「7年8か月の安倍政権ですら、法令の解釈文書を出さなかったことはなかった。菅政権の闇の深さ、強権ぶりというのは恐ろしい」
内閣府、内閣法制局への野党ヒアリングを終えて、立憲民主党の小西洋之参議院議員はIWJ記者に、こう感想をもらした。
前日発覚し、大きな問題となった菅義偉総理による日本学術会議への人事介入について、2020年10月2日午前10時より、衆議院本館で野党合同ヒアリングが行われた。
この日は午前9時半から、菅総理に任命を拒否された6人のうち3人へのヒアリングが行われ、それに続いて10時より、内閣府と内閣法制局へのヒアリングが行われた。
冒頭、立憲民主党の原口一博衆議院議員は「菅総理は所信表明もしていないのに、最初にやったのが『モリ・カケ・桜』の再調査拒否、次にやったのがこれ。やらかしてくれた」と怒りをあらわにした。
ヒアリングでは原口議員をはじめ、いずれも立憲民主党の山井和則衆議院議員、黒岩宇洋衆議院議員、大串博志衆議院議員、小西洋之参議院議員らが、「誰がどのような経緯で学術会議の推薦した105人を99人にしたのか?」「決定したのは事務方なのか?」「官邸が政治的な意図ではねたのか?」と追及。これに対して内閣府大臣官房人事課参事官の矢作修己氏は「現時点では確認中」として、任命の経緯を記録した文書の提示を拒否した。
また、この日のヒアリングでは、1983年11月24日の参院文教委員会で、内閣法制局が「学会から推薦したものは拒否しない、形だけの任命をしていく、政府が干渉したり中傷したり、そういうものではない」と答弁したことについて、野党側が「解釈を変えたのか?」と追及したが、内閣法制局第一部参事官の江崎崇氏は明言を避けた。
IWJ記者はヒアリング終了後、小西議員にこの問題について、詳細に解説してもらった。IWJ記者の質問と小西議員の答えは以下の通り。
IWJ記者「今日のヒアリングのポイントは誰が105人を99人にしたのかということと、1983年の11月24日の参院文教委員会の答弁書の、『総理に任命拒否権がない』という解釈が変わったのかどうかという点だと思いますが、今日の内閣府の答弁からどのようなこと考えられますか?」
小西議員「中身のある説明が全くなかった。8月31日に法律にもとづく105名の推薦名簿が内閣府に出されて、それが9月24日の起案の段階で99名になっていたんですけども、その間誰が、6名を任命拒否するという意思決定が、いつ、どこで行われたか、それについては全く闇の中でした。
また、このヒアリングでわかったことは、今回の任命拒否は実は以前から仕掛けられていたということです。