。全人代すらないです。全人代って、中国の国会なんですけど、全人代すらない」
岩上「ないです。しかも永久ですしね。こんなのはちょっと、ナチ以外はないですね」
小西議員「あとですね、ちょっと、さっきの必要性のところで、今、気づいたんですけど、やっぱり、自民党も、こんなこと言いながら、災害対策、本気でないんです。で、何でかって言うと、今、菅総理は首相公邸に住んでないんですね」
▲首相公邸(首相官邸HPより)
岩上「そうですね」
小西議員「衆議院の議員宿舎に住んでるんですよ。で、先月、先々月か、ちょっと今、すいません、睡眠不足で疲れてパッと出ないですけど、福島、大きな地震があって、政府の対策本部が緊急招集されたんですが、菅総理は議員宿舎からすぐ駆けつけることができなくてですね、確か、30分ぐらい経って入って。しかも、なかなか迎えが来ないから、もう、自分たちで議員宿舎を出て、徒歩で官邸に向かったとか、何か報道がありましたけれども。
本当に災害のことを考えている総理、あるいは与党だったら、自民党が本当に災害のこと考えているんだったら、菅総理の首根っこつかまえて、すぐ首相官邸の横に、総理の公邸があるわけですから、そこに生活しろと。あなたが災害の司令塔なんだから、何かあった時に、すぐ。
首相官邸の下に災害対策の指令の本部があるんですね。そこに、まず総理は、すぐ入らないといけないので。総理がそこに、態勢をとれないといけないので。
それを考えると、本当に災害のことを考えてる、自民党は、考えてるんだったら、菅総理を総理公邸にちゃんと住まわせると。それを、前回の憲法審査会で言えばよかったですね」
岩上「安倍総理も(公邸に)行かなかったですね」
小西議員「はい」
岩上「だから、彼らは(災害対策には)本気ではない。彼らのやりたいことが戦争であるということ。それも、極端なファシズムの下で戦争すると。二度と民主主義に戻れないという。いつまでも独裁ですから、二度と戻れない、不可逆であるということに(彼らはしたい)んですよね」
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(※12)東日本大震災の時は、まさにあれ、国会が開いてる時に大震災が起きたんですけども、仮に国会が閉会中でも、すぐ国会を召集すればいいだけですので:
新型コロナウイルス感染省による日本国内の死亡者数は、2021年8月29日時点で累計1万5939人(厚生労働省)となり、 2021年3月10日時点における東日本大震災の、死者は1万5899人(警察庁)に匹敵する。コロナの犠牲者もまた「災害級」なのである。
にもかかわらず、菅総理は「お願いベース」としか言わず、国立病院の病床をコロナ病床にあてることすらしていない。それは、厚生労働大臣が「命令」できることなのに、なぜ「命令」しないのかと、岩上安身は、8月25日、菅総理会見の後で菅総理に質問状を送った。
「国公立の病院に対しては、災害や公衆衛生上重大な危害が生じている時には、厚労大臣が必要な業務の実施を求めることができると国立病院機構法とJCHO法の各21条に定められています。コロナは災害であり、公衆衛生の重大な危害です。厚労大臣は『命令』ができるのですが、いまだに『命令』を下したとは聞いておりません。ずっと『お願い』ベースであると説明されています。
厚労大臣が命令を下して、この197病院に全力を尽くしてコロナ患者を受け入れよ、と言えば、入院できずにいたコロナ感染者はかなりの程度、入院し、治療を受けられるはずです。厚労大臣が渋っているならば、総理がリーダーシップを取ればいいだけの話です。
これひとつをとっても、安倍・菅政権は、政府は全力を尽くさず、つまり『公助』はベストを尽くさず、『自助』のみを強調して、民間に行動制約や事業の制約を押し付けているだけである、ということになります」
岩上の質問に対して送られてきた回答は「国立病院機構においては、今回の感染拡大により東京都を中心に医療がひっ迫している状況を踏まえ、新型コロナ対応の病床を、東京全体で200床まで拡大し、全国の新型コロナ対策センターとしての役割を果たしてまいります」というもので、事実上のゼロ回答であった。
参照:
・25日の会見後に岩上安身が送付した質問に菅総理が回答! 岩上安身の質問に正面から答えない菅総理は、根本的なコロナ対策の失敗を認めず、大きく足りない数字が少しマシになったことに固執! 2021.8.29
【URL】https://bit.ly/3zxCf7Z
(※13)一銭五厘の赤紙で徴兵:
「赤紙」とは大日本帝国陸軍が発行した臨時召集令状の俗称で、用紙が淡い赤色だったことから、こう呼ばれた。
徴兵検査で現役兵とならなかった人や除隊後に予備役になった人など、平時は民間で生活する「在郷軍人」を戦局に応じて呼び出す際に使われた。
赤紙は郵送ではなく、役場の兵事係が家まで届けていたが、はがきのような紙1枚で、突然、戦地へ送られるため、当時(1937年まで)のはがきの値段、一銭五厘(いっせんごりん)を引き合いに、「兵士の命は一銭五厘」などと形容された。
参照:
・奈良県立図書情報館「徴兵から除隊まで」臨時召集令状(赤紙)
【URL】https://bit.ly/3znuwte
・一銭五厘(ことばさあち)
【URL】https://bit.ly/2WttNIa
(※14)ヒロポン:
メタンフェタミンのこと。メタンフェタミンは、アンフェタミンの窒素原子上にメチル基が置換した構造を持ち、アンフェタミンよりも中枢神経興奮作用が強く、精神依存性を持つ。日本の覚醒剤取締法によると「覚醒剤(フェニルメチルアミノプロパン)」とされている。
日本で戦時中、特攻兵や勤労者に使われていたが、ナチス・ドイツでも、メタンフェタミン(ペルビチン)が「電撃戦」に用いられていた。ペルビチン錠を服用した兵士は、眠気を感じない一方で、頭が賢くなるわけではない。そのような、判断能力を欠いて命令に従順であり、かつ疲れ知らずの兵士は「電撃戦」にうってつけだったためである。
参照:
・(再掲載)帝国日本で生まれ、ナチス・ドイツで人間の兵器化に用いられた覚醒剤!ヒトラーも薬物に溺れていた!『ヒトラーとドラッグ――第三帝国における薬物依存』~岩上安身によるインタビュー 第933回 ゲスト ジャーナリスト ノーマン・オーラー氏 2019.3.29
【URL】https://bit.ly/3t85nk0
・帝国日本で生まれ、ナチス・ドイツで人間の兵器化に用いられた覚醒剤!ヒトラーも薬物に溺れていた!『ヒトラーとドラッグ――第三帝国における薬物依存』~岩上安身によるジャーナリスト ノーマン・オーラー氏インタビューの配信にあたって 2019.4.30
【URL】https://bit.ly/38FYHjL
(※15)MMT:
現代貨幣理論の英語表記「Modern Monetary Theory」の略称。マクロ経済学理論のひとつである。
1990年代に米国の投資家、ウォーレン・モズラーらが提起していた理論だが、2018年の米下院議員選挙で、若者の貧困救済などを訴えて史上最年少(29歳)の女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員(民主党)が、財源に関してMMTに言及したことで脚光を浴びるようになった。
MMTの代表的な主張は、「自国通貨を持つ(政府が通貨発行権を有する)国は、限度なく通貨を発行できるので、財政赤字が拡大してもデフォルト(債務不履行)など起こりえない。政府は経済の安定と雇用のために、どんどん国債の増発(自国通貨での借金)を行い、積極的に財政出動すれば、国民は豊かになる」というものだ。
一般的に、際限のない国債増発は猛烈なインフレや金利上昇を引き起こす危険性が指摘されているが、MMT提唱の第一人者であるステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授は、「日本では、巨額の財政赤字でも、インフレも金利上昇も起こっていない。日本がMMTの正しさを証明している」と反論した。
これが、グローバリズムとアベノミクスで疲弊した日本社会への福音のように注目され、日本でもMMTブームが巻き起こった。
ケルトン教授は2019年7月に来日。衆議院第一議員会館の多目的ホールで行われた講演会には多くの聴衆が詰めかけた。
これまでの主流経済学の常識では、国債の大量発行は国債の信頼性が揺らぎ、ハイパーインフレが懸念されるが、MMTによれば、国債は(国内で消化されている限り)国の借金ではなく国民の資産なので、ハイパーインフレは起こらず、仮にインフレが起きるほど貨幣の流通量が増えた場合は、徴税によって調整(回収)すればいいという。
つまり、MMTが有効であるためには、国家に通貨発行権の主権があること、国家に徴税権(あるいは徴税能力)があることの2つが必須条件だが、日本で通貨発行権を有するのは政府ではなく中央銀行(日本銀行)であるし、インフレ防止策として増税がセットならば、国民の税負担は限りなく重くなる。
坂本雅子・名古屋経済大学名誉教授は、IWJの取材に対し、「現在の不況の最大の原因は、低賃金国への生産拠点の移転によってグローバル企業だけが利益を拡大し、国内経済を見捨てたこと。現代経済学は通貨の供給量だけに目をやり、肝心の多国籍企業の行動には目をつぶり、金融政策だけをいじろうとしている。デフレだから通貨供給量を増やせばいいという政策は間違いだ」と批判している。
参照:
・MMT(現代貨幣理論):その読解と批判(富士通総研、2019年7月1日)
【URL】https://bit.ly/3yiRRuF
・【IWJ検証レポート】「不況」を「デフレ」とすり換えるMMTでは日本経済は再生できない!MMT再考~ステファニー・ケルトン教授講演録から読み解く「現代貨幣理論」の本質 2020.6.5
【URL】https://bit.ly/3kwkZtp
・MMT(コトバンク、知恵蔵)
【URL】https://bit.ly/3jhgZhc
・(再掲載)「MMT論者は歴史的事実を無視している」! 松尾匡・立命館大学教授らが主張するMMTの難点を明石順平氏が明快に指摘!~岩上安身によるインタビュー 第941回 ゲスト 『データが語る日本財政の未来』著者・明石順平弁護士 2019.5.29
【URL】https://bit.ly/3mN4vQo
・「都知事選重要争点の財源問題を徹底議論!山本太郎候補の「都債15兆円起債!1400万都民に現金給付 10万円!」は実現可能か!?『ツーカとゼーキン』の著者がずばり検証!! ~岩上安身によるインタビュー 第1002回 明石順平弁護士に聞く!」 2020.7.1
【URL】https://bit.ly/38ti4w1
・【IWJ検証レポート】「不況」を「デフレ」とすり換えるMMTでは日本経済は再生できない!MMT再考〜ステファニー・ケルトン教授講演録から読み解く「現代貨幣理論」の本質 2020.6.5
【URL】https://bit.ly/3ytm9ej
・米国の政権移行期の空白を突いて 中国は包囲網を突破!? バイデン政権で「ワシントン・コンセンサス」へ回帰する米国の未来は復活か、没落か! 岩上安身によるインタビュー 第1023回 ゲスト 中国通エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 2020.12.2
【URL】https://bit.ly/2WwGC5e
・【第409-413号】岩上安身のIWJ特報!スクープ!日銀が発表した英語論文の謎 アベノミクス・黒田バズーカによる副作用の責任を逃れようと裏で金融緩和の出口を模索!? 岩上安身によるエコノミスト 田代秀敏氏インタビュー(前編) 2019.2.27
【URL】https://bit.ly/3zzN9Kv
・【第414-419号】岩上安身のIWJ特報!スクープ!日銀が発表した英語論文の謎 アベノミクス・黒田バズーカによる副作用の責任を逃れようと裏で金融緩和の出口を模索!? 岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー(中編) 2019.3.31
【URL】https://bit.ly/3zqI2MF
・【第420号-426号】岩上安身のIWJ特報!スクープ! 日銀が発表した英語論文の謎 アベノミクス・黒田バズーカによる副作用の責任を逃れようと裏で金融緩和の出口を模索!? 岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー2018.7.1(後編) 2019.6.30
【URL】https://bit.ly/3mKN6I6
・【第427-435号】岩上安身のIWJ特報!スクープ!日銀が発表した英語論文の謎 アベノミクス・黒田バズーカによる副作用の責任を逃れようと裏で金融緩和の出口模索!? 岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー 2018.7.1(後編) 2019.9.1
【URL】https://bit.ly/2WGmNZ9
・異次元金融緩和の重大かつ深刻な弊害!出口を模索しようにもわずかな金利上昇で日本経済は大混乱!? アベノミクスの無残な最期!~岩上安身によるインタビュー 第879回 ゲスト エコノミスト 田代秀敏氏 2018.6.18
【URL】https://bit.ly/38pEzSD
(※16)戦時国債:
戦時国債とは、第二次大戦中、戦費を調達するために大日本帝国政府が大量に発行した国債を指す。第二次大戦で敗戦した直後の日本の国債は国民所得比で267%であった。
日本政府は国内債務をできる限り償還するため、預金封鎖と大規模な財産税を実施した。1946年2月、預金封封鎖と新円への切り替えを同時に行い、国民の資産を差し押さえ、1946年、すべての国民を対象に10万円を超える資産に対して財産税(25~90%)を課し、国債元利償還を行った。
渋沢敬三大蔵大臣(当時)「国民に対してこんな申し訳ないことはない。私は焼き討ちを受けると思った」と述べている。
政府債務残高規模がGDP比200%を超える例は、近現代史をさかのぼっても先進諸国にはみられないが、2020年時点で、日本の政府債務残高はGDP比237.6%と、世界最悪になっている。
参照:
・河村小百合著「財政再建にどう取り組むか─国内外の重債務国の歴史的経験を踏まえたわが国財政の立ち位置と今後の課題」(2013年、『JRIレビュー』Vol.8,9)より
【URL】https://bit.ly/3yxLB2l
(※17)弁護士の先生(永井幸寿弁護士)がですね、説明していただいて:
自民党は、2012年の自民党改憲草案を改めて、2017年12月に「改憲4項目」を掲げた。この改憲4項目のうちに含まれる「緊急事態条項」について、永井幸寿弁護士が、「これは大変だ、旧案よりはるかに危険になっている」と訴えた。
2017年案では、緊急事態条項は第73条の2の1項、2項と、第64条の2に分散して定められている。第73条の2の1項は以下の通り。
「第73条の2 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる」
災害問題のエキスパートである永井弁護士は、「災害」には武力攻撃災害も含まれており、ほとんどの人は気がついていないが、「緊急事態条項」が戦争に用いられる可能性を指摘した。
さらに内閣が国会を飛び越えて「政令を制定できる」とは、国家緊急権の創設である。国会の内閣へのコントロールが全く失われ、ナチスの全権委任法のごとき「政府独裁条項」となり、国民主権が崩壊しかねない。
この国家緊急権の発動について「国会が機能しない場合」などの制約要件と期間制限を欠き、「いつでも」「いつまでも」国家緊急権を発動したままにできる内閣独裁を可能にする危険があると永井弁護士は指摘している。
参照:
・(再掲載)いつでも独裁が可能!? いつまでも独裁が可能!? 憲法で堂々と独裁を肯定!? より危険性が高まった自民党新改憲の緊急事態条項!~5.21 岩上安身によるインタビュー 第872回 ゲスト 永井幸寿弁護士 2018.5.21
【URL】https://bit.ly/3gLYqQE
・ほとんどの日本人が気づいていない!! 自民党改憲4項目の #ヤバすぎる緊急事態条項で、より高まったファシズムへの危険性!安倍総理は臨時国会の所信表明で改憲への強い執念を表明!全国民必見必読の岩上安身による永井幸寿弁護士インタビュー 2018.10.30
【URL】https://bit.ly/3jsWM84
(※18)濫用を目的としている:
2021年3月18日、自民党の下村博文(しもむら はくぶん)政調会長は東京都内で開かれた共同通信社放送協議会運営委員会で講演を行ない、「新型コロナウイルスの感染拡大に触れ、国家的危機に対応するための緊急事態条項を憲法改正によって盛り込むべきだとの意向を示した」と述べたと共同通信が報じた。
コロナ禍に便乗して、戦争遂行のための国民総動員体制の布石とは、まさに「火事場泥棒」だと共産党・山崎拓議員は、岩上安身のインタビューで述べている。
参照:
・改憲で緊急事態条項創設を 下村氏、新型コロナ対応(共同通信、2021年3月18日)
【URL】https://bit.ly/3DvMMTF
・6月9日、参議院憲法審査会で「国民投票法改悪案」可決!「コロナ危機に便乗して改憲論議を煽るのは究極の火事場泥棒だ!!」〜岩上安身によるインタビュー第1043回ゲスト 日本共産党・山添拓参議院議員 2021.6.9
【URL】https://bit.ly/3mM7M2H
(※19)大政翼賛会よりひどい:
大政翼賛会(たいせいよくさんかい)は、第2次世界大戦中の1940年10月、国防国家体制の樹立を目指して、近衛文麿首相を中心に作られた全国民的協力組織。
「大政」は天皇が行う政治、「翼賛」は力を添えて助ける、補佐するという意味がある。
内閣総理大臣が総裁、各府県知事が支部長となり、行政補助機関のような形で戦争協力体制を整えたが、1941年10月に東條英機内閣が発足すると、国民統制組織としての色彩を強める。
1942年4月には翼賛選挙に協力し、翼賛政治体制協議会から推薦を受けた候補者が当選の8割以上を占めた。
同年6月には各省の監督下にあった大日本産業報国会、大日本婦人会、町内会などを指導下に置き、国民統制の中核となった。
1945年6月、鈴木貫太郎内閣の下で国民義勇隊に統合され、大政翼賛会は解散した。
参照:
・史料に見る日本の近代 第4章立憲政治の危機 4-12 大政翼賛会
【URL】https://bit.ly/3zlEFGP
・大政翼賛会(コトバンク)
【URL】https://bit.ly/3gyuVRZ
・翼賛体制(コトバンク)
【URL】https://bit.ly/3DkBjGl
・『主婦の友』が「アメリカ人をぶち殺せ!」――大日本帝国の過激で珍妙な「戦争プロパガンダ」~現在に至る「自画自賛」の系譜を岩上安身が『神国日本のトンデモ決戦生活』著者・早川タダノリ氏に訊く! 岩上安身によるインタビュー 第678回 ゲスト 早川タダノリ氏 前編 2016.10.18
【URL】https://bit.ly/3DvjB32
・「平和」「未来」「安全」・・・ってホント!? 読売新聞にはじまる膨大な広告群がでっち上げてきた「原発の安全神話」を解体する!~岩上安身によるインタビュー 第686回 ゲスト 『原発ユートピア日本』著者・早川タダノリ氏 中編 2016.11.5
【URL】https://bit.ly/3gMRSkG
・恋愛も妊娠も再婚も禁止…って大きなお世話!「銃後の妻」の性をも監視した大日本帝国~岩上安身によるインタビュー 第696回 ゲスト 『「日本スゴイ」のディストピア』著者・早川タダノリ氏 後編 2016.12.9
【URL】https://bit.ly/38qU9xp
・歌劇、講談、浪花節・・・そして「萌えミリ」から『シン・ゴジラ』まで!? 日本軍が注目した「たのしいプロパガンダ」、その実態とは? 岩上安身によるインタビュー 第681回ゲスト 近現代史研究者 辻田真佐憲氏(前編) 2016.10.27
【URL】https://bit.ly/3gOrMOm
・「撤退」は「転進」に、「全滅」は「玉砕」に――嘘とデタラメと捏造の限りを尽くした「大本営発表」、その知られざる実態とは? 岩上安身が近現代史研究者の辻田真佐憲氏に訊く!~岩上安身によるインタビュー 第690回 ゲスト 辻田真佐憲氏 後編 2016.11.25
【URL】https://bit.ly/3mMiiqH
・現代の反日・嫌韓意識の根はどこにあるのか?歴史をひも解き、現代につながる「神話」の背景を探る! ~岩上安身によるインタビュー 第790回 ゲスト 国際日本文化研究センター教授・倉本一宏氏 2017.9.11
【URL】https://bit.ly/3sY5kHn
・豊臣秀吉の朝鮮出兵、明治時代の韓国併合―― 反復される神功皇后の「三韓征伐」神話、その起源と背景に迫る!~岩上安身によるインタビュー 第813回 ゲスト 国際日本文化研究センター教授・倉本一宏氏 2017.11.20
【URL】https://bit.ly/3DyLI1q
・(再掲載)倭国・百済・新羅の関係から見た日本と朝鮮半島の愛憎関係~現代まで続く「東夷の小帝国」観念の起源に迫る!~岩上安身によるインタビュー 第854回 ゲスト 国際日本文化研究センター教授・倉本一宏氏 2018.3.19
【URL】https://bit.ly/38txoc2
・(再掲載)白村江の大敗北を利用した権力闘争が専制国家「日本」の起源!? デタラメな軍事戦略は今も健在!? ~岩上安身によるインタビュー 第873回 ゲスト 国際日本文化研究センター教授・倉本一宏氏 第4弾 2018.5.28
【URL】https://bit.ly/3t7Iayf
・日本以外は「偽帝国」!? 日本の天皇は「地球上の総天皇」!? 安倍政権が礼賛する「神国ナショナリズム」の歴史に迫る!~岩上安身によるインタビュー 第853回 ゲスト 書籍編集者・前高文研代表 梅田正己氏(第一弾) 2018.3.15
【URL】https://bit.ly/3BltXAw
・(再掲載)幕末に水戸学が生み出したマジカルワード「国体」!日本史の中の天皇制 時の権力は天皇をどのように利用してきたのか!? ~岩上安身によるインタビュー 第883回 ゲスト 書籍編集者・前高文研代表梅田正己氏(第二弾) 2018.6.28
【URL】https://bit.ly/3yvMvwb
・(再掲載)古代から何度も断絶の危機を迎えた天皇制!平安以降の武家はなぜ天皇にとってかわらなかったのか!? 天皇家存続の謎を探る!~岩上安身によるインタビュー 第895回 ゲスト 書籍編集者・前高文研代表梅田正己氏(第三弾)! 2018.8.20
【URL】https://bit.ly/3mNS9rw
・天皇制ファシズムと「国家神道」、そして柳田國男が温存した「神道」のドグマとは? 岩上安身によるインタビュー 第707回 ゲスト 島根大学名誉教授・井上寛司氏(近代・現代編) 2016.12.15
【URL】https://bit.ly/3mNWGdd
・弾薬不足の責任は問われず「弾がなくても勝てる」と開き直り!? 日露戦争の「成功」体験と暴力的な朝鮮統治が人命の極端な軽視と虐殺の正当化までする民族差別の温床に!!~9.26 岩上安身によるインタビュー 第910回 ゲスト 明治大学・山田朗教授 第3弾 2018.9.26
【URL】https://bit.ly/3kwOdZm
・「改憲」の先にあるもの――日本会議と神社本庁は何を目指しているのか!? 安倍政権下で進む右傾化の真実に迫る!岩上安身によるインタビュー 第673回 ゲスト 上智大学教授・島薗進氏 2016.10.3
【URL】https://bit.ly/3kGxeUm
(※20)選挙もないんですよ:
2017年の自民党改憲案第64条2項は以下の通り。
「第64条の2 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の三分の二以上の多数で、その任期の特例を定めることができる」
ここでいう「任期の特例」には期間の限定はなく、10年でも、20年でも好きなだけ任期を延長することができる。
(※21)CSISでですね、中国とは断固として、価値観が違うんだから、断固としてやると:
菅義偉総理は、バイデン政権発足後初めてとなる対面の日米首脳会談を2021年4月16日に行い、「台湾海峡」を盛り込んだk日米共同声明を発表、中国側の強い反発を招いた。
菅総理はバイデン大統領との首脳会談の後、戦略国際問題研究所(CSIS)において、オンラインで講演を行った。
菅総理は、この講演で「私は、主権に関する事項、民主主義、人権、法の支配などの普遍的価値について、譲歩する考えはありません。中国が惹起する様々な懸案については、日本として、主張すべき点はしっかり主張し、中国側の具体的な行動を強く求めていく方針です」と述べた。
参照:
・米国訪問(首相官邸、2021年4月16日)
【URL】https://bit.ly/3gMI9Lc
・日米首脳共同声明「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」 (外務省、2021年4月16日)
【URL】https://bit.ly/3EVdSnU
・戦略国際問題研究所(CSIS)における菅総理講演(外務省、2021年4月16日)
【URL】https://bit.ly/3yuI2Kj
・駐日中国大使館報道官,日米首脳会談および共同声明における中国関連の内容について記者の質問に答える(中華人民共和国駐日本大使館、2021年4月17日)
【URL】https://bit.ly/3ofgOpI
改憲派が言う「衆院の選挙中に大災害が起きて国会議員がいない状態への対応」は、憲法の緊急事態条項ではなく法律で可能!
▲緊急事態条項(2)第64条の2
小西議員「それでですね、2つ目の条文で、ここでですね、これ何かって言うと、何か大きな地震とか起きた時に、国会議員がいない状況ができたら困るんじゃないかと。これ、選挙ができない場合っていう風に言ってるんですけど、これについて、具体的な与党の人たちが言ってる議論があるんですね。それは何かって言うと、参議院の緊急集会っていうものが、憲法上開けない時があるんじゃないかって。
どういうことかというと、憲法54条で、国会って衆議院と参議院の2つで国会なんですね。どっちか開けないと、これ、国会じゃないんです。というのは、法律は両院でそれぞれ可決しないといけないので。なので、常に衆議院と参議院が同時に開けないと、国会そのものが成立しないわけです。
ところが、衆議院が解散総選挙、内閣が解散で、解散総選挙で衆議院議員が選挙をしているときに、何か」
岩上「緊急事態が起きる」
小西議員「事が起きる。じゃあ、この時にどうするかっていうので、憲法54条で参議院の緊急集会。この時は、この参議院の緊急集会っていうもので、参議院だけで法律が作れるようになってるわけです。
これはもう、戦後、まさに緊急事態のことを想定して、国会を潰すんじゃなくて、そういう時は参議院という、国会が参議院だけで国会にしましょうって。まさにこれ、緊急事態を想定した憲法の条文だっていうのが、当時、憲法の担当大臣が国会でも答弁してるんですけどね」
岩上「しかも、これは、衆議院はね、解散総選挙があるじゃないかと。だから、同じこと、参議院あるんじゃないかと。いや、そうではなくて、参議院は(半数)改選するから、どんな時も必ずいるんですよね」
小西議員「そう。議員が必ず半分は絶対いるんです、参議院」
岩上「いるんですよ。頼もしいことに、いらっしゃる」
小西議員「なので、参議院っていう仕組みを作ってるわけですけども。ところが、改憲派の人たちが言ってるのはですね、いや、それはわかってると。ただ、欠陥があると。
具体的にどういうことかというと、憲法54条は、衆議院が解散された場合の参議院の緊急集会のことしか書いてなくて、衆議院が任期満了、これ、戦後、1回しかないんですけど、今度10月、今、来ようとして、任期が迫ってるんですけど。衆議院が任期満了で、選挙やってる時に大地震が起きると。で、この時の参議院の緊急集会の条文がない、っていう風に言うんです。
実はですね、これ、確かにそう見えるんですね。このことは、実はいろんな人が、やっぱり、議論してるんです。こう書いてますね。
『衆議院が解散されたとき、参議院は同時に閉会となる』と。解散された時、なんですね。『ただし、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる』と。
衆議院が解散された時に、国に緊急の必要がある時は、参議院の緊急集会を求めることができると書いてあって、衆議院が任期満了で、衆議院がいない時に、国に緊急事態が起きた時に、参議院の緊急集会ができるっていうのは、確かに日本語で書いてないんです。
で、これはいかんだろうと。なので、衆議院議員が任期満了でいなくなった時にですね、緊急集会、参議院ができるように、憲法改正すべきじゃないかっていう議論があるんですが、これ、実はですね、法律で解決することができるんですね」
岩上「なるほどね。とらまえる」
小西議員「で、それ、どうやるかっていうと、衆議院の任期、今度、確か10月の21でしたかね。間違えてたらすいません。議論のために、仮に10月の21としましょう。今の衆議院議員の皆さんの任期ですね。違ってたらごめんなさい」
岩上「菅政権の任期ですよね」
小西議員「任期ですね、衆議院の任期です。すると、10月21日、衆議院が任期で、衆議院議員でなくなるまでに、必ず衆議院の任期満了の選挙をするということを、国会法と公職選挙法で決めることができるんです。
そうすると、10月の21日より前に、必ず任期満了の選挙をやってしまえば、この選挙結果にかかわらず、衆議院議員は必ず途切れることなくいることになるので。すると、ここで言ってるような問題って起きないんですね」
岩上「なるほど」
小西議員「で、実はですね、参議院は、すでにそういう選挙のやり方、やってるんです」
岩上「なるほど」
小西議員「私の例で言うと、私の一番初めの選挙は、あ、2回目か、投票日が7月の10日なんですね。なんですが、その7月の10日の選挙の結果にかかわらず、すべての参議院議員が7月の26日までは、参議院議員でいれたんですよ。
だから、仮に7月の10日で落選しちゃってても、7月の26日までは必ず参議院議員で、6年間の任期は7月の26日まで。
つまり、任期で切れちゃう前に選挙をやってしまえば、任期満了で議員がいなくなることがなくなるんですね」
岩上「昔の(プロ野球)ドラフト問題でですね、空白の1日を使って、江川(卓)選手がですね、巨人に入ろうとしたって大事件(※22)がありましたけれども。そういう、一種の空白の期間が生じる可能性があるぞっていうことを、言い立ててるんだけど」
小西議員「生じないように」
岩上「すればいいだけの」
小西議員「法律で、できる」
岩上「それ、改憲でなくていいわけですね」
小西議員「それは法律で、できるわけ」
岩上「素晴らしい」
小西議員「それで終わり、の話」
岩上「ですね」
——————————————————————————————————-
(※22)空白の1日を使って、江川(卓)選手がですね、巨人に入ろうとしたって大事件:
1978年11月21日、作新学院高校と法政大学で野球部のエースとして活躍した江川卓(えがわ・すぐる)が、前年のドラフト会議の交渉権が切れ、次のドラフト会議が始まる直前の「空白の1日」を利用して、当時の野球規約の隙をつく形で読売巨人軍と電撃契約した事件。
これには江川の後見人の政治家も絡んでおり、江川事件と呼ばれて社会に大きな衝撃を与えた。
高校時代にノーヒット・ノーラン12回、145回無失点など数々の記録を達成し、「怪物」と呼ばれて注目を集めた江川は、1973年にドラフト1位で阪急(現・オリックス・バファローズ)に指名されたが、大学進学を理由に入団を拒否した。
法政大学に進学後は、東京六大学野球で歴代2位の通算47勝をマーク、在学中4連覇を達成して、1977年のドラフトではクラウン(現・西武ライオンズ)に1位指名されたが、これも入団を断り、アメリカの南カリフォルニア大学に野球留学する。
この頃から、元衆議院議長で作新学院理事長でもある船田中(ふなだ・なか)自民党副総裁が江川の後見人として交渉にあたるようになり、船田は江川の入団希望先は巨人だと発言している。
1978年11月20日、突然、アメリカから帰国した江川は船田邸に直行し、ドラフト会議前日の11月21日、巨人との入団契約を発表して世の中を驚愕させた。
ドラフト会議の前日は、どの球団にも獲得交渉権がないため、「江川は自由の身で契約に支障はない」というのが巨人の主張だった。
本来の「空白の1日」とは、交渉権が切れるギリギリまで遠隔地で交渉が続いた場合、球団関係者が次のドラフト会議に間に合わないことを想定して「調整日」として定められたものである。
江川と巨人の契約に他の11球団は猛反発、セ・リーグ事務局はこの契約を無効にするとし、11月22日のドラフト会議(巨人は欠席)では、阪神が江川との交渉権を獲得した。
球界は大混乱に陥り、金子鋭・野球コミッショナーは「江川を一度、阪神に入団させてから、巨人にトレードする」という苦肉の案を打ち出し、巨人の小林繁投手を阪神タイガースにトレードさせる形で事態の収拾を図った。
江川は大バッシングを浴びながら巨人に入団。9年間で135勝をあげ、1987年に現役を引退して野球評論家となった。
この事件を契機に、ドラフト制度のために球団を選べないのは憲法の「職業選択の自由」に反するのではないかとの議論が巻き起こり、衆議院法務委員会に、セ・リーグの鈴木龍二会長や川上哲治・元巨人監督ら5人の関係者が参考人招致されるなど、球界以外のさまざまな分野で波紋を呼んだ。
参照:
・プロ野球デキゴトロジー/11月21日 球界に激震!江川卓の「空白の1日」【1978年11月21日】(週刊ベースボール ONLINE、2017年11月21日)
【URL】https://bit.ly/3DkyTHV
・江川事件の空白の一日と言われるドラフト前日、江川卓と巨人に何が起きた?(SIMPLE.LOG、2021年8月18日)
【URL】https://bit.ly/2Y5gJtl
・江川卓プロフィール(週刊ベースボール ONLINE、選手データ)
【URL】https://bit.ly/3sOyEQq
安倍前総理が自民党・憲法改正推進本部の最高顧問に就任!「自民党議員の多くが安倍時代しか知らないから、安倍総理がおかしい人だと思わない」
小西議員「ちなみにこの話を、言っていいと思いますが、さっきお名前の出た憲法学者の長谷部先生にすると、長谷部先生、なるほどと、おっしゃっておりました。
長谷部先生は、いや、そういう場合でも、緊急集会やったらいいんだと。憲法に、逆にダメってのは書いてないんだから、そこの緊急集会で作られた法律を最高裁に持ち込んで、最高裁が違憲だっていうのは、さすがに言わないという風におっしゃって。
私も、それは、なるほどなと思うんですが。ただ、さっき申し上げたように、法律でやってしまえば、何の問題もないので。
これは憲法のあらゆる条文で、憲法の基本的な、コアとなる考えの下に、最後は法律で手当てする部分って、どこの憲法の条文にでもある話なので」
岩上「でしょうね」
小西議員「全然おかしな話(じゃない)。だから、そういう意味でも、ちょっと悪いけど、それぐらい勉強してくださいよと、自民党の皆さん。だって、参議院議員は、すでにそういう制度になってるわけですから、任期満了までに必ず選挙するように、今やってるわけですから。衆議院も、そういう風にやれば憲法改正なんかいらないでしょと」
岩上「いらないです。だけれども、『勉強してください』という言葉は、残念ながら相手には効かないんですね」
小西議員「そうですね」
岩上「まったく、この人(安倍前総理の顔写真を指す)には、多分、一生」
小西議員「無理ですね」
岩上「無理ですね。なんとですね、コロナ禍に向けて、菅政権がこっそりと、憲法審査会で、始めると。参議院でも始めたと。これは本気だなと。ゴリ押ししてきたなっていうの、感じるわけです」
▲改憲へ向け、自民党がさらに加速!! 病気療養中のはずの安倍前総理が自民党・憲法改正推進本部最高顧問に就任
岩上「で、大メディアが充分伝えない。だから、非常に忸怩たるものがあった時にですね、一方で、『改憲へ向け、自民党がさらに加速』で、『病気療養中のはずの安倍前総理が自民党・憲法改正推進本部最高顧問』『4月20日の自民党・憲法改正推進本部の会合で、同本部最高顧問に安倍晋三前総理が就任。衛藤征士郎・憲法改正推進本部長が明らかにした』と。
これね、どう思います? ひと言でけっこうです」
小西議員「ひと言、自民党はどこまでも恥を知らない。しょうがないんでしょうけどね。今の自民党のほとんどの議員って、安倍総理のもとで、選挙で当選した人たちが……」
岩上「そうですね」
小西議員「確か、3分の2を超えてるんですかね、自民党の若い議員。若い議員も、もう、安倍総理のもとで、全部で2012(年)、2014、2017って、3回総選挙やってますから。
だから、みんな安倍総理しか知らないんですよね。だから、安倍総理がおかしい人だと思わないのが、自民党の圧倒的多数の人たちなので」
岩上「カルトみたいなもんですよ」
小西議員「ですよね」
岩上「それで、何でここに来るのかなぁと思うんですよ。安倍総理って、ずーっと言ってきたのは、自分は立法府の長である(※23)とかね(笑)、すごいこと言うじゃないですか。で、それからあと、神羅万象を司る(※24)とかね、私は総理大臣ですよと。
それからこの人の奥さんに至っては、『国母』である(※25)と。国の母である、私はと。もう、何か、天皇陛下、皇后陛下を超えるようなね、発言が、本当にね、随所に現れたりしてきてるわけですけれども。
独裁者になるイメージというのは、菅さんにはあまりないんですよ。やっぱり、この方(安倍前総理)は、本気でやる気のお方なんじゃないかなと。
もちろん、米国の属国のもとの、傀儡国家の独裁者。米国が覇権をやってる時に、たとえば、イランのシャー(※26)とかね、そういうのは、傀儡国家の典型例ですけれども、もう、ぴったりなお方なんじゃないかなと思うんですよね」
小西議員「安倍総理は、ちょっと、こういうこと言うと、なかなかピンとこない方もいるかもしれないですけど、私なんか、安倍総理と8年間近く国会でやり合っているので、もう、肌身に染みてわかってるんですが。
安倍総理っていうのは、もう、我々とはまったく異次元の方なんですね。普通の方ではないんですよ、感性だとか、感覚だとかですね。宇宙人と言ったらあれですけれども、普通の人ではまったくないので。だから、そういう意味では、普通でない人が、普通でない思い込みを持って」
岩上「思い込みですよね」
小西議員「で、それを、何が何でもやらなきゃいけないっていう恐るべき存念を持ってる。その代表的なものが、日本国憲法というのは汚らしい恥ずかしい憲法で、その憲法を変えるのが、変えて日本民族を救うのが、自分の使命だっていうような発想で、改憲をやらなきゃいかん、っていう思い込みですね。
ところが、彼は、その日本国憲法の一番大切な価値、実は、憲法で一番大切な条文があるんですけれども。これ、小西説じゃなくて。憲法っていうのは法体系ですから、全部、論理的につながってるんですね。で、憲法で一番大切な条文っていうのは、憲法13条(※27)なんです」
岩上「幸福追求権」
小西議員「はい。そこに、すべての国民の皆さんが個人として、誰かまとめて大事じゃなくて、一人ひとりがかけがえなく大事だと。誰かが誰かに優劣して大事じゃなくて、みんな、かけがえのない尊厳、個人としての尊厳を持っていると。で、その尊厳を、国は守らなきゃ、社会は守らなきゃいけない。
で、守るために、今、おっしゃられた、みんなが幸福追求権、みんなかけがえのない存在を持った一人ひとりの国民が、たった一度きりの人生を、ささやかでも幸せになりたいって願う、これが幸福追求権なんですけども。そういう、国民がかけがえのない存在であり、生きていく上での幸福追求権を持ってるんだっていう、定めた条文が憲法13条。
だから、9条より13条が、なぜ重要か、偉いかっていうとですね、戦争によって起きることっていうのは、個人が殺されることですよね。個人の尊厳を、もっとも不条理に無残に奪い取るのが戦争なので、だから、その戦争だけは絶対に許さないっていう風に定めたのが、憲法9条なんです。
なので、日本国の総理大臣であり、かつ、総理になる前、彼、25年ぐらい国会議員やってたんですが、しかも、改憲をずっと唱えてたんですね。その人が、日本国憲法が一番大切な憲法13条、実は、まったく知らなかったんです。
で、彼が、個人の尊厳の尊重を定めた条文は何ですかって私が聞いたら、答えられない。今おっしゃった、幸福追求権を定めた条文は何条ですかって言ったら、また答えられない。私が予算委員会で、彼が政権とって、すぐやったんですよ(※28)」
岩上「何にも勉強してないですよね」
小西議員「なので、日本国憲法が何かということを、1ミリも理解していないし、理解しようともしてなかったのが、安倍総理なわけです。
なので、それぐらい、ある意味、宇宙人な人が改憲を唱えていて、今度、自民党の改憲の最高顧問になったという。なんと恐ろしい」
岩上「岸信介という人は、頭の切れた人だったと思いますけれどもね。それで、(北一輝の)『国家改造法案大網(※29)』を読んで、よーし、この、共産主義の利点を入れた国家社会主義をやってやると。結局、それはナチなんですけど、ファシズムなんですけど、それを、満洲国でやった(※30)わけじゃないですか。
そんなような人間が、今度はコロッとですね、米軍の手で助けてもらうとなったら、米国追従になったんですけど。
この人(安倍前総理)は、その孫であって、じゃあ、同じように頭の切れる人かっていうと、学生時代に読んでたの、『諸君』(※31)とね、『正論』(※32)しか読んでないんですよ」
小西議員「岸元総理は、東大を主席クラスで卒業したような人で、もう確信犯の」
岩上「そうですね。ファシストですよ」
小西議員「ファシスト、悪い政治家だと思うんですけど、安倍総理はですね、自分が言ってること、やってることの意味すら理解できない。そういうレベルの、実は政治家なんですね。だから、ある意味、本当に、ぞっとするほど恐ろしい」
岩上「だから、街宣右翼並みレベルだと思うんですよ。いやいや、本当に。全然いいです、何か文句あったら言ってきてください。だって、この方が読んできたのは、『諸君』『正論』、そして今だったら『WiLL』(※33)『Hanada』(※34)ですよ。で、わざわざですね、すべてのインタビューに応じない時に、『Hanada』、昨日言った花田紀凱さんのやってる、あの極右雑誌の、そのインタビューだけ受けるんですよ」
小西議員「Hanada、産経、フジテレビですよ(笑)」
岩上「もう、私はそこに思想的な寄りかかりがあります、みたいな話なんですけど。これ、『戦後レジームからの脱却』って言いながら、戦後レジームひとつも出てないです。『戦後レジーム』って言うんだったらば、やっぱり、(米軍に)占領された後、(米国から)主権をゆっくりと回復していくっていうプロセスがなきゃいけないのに、日米同盟強化ですからね。
(9条と緊急事態条項を導入する)憲法改正したって、(日米安保条約をそのままにした)日本が、じゃあ、自国の主権を回復するんですか。そうじゃなくて、逆に自国の軍隊、事実上の軍隊である自衛隊を、(米軍に)垂直統合されてしまい、指揮権もないんですよ。これ、韓国以下ですよ。
韓国は、この指揮権の問題に関して、国民的な議論をし、米国と交渉し、そして、平時においては指揮権は韓国軍にあるという風にした。でも有事の時には米軍にあるんだというのを、それを返せということを激しく言っているし、そういうの、マスメディアはちゃんと論じているしね。やらないんだったら、マスメディアの人々が激しいデモも起こしますし。
もう、何が、どこに、どう問題があるのかということを、我が国は、我が民族の運命は、我が手で決めるってことを、これは文在寅さんが言った言葉ですけど、それが貫かれてるんですね。
そんな議論が、日本ではまるでない。もちろん、この方(安倍前総理)にもない。我が民族の運命を米軍に決めてもらうっていうことに、何ら痛痒とか、矛盾とか、恐怖とか、屈辱とかを感じないというのは、戦後レジームの脱却でもなんでもない。戦後レジームの深化というか、あるいは、さらなる迷宮入り、ということだと言わざるを得ないですよね」
小西議員「2017年、2018年の、トランプ大統領が北朝鮮に、アメリカの空母や戦略爆撃機送った時に、繰り返し安倍総理は、『アメリカと100パーセント共にある』って言いました。100パーセント共にあるってのは、そこに何の論理も」
岩上「ないってことですよね」
小西議員「道理もヘチマも、何もないんです」
岩上「『100パーセント従属しますよ』ということですからね」
小西議員「ということですよね」
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(※23)自分は立法府の長である:
2016年5月16日、衆議院予算委員会において、山尾栞議員の質問に対する答弁で安倍総理(当時)は、以下のように発言した。
「山尾委員は、議会の運営ということについて少し勉強していただいた方がいいかもわかりません。
議会については、私は立法府の長であります。国会は国権の最高機関としてその誇りを持って、いわば行政府とは別の権威として、どのように審議をしていくかということについては、各党各会派において議論をしているわけでございます」
2021年年現在、衆議院の会議録上では「私は行政府の長」に修正されているが、逢坂誠二議員の質問主意書に「立法府の長」発言が残されている。
参照:
・第20号 平成28年5月16日(月曜日)(衆議院、2016年5月16日)
【URL】https://bit.ly/3BrJpvi
・安倍総理の「議会については、私は立法府の長」との発言に関する質問主意書 提出者逢坂誠二(衆議院、2016年5月19日)
【URL】https://bit.ly/3yvO8tN
(※24)神羅万象を司る:
2019年2月6日、参議院予算委員会で不正統計問題を野党に追求された際に、安倍晋三総理(当時)は、足立信也議員(国民民主党)に対する答弁で、「総理大臣でございますから、森羅万象全て担当しておりますので、報告書をですね、様々な、これ、日々様々な報告書がございますが、それを全て精読する時間はとてもないわけでございますし、世界中から、で起こっている、まあ電報等もあるわけでございます、ということは御理解はいただきたいと、こう思います」と、不正統計問題の調査報告書を読む時間が無かったと述べた。
参照:
・第198回国会 参議院 予算委員会 第1号 平成31年2月6日(国会会議録検索システム)
【URL】https://bit.ly/2WIzlPw
(※25)『国母』である:
「美塾」塾長である内田裕士氏が、「『国母として生きる』という志の昭恵さん」と書いたブログが話題になった。内田氏は2018年に「発言に関しては、5年以上も前のことで明確に記憶しておらず、僕が勝手に解釈をして、このように書いたかもしれません」と注記している。
参照:
・人のために美しく生きる「『国母として生きる』安倍昭恵さん」(美塾塾長内田裕士ブログ、2013年9月22日)
【URL】https://amba.to/3DvvCFM
(※26)イランのシャー:
シャーとは、古代イランのササン朝で使われた王の称号で、サファヴィー朝で復活、カージャール朝、パフラヴィー朝でも国王はシャーを称した。
本文中の「イランのシャー」は、イラン・パーレビ朝(パフラヴィー朝)第2代の国王、モハンマド・レザー・シャー・パフラヴィーを指す。日本では、パーレビ国王と呼ばれることが多い。
皇太子時代にスイスへ留学し、テヘラン軍事アカデミーでも学んだモハンマド・レザー・シャー・パフラヴィーは、第二次世界大戦下の1941年、英ソ両国の圧力で退位した王朝創設者の父レザー・シャーに代わり、21歳で国王に即位した。
1951~1953年、ソ連に接近していたモサッデク首相と石油国有化を巡って対立し、一時は国外退避をしたが、軍部とアメリカのCIAによる反モサッデク・クーデターの成功で帰国した。
以降、パーレビ国王はアメリカを後ろ盾に、農地改革、教育部隊の設置、工場労働者への利益還元、女性参政権の付与などを含む「白色革命」を進めた。
保守勢力からは「アメリカの傀儡政権」との批判を受けたが、秘密警察SAVAK(サバク)を使って反対派を弾圧し、独裁体制を築く。
1970年代に入ると石油の有限性や富の偏在性などの問題で国民の不満が高まり、1978年にはパーレビ王朝打倒デモがイラン全土で始まった。
1979年1月、イラン革命が起きるとパーレビ国王は国外に脱出、カイロ、モロッコを経てアメリカに渡った。
同年2月、パリに亡命していたイスラム教シーア派指導者のホメイニ師がイランに帰国し、イスラム革命政府が成立した。4月には国民投票を経てイラン=イスラーム共和国が誕生し、イランにシャーは存在しなくなった。
パーレビ国王は1980年3月、エジプトのサダト大統領の招きでカイロに戻ったが、4ヵ月後に死去した。
参照:
・シャー(世界史の窓)
【URL】https://bit.ly/3jjwaX6
・パーレビ(コトバンク、日本大百科全書)
【URL】https://bit.ly/3ksNwjG
・1978年12月、パーレビ王朝打倒のデモ (時事ドットコム・ニュース、世界の暴動 写真特集)
【URL】https://bit.ly/3ygnFAx
(※27)憲法13条:
第十三条全文は以下の通り。
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」
憲法第13条は「すべて人間は生まれながらに自由かつ平等で、幸福を追求する権利をもつ」という天賦人権説にもとづいて規定されている。
しかし自民党が2012年に発表した改憲草案では、「個人として」は「人として」に、「公共の福祉」は「公益及び公の秩序」と書き換えられた。
さらに自民党改憲草案の第13条の前、第11条、第12条には、次のように書かれている。
「第11条 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である」
「第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」
澤藤統一郎弁護士は、梓澤和幸弁護士、岩上安身との自民党改憲草案をめぐる鼎談の中で「『公共の福祉』という言葉は、(中略)だんだんと裁判所も、これは人権相互間が矛盾し、あるいは、人権相互間がどうしても両立できないときの調整原理だというふうに、読むようになってきている」と述べた上で、次のように指摘している。
「これが、人権に敵対をしていることは明らかです。その前の『自由及び権利には責任及び義務が伴う』というところ。
権利というのは、法技術ですから、権利と義務というのは、対になっているわけです。権利があれば義務になる。たとえば、基本的人権。これは権利だということになれば、権利の主体は、国民一人ひとりの個人であって、その権利に対応する義務の主体、それは国家、あるいは、国家の機関である地方自治体であるわけです。法体系は権利という概念を使って組み立てられているので、権利というのは当たり前のことなのです。なにも本来は『義務を伴う』なんて言う必要もない。
それは結局、『基本的人権といっているけれども、十全には認めないぞ』という宣言でしかないのです。現行憲法でも『濫用してはならない』という歯止めがありますが、これは当たり前のことです。精神の自由がある。あるいは言論の自由がある。
しかし、どんな言論をしても自由だという主張はあり得ない。どんな行動の自由があるといっても、殺人の自由はあり得ない。こうした当たり前のことを『責任及び義務が伴う』としているのは、『基本的人権として、お前たちが考えているものだって、十分には認めないよ』という宣言以外にはない。そうとしか読めません」。
さらに第13条で「個人」が「人」に変えられたことについて、澤藤弁護士は、以下のように述べている。
「今まで個人主義という言葉が定着しています。つまり、自由主義と個人主義です。自由主義というのは、結局のところ、個人を公権力が不当に規制してはならないということです。個人の尊厳、個人が大切だという考え方です。今まで、自由主義と個人主義がセットになって、個人が大切だと言ってきた。やっぱりその『個』という表現が、全体主義的な考えの方には、あまり好ましからざる言葉に聞こえるのではないでしょうか。個人主義はけしからん。個人主義ではなく、全体のことを考えろと」。
なお自民党は、この改憲草案に関する「Q&A」の中で、「現行憲法の規定の中には、西欧の天賦人権説に基づいて規定されていると
思われるものが散見されることから、こうした規定は改める必要があると考えました」、「憲法によって保障される基本的人権の制約は、人権相互の衝突の場合に限られるものではないことを明らかにした」と明記している。
参照:
・第154回国会 憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会 第4号(平成14年5月23日(木曜日))(衆議院)
【URL】https://bit.ly/2WGFGv1
・日本国憲法改正草案 Q&A(増補版)(自由民主党憲法改正推進本部)
【URL】https://bit.ly/38nWXeN
・【第74号】岩上安身のIWJ特報!― 自民党の憲法改正草案についての鼎談・第2弾~澤藤統一郎弁護士、梓澤和幸弁護士インタビュー(後編) 2013.1.25
【URL】https://bit.ly/3jw0mym
(※28)私が予算委員会で、彼が政権とって、すぐやったんですよ:
2013年3月29日、参議院予算委員会で、小西洋之議員は、安倍晋三総理(当時)に以下のように質問している。
小西議員「この今の政府の対応は、私なりの見方すれば、人権尊重意識の希薄さ、政府における人権尊重意識の希薄さを証する事件だと思います。これは、残念ながら、安倍政権だけではなくて、自民党という政党全体の課題であるというふうに私は認識しております。(中略)総理、三権の長である、行政のトップ、内閣総理大臣の立場としてお答えください。憲法の中で一番大切な条文を一つだけ挙げてください。何条ですか」
安倍総理(当時)「一つだけ挙げることはできません」
小西議員「もう一度聞きます。憲法の下で三権の行政権を率いて国民の権利と自由を守り福祉をつくる、そのための使命を帯びる、憲法上の使命を帯びる内閣総理大臣として、たった一つだけ挙げてください。どうぞ」
安倍総理(当時)「私は憲法遵守義務を帯びておりますから、一つだけ挙げることはできません」
小西議員「(前略)総理、憲法において包括的な人権保障、包括的な人権規定と言われる条文は何条ですか。安倍総理、どうぞ答えてください」
安倍総理(当時)「今そういうクイズのような質問をされても、暫定予算を議論をしているわけでありますから、余り生産性はないんじゃないですか。それだったら、そういうのを聞くんだったら、私に聞かなくても調べればいいじゃないですか」
小西議員「私は知っています。今総理が答えられなかったことは、大学で憲法学を学ぶ学生が一学期でみんな知っていることですよ。
重ねて聞きます。総理、総理は、日本国憲法において包括的な人権保障を定めた条文、何条か知らないという理解でよろしいですか。どうぞ」
安倍総理(当時)「これは、済みませんけど、大学の講義ではないんですよ。国会で大切な暫定予算の議論をしているんですよ。こんなやり取りが生産的ですか」
小西議員「暫定予算の質問にふさわしくないと言いましたけれども、憲法の中で最も大切な条文の位置付け、またその内容を知らずに予算を編成し執行すること自体が内閣として失格なんですよ。
まあ、そのことおきます。じゃ、今総理は人権の包括規定を知らないということをこの国権の最高機関の委員会の議事録に付させていただきました。
では、聞きます。総理、個人の尊厳の尊重、個人の尊厳の尊重を包括的かつ総合的に定めた条文は何条ですか、憲法、日本国憲法何条ですか」
安倍総理(当時)「まず、余り人を指さすのはやめた方がいいですよ。これは人としてのまず初歩ですから。そのことは申し上げておきたいと思います」
小西議員「指さすのは、やむにやまれぬ、国民のためにやむにやまれぬとき以外はしません。
では、今、私が問うた質問。個人の尊厳の尊重を包括的に定めた総括的な規定は何条ですか、憲法第何条ですか」(中略)
小西議員「この条文は、私が問うている条文、じゃ、今議事録として、総理は幸福追求権を定めた条文を知らなかったということを私は付させていただきます。
総理、今総理が答えられなかった条文は、総理が声高に言っている普遍的価値の実現あるいは法の支配の実現、その中枢を成すものです。また、日本国憲法が何のためにあるのか、日本国憲法の下で立法府、行政、司法が何のためにあるのか、全てそこに行き着く究極の条文なんですよ。憲法第十三条ですよ。憲法第十三条を知らない。憲法五十条から五十七条までの条文が分からなくても、具体的、個別に言えなくても、憲法十三条が分からないというのは、これは驚愕の事実ですよ、総理。あきれます。
じゃ、総理、じゃ、総理、今お手元に自民党の憲法改正草案で憲法十三条の新旧対照表がありますよね。憲法十三条、日本国憲法の憲法十三条を見て、御自分の言葉で日本国憲法の憲法十三条の意味を説明してください、御自分の言葉で」
参照:
・第183回国会 参議院 予算委員会 第8号 平成25年3月29日(国会会議録検索システム)
【URL】https://bit.ly/3jt05fy
(※29)(北一輝の)『国家改造法案大網』:
国家社会主義者として知られる北一輝(1883-1937)の著作。1919年に『国家改造法案大網』として発表したが発禁となった。1923年に加筆修正の上改めて『日本改造法案大網』として出版された。『日本改造法案大網』は8つの「巻」から成る。
「右翼的国家主義的国家改造」の必要性を訴える「緒言」では、「擧國一人ノ非議ナキ國論ヲ定メ、全日本國民ノ大同團結ヲ以テ終ニ天皇大權ノ發動ヲ奏請シ、天皇ヲ奉ジテ速カニ國家改造ノ根基ヲ完ウセザルベカラズ」と、天皇を中心とした国家の改造を訴えている。
「巻一 國民ノ天皇」は、「憲法停止。天皇ハ全日本國民ト共二國家改造ノ根基ヲ定メンガ為二天皇大權ノ発動ニヨリテ三年間憲法ヲ停止シ兩院ヲ解散シ全國ニ戒嚴令ヲ布ク」と、天皇による戒厳令を求める。
「巻二 私有財産限度」は、「日本國民一家ノ所有シ得ベキ財産限度ヲ壱百萬圓トス」と、私有財産の上限を定める。
北が唱えた国会社会主義は、2.26事件(1936年)を起こした将校らに大きな影響を与えたとし、北は思想的指導者の1人として1937年に処刑された。
参照:
・『日本改造法案大網』(国立国会図書館デジタルコレクション)
【URL】https://bit.ly/3gJcydu
(※30)それはナチなんですけど、ファシズムなんですけど、それを、満洲国でやった:
岸信介元総理は、東京帝大で国粋主義を唱える上杉慎吉に学び、卒業後、農商務省、商工省で、経済・産業を国家の統制下に置く社会主義的政策である統制経済で官界のホープといわれる。
満州国の開発を急ぐ関東軍から能力を評価され、1936年に渡満、満州国国務院実業部総務司長に就任。その後、産業部次長、総務庁次長などの役職で、ソ連の計画経済を模した統制経済である満州産業開発5ヶ年計画を強力に推進した。
当時満州では、関東軍参謀長の東条英機と満州国総務長官の星野直樹、満鉄総裁の松岡洋右、満州重工業開発総裁の鮎川義介とともに「二き三すけ」と呼ばれ、満州の実力者となる。
関東軍は機密費作りのために満州国でアヘンの原料となるケシを栽培。アヘンは満州国の財政を支え、関東軍の謀略資金となった。
岸は資金面で関東軍を支えた。
参照:
・昭和の妖怪・岸信介は「アヘン密売」で絶大な権力を得た!? 今さら聞けない「満州国の裏面史」(現代ビジネス、2016年7月31日)
【URL】https://bit.ly/3zBmtck
・岸信介はこうして「極刑」を免れた~明かされるGHQ尋問の真相(現代ビジネス、2016年9月25日)
【URL】https://bit.ly/2WxJ5fc
・太田尚樹『満州裏史』(講談社)
(※31)『諸君』:
株式会社文藝春秋が発行していた月間オピニオン雑誌『諸君!』のこと。
1969年5月に創刊、2009年5月発行6月号をもって休刊となった。
朝日新聞や岩波書店などの左翼論壇に対抗する保守的な雑誌として創刊され、三島由紀夫、福田恆存、小林秀雄、江藤淳ら、多くの保守系論壇人が寄稿したが、左派や若手、新人にも門戸を開いていた。
元編集長の仙頭寿顕(せんとう としあき)は、「反体制」ではなく「反大勢」雑誌だったと述べている。
参照:
・『「諸君!」のための弁明: 僕が文藝春秋でしたこと、考えたこと』(草思社)
・「諸君!」が休刊へ 創刊40年、部数低迷などで(産経新聞、2009年3月3日)
【URL】https://bit.ly/3mLOKcB
(※32)『正論』:
産業経済新聞社が1973年に創刊した月刊誌。
1990年代半ばからは、「新しい歴史教科書をつくる会」と歩調を合わせ、反中、嫌韓、朝日新聞批判、反原発批判などの論調で部数を拡張した。
最新号(2021年9月1日発売、10月号)の主な記事と執筆者は以下の通り。
・勝てる軍事力を持て㊦ 前内閣総理大臣 安倍晋三/元陸上幕僚長 岩田清文/元内閣官房副長官補 兼原信克
・地方の廃校を狙う中国エリート学校 産経新聞論説副委員長 佐々木類
【特集 五輪で浮かび上がったこと】
・酷かったマスコミ報道の煽りと変節 経済評論家 上念司
・ずさんな日本ネタで国情院壊滅狙う韓国 ジャーナリスト 櫻井よしこ
【連載】
・巻頭コラム 激流世界を読む 田久保忠衛
・フロント・アベニュー 麗澤大学教授 八木秀次
・君は日本を誇れるか 作家 竹田恒泰
参照:
・月刊正論最新号(産経新聞社)
【URL】https://bit.ly/3juLAIh
(※33))『WiLL』:
ワック株式会社が出版する、保守系月刊誌。
文芸春秋社で『週刊文春』、月刊誌『マルコポーロ』の編集長をだった花田紀凱(はなだ かずよし)氏が、1995年に『マルコポーロ』で、西岡昌紀によるホロコースト否認論を掲載し、サイモン・ウィーゼンタール・センターから抗議を受け、廃刊したことをきっかけに退社。
2004年に花田氏がワックで創刊した。
元朝日新聞記者で現株式会社金曜日代表取締役社長が、朝日新聞記者時代に書いた韓国人元慰安婦金学順さんの証言に関する2件の記事をジャーナリスト・櫻井よしこ氏が「誤報」「意図的な虚偽報道」と批判し、植村氏が櫻井氏を名誉毀損で提訴した裁判で、植村氏は櫻井氏とともに、ワック、新潮社、ダイヤモンド社を提訴した。
参照:
・WAC
【URL】https://bit.ly/3mR9UGf
・脅迫が横行する現状でもなお、「捏造記者」という虚偽のレッテルを張って誹謗中傷を繰り返す櫻井よしこ氏に対し提訴! ~元朝日新聞記者・植村隆氏インタビューを再配信! 2015.2.15
【URL】https://bit.ly/3ysJpsR
・「櫻井よしこさんは、私の記事を読んでいないのでは? 間違った事実を元に『捏造』と言われても困る」~岩上安身によるインタビュー 第518回 ゲスト 植村隆氏 2015.2.20
【URL】https://bit.ly/3t4dUV8
・産経新聞が櫻井よしこ氏のコラムを訂正するも謝罪なし!元朝日新聞記者・植村隆氏に対する不当な「捏造」批判の根拠崩れたにもかかわらず、産経はなぜ詫びないのか!? 〜6.4植村隆氏記者会見 2018.6.4
【URL】https://bit.ly/3mNMkKK
・【速報】櫻井よしこ氏のずさんな取材を司法が追認!? 植村隆氏の名誉を毀損したが「捏造」と信じたのは仕方なかった!? 「言論で勝って裁判で負けた、悪夢のような判決」! 2018.11.9
【URL】https://bit.ly/3Dwajnk
・櫻井よしこ氏は、なぜ司法に「特別扱い」されたか? 改憲運動を草の根で推進する「日本会議の広告塔」だからではないか!? 11.9 植村隆氏裁判札幌地裁判決後の報告集会でIWJ代表・岩上安身が緊急事態条項の加憲に警鐘を鳴らす! 2018.11.9
【URL】https://bit.ly/3yv15UR
・「ジャーナリスト」櫻井よしこ氏への名誉毀損訴訟 まさかの不当判決!!「悪夢のような判決。言論で勝って、法廷で負けてしまった」~11.10 岩上安身によるインタビュー 第918回 ゲスト 元朝日新聞記者で現・週刊金曜日発行人 植村隆氏・小野寺信勝弁護士 2018.11.10
【URL】https://bit.ly/3kB23dj
・「私は歴史修正主義者ではないし日本会議とは何の関係もない」!? 植村隆氏による名誉毀損裁判の判決を受け、櫻井よしこ氏が日本外国特派員協会での記者会見で弁明連発!墓穴掘りまくり!! 2018.11.16
【URL】https://bit.ly/2UZbev8
・櫻井よしこ氏、なでしこアクション山本優美子氏らが映画『主戦場』出演は「だまされた」と抗議声明を発表! 2019.6.4
【URL】https://bit.ly/38ofSpP
(※34))『Hanada』:
花田紀凱氏が2016年にワックを退職し、2016年4月に飛鳥新社で創刊した月刊誌。
花田氏がスタッフごと引き連れて移籍したため、内容もデザインも執筆陣も、『Will」とほぼ同じ。
参照:
・飛鳥新社
【URL】https://bit.ly/3BqUAnL
・おお!右派雑誌『WiLL』分裂騒動はついに第2幕に移ったか(ヤフーニュース・篠田博之、2016年4月23日)
【URL】https://bit.ly/2V2a0zt
「米国の戦争に自動参戦する日本」を作った安倍前総理、なんと原発の新増設を求める自民議連の顧問にも! 「原発と戦争」を同時推進する究極の矛盾!
岩上「で、ちょっと先へ急ぎますね。『「原発を抱えたまま米国の戦争に自動参戦」する仕組みを作った』のは、安倍総理なんです。集団的自衛権行使容認及び、安保法制によって」
▲「原発を抱えたまま米国の戦争に自動参戦」する仕組みを作った安倍前総理張本人が原発の新増設を求める自民議連の顧問に!
岩上「さらには、原発を温存するということをずっと進めてきたのが、あろうことか、温存どころか、あるいは再稼働どころか、原発の新増設を求める自民議連(※35)の顧問になるという。衝撃です。
『4月12日、脱炭素社会実現には原子力発電が必要と訴える自民党の議員連盟が発足し、設立総会を開いた』と。『議連は、次期エネルギー基本計画に、原発の新増設や建て替え推進を明記するよう政府に求める』『顧問に就任した安倍前総理は「エネルギー政策を考える上において、原子力としっかり向き合わないといけないのは厳然たる事実だ」と語った』。
私ね、戦争してはいけないと、それこそ昔の自民党の保守本流、すごいハト派のね、池田勇人さん(※36)であるとか、そういう時代のね、軽武装でいくんだとか、そういうことを言ってる人はですね、原子力を増進してっちゃいけないんですけれども、言ってるってのは、まだ、わかりますよ。
片方でですね、隣国と戦争するんだって、敵基地攻撃もやるんだって言ってる人間が、あろうことか(原発)新増設までやろうという、この究極の矛盾。
頭の中が、どうやったらそういう風に納まるのかが、僕、ちょっと理解できないんですよね。本当、何かおかしくなってません? って思わざるを得ないですね」
小西議員「あとで出てきますけども、日本がアメリカのために集団的自衛権発動したら、集団的自衛権ってのは、アメリカ軍にどっかの国の軍隊が攻撃してて、それを守るために自衛隊が、この国の軍隊を叩くのを、これが集団的自衛権ですけど、これをやった瞬間に、日本が、この国から反撃や報復を受けるんですけども。
集団的自衛権を、日本がアメリカを守るためにやったら、日本は相手から反撃、報復を受けますかっていうことを、政府は一貫して、『受けます』っていう答弁はしなかったんですね」
岩上「おかしいって。だから、空想的な政治してるんじゃないんだって」
小西議員「だから、それを去年、初めて私、反撃を受けて、場合によっては大規模な、日本国民の命にかかわる被害が生じるっていうの、初めて答弁させたんです(※37)」
岩上「誰が言ったんです?」
小西議員「岸大臣に。今の防衛大臣に」
▲岸信夫防衛大臣(IWJ撮影、2021年7月6日)
岩上「それまで、ずーっと、とぼけてた」
小西議員「それまでは、何度言っても答弁拒否を連発して答えなかったわけですよね。だから、おっしゃる通り、安倍総理がやってることって、実は、国民を本当に守るためにやってることなのかどうかっていうのが、さっぱりわからない。
ちょっとですね、さっきのここで、今の政治状況で、ひとつご説明、大事なことなんすが。
結局、どういうことかというと、安倍総理が退いてから、今、菅総理ですね、菅総理は確かに安倍総理のように憲法改正についての強い思い込み、存念は、多分ないと思うんです。
なので、この衆参の憲法審査会について、安倍政権の時代は、安倍総理自ら憲法審査会、とにかく開くべきだってこと、わんわん言ってましたから。するとやっぱり、憲法審査会の現場で、憲法審査会を開かなきゃって強い圧力があったんです。
ところが、今、菅総理の、その発言がないわけですね。そうすると、改憲派としてどうやって憲法審査会、動かすかとすると、もう、菅総理自身はそういうこと言わないんだから、だったら自民党の中で、憲法審査会、動かさなきゃだめじゃないかっていう圧力を、もっと強めると。
そのために、まさに、(安倍前総理に憲法改正推進本部の)最高顧問に就任していただいて、ご本人も喜んで就任したと。そういう政治的な意味がある」
岩上「なるほど」
小西議員「そこは、すごく重要」
岩上「(改憲案が)ものすごく危険な内容であるということは、わかったと思います。非常に危険です。指揮権は日本にないんだということが重要です。何度も言いますが、右派の皆さんこそ聞いてください。自国が普通の国になりたい、軍隊持った普通の国になりたいっていうのは、主権国家ってことですよね。
自国の軍隊をコントロールできないということほど恐ろしいことはないわけで、そのコントロールというものを、米軍にされてしまうと。
そして、米軍と集団的自衛権を結んでいるので、米軍の都合で戦争が始まり、攻撃を受けたぞって言ったら、もう、すっ飛んで行かなきゃいけないという。これは本当に危険なことであると。
そして、それの具体的な例でですね、今日はですね、小西さん、お話しくださるという。
もう、これ、本当に身近に、今そこにある危機ではなくて、ついそこにあった危機なんですよ。これをぜひ、お話しいただければなと思います」
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(※35)原発の新増設を求める自民議連:
2021年4月12日に発足した自民党有志議員による「脱炭素社会実現と国力維持・向上のための最新型原子力リプレース推進議員連盟」のこと。
会長に稲田朋美元防衛大臣が就任、顧問には安倍晋三前総理、甘利明元経済産業大臣、額賀福志郎元財務大臣、細田博之元幹事長らが名を連ねている。
2011年3月11日の東日本大震災で、東京電力福島第一原発が国際原子力事象評価尺度で最大級の危険度とされるレベル7の事故を起こして以来、日本政府は原発の新増設を認めていない。
菅義偉政権も、現時点では原発の新増設やリプレース(建て替え)は想定していないというが、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。
同議連は「脱炭素」を切り口に、政府が今夏にも策定する次期エネルギー基本計画に、原発の新増設やリプレースの推進を明記することを目指す、としている。
さらに、政府の基本計画にある「可能な限り原発依存度を低減する」という文言を削除すべき、との考えも示した。
稲田会長は設立総会で、「震災後は新しい原発の建設がなされず、(原子力を扱う)技術や人材が枯渇の危機にある」と述べ、顧問の安倍前総理も「原子力と向き合わなければいけないのは厳然たる事実だ」と強調した。
参照:
・原発新増設を推進、自民議連が設立総会 安倍氏ら顧問(日本経済新聞、2021年4月12日)
【URL】https://s.nikkei.com/3Bf4lFA
・原発の新増設求める自民議連発足、脱炭素に必要と主張-会長に稲田氏(ブルームバーグ、2021年4月12日)
【URL】https://bit.ly/3mBy5Zb
・原発建て替えへ新議連 自民有志(産経新聞、2021年4月12日)
【URL】https://bit.ly/3zt6Svy
(※36)池田勇人さん:
池田勇人(いけだ・はやと)。1960年7月19日から1964年11月9日まで内閣総理大臣。 さまざまな経済政策で日本の高度経済成長を推し進め、1964年の東京オリンピックを実現させた。
大蔵官僚出身で、政界へ転身後は吉田茂内閣で大蔵大臣などを務める。
タカ派の岸信介総理が60年安保(日米安保条約改定)の混乱の責任をとる形で辞職した後、内閣総理大臣に就任。軽武装・経済重視路線のハト派として知られる。
1899(明治32)年、広島県に生まれ、京都帝国大学法学部を卒業後、大蔵省に入省。主計局長として終戦を迎え、1947年、第1次吉田茂内閣で大蔵省の事務次官となる。
1949年の衆議院議員選挙に出馬して政界入り。財政問題や税制に詳しいことから、1年生議員としては異例の抜擢を受けて第3次吉田内閣の大蔵大臣となり、経済安定9原則によるインフレ収拾に尽力した。
1950年12月7日の参議院予算委員会で、米価の高騰について質問された際、「所得に応じて、所得の少ない人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うというような、経済の原則にそった方へもっていきたい」と話した言葉が、吉田内閣に批判的な新聞に「貧乏人は麦を食え」との見出しで報道され、本人の発言と誤解されて大きな批判を浴びた。
1957年6月、自らの政策集団である宏池会を旗揚げし、1960年の安保闘争の影響で岸内閣が倒れると、自由民主党第4代総裁に就任、内閣総理大臣となる。
総理就任後は「寛容と忍耐」のキャッチフレーズで、国民との対話姿勢を重視。
また、「10年で国民の給料を倍にする」とした所得倍増計画など、経済重視の政策によって日本の経済発展を軌道に乗せた。
OECD加盟など国際社会でも先進国入りを果たし、1964年には東京オリンピック開催にこぎつけたが、五輪閉会式の翌日、喉頭がん治療のために首相退陣を表明。1965年8月13日没。
参照:
・近代日本人の肖像 池田勇人(国立国会図書館)
【URL】https://bit.ly/3DmCOnz
・池田勇人総裁時代(自由民主党・公式サイト)
【URL】https://bit.ly/3Bk6b7Y
・「寛容と忍耐」で経済成長路線を打ち出した池田勇人(本の話WEB、文春写真館)
【URL】https://bit.ly/3BgZ0Oa
(※37)去年、初めて私、反撃を受けて、場合によっては大規模な、日本国民の命にかかわる被害が生じるっていうの、初めて答弁させたんです:
2020年12月1日に開催された第203回国会 外交防衛委員会 第5回で、小西洋之議員は、岸信夫防衛大臣に対して、以下の質疑を行った。
○小西洋之君 じゃ、これも質問通告していますけれども、日本が存立危機事態において安保法制に基づいて集団的自衛権を発動すれば、その集団的自衛権のその武力行使によって自衛隊員が戦死することはありますか。いや、防衛大臣として、自衛隊員は集団的自衛権の発動では一人も戦死しないとお考えですか。自衛隊員が戦死することが可能性としてあり得る、私はあり得ると思いますよ、絶対にあり得ると思いますよ。大臣の見解を述べてください。
○国務大臣(岸信夫君) 自衛隊の任務はこれまでも常にリスクを伴うものでございます。平和安全法制の整備による新たな任務にもこれまで同様のリスクはございます。
その上で、存立危機事態に該当する状況は、武力を用いた対処をしなければ、国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様の深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな場合であります。そして、我が国としては、我が国を防衛するためにやむを得ない自衛の措置としての武力の行使の三要件に基づいて武力を行使して対処するということになりますが、このような状況においては、最前線で対応するのが自衛隊員であります。当然、その活動には様々なリスクが伴います。しかし、それは国民の命と平和な暮らしを守るため自衛隊員に負ってもらっているリスクであると、こういうふうに考えております。
防衛省・自衛隊としては、このようなリスクを極小化、局限化する観点から、訓練や演習を通じて隊員の練度を向上していくことに努めているというところでございます。
○小西洋之君 防衛大臣、大臣なんですから、自衛隊員の尊厳を誰よりも重んじて職務を行ってください。
今大臣がおっしゃったそのリスクですね、集団的自衛権を発動してその作戦行動をやるときの自衛隊員のリスク、自衛官のリスク、そのリスクの中には、その実力行使によって自衛隊員が戦死してしまう、あるいは負傷してしまう、そういうリスクが当然含まれるという理解でよろしいですか。イエスかノーかで答えてください。
○国務大臣(岸信夫君) 一般論として申し上げますと、リスクとして自衛隊、自衛官の被害も否定はできないと考えております。そういったリスクを極小化、局限化する観点で、訓練、演習を通じて隊員の練度向上に努めているところでございます。
○小西洋之君 じゃ、先ほどの質問です。
自衛隊員の被害は否定できないというふうにおっしゃいました。であるならば、その相手からの反撃行為によって日本国民に被害が生じる、日本国民に死傷者が出るということも可能性としてはあり得ると、そういう理解でよろしいですか。
○国務大臣(岸信夫君) 限定的な集団的自衛権の行使を行った場合に具体的にどのような状況が生じるかについては、個々の事態ごとに異なると考えますので、一概にお答えすることは困難でございます。
○小西洋之君 いや、自衛官には被害は生じるというふうに言ったんですよね。自衛隊は本当に身をもって責務の完遂を務めると、本当、崇高な使命だと思いますよ。
ただ、その使命でも全国民守り切れるかどうか私は分からないと思いますよ。結果、集団的自衛権を行ったことによる反撃で、あるいは報復措置で日本国民に被害が生じ得ることは可能性としてあり得ると、そういう理解でよろしいですか。いや、可能性としては全くないとお考えですか。黒か白かで答えてください。
○国務大臣(岸信夫君) 限定的に集団的自衛権を行使した場合に具体的にどのような状況が生じるかは個々の事態ごとに異なると、こう考えておるところでございます。
そもそも、存立危機事態という状況に置かれた中で、自衛官が国民の命を守るために前線に立って活動してもらうわけであります。そういう意味で、ただ、自衛官も国民の命を守るために働いているというところでございます。できるだけその被害を極小化するようにやっております。
○小西洋之君 いや、もう委員長、私、十回近く聞いているんで、委員会に、今から申し上げることをですね、今まで私が聞いたことを文書で提出していただけますか。
まず、日本が存立危機事態に基づいて集団的自衛権を発動した場合に、その発動した相手国から反撃や報復措置を受けることがあるのか、全くないと考えているのか、それを答えてください。そして、その反撃や報復措置によって日本国民が負傷あるいは戦死する、そういうこと、死んでしまう、そういうことがあると考えているのか、あるいは全くないと考えているのか、そこを明確にして、また、さっき自衛隊員については被害が生じるというふうに言いましたけれども、自衛官についても併せて文書の中で答弁をしてください。委員会に文書提出を求めます。
参照:
・第203回国会 参議院 外交防衛委員会 第5号 令和2年12月1日(国会会議録検索システム)
【URL】https://bit.ly/38rPuv2