「勇気を持ち、自由闊達に真実を語る。あらゆる組織と協議し、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させ、あらゆる人に公平な条件・政策をつくる。そんな党でありたい」~9.11 FCCJ 主催 石破茂衆議院議員 記者会見 2020.9.11

記事公開日:2020.9.11取材地: テキスト動画
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(取材・文:浜本信貴)

 2020年9月11日(金)、東京都千代田区の日本外国特派員協会にて、午後1時より、自民党総裁選についての石破茂衆議院議員記者会見が開催された。

 「今、次期総理大臣(next prime minister)候補の一人としてご紹介いただいたが 、一義的には『自民党総裁選挙』なので、冒頭、自民党がいかにあるべきか、について短時間お話する」と、石破茂候補(衆議院議員)は話を始めた。

 「10年前、私どもは、野党を3年3カ月経験した。麻生内閣で解散をし、私は当時、農林水産大臣でしたが、ちょうど300あった衆議院の議席が119になって、壊滅的な敗北を喫し、野に下った。谷垣禎一さんが総裁になられ、私はその下で、政務調査会長を務めていた。

 政党であるから、何をするための政党であるのか? それを定めた党の項領、憲法のようなもの、があるが、それを作り直しました。そこには次のように記した。

 『自由民主党は、勇気を持って、自由闊達に真実を語る政党である。自由民主党は、あらゆる組織と協議する政党である。自由民主党は、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる政党である。

 自由民主党の政府は、政策をつくるにあたり、条件をつくるにあたり、あらゆる人に公平な政党である。自民党は新しい政党として生まれ変わり、国民の審判を受けたい』

 その思いで、安倍総裁、私はその下で幹事長を務めていたが、総選挙を戦い、政権を奪還した。

 それを忘れてはならない。今、それを忘れていないか? そういう党になることを約束して、政権をお預かりした。

 自由民主党は、そういう党でありたい。私はそう強く願うものである」

 このたびの自民党総裁選における石破氏の発言は、他の二人、菅氏と岸田氏の発言とは明らかに違う。石破氏の発言は、より原理的であり、地に足がついており、誠実さを感じる。たとえば、憲法については、以下のように発言している。

 「私は、憲法改正は、前の戦争に行った人が生き残っているうちにやりたい。戦争を知らない者たちばかりで憲法を改正したいとは思わない。

 今、自民党が4項目(①自衛隊の明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育充実)を提示しているが、それは党議決定したものでもなんでもない。憲法の改正は国民の広い理解の上でおこなわれるべきものであり、その努力を議会も自民党も怠ってはならない」

 また11日、安倍総理が「敵基地攻撃能力」について発表した談話について聞かれた石破氏は、「敵基地攻撃能力は、法的には可能だと思っている。今から17年前、私が防衛庁長官だったとき、どこかの国の指導者が、これから日本にミサイル攻撃を加える、と言い、ミサイルに燃料が液体で注入され始め、そしてミサイルが直立した、そういう場合を想定すれば、相手が日本に対する武力攻撃に着手した、それが後戻りできない状態になった、と言う評価が法的にはできるので、自衛権の行使は、憲法的に可能だと考えている」と持論を述べた。

 質疑応答の後半、東京新聞の望月衣塑子氏から、総裁選候補の一人である菅義偉氏の態度や現行の記者クラブ制度などを例に取って「記者に対する説明責任」についての考えを聞かれた石破氏は、まず「菅さんを念頭においてお答えすることは控えたい」と断った上で、「内閣記者会に限らず、各省庁における記者クラブの了解をいただけば、私としては、記者会見はできるだけ手が上がらなくなるまでやりたいと思っている。ただ、国務大臣・総理大臣の時間というのは、国民の時間でもある。それをどう有効に活用するかということになる。手が上がらなくなるまで、と言うと、朝になってしまったりするかもしれない。ですので、質問はできるだけ重複を避けて、簡潔に、私は、いかにして端的に答えるか、ということも大事だと思うが、基本的に『ジャーナリズムの背後には国民がいる』ということを念頭に置きながら、改善に努めていきたいと思っている」とし、「大臣のときも党役員のときも会見時間を制限したことはない」と述べた。

 安倍政権の負の遺産には色々あるが、その一つが国会や委員会、ヒアリング等の場での答弁の不誠実さが挙げられる。このたびの会見での石破氏の発言の数々を聞いて、石破氏はその正反対にある「言葉と情理」を尽くすタイプの政治家であるという強い印象を受けた。

■全編動画

  • 会見者 石破茂氏(自由民主党元幹事長、水月会〔石破派〕会長、衆議院議員)
  • タイトル 日本外国特派員協会主催 石破茂衆議院議員 記者会見
  • 日時 2020年9月11日(金)13:00〜14:00
  • 場所 日本外国特派員協会(東京都千代田区)
  • 主催 日本外国特派員協会 (FCCJ)詳細、英語)

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