第2次安倍内閣が発足して以降、「日本の軍事化」がとまらない。2013年に閣議決定された「防衛大綱」を皮切りに、「武器輸出《新》三原則」の制定と「防衛装備庁」の発足が雪崩を打って続いた。集団的自衛権の行使容認の閣議決定と、安保法制の強行採決も、この文脈なしには語れない。
「軍事化」の波は、アカデミズムの世界にも及んでいる。防衛省は2015年、「安全保障技術研究推進制度」と呼ばれる新制度を立ち上げた。防衛省の募集テーマに沿った研究をすることで、研究資金が得られる制度である。しかしここには、「研究費の提供」という美名のもとに、民生研究を軍事転用したいという防衛省の企みが透けて見える。
「まさに研究者版『経済的徴兵制だ』」――。
宇宙論・銀河物理学などを専門とする名古屋大学名誉教授の池内了(さとる)氏は、2016年9月20日、岩上安身の単独インタビューでそのように憤りを見せた。「科学者の戦争動員は歴史的に行われてきた」と述べる池内氏は、だからこそ、「科学者の社会的責任を考えなければならない」と強調する。