学者の立場から政策提言をおこなう内閣府所管の特別機関日本学術会議が推薦した105人の会員候補のうち、6人の任命を菅義偉総理が任命しなかった問題で、10月2日午前9時30分、衆議院本館で野党が任命を拒否された6人のうち、3人の学者から合同ヒアリングを行った。
ヒアリングに参加したのは東京慈恵医大の小沢隆一教授(憲法学)、立命館大学の松宮孝明教授(刑事法)、早稲田大学の岡田正則教授(行政法)。3人は1日、連名でこの日選出された日本学術会議の梶田隆章新会長あてに、「任命拒否の撤回に向け総力であたることを求める」との要請書を提出した。
菅総理に任命を拒否された6名はいずれも安倍政権下での特定秘密保護法、安保法制、共謀罪などに反対を表明していた。
ヒアリングで岡田教授は、「日本学術会議は行政に対して学術界を代表していろいろな提言を行う。学者の国会ともいわれる。国会議員にあたるような会員を、提言される側の行政が左右するということはあってならないということで、日本学術会議法が定められている」と、学術会議の独立性を説明。その上で「今回、それが踏みにじられてしまった」と批判した。
また、松宮教授は「学術会議は会員の他に会員のお手伝いをする連携会員という制度があり、私たち3人はこれまでも4年前後、連携会員として仕事をしてきた。その中で提言やそれに至る審議の場面で、いろんな貢献もしてきた」と訴えた。
さらに松宮教授は「この問題における被害者は、日本の学術によって恩恵を受ける人々全体である。日本の学術がきちんとこれから伸びていけるか、日本および世界の人々にその成果を還元することができるか、ということに関する影響が一番大きい」と主張。
また、日本学術会議法の解釈について、「総理に任命権はあるが任命拒否権は事実上ないと考えざるを得ない」と強調した。