防衛省に直撃取材!! 中国が米国偵察機に警告のためミサイルを発射! 大統領選を控え対中強硬姿勢をアピールするトランプ氏とバイデン氏! 辞任を控えた安倍総理が改憲強行に利用する可能性は!? 2020.9.10

記事公開日:2020.9.10 テキスト
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(文:IWJ編集部)

 米中対立が激しくなっている。8月26日に中国が南シナ海にミサイルを発射し、それ以前には米国の偵察機が中国の「北部戦区」に侵入していた。11月に米国は大統領選を控えているが、トランプ氏もバイデン氏も、中国に対する攻撃的な姿勢を維持することになりそうだ。

▲北京で行われた軍事パレードの後に撮影されたD-26ミサイル(Wikipediaより)

 日本は米国を強く意識した「国際社会」との連携の中で解決を模索している。一方、辞任を控えた安倍総理が、敵基地攻撃能力保有の方向性を貫く意向を、与党幹部へ伝達していたことが明らかになった。

 仮に自衛隊が、中国の国内の基地を攻撃したとすれば、当然、日本が報復攻撃を受けることになる。集団的自衛権を容認してしまっているために、米中の対立が激化して攻撃がおよべば、中国軍が米軍に対して自動的に日本も参戦しなければならなくなる。その時の状況にもよりけりだが、中国軍の基地を自衛隊が攻撃しなければならないとすれば、中国のミサイルや爆撃機は日本列島へ向かう。

 敵基地を攻撃する能力さえ存在すれば、相手から攻撃されなくなる、即ち、抑止力となるなどというのは夢物語にすぎない。

8月26日に中国が南シナ海にミサイルを発射! 米国は25日に偵察機で中国の「北部戦区」に侵入、26日に貿易制限! 中国の「接近阻止・領域拒否」作戦の突破を狙う米国!

 米中対立の緊張が高まる中、8月26日に中国の人民解放軍が南シナ海へむけて中距離弾道ミサイルを発射した。

 香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は、「空母キラー」として知られる「DF(東風)26」と、射程距離がグアムまで届くとされる「DF(東風)21D」という2種類の弾道ミサイルがそれぞれ内陸部の青海省、沿岸部の浙江省から発射されたと報じた。一方、米軍高官は弾道ミサイルが南シナ海に4発着弾したと指摘した。

▲北京軍事博物館に展示されているDF-21と輸送起立発射機(Wikipediaより)

 25日には、米軍の偵察機が中国の「北部戦区」に侵入していた。中国はこの米軍の動きを「挑発行動」だとして抗議していた。今回の中国のミサイル発射は、米軍への警告だと考えられる。

 また、同日26日に米国のトランプ政権は、南シナ海で人工島など中国の軍事拠点の建設に関わった中国企業24社を貿易制限などの対象とする「エンティティーリスト」に追加した。さらに、ポンペオ国務長官は、中国軍事拠点に関わりがあると認められる中国人に対して査証制限措置を講じるとした。

 今回の中国のミサイル発射は、「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」と呼ばれる中国軍の軍事戦略の典型的な動きと言える。

 A2/AD(Anti-Access/Area Denial)とは、中国軍が、米軍に対して、展開している戦略で、米軍を中国近海・本土に近づけさせない戦略の事だ。

 中国が軍事行動を展開するアジア・西太平洋戦域に米軍が接近するのを阻止しつつ、第2列島線以内の海域で米軍が自由に作戦を展開することを阻むことが目的である。この名称は米国が、防衛戦略の構築のために2009年につけたものだ。以来米軍は、中国のこの作戦を突破することに狙いを定めてきた。

11月に迫る米大統領選!トランプ、バイデンのどちらが大統領になったとしても、中国に対する米国の攻撃的な姿勢は大統領選の結果を問わず維持されることになる!?

 米国は11月に大統領選を控えている。

 一方は、就任以来、貿易問題をはじめ中国に対して強気の姿勢を見せつけてきた上、最近では軍事的対立もいとわない前のめり姿勢が目立つトランプ大統領。

 他方、現職のトランプ大統領に挑むのは、民主党のジョー・バイデン氏。トランプ氏は、バイデン氏のことを「中国に甘い」と評したり、「バイデン氏が当選したらアメリカは中国のものになる」などと挑発的な発言を繰り返してきた。

▲ジョー・バイデン氏(Wikipediaより)

 しかしバイデン氏の方も、「親中」どころか、「反中」の姿勢をむき出しにし、トランプ氏が中国との貿易合意を重視するあまり、ウイグル族弾圧などの中国国内の人権問題を無視してきたと批判を繰り広げている。

 米国は、経済的にも政治的にも不安定なため、国力が成長著しい中国に完全に抜き去られてしまう前に、軍事力を用いてでも、台頭する中国をこの機会に叩いて力で押さえ込もうとする可能性が濃厚だ。

 これはトランプ、バイデンのどちらが大統領になったとしても、同じである。「アメリカ第一」と「人権重視」と、看板は違えども、中国に対する米国の攻撃的な姿勢は大統領選の結果を問わず維持されることになりそうだ。

菅義偉官房長官は「国際法にもとづく紛争の平和的な解決を重視する」と述べる! 今年で16回目となる尖閣諸島の中国公船侵入! 中国外務省は日本政府の「抗議を絶対受け入れない」と強硬な態度!

 今回のミサイル発射の報道を受けて、菅義偉官房長官は、27日の記者会見で「南シナ海の緊張を高めるような行為に強く反対をする」とし、「国際法にもとづく紛争の平和的な解決を重視する」と述べた。

 さらに、「南シナ海をめぐる問題」は日本にとっても「正当な関心事項でもある」と述べた。関心を抱くのは当然だが、具体的にどのような首の突っ込み方をするのか、日本国民としては大いに気になる。両超大国の衝突に巻き込まれて日本が犠牲になるのは願い下げである。

 しかし、そうは言っても、日本と中国の間には領土問題が存在する。日本は、中国との間で未解決の問題を控える「当事国」でもあるのだ。

 17日には、沖縄・尖閣諸島の南小島沖で中国の公船「海警」4隻の侵入が確認された。尖閣諸島沖で中国公船の侵入が見つかったのは、今年で16回目になる。こうした中国の行動に日本政府は抗議をしているが、7月3日には中国の外務省が「抗議を絶対受け入れない」と主張した。非常に強硬な態度である。

▲沖縄・尖閣諸島周辺の地図、今回侵入が確認された南小島は5番(Wikipediaより)

防衛省に直撃取材!! 菅官房長官との同じく「法にもとづく平和的な解決」を主張し、「国際社会」との連携の中で米国を第一に意識!

 今回の中国ミサイル発射の報道を受けて、IWJ記者が防衛省に情報把握状況について聞いてみた。独自にミサイル発射情報をどのようなソースで確認しているかと質問したところ、「報道については承知しているが、事柄の性質上、コメントを差し控える」という答えだった。

 その上で、防衛省の担当者は、以下のように答えた。

「中国のミサイル戦力の強化は、周辺地域への、他国の軍事力の接近・展開を阻止し、当該地域での軍事活動を、阻害する能力、いわゆる『A2/AD(接近阻止・領域拒否)』能力の強化につながるものであり、重要な軍事動向として、平素から、情報収集・分析に、勤めている。

 また、南シナ海をめぐる問題は、インド・太平洋地域の平和と安定に直結するものであり、南シナ海に主要なシーレーンを抱える我が国のみならず、国際社会の正当な関心事項である。

 最近の、南シナ海の情勢については、懸念を持って注視しており、日本政府として、南シナ海の緊張を高める、いかなる行為にも強く反対している。

 また、我が国としては、これまで一貫して、海における法の支配の貫徹を支持してきており、南シナ海をめぐる問題のすべての当事国は、力や威圧を用いず、国際法にもとづく、紛争の平和的な解決に向け、努力することが、重要と考えている。我が国としては、自由で開かれた平和な海を守るため、引き続き、米国をはじめとする国際社会と、連携していく」

 菅官房長官も防衛省も「法にもとづく平和的な解決」を主張してはいるが、協力していくとする「国際社会」とは米国を第一に意識しているようだ。その米国が、中国への対立姿勢を深めていることはこれまでIWJでも繰り返しお伝えしてきた通りである。

ポンペオ米国務長官が演説! これまで米国が中国と続けてきた友好関係構築の模索を断ち切る「歴史的転換」の表明! 中国が知的財産や貿易機密を盗み、サプライチェーンを吸い取ったと非難!

 今年の7月23日には、ポンペオ米国務長官が「共産主義中国と自由世界の未来」と題した演説を行った。これまで米国が中国と続けてきた友好関係構築の模索を断ち切るような、歴史的転換を表明する内容であった。このスピーチが行われたのは、中国との関係を重視したニクソン元大統領の名前を冠した施設での記念式典であった。

▲マイク・ポンペオ米国務長官

 ポンペオ国務長官は、米大統領として史上初めて中国を訪問し、米中関係を対立から友好へと劇的に転換したニクソン元大統領が、「フランケンシュタインを作ってしまったのではないか」と懸念を口にしていたことに触れ、「それが今日、実現している」と語った。特に中国が米国の知的財産や貿易機密を盗み、サプライチェーンを吸い取ったと強く非難した。

 さらに、中国と貿易関係にある国々にも、強硬な姿勢に転じるように呼びかけた。日本も当然、視野に入れての発言と思われる。

安倍総理が敵基地攻撃能力保有の方向性を貫く意向を与党幹部へ伝達していたことが明らかに! 辞任を控えた安倍総理がなぜかくまで敵基地攻撃能力保有に焦り、前のめりになるのか!?

 8月28日に総理の職を辞することを表明した安倍総理だが、今年6月に配備計画を撤回した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替案として、敵基地攻撃能力保有の方向性を貫く意向を与党幹部へ伝達していたことが明らかになった。

▲米国のロッキード・マーティンのテスト施設にあるSPY-1レーダーを備えたイージス・アショアの上部構造(Wikipediaより)

 自民党の小野寺五典元防衛大臣を座長とする「敵基地攻撃能力の保有に関する自民党の検討チーム」は、イージス・アショア代替策として議論を進め、9月末までに結論を出すことになっている。

 世界有数の軍事力を誇る米国が懸念している中国の軍備の増強は、想像以上に進んでいる。兵器や戦闘機の数だけではなく、どれだけ近代化した装備を保有しているかが鍵になる。日本のように兵器を「爆買い」すればどうにかなるという発想で太刀打ちできるとは到底考えられない。ましてや敵基地を攻撃して抑止力とするなどというのは夢物語にすぎない。

 仮に自衛隊が、中国の国内のすべての基地を攻撃したとすれば、当然報復攻撃を受けることになる。中国は日本列島全土を射程におさめるミサイルを配備しており、さらに空軍の最新鋭戦闘機の数は日本の千倍。何よりも中国は核保有国であることも忘れてはならない。総力戦にエスカレートした場合、中国が核使用する前に日本が降伏しなければ、日本列島は核の廃墟となる。最終的に中国の勝利は動かないのか。

 この話題に関連して、早稲田大学の水島朝穂教授へ岩上安身がおこなったインタビューを8月26日にライブ配信いたしました。現在も会員様限定で公開しているためで、見逃した方は是非ご覧いただきたい。

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