軍事研究に協力するか、防衛省のアプローチを拒むか――。日本のアカデミズムは今、重大な岐路に立たされている。
先の戦争の反省から、1950年・67年に「戦争のための科学に従わない声明」「軍事目的のための科学研究を行なわない声明」を発表した日本学術会議が、今後の会議としての態度決定に揺らいでいる。
背景には、防衛省が2015年度から開始した「安全保障技術研究推進制度」がある。「防衛装備品」への転用を目的とした研究の公募に採用されると、大学などの研究機関は防衛省から研究資金を得られるとする制度である。
防衛省からのアプローチは、「軍学共同」を歯止めなく進めることにつながるのではないか。科学者たちからは、戦時中の惨事を再び招くのではないかと、懸念の声があがっている。
日本学術会議は、2017年中にも新たな声明を発表する予定。それに先立ち1月16日、東京・港区の日本学術会議事務局にて、「第8回 安全保障と学術に関する検討委員会」が開催され、中間報告とりまとめに向けた報告がなされた。検討会では、一定の方向性を示されることが期待されたが、意見の対立が目立った。
軍学共同の問題については、岩上安身が名古屋大学名誉教授の池内了氏や、東京新聞記者の望月衣塑子氏らにインタビューをして明らかにしてきた。以下もぜひ、ご一読いただきたい。
- 今、科学の世界のスポンサーは「防衛省」!? 安倍政権のもとで進む「研究者版・経済的徴兵制」に警鐘を鳴らす! ~岩上安身が池内了名古屋大学名誉教授に「軍学共同」問題を訊く!岩上安身によるインタビュー 第669回 ゲスト 池内了氏 前編 2016.9.20
- 「科学者は『科学の限界』を語るべき」2度の大戦、福島原発事故を振り返り、科学者の「社会的責任」を考える~岩上安身が池内了名古屋大学名誉教授に「軍学共同」問題を訊く!岩上安身によるインタビュー 第670回 ゲスト 池内了氏 後編 2016.9.21
- 日本の武器ビジネスの現場はいま――「死の商人」国家へと舵を切った安倍政権の実態に迫る!『武器輸出と日本企業』著者・望月衣塑子氏に岩上安身が訊く 岩上安身によるインタビュー 第671回 ゲスト 望月衣塑子氏 前編 2016.9.26
- 誤爆率9割の殺人兵器「無人戦闘機」の実態!ついには「人工知能 (AI)」による「戦争の無人化・自動化」も実現間近!? ~『武器輸出と日本企業』著者・望月衣塑子氏に岩上安身が訊く~岩上安身によるインタビュー 第674回 ゲスト 望月衣塑子氏 後編 2016.10.6