2020年9月29日、東京千代田区の衆議院第1議員会館で「敵基地攻撃能力」を検証する 9.29院内集会が開催された。
冒頭挨拶に立った集団的自衛権問題研究会の川崎哲・ピースボート共同代表は「2014年安倍政権が何ら国会の議論がないままに憲法解釈による閣議決定を強行的に行って、集団的自衛権の行使を認めた」「翌2015年安保法制強行採決により、憲法を骨抜きあるいは破壊した」と述べ「今回はイージスアショアの代替措置と称して、専守防衛を飛び越して先制攻撃につながるような決定を、首相の談話と言う形で方向付けをして国会で議論をされようとしている」と問題提起を行った。
続いて、Web会議システムで参加した名古屋大学名誉教授の松井芳郎氏は「『敵基地攻撃』論の根拠は抑止論だ」と指摘して「安倍首相が退任する時の会見で、抑止力は戦争をするためのものではなく、戦争を防ぐためのものだと言っている」「抑止力の増強は相手国に、その抑止力を乗り越えることができる軍事力の増強を追求させることになる」「こうして軍拡競争が拡大し両国間の緊張が高まるという悪循環になる」と述べた。
また、松井氏は日本の安全保障政策について「第二次大戦後、憲法で軍備を放棄した日本の安全は、当初は国連中心主義で国連によって守ることを強調してきたが、1960年に(日米)安保条約を結ぶことによって安全保障の重点を国連による安全保障(集団安全保障)から日米同盟による安全保障に変化した」「これは長期的に見れば19世紀的な勢力均衡政策に先祖返りすることになる」「抑止論は新しい理論のように思われるが内容的には19世紀的な勢力均衡政策の現代版」だと述べ、「我々がなすべきことは、現状では様々な問題が指摘されてはいるが、国連の集団安全保障が効果的に機能するように国連の民主的な改革をすすめること」だと締めくくった。