ジョー&ヨシの日米首脳会談、共同声明の「日本は、同盟及び地域の安全保障を一層強化するために、自らの防衛力を強化」とは自衛隊が海外で戦うという約束!
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▲小西洋之参議院議員プロフィール(1)
岩上安身(以下、岩上)「小西さんのプロフィール。1972年、徳島生まれ。で、徳島大学医学部。お医者さんだったんですか? お医者さんのこれ、医学科入学して、卒業しないで変わったんですね。あ、出てるのか。どういうことですか、これは」
小西洋之議員(以下、小西議員)「父親が病気だったものですから、はじめ、お医者さんになろうと思って医学部にいたんですが、いろいろ、こういう政策的なこともやってみたいと思って、東大に入り直して。で、嫌いにならないでいただきたいんですけど、郵政省の官僚になってですね」
岩上「すいません、ちょっと待ってください。ここですけど、卒業してお医者さんなったりしたの?」
小西議員「いえ、なってない。中退ですね」
岩上「中退して、こっち側、入り直したんですね」
小西議員「中退して、東大に入り直したんですね」
岩上「なるほど」
小西議員「ちょっと、何かすごい、こんなに詳しく書かれるんだと」
岩上「郵政省に入った」
小西議員「で、経産省や、あと、総務省だとか、いろんな所にいたんですが、特徴があってですね、こういう政治と近い部署なんですね、放送とかですね。これ、(総務省 情報流通行政局 衛星・地域放送課)です。これが話題になった衛星放送の、東北新社を(※1)、まさに所管してる課の課長補佐をやっていたという」
岩上「ちょっと質問です。郵政省っていうのは、確かに昔ありました。しかし、今、なくなっちゃってるはずです」
小西議員「だから、今、総務省ですね」
岩上「総務省の中に、これは入ったんですね?」
小西議員「そうです」
岩上「じゃあ、ここに、経産省に行ったっていうのは、これは?」
小西議員「人事交流です。霞が関間の人事交流です」
岩上「言ってみれば、出張みたいなもんで。出張っていうか、出向ですね」
小西議員「出向ですね」
岩上「で、総務省の方は、これは郵政省が総務省になったから、これは本社にいたよってことですよね」
小西議員「そうですね。そういうことですね」
岩上「政治資金のことをね、政務、やってたっていうね」
小西議員「はい、これが第一次安倍内閣の頃ですね。安倍総理が、ナントカ還元水とかいう問題で、内閣が倒れたんですが(※2)、その頃、ここで課長補佐をやってましたね」
岩上「農水大臣がね、自殺して亡くなるという、大変なことがありました」
▲小西洋之参議院議員プロフィール(2)
小西議員「そうですね、大変な」
岩上「そして、2010年から(参議院議員)、参議院千葉選挙区ということで、今、2期目になったということですね。
現在の所属委員会、外交防衛委員会(筆頭理事)であると。それから、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会(筆頭理事)であると。予算委員会(委員)であると。それから、憲法審査会(委員)であると。
この外交防衛委員会、そして憲法審査会に入っているっていうの、非常に重要ですし、この選挙制度の公職選挙法、公職選挙法の改正を丸々コピペしてね、(与党が国民投票法に)利用しようとしているとか、そういうところに着眼できるというのも、こういうところ(特別委員会)に入られているからかな、という風に思います。
過去に、東日本大震災対策特別委員会、環境委員会、厚生労働委員会、国民生活・経済・社会保障に関する調査会等にも所属されていたということです」
小西議員「はい」
▲PART1 対中国強硬姿勢で日本は戦場に 「ジョーとヨシ」米中トップ会談の行方は?
岩上「そして、まず、ここ、パート1、入りたいと思います。『対中国強硬姿勢で日本は戦場に』なっちゃうんじゃないかと。『「ジョーとヨシ」米中トップ会談の行方は?』っていうことなんですけれども。
『菅総理、バイデン大統領と対面での首脳会談』をやりました。アメリカの東部時間では4月16日午後、日本時間では17日未明ということなんですけどね。『2時間半の首脳会談を行い、共同声明「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」を発表』したと」
▲菅総理、バイデン大統領と対面での首脳会談
岩上「この『序文 項目1「自由で開かれたインド太平洋を形作る日米同盟」 項目2「新たな時代における同盟」 結び「今後に向けて」』と、こんな風になっているんですけれども。
『自由で開かれたインド太平洋』。この名前からいったら、けっこうな話じゃないですかと。そこは特にシーレーンもあるところだし、石油のタンカーも通りますしね。それからあと、グローバルな経済社会においては、ここを、たくさんの商品も、それから原材料も、中間財も通ってくわけですよね。
だから、貿易がスムーズにいくため、海路が自由で安全でなきゃいけない、これはいいことだろうと、一般的には思われるわけですね」
▲日米首脳共同声明 インド太平洋地域、そして世界全体の平和と安全の礎・日米同盟を新たにする
岩上「で、『「今日、日本と米国は、インド太平洋地域、そして世界全体の平和と安全の礎となった日米同盟を新たにする」・自由民主主義国家が協働して、中国による国際秩序への挑戦に対抗する』。ここで、こういう風に(中国に)攻撃的に出るんですよね。
つまり、これは、大変結構な普遍的な話をしている。インド太平洋は、中国も面している地域じゃないですか。だけど、名指しで、中国が、アメリカ中心の国際秩序に挑戦をしてきてるぞ、という風に。これ(日米同盟)は、対中国を名指しした同盟強化なんだよと。
それで、さらに露骨に『日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する揺るぎない支持を改めて表明』等々、なんていう風な言葉が出てきて」
▲対中国強硬姿勢が顕著な日米共同声明 インド太平洋、南シナ海、東シナ海、香港、ウイグル、そして台湾に言及
岩上「そして、この『「インド太平洋地域及び世界の平和と繁栄に対す中国の行動の影響」、「国際秩序に合致しない中国の行動」、東シナ海や南シナ海をめぐる「中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動」、「台湾海峡の平和と安定」、「香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念」と、日米同盟の対中国強硬姿勢が顕著』と。
これ、中国がやっている、今、世界中で、問題だよ、問題だよ、と。あなたがやってることは問題だよと、言われてることが列挙された上で、日米同盟がそれに立ち向かう、みたいな感じになってるわけですね。
で、菅総理がそれに対して、『私から、日本の防衛力強化への決意を述べた』っていう風に言うんですけど、えっ、とも思うんですね。『日本国民にさらなる防衛費負担増を強いる』のかと。増税かと。コロナ禍で、今、死にそうなんですけれども、これ以上、さらに、『コロナと対中戦争』みたいなの、同時に重なってくるんですか、って。
ちょっと勘弁してもらえませんかという部分は、こういうことを、当然、大きなニュースですから、大メディアは全部報じましたけど。
じゃあ、すぐ増税ですか、と。それとも、もう、とんでもない額を出している国債を増発するんですか、と。戦時国債ですか、みたいな話はですね、あまり言わないんですね。
中国と事を構えるって、タダで喧嘩もできないんで。戦争って、べらぼうに金かかるんで、『わかってますか、その辺?』っていうのはまったく検証抜きに、報道されたんですよね。スルスル、スルスルスルッと報道されたんです」
小西議員「けっこう、これ、ものすごい首脳会談だったんですね。私なりの認識するポイント、ちょっと、ひとつ前に戻っていただきますかね。
これ、さらっと言ってるんですけど、日本とアメリカは、インド太平洋地域ですね、日本から東シナ海、南シナ海、インド洋、アラビア海峡の辺りまでずっと『インド太平洋地域』って言ってるんだと思いますが、アフリカまで」
岩上「(そこまで)行きますね」
小西議員「で、そして、ここですね、『世界全体の平和と』。これ、世界全体なんですね。インド太平洋だけじゃなく『世界全体の平和と安全の礎となった日米同盟』。えっ?
日本とアメリカの同盟関係って、実は、世界全体の平和と安全の礎であり、インド太平洋だの、広大なですね、地球3分の1ぐらい占めるんですかね、そのエリアの、実は礎だってことを、言い切っちゃってるんですよね」
岩上「(極東の)地域限定じゃないんですね?」
小西議員「かつですね、次のページ、さっき、ご指摘されていたですね、この菅総理の『私から、日本の防衛力強化への決意を述べた』って言ってたの、実はですね、この内容が、これ私、持ってるんですが。外務省から、また日米首脳会談のですね、共同声明のやつ、ここに、もう文章として入ってるんですよ。
しかもですね、これと同じこと言ってるんですけど、この前にですね、とんでもないこと言ってるんですね。『日本は、同盟及び地域の安全保障を一層強化するために、自らの防衛力を強化することを決意した』。わかります?」
岩上「わかります」
小西議員「日本が『自分自身を守るため』って言ってないんですよ」
岩上「だから、自衛隊を強化する。自衛力を強化する、ではなく」
小西議員「なくて。『日本は、同盟及び地域の安全保障を一層強化するために、自らの防衛力を強化することを決意した』って。
で、私、実はこれ、一昨日かな、国会で今週、質問しました、外務大臣と防衛大臣に。日本が自らの防衛力を強化する、この決意っていうのが、日米同盟と、あと地域の安全保障のため、って言ってると」
岩上「この、地域ってのは世界大」
小西議員「だから、それってどういう。自衛隊を増強することが、何で日米同盟と地域の安全保障を一層強化することになるのって。え、それって、はじめから自衛隊がアメリカを守るため、っていうことなんですか、と。
あるいは、自衛隊が日本の防衛と直接関係のない地域、海の向こうですよね、海の向こうの地域の安全保障、つまり、戦争のために自衛隊が戦うって、そういうことなんですかって言ったら、文脈としては否定しなかったですね」
岩上「そういうことですね」
小西議員「自衛隊が強くなることが、日米同盟が強くなることであり、かつ、地域の安全保障を強くすることになるんです、っていうことを、そのまんま答弁しましたので。
だから、実はものすごい、安倍政権から、こういう方針のことは言ってたんですが、これを本当にはっきりと、首脳同士の共同声明で言ったのは(菅政権が)初めてですよね。
だから、日米同盟っていうのは、インド太平洋の礎であり、世界全体の礎であり、その中で日本は、防衛力を、自衛隊を増強してアメリカを守り、何か世界の海の向こうで戦うってことを、事実上、言ってますよね。
だから、国民の皆さんが知らない間に、実は、『え、自衛隊ってアメリカを本当に守るために戦う、そのために強くなるの?』と。あるいは、『海の向こうで戦うの?』ということが、実は日米間で、これは約束がされてる、ということですね」
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(※1)これが話題になった衛星放送の、東北新社を:
2021年2月3日、週刊文春(電子版)が、菅義偉総理の長男で東北新社の部長である菅正剛氏が、総務省幹部に高額な違法接待をした疑惑を報じた。
正剛氏は、2006年に菅義偉氏が総務大臣に就任した際、大臣秘書官に登用され、2008年に秘書官を辞して東北新社に入社している。
日本のテレビ黎明期に海外ドラマや映画の日本語版制作で成功した東北新社が、衛星放送事業を始めたのは1986年。放送事業には、必ず総務省の許認可が必要となる。
同社は、2016年から5年間で計39回、総務省幹部を飲食で接待し、タクシー券や手土産を渡すこともあったという。
総務省は、接待が行われた期間中に、同社をBS4K放送事業者に認定(2017年1月)、同社の子会社が運営するCSの囲碁・将棋チャンネルを、ハイビジョン未対応で唯一、衛星基幹放送事業として認定(2018年4月)、スター・チャンネルの放送事項の変更許可(2020年3月)など、複数の許認可を行なっている。
国家公務員倫理規程は利害関係者からの接待を禁じているが、総理大臣の親族からのアプローチは、官僚側に「忖度」が生まれる可能性が高い。
当初、この問題を国会で問われた菅総理は、「息子は別人格」と気色ばんで反論したが、後日、総務省の調査結果を受けて謝罪した。
総務省は、国家公務員倫理規程違反で、2月24日、当時の谷脇康彦総務審議官ら7人を減給とした懲戒処分を含め、計11人の処分を行った。
谷脇氏には、NTTからの高額接待問題も浮上し、同氏は3月16日に辞職。また、内閣広報官の山田真貴子氏も、総務審議官時代に東北新社から1人7万円以上の会食の接待を受けていたことが発覚し、3月1日に体調不良を理由に辞職している。
東北新社は2月26日、正剛氏を懲戒処分(人事部付)とし、兼務していた囲碁・将棋チャンネルの取締役は辞任したと発表した。
参照:
・首相長男と総務省 特別扱いの疑い強まった(毎日新聞、2021年2月28日)
【URL】https://bit.ly/374EP8Q
・【総務省・接待問題】通信行政揺るがす接待問題 旧郵政省出身の幹部がずらり(財界ONLINE、2021年3月28日)
【URL】https://bit.ly/3i5O6UF
・「接待問題」に揺れる東北新社、設立60周年の節目に最大のピンチ到来(M&A Online、2021年3月17日)
【URL】https://bit.ly/3y7jlEv
・「ふざけんなよ! 官僚も政治家も税金は誰のためにある?」市民団体が菅義偉総理、菅正剛氏(東北新社社員)、山田真貴子氏(元内閣広報官)らを刑事告発!!~3.3「菅正剛氏による贈収賄事件を刑事告発」デモ行進と記者会見 2021.3.3(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3iLDOrQ
(※2)ナントカ還元水とかいう問題で、内閣が倒れたんですが:
第一次安倍政権(2006年9月~2007年9月)では、わずか1年の間に不祥事による閣僚の辞任が相次いだ。
佐田玄一郎行政改革相は、政治資金問題で辞任。松岡利勝農水相は、資金管理団体の経費問題や政治献金問題、官製談合疑惑の渦中に自殺。後任の赤城徳彦農水相も、事務所費問題で辞任。内閣改造後の遠藤武彦農水相は、補助金不正受給問題により、就任からわずか8日で辞任した。
これらは「辞任ドミノ」と報じられ、安倍総理の任命責任が問われていた。
松岡農水相の場合、電気代や水道代がかからない議員会館を資金管理団体の事務所にしていたにもかかわらず、政治資金収支報告書には5年間の光熱水費を約2880万円と計上していた。
国会で野党の追及を受けた松岡農水相は、「水道にナントカ還元水というものを付けている」と浄水器の費用のように弁明したが、水に年間500万円かかるのかと問題視された。
当時、松岡農水相の議員室を突撃取材した複数のメディアは、蛇口に浄水器は確認できなかったと報じている。
2007年5月28日、松岡農水相はこの事務所費について国会で質問を受ける予定だったが、議員宿舎内で自殺を図り、搬送された病院で死亡した。
安倍内閣は2007年7月の参院選に惨敗。安倍総理は退陣要求を拒否して内閣改造を行ったが、9月10日、突然、首相辞任の意向を表明した。
参照:
・光熱水費5年で2880万円「ナントカ還元水」って? 松岡農水相 疑惑深まる(しんぶん赤旗、2007年3月11日)
【URL】https://bit.ly/3BTEnsz
・松岡農水相が自殺 議員宿舎で首つる(朝日新聞、2007年05月28日)
【URL】https://bit.ly/3zHaHfY
米国が台湾を守るため、中国と戦う「台湾海峡有事」。これに日本が関われば、真っ先に狙われるのが在日米軍基地! 日本は代理戦争の戦場に!?
岩上「なるほど。異能のね、社会科学者として知られてる、経済学者でもあり、政治学者でもあり、すごく多様な知性であった知の巨人だと思いますけど、小室直樹さん(※3)という学者がいらっしゃいます。小室さんはですね、お弟子さんにですね、自衛隊とは本質的には『米衛隊』であると。
それは、朝鮮戦争の時に作られた保安隊から始まっていくわけじゃないですか。それは、アメリカをアシストすることであり、米軍をアシストすることからスタートをしていった。
で、ついには米国の戦争を、そのままアシストする。それが全世界に及んで、その負担は日本が背負うんだよ、ということを言ってて、それに合意したって言ってるわけです。
皆さん、まずね、これ、お金かかるんですよ。ものすごいお金がかかりますよ。それから、命がかかります。この2つが、命とお金がかかるっていうことを、本気で考えないと。
アメリカがやってきたようなことを、肩代わりさせられるということはですね、世界中の(日本とは)関係ない所で、価値観が違う奴らと喧嘩をするっていう言い方するんですけどね。
(米国は)価値観が違うという理由で、あちこち爆弾を降らしてきたわけですけど、そのようなことを日本がやった場合、日本の負担がすごく大きいだけじゃなく、日本側に、今度は報復の攻撃が来た時、耐えられないでしょうね」
小西議員「そうですね。だから、これで一番恐ろしいのは、これですよね。『台湾海峡の平和と安定』っていう」
岩上「そうですね」
小西議員「だから、いざ、台湾海峡有事……。台湾海峡有事っていうのは、アメリカが台湾を守るために中国と戦争するのを『台湾海峡有事』と言うんですけれども、それに、日本も一緒に加担」
岩上「参戦せよと、そういうことですね」
小西議員「そうですね、参戦する。で、これもやっぱり、外交防衛委員会で、これ共同声明の言葉なんですね。『台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する』っていう言葉なんですが。
『台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する』って、その言葉を共同声明で書いてあると。そのことによって、日本がアメリカのために、台湾海峡有事の際にですね、何か軍事的な行為をすることを、これ、両国の文章ですから、『コミットメントで約束してるんですか? 何か変わったんですか?』って言うと、はっきり答えないわけですよ」
岩上「はっきり答えない」
小西議員「で、かつ、もうひとつはですね、防衛大臣に、今後ですね、台湾海峡有事を想定して、自衛隊がアメリカ軍と共同訓練やったりするんですか、そういうことも想定してるんですか、可能性としてあるんですか、って聞いたら、否定しないんですね」
岩上「なるほど」
小西議員「あらゆる事態に備えて共同訓練はがんばります、っていうような答弁をするわけですよ。だから、ちょっと次元を超えた、恐ろしい……。中国がですね、香港だとか、あとウイグルだとか、ある意味、めちゃくちゃなことをやってると、私も思いますし」
岩上「非難するべきですね」
小西議員「はい、いろんなところ埋め立てたりして、国際ルール守らない、けしからんこといっぱいやってるんですが。
ただ、台湾問題に日本が軍事的に関わると、それは中国から日本、いざ戦争あった時に、在日米軍基地、アメリカが中国と戦うための軍事的な最大の基盤は、日本の各地にある在日米軍基地ですから、もう、それは真っ先に中国から狙われる。
すなわち、日本が中国から攻撃の対象になるわけですから。ところが、アメリカは地球の裏側にあるわけですね。アメリカは地球の裏側なんだけど、日本は中国の目の前にいるわけですから。これは実は、北朝鮮のレベルでないような、軍事的には恐ろしい話」
岩上「そうですね」
小西議員「だから、それをまさに、おっしゃるように、アメリカは何とかして日本を引き込みたい。かつ、日本が中国の前面にいるので、日本しっかりやれよっていうことで、今、引き込んできてるんだと思うんですが、ここは非常に」
岩上「重要ですよね」
小西議員「国家のあり方として、今、危ないですね」
岩上「あとのパワポで、本当は用意してたんですけど、実はですね、台湾について言及したのはですね、こういう声明で出たのっていうのは」
小西議員「もう、国交回復以降、初めてですね」
岩上「国交回復以降、初めてなんですよ。で、日米共同声明でも、国交回復前の段階で言ってるもので、アメリカが中国との国交回復をして以来、初めての言及という。つまり、ひとつ、ルビコン川、越えちゃったんですね」
小西議員「竹内って元外務省の事務次官が、日本はこの共同声明でルビコン川を渡った、と。だから、本当にその通り、朝日新聞のインタビューで言ってますよ。ルビコン川を、まさに渡ったと。
だから、中国から、今、共同声明の後、中国、抑えた対応してるように、私、思いますけども。
中国から、わかったと、日本は中国の核心的価値、利益、もう、これだけは譲らない、台湾は自分のものだっていうのは絶対譲らないんだっていう風に中国は言ってますから。その最たるものを、台湾海峡を巡るアメリカとの戦争の時に、日本はアメリカと一緒に行動するんだな、と。だったら、我々もそういう、日本は扱いするよっていうことに」
岩上「ということになりますね」
小西議員「ルビコン川を渡るって、そういう意味です。なりかねないですね」
岩上「これはもう、確実に渡った」
小西議員「非常に恐ろしい話」
岩上「そう」
小西議員「だからもう、こんなこと、ここまでアメリカのためにしてやる必要はないんですね。ここは一線引かないと、日本は、いけない」
岩上「そうですね。いくらなんでもね」
小西議員「いくらなんでもですね」
岩上「たとえば、尖閣の利益っていうことを言っても、尖閣ってのは台湾に近い所にありますよ」
小西議員「はい」
岩上「そして、『尖閣はうちのものだ』と領有権を主張してるのは、中国だけではなくて、台湾も主張してるんですね。
だから、尖閣においてはですね、台湾と日本の間では、言い分は争い合ってるわけですよ。だから、簡単に、台湾イコール同盟国、みたいな勘違いをしてるような人、いるわけですけど、同盟国でもないですし、そして、台湾との間にも領有権問題っていうのはあるんだよと。領土問題あるんだよと。
だからといって、関係を穏やかに、やっぱり、進めていこうじゃないかっていうのは、どこでも問題は生じてますからね」
小西議員「だから、尖閣諸島は、私、日本の固有の領土で、尖閣諸島が中国のものだって言ってるのは、本州が中国のものだって言ってるぐらいのレベルだと、私は思ってるんですが。
申し上げたいのは、この台湾問題で中国と日本が衝突すると、中国、今、尖閣諸島に公船出して、やってますね。ああいうのがエスカレートする可能性がある、ね」
岩上「いや、あれはもう、完全に正当化できます」
小西議員「だから、エスカレートする可能性がある。それでエスカレートすると、それに対応するだけでも日本、今、海上保安庁が一生懸命、対応してますけど。あれを中国が倍の船を出してくるとかですね。
だから、余計なそういう、まさに、ルビコン川を渡って、今までとは次元が違う中国と日本の間の緊張関係を作り出す。で、もし、何か間違って戦争が起きた時に、日本が引きずり込まれる。そういう非常に恐ろしい……」
岩上「『原発を抱いたまま』です。恐ろしいことです」
小西議員「はい」
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(※3)小室直樹さん:
日本の社会学者、評論家。学位は法学博士。
少年時代から人並み外れた才能を示し、福島県の会津高校から京都大学理学部数学科に入学。卒業後、大阪大学大学院経済学研究科で森嶋通夫らに学ぶ。
フルブライト奨学生として米国に留学し、ミシガン大学でダニエル・バービッジ・スーツから計量経済学を、マサチューセッツ工科大学でサミュエルソンから理論経済学を、ハーバード大学でスキナーから心理学、パーソンズから社会学を学んだ。
帰国後、東京大学大学院法学政治学研究科に入学。丸山眞男に政治学を、川島武宜に法社会学を、富永健一に社会学を、中根千枝に社会人類学を、退職していた大塚久雄に経済史学を学びつつ、学問の境界を越えて研究と執筆活動を続けた。
1970年、雑誌『思想』に発表した論文「社会科学における行動理論の展開」で、若手の優れた社会学者に贈られる城戸浩太郎賞を受賞した。
1975年には、社会学のアノミー理論を日本社会分析に応用した『危機の構造』で毎日・日本研究賞を受賞。
1980年の著書『ソビエト帝国の崩壊』では、構造機能分析やマックス・ウェーバーの宗教社会学の理論を用いて、システムの機能不全による旧ソビエト体制崩壊の必然性を説き、ソ連崩壊(1991年)を10年以上前に予測した。
大学等の研究、教育機関に定職を得ることなく、在野の研究者として著作を発表する傍ら、自主ゼミで多くの後進を指導し、数学や論理的思考の啓蒙書も刊行した。
2010年9月、77歳で没。
参照:
・「ノーベル賞級」の社会学者、小室直樹を今こそ知るべき理由(現代ビジネス、2018年11月20日)
【URL】https://bit.ly/3i5Q6w3
・評伝 小室直樹(上)学問と酒と猫を愛した過激な天才(ミネルヴァ書房)
【URL】https://bit.ly/3xd7raU
・小室直樹(コトバンク、日本大百科全書)
【URL】https://bit.ly/3x6hhex
菅総理はCSISで講演、対中国への強気をアピール! 民主主義などの普遍的価値について「譲歩しない」と断言したが、他の価値観を認めない狭量な姿勢も露呈!
岩上「で、その直後、またしてもですね、安倍総理もそうでした。麻生さんもそうでした。(菅総理は)わざわざ、CSISっていうですね、シンクタンクに行くわけです(※4)」
小西議員「はい、右寄りのですね」
岩上「きわめて好戦的で、世界最大の軍事シンクタンクで、かつ、ジャパンハンドラーと呼ばれる人たちが集っている所ですね。戦略国際問題研究所、CSIS。わざわざ、菅総理が講演したんですけど、そこでの発言が非常に怖いことを言ってます。で、これ、報じてません、大新聞、大メディア」
▲CSIS(戦略国際問題研究所)で菅総理が講演「2 日本外交の基軸としての日米同盟」
岩上「『インド太平洋地域の情勢は、「中国の台頭に伴うパワー・バランスの変化や新型コロナ対応の中で高まった自国中心主義」などで、不確実性が一層増大、地域の安全保障環境が厳しくなっている』と。
で、『「北朝鮮による全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルの、いわゆる CVID(完全かつ検証不可能、非可逆的な非核化)をねばり強く追求」する』と。これ、菅さんが言ってるだけで、それで北朝鮮が核放棄できるかって。するわけないだろって話でもあるんですけどね。さらに『中国に譲歩する考えはない』と言ったんですね。
▲菅総理「中国に譲歩する考えはない」「機能する日米同盟」を目指す
で、『「(中国は)東シナ海、南シナ海などにおける一方的な現状変更の試みを継続しています」、「私は、主権に関する事項」』、それから次、『「民主主義、人権、法の支配などの普遍的価値について、譲歩する考えはありません」』って言ったんですけど。これはですね、今さらそれを、中国に対して言うんですか?
中国と田中角栄が国交回復やった時に、中国と、じゃあ、民主主義や人権、法の支配についてですね、同じ考えを、普遍的な価値を共有してたんですか? ないじゃないですか。
これを『普遍的』って言ってるけど、西欧とアメリカと日本と韓国くらいの間の価値であって。台湾も、そうかもしれません。現状、グローバルな価値ではないわけで、それ以外の他者、独裁国、共産党の独裁もあれば、イスラムの独裁国家もある、そういう中でですね、『他者を認めない危険な発言』じゃないかなと、こう思わざるを得ないんですね」
小西議員「それはそうです」
岩上「こんなデリケートなタイミングでですね、CSISに、普遍的価値外交みたいなことを、『私は一歩も譲歩しない』って言うのは、すごく刺激するんじゃないかなぁという風に思うんですけども」
小西議員「中国は刺激されるんだと思うんですけど、これ、さっきのスライドであった香港だとか、ウイグルだとか、あと、南シナ海を埋め立てたりだとか、あと、日本からすれば尖閣諸島に公船がやって来るだとか、そういうレベルの民主主義の、中国がやってる侵害だとか、人権弾圧だとか、法の支配の侵害だとか、そういうことを譲歩する考えはないっていうのは、これは私も同意しますよ。これは、価値観じゃないですか」
岩上「そこは、じゃあ、意見の分かれるところであるから」
小西議員「分かれてもいいんだと思うんですけど」
岩上「僕は、これはやっぱり外交なので」
小西議員「いや、だから、中国が今やってる香港に対することだとか、ウイグルに対することだとか、南シナ海の埋め立てだとか、それを認めるんだったらもう国際社会は成り立たないと。
多分、菅総理、私、ハチャメチャな人だと思いますよ。菅総理の学術会議の任命拒否、違法暴く仕事もしてますけど。めちゃくちゃな人だと思うけど、安倍政権時代の罪を含めて。
ただ、これが香港だとか、ウイグルだとか、南シナ海の埋め立てだとか、で、多分、アメリカと議論してるんだと思うんですが、そこはいいんじゃないですかね。譲歩しちゃダメじゃないですかね。ごめんなさい」
岩上「わかりました」
小西議員「だから、最低限。おっしゃる通り、中国と日本で国が全然違うし、中国の考えてる人権も違うし、日本の考えてる人権も、それは違いますよ。ただ、国際社会のレベルで、やっていいこと、いけないことで、最低限共有されるものを、中国は今、超えてしまってるっていうことを言ってるんじゃないですか」
岩上「問題は、その超えてしまってるって言ってることで、妥協はどうやって成り立つのかと。そこが、あと妥協ですよね。妥協以外だと、結局は、そこからは最終的にアナーキーっていうことになっちゃいますから、国際社会において」
小西議員「いや、妥協、たとえば、ちょっと、じゃあ、中国から離れてミャンマーのような国軍がですね、市民にやってることを、何か許す余地があるかって言ったら、多分、私、ないと思うんですよ。クーデターで市民を殺戮してるだけですから。
中国は、あれは内政干渉じゃないかみたいな、近いこと言ってますけど、じゃあ、そこの中国の主張に正当性があるって、私は絶対ないと思うんです。それ認めたら、もう民主主義とか人権とか法の支配とか、この世からなくなっちゃうので。だから、ちょっとすいません。岩上さんの主張に盾突くつもりじゃないんですが」
岩上「あの、ものの見方があるんだっていうことです」
小西議員「だから、私は、今回の共同声明は非常に恐ろしいものなんだけど、何かここの菅総理の『譲歩する考えはありません』ってのは、今言ったようなレベルの話じゃないのかなとは思うんですけどね」
岩上「なるほど。僕はちょっとですね、ここはもう、意見分かれた、でいいんじゃないですか」
小西議員「いろんな意見があって、いいと思うんです」
岩上「僕は非常に危険だと思ってます。おっしゃることは、すごくよくわかるんです。ただ、なぜ、CSISでこういうことを言ってしまうのか、っていうことなんですね。
CSISで言ったことって、あとで必ず実行してくれと迫られるわけですよ。水道の民営化をですね、麻生さんが約束したのは、外資、全部開きますって言ったのは、CSISですよ。だから、これで『一切譲歩しません』って言ったのは、誰に向かって言ったかっていうと、CSISに向かって言ったわけですよね。
で、一般論として中国がやってることは危険だよっていうことを言うんだったら、言い方っていっぱいあると思うんです。だけれども、この普遍的価値観の共有、そのためにどういう行動とるかっていったら、アメリカに決めてもらって、アメリカに付き従ってくしかない状態、現状において。
で、アメリカが非常に強硬な措置に出るっていう時には、『譲歩する考えはありません』って言葉だけが拾われていくんではないか。『お前は譲歩しないって言っただろう』っていう風に言われてしまう。政治的なですね、ある程度の幅のある言葉を使うべきだったんじゃないかってことを、僕、すごく懸念してるんですね。
こんな、オイオイと、命かけますみたいな話を、そんな、国会にもかけないでね、総理単独でね、CSISに約束してくるっていうのは、すごく危険なんじゃないか。そこの言葉、取られちゃう。言質取られちゃうんじゃないか、っていうことを懸念してます」
小西議員「かつて安倍総理が、2017年、2018年、トランプ大統領が北朝鮮に空母を送ったりした時に、安倍総理が『日本は100%、アメリカと共にある』って言いました」
岩上「言いましたね」
小西議員「それはまさに、岩上さんがおっしゃってるような話だと思いますね。国民のことなんかさておいて、アメリカと、とにかく何があっても一緒にいるんだっていうような」
岩上「そうですね。でも、それを引き継いでしまって、初めてのお目見えでしょ。初めてのお目見えで、私も前任者と変わらず、断固たる、一歩も下がらずね、あなた方について行きますよって受け取るような、発言をしてしまってるなと。本当に不安になるような発言だなと」
小西議員「ああ、そうですね」
岩上「もちろん、おっしゃってる中国のやってることがけしからんという話は、けしからんと思いますよ。で、けしからんというのは粘り強く、やっぱり、やめてくださいよって言うしかないことだと思うんですね」
小西議員「何か『永遠の同盟』とか、本当にもう、完全にもう一体化なんです、みたいなことを、共同声明でもはっきり、恐ろしい言葉で」
岩上「恐ろしいですよ。『永遠の同盟』ってないんですから。そしたら、国家が一体になるってことですよ」
小西議員「だから、私も、永遠とまで言う必要ないと思うんですよね。永遠に近いような表現、確か使ってたと思うんですけどもね」
岩上「怖いですよ」
小西議員「永遠までいくと、やっぱり、イデオロギーになっちゃいますよね」
岩上「ですよね」
小西議員「だから、そういう冷静な姿勢というか。はい。すいませんでした」
岩上「今、それで、ちょっとここがね、少し議論になりましたけど、でも、この議論、大切だと思ってるんです。
で、多くの人が小西さんが言われた通り、いや、岩上の言ってることより、小西さんが言ってることのが正しいじゃないかと、中国の暴虐を放置してていいのかっていう風に思ってらっしゃると思うんです。
で、それは、私も同感なんですけれども、じゃあ、何か、暴れん坊がいますよ、ヤクザ者が暴れてますとか何とか、仮に、面倒な人が言うこと聞かないことしてますっていう時に、じゃあ、即、力には力で対抗するんですか、と。
もしかしたら、自分の方が負けて殺されちゃうかもしれませんよ、みたいな場合もあるじゃないですか。すると、遠巻きに説得するとかね、いろんな方法をやって、粘り強く、暴発しないようにする方法を、やっぱり、考えていかなくちゃいけないと思うんですけど」
小西議員「だから、歴史的に言うと、多分、オバマ政権時代は、中国が、何かそういう、責任ある大国に育ってくれるんじゃないかっていうスタンスだったと思うんですよね。
ところが、中国はどんどん自分で自信を深めて、ものすごい、20兆とも言われる国防費、防衛予算をつぎ込んでいって、で、今、空母を何隻か造り始めてたり、南シナ海を埋めたり、いろんな覇権的な行為をしてきて。やはり、中国には一定の力で立ち向かわないといかんのじゃないかっていう。
で、トランプ大統領は、さらに恐ろしい発想でやってたんだと思うんですけど。それがバイデン政権になっても、基本、中国は我々とは異質の国なんだと。だから力で、やはり、やっていかなきゃいけない。で、そこに日本が過度な形で巻き込まれようとしてるというような、今、流れ、構図じゃないかなって思ってるんですね」
岩上「そうですか」
小西議員「当たってるのかどうか、あれですけど」
岩上「今、おっしゃったことは覇権論で、あとで論じればいいのかなと思うんですけど。国際社会っていうのは何なのかっていうことを。中国とアメリカは今、ストレートにですね、ぶつかり合ってると」
小西議員「はい」
岩上「で、アメリカはですね、普遍的な価値、先ほど言った人権とかですね、法の支配とか民主主義とか。ところが、それに対して中国の反論というのは、中国には中国流の民主主義がある、と。
で、かつ、国際社会の中において、ルールとか秩序と呼べるものは、たとえば日米安保だとか、NATOとか、そういうような、あるいは、アメリカが作る有志連合のようなですね、そういう任意のグループのことを指すんではなくて、国連憲章および国連、これだけが国際社会にある秩序なんだという風に言ってるわけですね。
これは否定できない事実だと思いますし、それを取り除いた後は、国際社会って完全にアナーキーですから。アナーキーって言うと、これはもう、あとは力の勝負なんで、力で秩序をどっちが決めるかって話になるわけですよ。
その時に、じゃあ、力がどれだけ差があるのか、とかいう話になった時にですね、アメリカが本当に、今、急に、G2目指してた時代と態度を変えて、攻撃的な姿勢を取り始めたかって言うと、やっぱり、アメリカの国力が落ちてくるのにあわせて、中国の国力の伸びが甚だしくてですね、抜かれるさなかにあると。
で、『トゥキュディディスの罠』ってよく言われますけれども(※5)、覇権国が新興国に挑戦されてる時にこそ、そのクロスする時に、大戦が起こるというですね、そこにやっぱり至ってる。
で、これが、日本ではそういうこと言うと、何か、ちょっと気取ってるね、で終わりなんですけど。いや、これは、たとえば、ジョセフ・ナイ(※6)でも、アリソン(※7)でも、アメリカで、もう本当に戦略家が頭下げて勉強しているような先生方が、米中の間では、この覇権交代をめぐるドラマが起こる、ということは言ってるわけですね。
なぜかと言うと、今までのアメリカの覇権に挑戦してきた挑戦者は、ナチスドイツであり、あるいはドイツ帝国であり、大日本帝国であり、何と言ってもソ連。だけれども、どれひとつとって、アメリカ一国の国力を上回った国々なんてないんですよね。だけれども、中国はですね、(国力で)抜き去るわけですよ。
そのことを考えた時に、アメリカの覇権(が続く)っていうのは現実のものではない。戦争ってお金かかるって言いましたけど、国際社会の秩序っていうの、どっちなんだと。お互い言い合いしていった挙句、じゃあ、決めようぜっていったら、喧嘩で決めるしかねぇっていう話になり、そして、その挙句、国力のある方が勝つっていうことになったらですね、それは、あんまり愉快ではない未来が待ってる可能性があるんで、そこはやめてもらいたいって考えるのが。
我々、どう考えても覇権を争えない。世界中のほとんどの国は、この2国を除いては、覇権争いなんて関係ないですから、だから、平和であってくれと。それで、どっちかを選べみたいなこと言わないでくれと。米中両方とも仲良くしたいんだ、というのが普通の国だと思いますよ」
小西議員「そうですね」
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(※4)CSISっていうですね、シンクタンクに行くわけです:
CSISは、ワシントンD.C.に本部を置くシンクタンク、戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies)の略称。
米国の歴代政権に、外交、防衛、安全保障、エネルギー問題などに関する政策提言を行なっている。所長兼CEOは、ビル・クリントン政権下で国防次官や国防副長官を務めたジョン・ハムレ氏。
メンバーには、元国務長官のヘンリー・キッシンジャー氏、元大統領補佐官のズビグネフ・ブレジンスキー氏(2017年没)、元通商代表のカーラ・ヒルズ氏、元国務副長官のリチャード・アーミテージ氏といった政府高官OB、ジョセフ・ナイ氏(ハーバード大学特別功労教授)、マイケル・グリーン氏(ジョージタウン大学教授)、アーロン・フリードバーグ氏(プリンストン大学教授)などの政治学者が名を連ねる。
CSISには日本部(Japan Chair)があり、日本から多くの若手官僚や政治家、大企業の社員らが出向し、客員研究員として籍を置く。小泉進次郎環境大臣は、2006年から2007年にかけて非常勤研究員として在籍していた。
日本政府の要人が訪米した際、CSISに招かれて講演することが多く、2013年には安倍晋三総理、麻生太郎副総理兼財務大臣が、また、2021年4月に初訪米した菅総理もリモート講演を行なった。
CSISの「知日派」、いわゆるジャパン・ハンドラーズ(日本を飼いならしている人たち、の意味)が、日本の安全保障や外交、経済など各分野について細かな提言を行い、その内容が日本政府の政策に反映されることが非常に多い。
有名なものは、2000年から現在まで、5回にわたって発表されている「アーミテージレポート」で、集団的自衛権の行使容認や武器輸出三原則の撤廃、原発の再稼働、TPP参加などが、そこに書かれた通りに実現している。
参照:
・【IWJブログ】CSIS「第3次アーミテージレポート」全文翻訳掲載 2013.2.3
【URL】https://bit.ly/3eZDl48
・戦略国際問題研究所(CSIS)における菅総理講演(外務省、2021年4月16日)
【URL】https://bit.ly/3yabVQF
・日本は戻ってきました(CSISでの政策スピーチ)内閣総理大臣 安倍晋三(首相官邸、2013年2月22日)
【URL】https://bit.ly/3BKG1wj
・小泉進次郎 Official site「プロフィール」
【URL】https://bit.ly/2WjhWMN
(※5)『トゥキュディディスの罠』ってよく言われますけれども:
古代ギリシャの歴史家、トゥキュディディスは、スパルタとアテネが約30年にわたって戦ったペロポネソス戦争について、新興国のアテネが旧覇権国家のスパルタの地位を脅かしたことが原因だと分析した。
米国の政治学者で、ハーバード大学ケネディ行政大学院の初代学長であるグレアム・アリソン氏は、著書『米中戦争前夜 新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ』の中で、過去500年の間に新興国が覇権国を脅かした例が16件あり、うち12件が戦争につながったと指摘、新興国と覇権国の力が逆転しようとする時、戦争が不可避となる状態が「トゥキディデスの罠」であり、まさに米中がその罠に陥っていることを指摘した。その上で現実に米中が派遣をかけた戦争をする可能性と、その回避の可能性を詳細に検討している。
参照:
・「トゥキディデスの罠」アメリカは正気に戻って中国との戦争を回避できるか(ニューズウィーク日本版、2020年10月07日)
【URL】https://bit.ly/3f1U1rY
・「トゥキュディデスの罠」にかかった習近平(日経ビジネス、2018年12月27日)
【URL】https://bit.ly/3rCGvjr
(※6)ジョセフ・ナイ:
ジョセフ・サミュエル・ナイ・ジュニア。
米国の国際政治学者、ハーバード大学特別功労教授。ジャパン・ハンドラーとして知られる。
1977年、ロバート・コヘイン氏との共著『権力と相互依存』で「相互依存」という概念を学問的に洗練させ、これをカギに国際政治理論を巨視的に再構築する試みで注目される。
カーター政権で国務副次官(1977~1979年)、クリントン政権では国家情報会議議長(1993~1994年)、国防次官補(国際安全保障担当、1994~1995年)を務め、国防次官補時代に「東アジア戦略報告」を取りまとめた「ナイ・イニシアティブ」が評価された。
これは、冷戦後に経済摩擦で不安定化した日米同盟を再定義し、中長期的な日米同盟とアメリカの東アジア政策の基礎となる方針を確立したもので、1997年に日米両国政府が合意した「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」につながった。
2000年から、対日政策提言である「アーミテージ・ナイ報告書(アーミテージレポート)」の第1次から第5次までを共同執筆しており、対日政策の形成に深く関わっている。
参照:
・ジョセフ・ナイ:義塾を訪れた外国人(三田評論ONLINE、2018年10月11日)
【URL】https://bit.ly/3y95sFN
・第4次アーミテージ・ナイ報告分析 さらなる日米一体化への要求(猿田佐世)(新外交イニシアティブ、2019年5月14日)
【URL】https://bit.ly/3rDGg80
(※7)アリソン:
グレアム・アリソン。
政治学者。ハーバード大学ケネディ行政大学院初代学長。
専門は政策決定論、核戦略論で、レーガン政権からオバマ政権まで歴代国防長官の顧問を、クリントン政権では国防次官補を務めた。
『決定の本質 キューバ・ミサイル危機の分析』(1971年)のほか、『核テロ 今ここにある恐怖のシナリオ』『リー・クアンユー、世界を語る』など、多数の著書がある。
アメリカで2017年上半期のベストセラー歴史書となった『米中戦争前夜 新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ』では、台頭する新興国と守りに入る覇権国が、いつしか戦争に突入する力学を「トゥキディデスの罠」と名付け、過去500年の事例を分析して、現代の米中関係への示唆を提示した。
参照:
・グレアム・アリソン ハーバード大学教授が考える、米中両国が新旧戦争を避けるための12のヒント(DIAMOND ONLINE、2017年11月23日)
【URL】https://bit.ly/3iOKtS1
・米中戦争前夜 新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ(ダイヤモンド社)
【URL】https://bit.ly/2WqFvDB
覇権的に外へ出て来る中国と全面衝突を避けつつ、どう対峙するか。日本にとって「ギリギリしびれるような時代」が今後も続く!
▲1972年のニクソンショックとは!?
岩上「でも、アメリカが今、どうなってるかっていうと、まず、『世界中を驚かせた「ニクソン・ショック」』っていうのがあった。最近の若い人、ニクソン・ショック(※8)を、知らない人が多いんですけど、当時はすごい驚かれたんですよ。1972年のニクソンアメリカ大統領が中国訪問したわけですよね。
で、日中国交回復の方が早かったんですけど、米中国交回復は1979年まで時間がかかりました。で、そのお膳立て、すべてしたのは、このニクソン時代の国務長官だったキッシンジャーさん(※9)。キッシンジャーさん、その後、ずーっと50年間にわたり、アメリカの、外交安全保障政策に影響を与え続けている、大変な、何か怪物みたいな人ですよね。
で、アメリカが台湾を独立国家として認めることを、この時点でやめたわけですよ、アメリカはね。で、『共産中国の主張する「一つの中国」を米国が承認する』ってことが、半世紀近く続いてきたんですけど、この『72年のニクソン・ショック以来の米国の対中外交の基本方針を転換せよ』とポンペオ、トランプ時代の国務長官が訴えて」
▲ポンペオ国務長官が「ニクソン外交による米中国交回復は間違いだった」と、中国との決別を断言
岩上「で、驚いたことに、政権交代したバイデン大統領は、もうちょっと融和的になるかと、G2時代のように戻るかと思ったら、戻らず、対中攻撃姿勢を維持したと。
ちょっと、バーッと言わせていただきますね。
『ポンペオ国務長官が「ニクソン外交による米中国交回復は間違いだった」と、中国との決別を断言』したのは2020年の7月23日なんですけれど、トランプ政権下で、わざわざですね、ニクソン記念館の前に行って、対中政策について、こういう風に言ったんですね。
『「ニクソン大統領が、今から50年前の中国への歴史的な訪問で、中国への関与政策を打ち出したが、間違いだった。こうしたパラダイムとは決別しなくてはならない」と中国との国交回復以来の歴史を否定し、中国との対決に同盟国を動員することを呼びかけた』と」
▲ポンペオ氏にニクソン外交を否定されたキッシンジャー氏がトランプ・バイデン政権の対中外交姿勢に反論し、批判!「第一次大戦以前の状況に陥る」と強く警鐘
岩上「それで、『ポンぺオ氏にニクソン外交を否定されたヘンリー・キッシンジャー氏は4月1日、ジェレミー・ハント元英国外務大臣との、チャタム・ハウスという、これ、王立国際問題研究所って言われる、非常に威厳のある、由緒のある所で、ここで英米の戦略が練られてきたと言われる所ですけど、そこでの対談で、『すべての問題に最終的な解決策があるわけではなく、解決策と思われるものは別の問題への扉を開いてしまうことを忘れてはならない』と。
つまり、中国には問題があるだろうけれども、その問題を最終的に解決してやろうとやると、別の問題に行ってしまうだろうと。『さもなくば第一次世界大戦以前のような状況に陥る』と。
慎重に、第一次世界大戦と同様に陥るとは言わないんですけど、要するに、戦争しかなくなるぜっていうことを、キッシンジャーは、今のトランプからバイデン政権へと続く中国強硬政策に対して警告したんですね」
▲キッシンジャー氏が多極的統治観の受容を提言!「平和な秩序を維持するために必要なのは国内の基本原則は異なっていても合意が得られる国際秩序の模索である」
岩上「で、こういう声がですね、かつてのアメリカには、まだまだあったと思いますけど、今のアメリカの中には非常に少なくなっている状態。
やっぱり、余裕がなくなってるんだと思いますし、ポピュリズムが覆ってるんだと思うんですけど、『平和な秩序を維持するために、一貫した統治観が必要なのか?』を問いかけるわけですね。一貫してなくても、それぞれ違う統治観であったとしても、平和的な秩序の方を維持した方がいいんではないかと、裏返して読めると思うんですけど。
だから、『国内の基本原則はある程度異なっていても、合意が得られるような国際秩序を構築することは可能』なんじゃないだろうか、と問いかけたと。多様性の受容ということと、一極ではなく多極化の受容の勧めでもあるんですけど。
こういうようなことをですね、米国の中の、そして米中、本当、異者ですよ、他者ですよ、こっちが共産主義で、こっちが資本主義の。だけれども、冷静に話し合いを続けて、大きな戦争をしないようにしてきた。朝鮮戦争で向かい合ったことありますからね。米軍と人民解放軍がね。それらを考えてったらば、何とか大戦争を抑え込んできたわけじゃないですか。その時に毛沢東、もう、核も持ってるしね。
こういう知性もあるけれども、今は、こういう風なストレートにね、もうニクソン外交は全否定だと。ここの前に戻るんだと。この流れを受けて、そこに同意してしまうっていうのは、怖いことではないかなと思うんです。この辺についてはどうですか。どう思われますか」
小西議員「だから、私の認識は、さっき申し上げた通りなんですが…。だから、中国が独特の、社会主義なのか共産主義の統治体制をとってますよね。で、アメリカはいろいろ課題はあるけど、民主主義。日本も法の支配、壊れてますけど、民主主義ですよね。それは、国内でやってる分には、お互いそういう国なんだっていうのでやってる。
ただ、それが対外的に出た時に、そこの地域の、アジア太平洋地域の秩序を壊すようなこと。しかも、それはさっき言ったように、アメリカが手が出せないような形で、中国に好きなようにやられてしまうってことは、もう、アメリカとしては受け入れられないと。
で、その受け入れられないのを忍耐強くやろうとしてたのがオバマ政権で、バイデンさんは、そこの副大統領ですよね。で、それに対して、自分の世界観、自分の理屈でやっちゃうトランプというとんでもない大統領が現れて、それの時代を経て、今はバイデンさんが大統領になって。
だから、バイデンさんがとった戦略っていうのは、中国に対しては非常に強い姿勢。私なんかも、ここまではっきりやっていくのかと。そういう意味では、バイデン政権になって、ある意味バイデン政権になって、米中関係っていうのは、今までとはちょっと違うところに一歩入って。
ただ、気候温暖化だとか、そういうのでは、一緒に連携するところはやって。だから、習近平も、アメリカが主催する会議に出るっていうようなことも言ってますから。連携するところはやって、全面衝突は避けたいという思いは、アメリカも中国も、本音のとこではあるんでしょうけど」
岩上「あるでしょうね」
小西議員「ただ、アメリカは、中国には一歩も退かんぞという姿勢なんだと思うんですよね。
で、そのアメリカが中国に対して、一歩も引かないものは引かないぞという姿勢がダメで、やっぱり何か引くところは引きながらっていうの、それ、どっちが正しいかと言うと、どうなんですかね。
私は、やっぱり、中国が、どう見てもやり過ぎてるところはあるので、それについては、引くっていうことやると、中国って、やっぱり、どんどん出てくると思うんですね。
ていうのは、私、中国に、今、コロナで行けてないんですが、毎年、超党派の議連があって、中国に、私、毎年行ってるんですよ。
それは、よくできた視察になってて、北京は必ず行くんですね。さらに、北京からなるべく遠い地方にも行くんですよ。で、中国の地方政府の要人に会ったり、あるいは、習近平がまさにトップを務めていた福建省も行きましたよ。一番最近、行きましたけども。で、北京で北京政府の幹部に会ったりもしてるんですが。
そういうの見てると、やっぱり、中国っていうのは、あれだけ複雑な巨大な国を共産党、共産党員が800万人ぐらいいるわけですよね、共産党が支配してるわけですよ。そうすると、共産党は自分たちのやってる統治が、中国国民から支持が得られないといけないので、そうすると、やっぱり、対外的にはどうしても強い姿勢で出ちゃうんですよね。
これって、冷戦始まった時に、アメリカで『封じ込め論』って、ジョージ・ケナンが分析したソ連の構造的な問題(※10)、同じような問題、指摘してるんですね。いろんな国内問題をソ連は抱えているので、対外的に出ざるを得ないところがあると。
で、中国も私、今、そういうところがあるんじゃないかと思って。そうすると、やっぱり、中国が覇権的なかたちで外に外に、国際法に違反するような行動をやってくるのを、それを、やっぱり、全面衝突はしないように、どうやって対峙していくかっていう、非常にギリギリしびれるような時代が、何年か今後、続かざるを得ないんじゃないかって風に、私、思ってるんですね」
岩上「そうですね」
小西議員「ただ、その、中国と、こう、ジリジリ対峙する時に、まかり間違ったら、特に台湾問題ですね。アメリカと中国が戦争になった時に、日本が引きずり込まれるようなかたちの共同声明まで。『ルビコンを渡った』って元外務次官が言ってるわけですから。それは明らかに危ない、やりすぎじゃないかというような、今、考えですね。すいません、ちょっと、うまく答えられたかどうか」
岩上「いや、おっしゃる通り。これは、みんなが悩まなきゃいけないし、ジリジリしなきゃいけないし。もし、ジリジリしないでですね、ストレートな価値観を持ってる人は、ちょっとおかしいですよ。つまり、『いやいや、中国はけしからんから、やっつけてしまえー』とか言ってる人間はですね、経済の現実、まったく見えてないと思いますし」
小西議員「そう、最大の貿易相手国ですね、日本って、中国は」
岩上「そうです。だから、それは経済の現実、まったく無視してるから、当然、こんなのは破綻するし。
中国と和解するためにね、一方的譲歩でいいじゃないかと。譲歩しませんの反対側、一方的譲歩でいいじゃないかと。で、日米同盟も全部解消してしまってですね、で、中国と仲良くやってけばいいじゃないかって。それは甘いですよっていうのにも、僕はその通りだと思うんです。
だから、この間の、ものすごくジリジリするという状態を、真剣にね、両面からね、複眼的に見なくちゃいけないんじゃないかと。ただ、キッシンジャーが言ってるのは……」
小西議員「ここで言ってる話は、一般論としてはこの通りだと思いますよ。平和の秩序を維持するためには、もう、お互い違う国なんだけども、なんとか合意をして紛争だけは避ける。国際秩序を、そういう秩序を、何とか、ジリジリのかたちであれ、あるいは、一番いいのはお互い話し合って、平和の枠組みを」
岩上「そうですね」
小西議員「昔、ヨーロッパが第一次世界大戦、第二次世界大戦、戦いましたけど、それ以降、ヨーロッパでは、ユーゴの紛争以外は戦争ないですよね。大きな戦争はない。だから、そういう平和の枠組みを作れればいいけど、作れなかったら、ジリジリなのか、冷戦なのか。ただ、いずれにしても、言ってることは正しいと思う。一般論としては」
岩上「そうですね。で、ジョージ・ケナンの封じ込め論が可能だったのは、それはやっぱり、ソ連経済っていうのが、地球経済の中で、たいしたことなかったんですよ」
小西議員「なかった。で、お互い、経済の交流もなかったからですね」
岩上「なかったし」
小西議員「今、中国とアメリカ、本来は大貿易相手国なので」
岩上「デカップリング(切り離し)することでのダメージは、すごいことになるんじゃないかと。
で、そのこと、中国、わかってましてね、やっぱり、この日米共同声明に対してリアクションして、批判してきました。で、それを、不愉快な人もいると思いますけど、相手の言い分も聞かないと、何をどうしてくのかわからないので、ちゃんと見ましょうと」
▲中国外交部が共同声明を批判「日米同盟の有害な性質が顕わ」
岩上「中国外交部は、『(日米によるブロック間の対立を煽る時代錯誤的な動き)は、地域の平和と安定を損なおうとする日米同盟の有害な性質をますます明確に世界が見ることを可能にする』と。
で、『日米両国は、中国の懸念を真摯に受け止め、一つの中国の原則を遵守し』、ここは、これまでずーっと守ってきたことだろっていうことを、投げかけてるわけですね。
『直ちに中国の内政に干渉し、中国の利益を害することをやめるよう要請する。中国は、主権、安全保障、開発の利益を断固として擁護するために必要なすべての措置を講じます』。だから、一歩も引きませんよと。
それから、これは特に、ずっと認めてきたことは認めてきたわけですからね。外交上の建前とは言え、ずっと台湾を国家として認めてなかったわけですから。そういうところをひっくり返すところまで行くのか、お前らっていういうことが、投げかけられてるわけですね」
▲中国は猛反発「中国の内政に乱暴に干渉」
岩上「そして、『4月17日、駐日中国大使館はホームページに「駐日中国大使館報道官、日米首脳会談および共同声明における中国関連の内容について記者の質問に答える」という記事を掲載』しました。
おそらくこれ、質問が行って、それに対して慎重に、じゃあ、ホームページに掲載しましょう、というものだと思うんですね。日本の記者たちの質問にも答えてるんだと思うし、もしかしたら、アメリカの記者とかも入ってるかもしれませんね。
で、『日米双方が首脳会談および共同声明において、中国に対し、言われ無き指摘をし、中国の内政に乱暴に干渉し、中国の領土主権を侵犯したことに対し、中国側は強い不満と断固たる反対を表します。既に日米双方に厳正なる申し入れを行いました』と。
『領土主権を侵犯した』っていうのは、これはいくら何でも言い過ぎだろうと思いますが、ここですね、けっこう重要なんですよね」
小西議員「台湾のことじゃないですかね。台湾の声明の、多分、それを言ってるんでしょう」
▲中国「国連を核心とする国際システム以外、システムというものはありません」
岩上「そうですね、そういうことですね。彼らは、『いや、我々のものだ』と言ってるわけですからね。
『日米のいわゆる中国の行動がルールに基づく国際秩序に合致しないとの言い方はまったく事実無根のものです。今の世界において、国連を核心とする国際システム以外、システムというものはありません。国連憲章の趣旨を基礎とする国際関係の基本準則以外、ルールというものはありません。中国側は東中国海、南中国海における立場および主張に十分な歴史的、法的根拠があり、これからも引き続き領土主権および海洋権益を断固として維持していくと同時に、対話、協議を通じて、食い違いを解決し、関連海域の平和と安定を維持していきます』と」
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(※8)ニクソン・ショック:
1971年7月15日、リチャード・ニクソン米大統領は、中国に対するそれまでの強硬姿勢を転換、「来年、中国を訪問する」と全米のテレビで発表して世界中を驚かせた(第1次ニクソン・ショック)。
泥沼化したベトナム戦争の終結のため、北ベトナムの主要な支援国である中国に接近して和平の道を探るべく、前月にキッシンジャー大統領特別補佐官が秘密裏に訪中、周恩来首相と会談して根回しをしていたのである。
ニクソン大統領は1972年2月21日、アメリカ大統領として初めての中国訪問を果たし、毛沢東国家主席と会談、米中共同宣言(上海コミュニケ)を発表した。
米中の国交正常化は1979年、カーター政権と鄧小平政権が実現させている。
日本の佐藤栄作首相は、1970年10月にワシントンでニクソン大統領と会談した際、「日米共通の敵」であった中国への強硬路線を続ける合意をしており、はしごを外された日本政府は大きな衝撃を受けた。
7月の訪中発表に続いて、1ヵ月後の8月15日、ニクソン大統領はドルと金の交換停止を電撃発表した(第2次ニクソン・ショック)。
長引くベトナム戦争で軍事費が増大し、財政難に陥ったアメリカの新しい経済政策だったが、ドルの価値は急落し、ドルを基軸とする国際通貨制度であるブレトンウッズ体制は崩壊した。
これは「ドル・ショック」とも呼ばれ、日本では1949年から続いた「1ドル=360円」の時代が終わった。
参照:
・ニクソン訪中(世界史の窓)
【URL】https://bit.ly/3zE2ARr
・国家間に友情は存在しない 「ニクソン・ショック」の教訓どこへ(朝日新聞GLOBE+、2019年5月31日)
【URL】https://bit.ly/3rBC3Bo
・日本にとってのニクソン・ショックは金融問題にとどまらぬ実体経済の問題だった(DIAMOND ONLINE、2014年10月2日)
【URL】https://bit.ly/3l0fXaI
(※9)キッシンジャーさん:
ヘンリー・アルフレッド・キッシンジャー。
1923年、ドイツ系ユダヤ人としてドイツのバイエルン地方で生まれ、ナチスの台頭により1938年にアメリカへ亡命、1943年に帰化した。
第二次世界大戦中の1943年、陸軍に入隊。ドイツ語ができるため特務機関のOSS(戦後のCIA)に配属され、ヨーロッパ戦線の対諜報活動を行う。
戦後はハーバード大学で政治学を学び、大学院を卒業後は同大で教鞭をとりつつ、超党派の外交問題評議会へ参加して外交政策の提言を始める。
一時期、ケネディ大統領の顧問として外交政策立案に関与した。
1968年、就任直後のニクソン大統領から国家安全保障問題担当大統領補佐官に指名され、政権中枢へ。
以後、ニクソン政権とフォード政権で大統領補佐官と国務長官を務めた。
1971年にはニクソン大統領の「密使」として、ソ連と緊張状態にあった中国を極秘に二度訪問し、周恩来首相と直接会談を行なって米中和解への道筋をつけた。
一方で、中国との和解を交渉カードに、ベトナム戦争終結に向けた北ベトナムとの秘密停戦交渉、ソ連と第一次戦略兵器制限条約(SALT1)を締結するなど、デタント(緊張緩和)政策を推進した。
1973年、ベトナム戦争終結への道筋をつけた功績で、ノーベル平和賞を受賞。
1977年に退任後、戦略国際問題研究所(CSIS)へ。回想録の『キッシンジャー秘録』は一級の外交資料だと話題になる。
現在でもアメリカの歴代大統領や世界各国の指導層と交流があり、100歳近い年齢ながら、その国際的影響力は計り知れない。
参照:
・キッシンジャー(世界史の窓)
【URL】https://bit.ly/374IqDS
・キッシンジャー(コトバンク、ブリタニカ国際大百科事典)
【URL】https://bit.ly/3zK3bRT
・キッシンジャー 1923-1968 理想主義者(日経の本 日経BP)
【URL】https://nkbp.jp/36YZfjM
(※10)アメリカで『封じ込め論』って、ジョージ・ケナンが分析したソ連の構造的な問題:
アメリカの外交官でソ連研究の専門家であったジョージ・ケナンは、在モスクワのアメリカ大使館の公使参事官を務めていた1946年2月、ソ連の行動原理を大局的に分析した8000語に及ぶ長文電報を本国に送った。
その中で、対ソ戦略として提示されたのが「封じ込め論」である。
当時のアメリカは戦後秩序の形成にあたって、同じ連合国のソ連の協力を期待していたが、ソ連は自国の安全保障を優先、世界銀行や国際通貨基金に入る様子もなく、アメリカ政府は対応をはかりかねていた。
ケナンはソ連の体制内部について、「自分の潜在力を弱めてしまうような欠陥を、その内に含んでいる」と指摘し、アメリカはソ連を軍事的に倒す必要はなく、「注意深い封じ込め」によって、長い時間をかけて、ソ連体制の崩壊を待つべきだとした。
ソ連の対外行動の動機を鮮やかに読み解いたこの電報で、無名の外交官だったケナンは高く評価され、1947年、新設された国務省政策企画局の初代局長に任命された。
長文電報は、のちに一般向けに改訂・拡大され、フォーリン・アフェアーズ誌の1947年7月号に「ソヴィエトの行動の源泉」というタイトルで、筆者名を匿名の「X」にして掲載され、「X論文」と呼ばれた。
ケナンの「封じ込め」構想は、45年後の1991年、ソ連が自壊して幕を閉じたことで証明された。
参照:
・米ソ冷戦という新たな脅威を見定めたジョージ・ケナンの慧眼(論座、2021年3月7日)
【URL】https://bit.ly/3eVSeEE
・封じ込め政策(世界史の窓)
【URL】https://bit.ly/3f2tLxo
国連という「機能しないシステム」に世界の平和と安定を預けてきた戦後76年。「それを補強するような問題解決の仕組みを作れないだろうか?」
岩上「ここで、国連の秩序っていうのを守るって我々は言ってるんですけど、ちょっと……」
小西議員「ちっとも守ってないですよ、中国、国連秩序なんて。
だって、今、ミャンマーで、国軍がミャンマー市民を虐殺してるわけですよね。本来、安全保障理事会を開いて、国連憲章上、世界の平和、世界の人たちの命を守るのが、安全保障理事会の公的責務なんですよ。それ、中国、まったくやってないですよ。
だから、国連を核心とする国際システム以外、システムないんだったら、自分の国際法上の、国連憲章上の責任を、中国は果たさないといけないと思います。だから、言ってることとやってることがまったく、中国、異なってると思います。
別に、私、中国が嫌いでも何でもないですよ。友好議連に入ってて、コロナ前、毎年中国に(行っていた)。隣国なんで、どんなにおかしいと思っても、疑問に思っても、やっぱり仲良くしないと。戦争を防ぐのが国会議員の役割なので、私は中国ともちゃんと話をしてる議員なんですが。
ただ、中国は香港でやってること、かつ、ミャンマーに対する対応だとか、これ、めっちゃくちゃだと思いますけどね、はっきり言って。
だから、私は、中国に言いたいのは、もう大国なので、やはり、その地域の平和と、地域に住んでる世界のいろんな市民の皆さんの、命と幸せに責任を持つ国に、中国はならないといけないんですよね。
今みたいに覇権をもって突き進んでても、誰からも尊敬されないし、誰からも歴史的には評価されないわけですね。だから、中国に、責任ある大国に、やっぱり、なってもらうっていうことが、今、国際社会でみんなで中国に言わなきゃいかんこと。『いや、そんなことしてうれしい?』って。南シナ海埋め立てて、って。
ただ、さっき言ったように、いろんな国内問題とか、いろんなことがあって、ああいうことを、中国政府としては、やるような国なんでしょうけども。ただ、そうじゃないだろう、ということ。
すいません、ちょっと熱くなってしまいましたけども」
岩上「いやいや、全然いいと思います。ただ、ここ、ちょっとね、僕は逆の見方をすると、反対って意味じゃないんですよ。これは、グーグルの自動翻訳かなんかにして、中国向けにして、中国に向かって、『あなたたち、もうちょっと大人になりなさい。大国らしくなりなさいよ』と説諭してほしいなと思います」
小西議員「いやぁ、(中国側は)何言ってるんだ、と思います」
岩上「でも、ちょっと、この『国連』ていうところに注目するとですね、やっぱりね、中国がね、ここ、痛いとこ突いてきたなって気がするんですよ。
なぜかと言うと、米国が中心となってやっぱり国連ていうものは形成してきた、国際秩序っていうのは、戦後形成してきたのは事実じゃないですか。で、それが、国連軽視っていうのが、米国が、この数年間、甚だしくなったわけですよね」
小西議員「そうそう。トランプ政権の時代、国連無視ですよね」
岩上「ですよね。WHOから抜け出すとかね」
小西議員「はい、国連無視ですね」
岩上「そういうことをやった数年間の間に、国連を中心とするシステムというものを、秩序というものを、私が守護しますよと、いつの間にかすり替わっちゃってるんですよ。ここにひとつ、中国国内の変化っていうのが見てとれるなと。
ていうのは、本当は国連の、自分たちはファウンダーだって、今、中国共産党、言い出してんですけど、違うでしょうと。カイロ会議(※11)に出たのはですね、イギリスのチャーチル(※12)と」
小西議員「蔣介石(※13)」
▲カイロ会議に集まった、蒋介石中華民国国民政府主席、フランクリン・ルーズヴェルト米国大統領、ウインストン・チャーチル英国首相。1943年11月25日。(アメリカ国立公文書記録管理局National Archives and Records Administration、Wikipediaより)
岩上「そう。アメリカのルーズベルト(※14)と、それから、国民党の蒋介石なわけですよ。国民党の蒋介石たちの、これまでの抗日戦線とかでの戦いの軌跡みたいなものは、全部ないことにして、そして、共産中国があらかじめあったかのように言ってたんですけど。
だから、最初から国連加盟してないですよね、共産中国ね。ところが、ここにきて、一種の歴史修正主義で、国民党のことも、今、いろんな形で、たとえば、書籍になったりとかですね、映画になったりとかですね、番組になったりして、国民党の歴史も中国の歴史であって、それを(中国共産党が)引き継いでいるんだという、国内の、習近平の下での歴史修正主義が、(中国)国内ですごく強く行われているそうなんです。
国連の、あのファウンダーとしての蔣介石の国民党の業績というのは、我々中国共産党が引き継いでるんですよって……。ということは、(国連は第2次大戦の)戦勝国の連合じゃないですか。その戦勝国としての権利は自分たちが持っているし、という風にですね、内部での、中国国内でのプロパガンダではありますけれども、それが非常に変わってきていて、共産党だけ一党ありき、みたいな言い方ではなくなってきてる。
それは、やっぱり国連をベースに、国連のファウンダーとして、国連の常任理事国として、正当性を、自分たちは主張しようというのが強まっていると。こういう風に、中国国内のプロパガンダとかを分析しているウォッチャーたちのですね、これ、フォーリン・アフェアーズ(※15)で読んだんですよ。
フォーリン・アフェアーズで論文が出てて(※16)、非常に面白いと思ったんですけど、分厚い本も出てるそうなんですね、アメリカで。そのフォーリン・アフェアーズの論文を読んでの話なんですけど。
だから、中国はかなり考えて、国連中心主義ということを言い出してると思うんです。それは、アメリカが(国連を)ちょっとおざなりにしてきたために、そういう隙間に、これ、つけ込んできてんのかな、っていう気がするんですよね、おっしゃる通り」
小西議員「中国が国連中心主義、言ってるんですかね?」
岩上「そうですね」
小西議員「だって、南シナ海で、国際司法裁判所に南シナ海でやってること、違法だって言われて、何も従ってないですよね。また、埋めてますよね。だから、中国は、単に自分のルールで自分のことをやりたいっていうので、今やろうとしていて。ただ、おっしゃる通り、それは戦後アメリカも、そういうところあったと思う。だから」
岩上「あったわけですよ。大国が、やらかすことでもあるんです。
だから、小西さんがおっしゃったのはすごく大事で、いや、そんなこと、国連中心主義って言いながら、国連の国際システム尊重すると言いながら、お前守ってないじゃないかっていうのを、痛いところ突かれる可能性があるから、だから、たとえば南シナ海は、国連のルール守ってませんよね、ちゃんとそこ、司法裁判所に出てきなさいよとか、そういうのは、外交上、これからは効くんじゃないかなと思うんですよ。
あなた(中国)の言うこと、じゃあ、ごもっともですよっていう風に逆手に取って、外交したらいいんじゃないかと思うんですけどね」
小西議員「そういう風に言ってますからね」
岩上「そう」
小西議員「国連、守るべき国際システムだって言ってますから」
岩上「だから、『あなたが言う通りですよ』と言って、じゃあ、まず、あの問題を解決しましょう」
小西議員「国際司法裁判所の判決、受け入れて従ってくださいって話ですよね」
岩上「そう」
小西議員「私、アメリカとか日本が、特に、アメリカがやってることが全部正しいとか言うつもり、まったくないんですけれども、ただ、中国が、今、本当に、とても、ある意味、異質な存在として異質なことをやってきてるっていうのは、やっぱり、事実としてあると思うんですよね。
中国には中国の主張、言い分があると思うんですけど、それにどう折り合っていくかっていう、非常に、今、難しい国際環境になっているんだという風に思ってるんですけどね」
岩上「日本は、今、アメリカにつき従っていくっていう形で、たとえば、それはアメリカがですね、中国に対して制裁を加えるっていう時でも、国連というものを重要視してやるかっていうと、それ、できないし、やらないですね」
小西議員「拒否権発動するから、できないですよね、中国が。お互い拒否権発動しますよ」
岩上「だから、結局、一種の有志連合のようなかたちで、クアッド(※17)を作ったりとか」
小西議員「そうそう」
岩上「だから、非公式なグループになっちゃうわけですよね」
小西議員「だから、今は、実は中国は、一緒にやる国がいないんですよね。中国の行動を、一緒にやってる国、ないですよね。それに対してアメリカは、日本を一番、先頭にこう、押し出して、おっしゃるような有志連合的なものを作って、中国と対峙、対抗していこうという風にしてるわけですよね。中国と一緒に、何か行動し始める国が出ると、非常に厄介だと思うんですけど」
岩上「ただ、そこで、中国に積極的に加担するわけではありませんけれども、プーチンの唱えてる、ロシアはですね、プーチンの掲げる『ユーラシアニズム』っていうのは、『一帯一路』とも被りますし、中ロの関係は軍事同盟の色彩は非常に色濃く持つものですし。
ロシアは非常に、そういう地政学的な問題が出てきた時には、通常の、平時の経済的な交流では、さしたる力を持たない国ですけど、有事っていう時には馬鹿にできる国ではまったくないので。
そのロシアが、中国包囲網に加わるというような夢想をですね、元自衛官の人間がですね、ブログみたいに書いてるんですけど、それは幻想、夢想もいいとこですよね」
小西議員「そうですか、なるほどね。中国からすると、アメリカ偉そうに言ってるけど、トランプ政権時代のアメリカって、お前、何なんだって、そんなことなのかもしれないですけどね」
岩上「そうですね。でも、これが両者、中国もアメリカも空洞化させてしまうと、アナーキーになっちゃうんですよ。それは怖いですよね」
小西議員「そうですよ。おっしゃる通り。だから結局、国連という機能しないシステムで、戦後76年ですか、やってきて、その間、幸い日本は、何か大きな戦争に巻き込まれるってことはないですけど、多くの戦争が起きたり、今、ミャンマーで起きてるようなことが起きて、多くの人たちが命を失っていったわけですよね。
だから、国連という機能しないシステムの下で、それに世界の平和と安定を預けてる、それが国連憲章なんですけど、それを何とか、やっぱり、しないといけないですよね。だから、いや、実は何とかできないかなって、ずーっと思ってるんですけど」
岩上「国連憲章と、この裏側には戦勝国同士の連合および、それから、そこには、核保有は5大国のみ、という最初のね、当初はね、というのがあったと思うんですね。だから、結局は5大国家にはMADがあったわけですよ(※18)、米ソの間にMADがあったのと同じようにですね。核も、中国は間違いなく核保有国で、米国との間でMADがあるのは、核弾頭数が多いの少ないのなんて関係ない話なんで。そこは難しいとこですよね」
小西議員「これだけインターネットの時代で、何か国連に代わる、あるいは国連を補強するような、世界のそういう問題を解決していくようなシステムを作れないかな、というのをずっと考えてるんですけど、すいません」
岩上「でも、それは戦争によって、膨大な犠牲によって作られたものですから、軽々に軽んじて、どうこうできるというもんでもないし。もし、軽んじた時には、同じようなアナーキーが世界に広がることで、それは、即、そこは戦争によって埋められると思いますね。どんなかたちであれ。それは、でも、恐ろしいことだと僕は思うんですね」
小西議員「だから、国連は、機能しないって意味では最悪のシステムかもしれません。それで、それしかない、チャーチルの民主主義の言葉みたいな、そんな話かもしれないですね」
▲中国「台湾、新疆、香港は中国の内政問題、釣魚島(尖閣)は中国固有の領土」
岩上「そうですね。で、中国の、一応、言い分。『中国「台湾・新疆」』、(新疆は)ウイグル自治区ですね。『香港は中国の内政問題』なんだと、『釣魚島(尖閣)は中国固有の領土』だと。『台湾、新疆、香港などに関する事柄は完全に中国の内政であり、いかなる外部からの干渉も許せません。釣魚島およびその付属島嶼は中国固有の領土で、日米がいかなる言動をしても、釣魚島が中国に属するという客観的な事実を変えることはできません』。これは……」
小西議員「言いたい放題ですけどね」
岩上「両方とも領有権を主張してて。でも、実効支配してきてるやつが、結局」
小西議員「いや、領有権は、それは中国の言いがかりじゃないですか。尖閣諸島は、もう、さすがにこれ、日本の領土だと、私、思います。
だから、さっき言いましたけど、尖閣諸島が中国の領土だって言うやつは、日本の本州、今、我々がいる本州が、中国の領土だって言ってるような、そんなレベルの話だと、私は思いますけどね」
岩上「でも、大事なのは実効支配してることですよね」
小西議員「だから、実効支配という話じゃなくて。我々は本州を実効支配してるとは言わないですよね」
岩上「本州はね。本州は、それはさすがに」
小西議員「それと同じですよ。たまたま、それは距離は近いけど、これもう、ずっと日本が自分の領土としてやってて。それを、かつ、中国はさまざまな歴史的な経緯の時に、これを認めてるわけですから。それを、これ、民主党政権の時に、ちょっとやり方、失敗したこともあるんですけど、自分の領土だっていう風なのは」
岩上「国有化ね」
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(※11)カイロ会議(Cairo Conference):
第二次大戦末期に、連合国側の3大国首脳によって行われた会議。1943年11月22日から26日にかけてエジプト王国のカイロで開催された。
チャーチル英首相、フランクリン・ルーズヴェルト米大統領、蒋介石・中華民国総統が出席した。ソビエト連邦は、日本と日ソ中立条約(相互不可侵条約)を結んでいたため不参加であった。
対大日本帝国方針と、日本の降伏後のアジアに関する決定が行われ、ポツダム宣言の原型となった。
東條英機内閣が11月6日に東京で大東亜会議を開催、アジア諸国の代表と「大東亜共同宣言」を出し、戦争の目的を「アジアの解放」としたことに対抗する意図があった。
12月1日に「カイロ共同宣言」を発表。日本の無条件降伏まで戦い、日本は1914年以降に奪取した島嶼を手放し、満州・台湾・澎湖諸島を含む全ての領土を中国に返還し、朝鮮は適切な時期に独立すべきであると宣言した。
(※12)ウインストン・チャーチル(Sir Winston Leonard Spencer Churchill):
1874年生まれ、1965年没。英国の第61代首相(1940年5月10日から1945年7月26日)、第63代首相(1951年10月26日から1955年4月5日)を務めた。
外交術に長け、ナチス・ドイツに対抗してスターリンのソビエト連邦と協力し、米国とも同盟関係を結んだ。
英国を第2次大戦の勝利まで導いた名宰相とされる一方で、覇権国であった「大英帝国(British Empire)」は、2つの世界大戦を経て凋落、東アジアの植民地、エジプト、インドなどの植民地の独立を許し、台頭する新興国・米国に覇権を譲ることになった。
(※13)蒋介石:
1887年生まれ、1975年没。中華民国の初代総統(1948年5月20日から1975年4月5日)を務めた。
孫文(1866-1925、中国国民党総理)の後継者として、1928年にいったん中華民国の統一(現在の中国、国府は南京)を果たし、第2次世界大戦では、ルーズヴェルト米大統領に打診を受け、1942年に連合国の中国戦区最高統帥に就任した。
大戦後は、毛沢東率いる中国共産党に内戦で敗れて1949年に台湾へ逃れ、独裁的な政治体制を築いた。
(※14)フランクリン・ルーズヴェルト(Franklin Delano Roosevelt):
1882年生まれ、1945年没。民主党の政治家、アメリカ合衆国第32代大統領(1933年3月4日から1945年4月12日)を務めた。
世界恐慌(1929年から)後の世界恐慌に対し、「ニューディール政策」と、第2次世界大戦への参戦による戦時経済で、米国経済を立て直したと評価されている。
(※15)フォーリン・アフェアーズ:
アメリカの外交問題評議会によって、1922年に創刊された外交専門誌で、国際関係・外交に携わる者の必読書と言われている。
外交問題評議会は、第一次世界大戦後の1921年、ウォール・ストリートの財界人やニューヨークの弁護士が中心になって組織された非営利の外交シンクタンクで、初代会長はエリフー・ルート元米国務長官が務めた。
アメリカ歴代政権の主要閣僚、高官の多くが外交問題評議会の会員で、アメリカの外交、国際政治に絶大な影響力を持っている。
フォーリン・アフェアーズは、グローバルな政治経済誌として世界各国の政府に定期購読されており、ジョージ・ソロスなどの米財界エリートや、研究者、政策決定者などを読者層とする。
ジョージ・ケナンの「X論文」、サミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」など、時代の節目ごとに、その後の世界を予見する重要な論文が同誌で発表されている。
参照:
・フォーリン・アフェアーズ誌について(フォーリン・アフェアーズ)
【URL】https://bit.ly/2WuouZn
・米外交問題評議会について(フォーリン・アフェアーズ)
【URL】https://bit.ly/3l04zM3
(※16)フォーリン・アフェアーズで論文が出てて:
ジェシカ・チェン・ワイス著「日中戦争をいかに記憶するか―なぜ共産党は国民党の役割を認めたか―」
ワイス氏は「国連の創設メンバー、国連憲章に署名した最初の国として中国は国際システムをしっかりと支えていく」という習近平の発言は、かつて共産党と対立した孫文・蒋介石の国民党の歴史も取り込み、世界的なリーダーシップを確立する意欲の表れだと分析する。
・日中戦争をいかに記憶するか―― なぜ共産党は国民党の役割を認めたか(ジェシカ・チェン・ワイス、『フォーリン・アフェアーズ・リポート』2021年7月号)
【URL】https://bit.ly/3ybvmZo
(※17)クアッド:
日米豪印戦略対話(Quadrilateral Strategic Dialogue=Quad)。
日本、米国、オーストラリア、インドの首脳や外相による安全保障や経済を協議する枠組みで、英語で「4つの」を意味するQuad(クアッド)という通称で呼ばれる。
インド洋と太平洋を囲むように位置し、自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観を持つ4ヵ国による「中国包囲網」の意味合いが強い。
日本の自衛隊は2015年から、アメリカ、インド両軍の合同演習「マラバール」に正式メンバーとして定期参加しているが、2020年11月、この3ヵ国による訓練にオーストラリア軍が加わり、クアッドによる合同演習がベンガル湾やアラビア海で実施された。
2021年5月11日から17日まで、自衛隊は日米豪仏共同訓練「ARC21」を東シナ海で行ったが、米国主導の中国包囲網の顔ぶれに、フランスが加わった点が注目された。
フランスだけではなく、ドイツ、イギリス、オランダも日本等への軍艦派遣を表明しており、日米豪印の中国包囲網「クアッド」に英仏独オランダが加わった共同訓練になれば、かつて中国を蚕食した「帝国主義列強」の顔ぶれがそろうことになり、中国を刺激することは必至である。
偶発的な衝突から「世界大戦」規模の戦争にもなりかねず、この構図で戦争が勃発すれば、国内に在日米軍基地があり、各国軍隊に寄港地を提供する日本が、中国のミサイルの標的となる懸念が高まる。
参照:
・米日豪印のクアッドによる中国包囲網に英独仏が加わり「インド太平洋」で大演習!! 中国対米国の覇権争いは「世界大戦規模」に拡大するのか!? 2021.5.17(IWJ)
【URL】https://bit.ly/2URN2Lg
・Quad(クアッド)とは 日本の提唱が契機(日本経済新聞、2021年3月13日)
【URL】https://s.nikkei.com/2VeW2tw
(※18)結局は5大国家にはMADがあったわけですよ:
米ソ冷戦時代の核戦略構想で、MAD(マッド)とは相互確証破壊(Mutual Assured Destruction)の略。
アメリカと旧ソ連は、相手から大規模な核攻撃を受けた場合、相手国を確実に破壊できる報復用の核戦力を、見つかりにくい潜水艦発射弾道ミサイルの形で保有しており、その結果、米ソは互いに報復を恐れて先制核攻撃に踏み切りにくくなった。
核兵器を保有して対立する2ヵ国のどちらかが、先制的に核兵器を使用した場合、もう一方の国家は破壊を免れた核戦力によって確実に報復し、双方とも甚大な被害を受けるとわかっているため、理論上、相互確証破壊が成立した2国間では、核戦争を含む軍事衝突は発生しないことになる。
本文中の「5大国家」は核を保有するアメリカ、中国、イギリス、フランス、ロシアである。
参照:
・相互確証破壊とは 核攻撃抑止へ「恐怖の均衡」(日本経済新聞、2020年8月26日
【URL】https://s.nikkei.com/3kWEpK5
・相互確証破壊(コトバンク、ブリタニカ国際大百科事典)
【URL】https://bit.ly/375vZaW
安倍政権の「売国外交」負の遺産! 尖閣をめぐり「日本が領土問題を認めた」とする合意文書が中国側に存在、ロシアに大金を提供しても北方領土には軍事基地!
小西議員「ただ、これ、どこも報道してない、凄まじい事件があるんですけど、いいですか?」
岩上「どうぞ」
小西議員「今度、それ持ってきますけど」
岩上「野田さんの時に国有化した話ですかね」
小西議員「違う、安倍政権の2012年の時。安倍政権が誕生してからすぐ、靖国神社とか行ったりして、日中首脳会談、安倍総理は習近平に会ってもらえなかったんですよ。で、2012年に、習近平にAPECだったかな、会ってもらうために、当時、谷内(やち)っていう国家安保局長」
岩上「谷内正太郎(※19)さんね」
小西議員「谷内正太郎を中国に派遣して。谷内氏を中国に派遣して、4項目っていう合意文書を作ったんです。で、その4項目の合意文書がまとまったんで、安倍は習近平に会えたんですね、安倍総理は。で、ただ、会った時、あの有名な写真、ニコリとも笑ってない2人が並んでる。あの時です、あの時」(編集部注:APECでの日中首脳会談は2014年11月10日)
▲習近平中国国家主席と握手する安倍総理2(首相官邸HPより)
岩上「笑ってませんでしたね」
小西議員「で、問題は、その4項目なんですけど、いいですか。4項目、普通、両政府の、日本政府と中国政府の合意文書なんですけど、結論から言うと、その4項目の内容について、中国はですね、日本が尖閣諸島について、そういう領有権問題がある、領土問題があるっていうことを、日本が認めたっていう発表の仕方を、中国はしたんです、中国語で。
ところが、日本が発表してる日本語は、日本語の解説の意味っていうのは、この尖閣諸島がある東シナ海、この海で問題がある。で、日本の言い方は、その海で何で問題があるかと、中国の公船がやってきてるんで、海で今、問題はあるのは認める、っていう言い方してるんですよ」
岩上「あれ? 同じ共同文書じゃないんですか?」
小西議員「その通り、さすが鋭い。いいですか? で、何が起きたかと言うと、その時、日本はこの4項目の、中国政府が発表する中国語の内容、チェックしてないんです。で、かつ、英語の内容をチェックしなかったんです。中国政府は中国語と英語で、日本政府が尖閣諸島に領土問題があることを認めた、っていう内容を発表してるんですけど」
岩上「少なくとも、正文はどっちが書くんですか? これ、英語でしょ?」
小西議員「それを今回は、ある言語の正文を確定してないんですよ。で、日本は、わざと故意に、中国政府の中国語の発表と英語の発表をチェックせずに、やらしてるんです」
岩上「これ、わざとでしょ?」
小西議員「だから、売国ですよ、はっきり言って。わざとやってる。売国。だから、習近平と会うために」
岩上「それで、これ、写真を撮るため」
小西議員「ために、中国がその4項目、お互いの国が結んだ4項目の中国語版と英語版を、日本政府はチェックしなかったんです。これは、外務大臣にも答弁させました、『チェックしてません』って。これ本当、究極の売国ですよ」
岩上「……信じがたいですよね」
小西議員「だから、中国に、『あの時、日本政府は、我々の中国語も英語も全然チェックせずに、好きなの発表させてもらってるじゃないですか』っていう風に言われると、非常にマズい。
だから、安倍総理っていうのは、別に愛国者でも何でもなくて、自分の権力を維持するためだったら領土を売り払おうが、何しようが、まったく」
岩上「一番、その典型的に表れたのは、対ロシア。プーチンとの外交で、北方領土問題」
小西議員「そうですよね」
岩上「さんざん、北方領土のこと認めさせるはずで、『ウラジミール』とか仲良さそげに呼びかけてね。あれ、失礼なんですけどね、ロシア人に対して、あれ」
小西議員「そうなんですか」
岩上「ええ、たとえば、父称(ふしょう=父の名)ってのが入るんで、『ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ』とかですね、ちゃんと、父称まで言わないといけないんですよ。
で、逆に『ウラジミール』と呼び捨てにするのは、あり得ないですね。親しくするんだったら、あれ、『ヴァロージャ』って呼ばないといけないんで。変なことをやってんですよ、仲良くしているように見せて。
で、あげく、3000億円出して、現実には、ソ連(時代からの)の領土は絶対不可侵であるって(プーチンが)言って、軍事基地置かれてるじゃないですか。ますます、ひどくなってるわけじゃないですか(※20)」
小西議員「エリツィンの時代の『東京宣言』っていう、ロシアと日本が結んだものがあって、そこで歯舞、色丹は(国後、択捉も)領土問題、日本の領土だっていう風にロシアも認めてるんですよ、公文書で。4島とも、元々は日本の領土だっていう風に、東京宣言では認めてるのに、ロシア。そこまで日本外交、戦後、がんばったわけですよ。それを全部」
岩上「パーにしましたね」
小西議員「ちゃぶ台返しにしちゃったのが、安倍総理ですよ。だから、安倍総理ほどの売国奴って、私、いないと思うんですけど。それが何で、保守系の人に伝わらないのかな」
岩上「愛国者だと思われてる」
小西議員「彼ぐらい凄まじい売国をやった総理って、戦後いないですよ。この尖閣なんか、最たるものですけどね」
岩上「外務省の中の、もう、サイトに『北方領土』って言葉、出てこないですよ」
小西議員「そうですか? 『北方領土』はさすがにあるんじゃないですか?」
岩上「いや、『北方領土は我が国固有の領土』っていうの、あれなくなっちゃったんです」(※21)
小西議員「だって、今んなって、それをようやく、また今度、言い始めたんですよ、菅政権になって。菅政権になって『固有の領土』って、また言い始めたんですが」
岩上「また、言い始めたんですか」
小西議員「で、あとはもう、完全に、だから、ロシアに相手にすらされないですよ。だって、安倍政権の時に『固有の領土』って言い方やめてたじゃない」
岩上「やめてたんですよ」
小西議員「やめてたわけですよね。われわれが国会で聞いても答えなかったです。『北方4島は日本固有の領土ですか?』って聞いても、答えなかったわけですよ。もう、めちゃくちゃな政権ですけどね、安倍政権」(※22)
岩上「3000億、どうなったんですかって話ですよ。ただですよね、ただ、あげちゃっただけですよね」
小西議員「やれやれ」
岩上「で、台湾も尖閣領有を主張してるよっていう話ね、こういうこともあって、ここはすごい複雑な問題がありますよ、ということです。
ちょっと、(パワーポイントを指して)『環球時報』ですね。長々なっちゃって申し訳ないですけど」
▲環球時報「(日本が)中国との経済・貿易の拡大から享受している巨大な利益が確実に損なわれる」
小西議員「環球時報って、何なんですか?」
岩上「環球時報っていうのは『グローバル・タイムズ』っていうですね」
小西議員「中国のメディアなんです?」
岩上「中国のメディアです。対外向けに英語版とか各国語版があるんですよ。で、これ対外向けなんで、人民日報の訳し直しみたいなやつですね。で、もちろん中国のメディアですから、これは中国政府の見解であるよということは、そのまま表してるものです。
で、それは『4月17日、「日本は中国の利益を害するために米国に完全に味方することは控えるべきであり、そうでなければ地域の安定と中国との経済・貿易の拡大から享受している巨大な利益が確実に損なわれる」』と。これはもう、要するに、経済的にあなた方日本は、米国追従をすると失うよ、中国との利益を、と」
小西議員「だって、日本と中国、最大の貿易相手国ですからね」
岩上「そうですね。で、『今回の共同声明は、日米両国の偽善を示すものであり、台湾について言及することは誤ったシグナルを送ることになり、台湾分離主義者に活力を与えることになる。これは、日本が苦しむことになる地域的な不安定さをさらにもたらす』ということ言って、露骨にですね、経済的な利益を失っていいんですか、っていうことを言ってますね」
▲環球時報「日本が米国の犠牲になるのを避けるべきだ」
岩上「『「中国の近い隣国として、日本は自分の行動がどんな結果をもたらすかを考え直さなければならない」「日本は中国との軍事衝突をできる限り避けるべきだ」』と。だから、中国は軍事衝突が起こり得るだろうと。それを想定してますよ、という意味でもあるんでしょうけど。
で、『日本の政治エリートは、日本が米国の犠牲になることを避けるために、最善を尽くさなければならない』。もう一回、言います、『米国の犠牲』に日本がなるという風に中国は見ているんだということですね。
で、『北京の中国社会科学院の米国研究研究員であるリュ・シャン氏は、日本は中国との平和的関係を危険にさらすことで米国の罠に陥っている』という風に言っています」
▲日本にとって中国は、貿易や経済の面で、ワシントンよりもはるかに重要
岩上「そして、『「日本にとって中国は、貿易や経済の面で、ワシントンよりもはるかに重要だ。財務省のデータによると、中国は2020年に日本の最大の輸出先となり、米国を飛び越えて、海外で販売される日本製品の22%以上を消費するという」「予測では、2022年の第2四半期に日本経済が2019年の水準に戻る可能性は低いとされている。日本は経済刺激を必要としており、中国との関係を悪化させることは、日本にとって逆効果にしかならない」』だろうと、こういうようなことなんですね。
だから、経済的な問題を、どこまで犠牲にしながら正義を貫くか。中国の非道な行動を正すか。正してるうちにですね、じゃあ、戦争しかないなって言った時に、国力がものすごく弱まってたら、戦争なんてできるのか、みたいな話にもなるだろうと思いますけれども」
▲日米首脳会談の余波 台湾を巡って激化する米中対立
岩上「もう、この余波がですね、あっという間に。日本はですね、少しのんびりしてますから、こんな感じですよね。『中国が台湾の防空識別圏侵入を繰り返し、12日には過去最多25機』侵入ですよ。『台湾外交部は日米共同声明に「心からの感謝」を表明』してます。だからこれ、すっごく喜んでるわけですね。
入っちゃうってことですよ、日本は。日本、もう、(台湾に)喜ばれちゃってるわけですから。
『習近平政権は2019年1月、台湾に関して「武力行使を放棄しない」と断言』してます。だから、ここまで、もう来てるわけですね。
で、『今年1月には中国国防省報道官が「台湾独立は戦争を意味する」と発言』してます。そして、『今年3月、米議会公聴会で米軍司令官が6年以内に中国が台湾を侵攻するおそれがあると証言』しています。(※23)
これは、だから、両国、米国も中国も相当な緊張感を持って、戦争が起こる蓋然性は高い。そして、相手にそういうことになっていいのかと、シグナルを、お互いに、かなり発し合ってる。それでもいいのか、いいのか、いいのか、やるのかって言って、それで起こるということなんですけども」
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(※19)谷内正太郎(やち しょうたろう):
1944年生まれ。外交官。第一次安倍内閣(2006年から2007年)においては、外務事務次官(在任2005年から2008年)として麻生太郎外務大臣のもとで、日本の外交における中心的な役割を果たしたとされる。第二次安倍内閣(2012年から14年)では内閣官房参与、初代の国家安全保障局長(2014年から2019年)に就任した。
(※20)で、あげく、3000億円出して、現実には、ソ連(時代からの)の領土は絶対不可侵であるって(プーチンが)言って、軍事基地置かれてるじゃないですか。ますます、ひどくなってるわけじゃないですか:
2016年12月15、16日に行われた日露首脳会談は、「北方領土4島返還」にむけて、プーチン大統領を安倍晋三総理(当時)が地元の山口県長門市で接待するなど大掛かりに行われた。
会談では、8項目の協力プランの具体化の進展が確認され、医療、都市づくり、エネルギーでは原発の廃炉や風力発電の導入促進等、産業多様化、農業など多角的な協力が話し合われた。民間を含めた日本側の経済協力の総額は3000億円規模となる見込みとなった。
そうやって日本側が「金を貢ぐ」形でプーチンにすり寄っていったのに対し、プーチンは長門市の大谷山荘に2時間半遅刻して現れるなど舐めた態度で臨み、まったくすげなく、譲歩することも一切なかった。共同宣言には「日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す」と書かれ、4島返還は俎上にも乗らなかった。
1993年の細川護熙首相とエリツィン大統領による「北方4島の帰属問題を解決して平和条約を締結する」という東京宣言からは大きく後退した形になった。
・プーチン・ロシア大統領の訪日(結果)(外務省、2016年12月16日)
【URL】https://bit.ly/3fcs5li
・プーチン氏、首脳会談に2時間半遅刻(日本経済新聞、2016年12月16日)
【URL】https://s.nikkei.com/2TL6Qzr
・日ロ経済協力3000億円 首脳会談で合意へ(日本経済新聞、2016年12月16日)
【URL】https://s.nikkei.com/3zS6ZjU
・プーチン氏「2島さえ返さない」発言の衝撃度(東洋経済、2016年12月20日)
【URL】https://bit.ly/3j97RKa
(※21)いや、「北方領土は我が国固有の領土」っていうの、あれなくなっちゃったんです:
2019年版外交青書には、2018年版まで例年記載されていた「北方四島は日本に帰属する」との趣旨の表現がなかった。自民党外交部会・外交調査会から「領土問題の基本原則は記すべきだ」などと批判が相次いだ。
毎日新聞はこの問題について「政府は、2018年11月の日露首脳会談で、『1956年の日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる』と合意して以降、露側の反発に配慮し、北方領土について『日本固有の領土』『ロシアによる不法占拠』といった対外発信を控えている。外交青書も政府の方針を反映し、領土の帰属に関して記述しなかった」と報じている。
・外交青書巡り自民から批判 北方領土「日本に帰属」記載なし(毎日新聞、2019年5月10日)
【URL】https://bit.ly/3rLI1ja
2021年現在、外務省ウェブサイトは「北方四島は、いまだかつて一度も外国の領土となったことがない我が国固有の領土」と記載している。
・日本の領土をめぐる情勢(外務省、2021年3月31日)
【URL】https://bit.ly/2UZQ1S4
(※22)「北方4島は日本固有の領土ですか?」って聞いても、答えなかったわけですよ。もう、めちゃくちゃな政権ですけどね、安倍政権:
2019年6月24日の第198回国会参議院本会議で立憲民主党の福山哲郎議員が質疑に立った。
「昨年(2018年)秋、総理は、領土問題を解決して平和条約を締結する、私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つと大見えを切られました。しかしながら、平和条約交渉は順調に進んでいるようには見えません。外交青書からは、北方四島が日本に帰属するという当たり前の記述も消されました。外務大臣は、北方四島は日本固有の領土と発言しなくなりました。ロシアに不法占拠されているとも言わなくなりました。これでは、相手国に逆のメッセージを与えてしまいます。目指していた今月の大筋合意は断念との見出しが出る始末です。先日、首脳会談の前にプーチン大統領は、北方領土を引き渡す計画はないとまで明言しました。自民党の皆さん、主権国家として本当にこんなことでいいのでしょうか」
これに対して自由民主党女性局長ではあるものの、外交安全保障分野で実績のない三原じゅん子議員が答弁に立ったが、北方領土問題については一言も答えなかった。
・第198回国会 参議院 本会議 第29号 令和元年6月24日(国会会議録検索システム)
【URL】https://bit.ly/3leyaRT
(※23)「今年3月、米議会公聴会で米軍司令官が6年以内に中国が台湾を侵攻おそれがあると証言」しています:
2021年3月9日、米国インド太平洋軍のフィリップ・デービットソン司令官(発言当時)が、米上院・軍事委員会の公聴会で、「彼ら(中国)は米国、つまりルールにのっとった国際秩序におけるわが国のリーダーとしての役割に取って代わろうという野心を強めていると私は憂慮している…2050年までにだ」「台湾がその野心の目標の一つであることは間違いない。その脅威は向こう10年、実際には今後6年で明らかになると思う」と発言した。
・「中国、6年以内に台湾侵攻の恐れ」 米インド太平洋軍司令官(AFP、2021年3月10日)
【URL】https://bit.ly/3zRwr9e
ただし、2021年6月17日には、マーク・ミリー統合参謀本部議長(陸軍大将)が米議会で、中国が必要とする軍事力を開発するには時間がかかるため、中国が近い将来、台湾を軍事的に占領しようとする可能性は低いと述べている。
・中国による台湾の軍事的占領、近い将来起こる公算小=米軍トップ(ロイター、2021年6月17日)
【URL】https://bit.ly/2TJBs4e
アジア政策を統括する米国のカート・キャンベル・NSC(国家安全保障会議)インド太平洋調整官は2021年7月6日、米国のシンクタンクで開催されたオンライン会議で「米国は台湾の独立を支持しない」と明言し、「(台湾問題)は非常にデリケートで危険なバランスですが、そのバランスは維持しなければなりません。アメリカは平和と安定の維持に非常に重要な関心を持っています」と述べた。
・Kurt Campbell: U.S. and China Can Co-Exist Peacefully(Asia Society Institute、2021年7月6日)
【URL】https://bit.ly/3j3L7eM
・米高官、台湾政策で「戦略的曖昧さ」維持を(日本経済新聞、2021年5月5日)
【URL】https://s.nikkei.com/2UZ4CgB
圧倒的なミサイル数を保有する中国!米国はウォーゲームで18戦18敗の衝撃!
▲中距離ミサイル配備では中国が圧倒的リード
岩上「じゃあ、起こっちゃたらどうなのるのか、って話なんですね。『マクマスター元大統領補佐官は、ロシアがソチ五輪直後にクリミアを併合したことから、2022年2月の北京冬季五輪以降』、それまではやらないだろうと思ってるわけですね、中国のオリンピックがある。で、それ以降に台湾に危機があるんじゃないか。
で、もし、アメリカが今、この勢いで言うと、北京五輪をですね、キャンセルしようという話まで出てるので、それをやった時には、中国は、じゃあ、やっていいんじゃないのっていう、そこまでやるんだったら、やっていいんじゃないのっていう風に、受け取るかもしれませんね。加速するかもしれません。
『米軍は3月、第一列島線に射程500キロ以上の対中地上ミサイル配備の必要性を訴える報告書を議会に提出。2022会計年度から6年間で273億ドル(約2兆9000億円)の予算を投じる案を検討』してるんですけれども、コロナ禍で、もう、そこで多額の予算とられてるのに、『この上軍拡が米国に可能か?』というと、すでに通っている海軍の艦船の軍拡案があるわけですけれども、全然実現してません。まったく今、実現できてないんですね。
で、『国防総省によると地上配備型の中距離ミサイルを中国は1250基以上保有』してるんですけれども、『米国はゼロ』です。これは、この距離間の間で持てるかと言うと、米国は持ってないっていうことですね。
だから、この地上配備型の中距離ミサイルがあるおかげで、近くに空母がやってこようが何しようが、それはもう、打ち狙うことができるということですね。
グレアム・アリソン教授は、ハーバードに孫崎享さん(元外務省国際情報局局長)がですね、留学してた時代に、1回だけ授業を取って。この先生は、実はすごい特別な先生で、全米のですね、安保、安全保障をやる人間のドンみたいな人で。その人、『私はそれを教えるためにやってる』と言われていて。彼は、ただの教授というよりはですね、ハンチントンより名前知られてないかもしれないけど、アメリカの安全保障、それから諜報関係で、アリソンの弟子でない人間いないだろうっていうぐらいの人だそうなんです」
▲台湾海峡を挟んで睨み合う、米軍と中国軍の軍事力はすでに中国が優位
岩上「で、『台湾海峡を挟んで睨み合う』。これ、フォーリン・アフェアーズの中から取ったんですが、『米軍と中国軍の軍事力が、かつては米軍が圧倒的に優位だったが、現在では中国軍がすでに優位に立っているという、軍事的現実がある。グレアム・アリソン教授(ハーバード大学、政治学)は「台湾海峡有事を想定した、18のウォーゲームの全てでアメリカは敗れている」という衝撃的な指摘をしている』。
これ、私ども、本当かと思って調べました。そしたら、この18のウォーゲームについてっていうのはですね、ニューヨーク・タイムズがですね、米軍の高官に取材して書いて、明らかにしたものですね。(※24)
以前から、だんだん、だんだん力が拮抗してきた。そして、(中国が)やや優位になってるっていうことをですね、ランド研究所(※25)が5年ぐらい前に言ったんですけれども、それからたった5年で、もう勝てないというレベルになってしまってるって。これが、どんどん、どんどん対立が激化していった時に、じゃあ、やるかってなった時の、ちょっと現実になるわけですよ。これは嫌だなと、正直、本当に嫌だなと思います」
▲コロナ禍を乗り越えた中国は18.5%の成長
岩上「しかも、その背景にある国力とか経済力ですね、を見ますと、『コロナ禍を乗り越えた国にしか経済的繁栄と軍事的優越は手に入らない』んじゃないかな。『日米はコロナ禍で沈没中の同盟』ですけれども、『中国はコロナ禍を乗り越えて四半期で18.5%の成長と。そレから、(石油輸送路であるシーレーンを含む)一帯一路を構築』中であるという、この現実ですよね。
これを見ると、コロナ禍を抑えきれないで日本もアメリカも苦しんでるわけですね。で、そこにすごいコスト使ってるわけじゃないですか。それで、一方で防衛費増って、アメリカの思惑は、アメリカ独自でやってたらもたないから、日本にもっと肩代わりさせようといってるわけですけれど。それやってったら、日本だってパンクしちゃうじゃないですか。
ここを真剣に、もちろん、中国のやってることはけしからんって、カーッとなってくるのは当然なんですけど。少しクールダウンしながら、こんな防衛負担させられたらかなわない。それから、アメリカはこんな勝てないから、じゃあ、同盟国を動員しようぜと、中距離ミサイルを日本に配備しようという風に考えてるわけですからね。
この両国は、気がついたらすごいエスカレートしてるわけですよ。そこに日本が巻き込まれて、『日本、使っちゃおうぜ』っていう話になったら、ちょっと大変なことなんじゃないですかと。
だから、確かにマスコミは書き立てますよ、ワーワーワーワー言ってますよね、中国のやってること。中国のやってることが、けしからんのはわかるんですけど、もし、万が一ってことになった時の犠牲と負担が大きすぎて、もっと冷静になるべきじゃないかなっていうことをですね、すごく思うんですけど」
小西議員「いや、今回の日米の首脳会談ですね、(4月)16~17日。で、その後の、翌日や、次の日の、読売新聞だとか日経とか読んで、私も正直あきれたんですけども。
それは、さっきの台湾海峡の言葉が入りましたですよね、これで、日本は台湾海峡有事の時に、何らかアメリカのために対応しなきゃいけない。具体的には安保法制の後方支援だとか、集団的自衛権だって書いてるんですけど、読売も日経も書いてないのは、それをやったら日本が中国から……」
岩上「報復される」
小西議員「報復されるっていうことを、ちゃんと読者に伝えないといけないんですよ。だから、日本が中国と戦争して、それは、はっきり言って中国の国力に勝てませんから。それは中国、かつて山本五十六がですね、連合艦隊司令長官が、武官としてアメリカに駐在して、アメリカの国力を見て、彼は日米開戦にずっと反対してたわけですよね、勝てないと。私も中国に何度か行って、中国の大陸国力を見て」
岩上「まざまざと見てるわけですもんね」
小西議員「中国と全面的な戦争をやってですね、日本が無事でいられるかって、それはいられないですよ。
だから、それはお互い絶対、戦争が起きないようにしなきゃいかんわけですね。だから、アメリカと中国が戦争して、その時に日本が安保法制のもとに加担する、そのメニューをこれから検討しなきゃいけないみたいな、日本の真剣さが問われて、みたいなことを」
岩上「頭、大丈夫かって」
小西議員「読売とか日経は言ってるんですけど。いや、本当ですよ。それ、戦前の報道、新聞と変わらないじゃない」
岩上「変わらないですよね」
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(※24)この18のウォーゲームについてっていうのはですね、ニューヨーク・タイムズがですね、米軍の高官に取材して書いて、明らかにしたものですね:
ニコラス・クリストフ(Nicholas Kristof)記者が、2019年9月4日に『ニューヨーク・タイムズ』で発表した「This Is How a War With China Could Begin First, the lights in Taiwan go out.」を指す。
・This Is How a War With China Could Begin First, the lights in Taiwan go out(The NewYork Times、2019年9月4日)
【URL】https://nyti.ms/2VfOI0V
クリストフ記者の記事を引き、「東アジア・台湾沖における米中ウォーゲームでは、米軍の18戦18敗、米軍はもはや中国軍に勝てない」とグレアム・アリソンが『フォーリン・アフェアーズ』で論じた。
・「新しい勢力圏と大国間競争―同盟関係の再編と中ロとの関係」(グレアム・アリソン、『フォーリン・アフェアーズ』2020年3月号)
【URL】https://bit.ly/2UZ0ux7
2021年3月8日に岩上安身が元外務省情報局長・孫崎享氏にインタビューした際、「東アジア・台湾沖における米中ウォーゲームでは、米軍の18戦18敗、米軍はもはや中国軍に勝てない」と明らかにしたグレアム・アリソンの論文に触れ、孫崎氏は、アリソンが引用したニコラス・クリストフの記事には続きがあると指摘している。
クリストフは、ウォーゲームで18敗といっても実際は違うとし、「米国は湾岸から中国への石油供給を妨害することもできる」と、石油を止めれば米国は中国に全敗の状態から脱することもできると書いている。「石油供給を妨害する」とは、インド太平洋石油シーレーンのチョークポイントであるマラッカ海峡を封鎖することを意味する。
孫崎氏は、マラッカ海峡こそ日米豪印の「クアッド(QUAD)」の重要な狙いであると指摘した。
・バイデン新政権始動! 強硬な対中国政策と「同盟再強化」は東アジアでの戦争発火へつながるのか?〜岩上安身によるインタビュー 第1032回 ゲスト 元外務省情報局長 孫崎享氏 連続インタビュー第3回 2021.3.8
【URL】https://bit.ly/3Ca9lN8
(※25)ランド研究所:
アメリカのカリフォルニア州サンタモニカに本部を置くシンクタンクで、1946年にアメリカ陸軍航空軍による支援を受けて、研究プロジェクト(ランド計画)として発足した。
「ランド」とは研究と開発(Research ANd Development)の略である。
第二次世界大戦中に、民間の科学者を登用して行われてきた研究を継続することが目的で、対ソ戦をどのように展開し勝利を得るか、政府や空軍に助言することが当初の役割だった。
1948年にフォード財団の支援を受けてNPO法人として独立すると、大学や民間から第一級の人材を集め、政府の政策や企業活動をめぐって多くの理論や提言を発信した。
核戦略でソ連を抑え込むことを中心的課題とし、国家安全保障分野での研究やシステム分析を開発、合理的選択理論もそうした研究から生み出された。
1950年代には、核攻撃後の通信手段の研究から、現在のインターネットの土台となる技術が開発されている。
参照:
・ランド研究所の概要
【URL】https://bit.ly/3zChFD6
・キラ星の頭脳の行きついた果て『ランド 世界を支配した研究所』(FACTA ONLINE、2009年1月号)
【URL】https://bit.ly/370OoWz
日本は台湾問題に軍事的に関与しては絶対いけない! むしろ、台湾海峡有事が起きないように調整するのが日本の役目!
小西議員「で、ちょっと、1個ですね」
岩上「あ、アリソン」
小西議員「この、多分、海峡挟んで中国軍が、アメリカの軍事力と比べたら、中国軍の優位性っていうのが、相当、今、出てきてるんだと思うんですよね。
で、今後、台湾がですね、中国の軍事的な威圧から、どうやって生き残るかというと、私なりの見立てなんですが、韓国と北朝鮮みたいになるしか、多分、台湾、ないんじゃないかと思うんですよね。北朝鮮と韓国が」
岩上「どっちが、北朝鮮の立場が、台湾ってことですか?」
小西議員「台湾。それは、どういうことかというと、北朝鮮は、韓国とアメリカと戦争したら絶対負けるんですね。絶対負ける。負けるんだけど、ただ、北朝鮮と戦争すると、韓国も絶対、無事ではいれないんですよ。
なぜかと言うと、ソウルっていうのは北朝鮮の国境から、もう数十キロの距離にあって。で、同じなんです。北朝鮮は韓国にいつでも撃ち込めるように、国境線に大きな長距離砲を何百何千とも言われています、並べてるんですよね。それを一気に壊滅することはできないんで、韓国が、アメリカが北朝鮮に軍事行動をとった瞬間に、北朝鮮からソウルは火の海にされるわけですよ。だから、戦争は起きない。
それと同じように、台湾は、海を挟んで上海があり、広州もあり、中国の大都市が海岸線に並んでますから、もし、台湾に武力侵攻するんだったら、絶対、中国が撃ち落とさないだけのミサイルを同時に撃ち込むぞ、というような態勢で、それがさっき言ってた中距離ミサイルを第一列島線に、第一列島線て、実は勝手に日本も入れられちゃってるんですけど」
岩上「もちろん」
小西議員「に並べるっていう構想の、一番基本になる考え方。だから、軍事力では、台湾に中国が本気でですね、全面戦争を覚悟で侵攻してきたら止められないんだけど、ただ、それは、同時に中国の大都市が、非常に強烈なしっぺ返しを受けるっていうような態勢を、多分、作ることしかないんじゃないかなと思うんですね。
で、その時に、日本の参戦っていらないじゃん、ってのが私の考えなんですよ。だから」
岩上「なるほど。今、おっしゃった前段は、多分、中国人を激怒させる(内容)ですね」
小西議員「いや、私は平和主義者なんだけど、中国が本当に『武力も排除しない』と、『台湾を自分のものにするために』って言ったら、台湾はそういう武装するしかないですよね」
岩上「中距離核ミサイルの配備というのは、歴史的に言えば、冷戦時代に」
小西議員「核を武装するとまで、私、今、言ってないですけど。ただ、中国の海岸線にある大都市に報復、反撃をするには、今の軍事技術で充分可能ですよね。それ、ミサイル備えればいいだけですから。だったら、台湾もそういうレベルのミサイルは持っていますよ。数百キロの射程のものは持ってるはずなので、ただではやられないんだろうけど。ただ、そんなことするんですかって。同じ民族でしょって。元は、と」
岩上「それは、でも、中国の内乱の歴史なんか考えてみれば、別段、珍しいことでもないだろうと思いますし」
小西議員「はい」
岩上「ただ、中距離ミサイル配備の話っていうとね、これは冷戦時代に、ソ連と、ミッテルオイローパ(中欧)であるドイツとかに、SS‐20と、もうひとつパーシング、中距離ミサイルをお互いに配備し合った。(※26)
で、配備し合った後、ドイツが、これ結局、代理戦争をやらされる話になるからってんで、東方外交を一生懸命やって、ペレストロイカにまでつながってくわけですけれど。日本に配備させられるってなったら、日本列島、戦場になっちゃいますからね」
小西議員「そうそう、だから、とんでもないですよ」
岩上「だから、台湾に配備してもらった方がいいんじゃないのっていうのは、すごくですね、日本の国益を考えたら正しいかもしれないけど」
小西議員「私は今、そういうこと言ったんじゃなくて、台湾が自らを自衛する意思があって、中国が本当に軍事的に台湾に侵攻をやるようなことがあって、その時、台湾が自らの身を守るのは、そういうやり方しかないだろうと。戦っては勝てないんだけど、ただ、台湾に侵攻すると、中国も取り返しのつかない痛手を負うと。
それがまさに、北朝鮮が今、戦後ずーっと取ってるやり方なわけですよ。それプラス核という脅しの道具。ただ、核がなくても北朝鮮は、戦争をアメリカから仕掛けられることはないわけです。アメリカが北朝鮮に戦争を仕掛けたら、必ずアメリカは勝つけれども、それと同時に韓国が火の海になってしまうので。これは軍事の常識ですよ」
岩上「はい、もちろん」
小西議員「だから、戦争は起きないし、できないっていう関係にあるわけですよね」
岩上「なるほど。台湾がどこまで、それを本気で考えるか、やるか」
小西議員「だから、どんだけ。ただ、今もう、台湾の最大の貿易相手国、中国で、台湾には親中派の政治勢力もありますから」
岩上「もちろんですね」
小西議員「どうですかね」
岩上「台湾が、中国がですね、(経済的な)離陸期に、日本とアメリカの資本を相当吸い上げてったんですけど、それは台湾を通じて吸い上げてったわけですよね。だから、結局、下請け会社っていうのを作って、で、そのメーカーが技術を全部覚えていった、台湾を通じて。で、台湾はそこから中国に、さらに孫請けに出していった。それが今や、世界のトップを競うメーカーにまでなっちゃってるわけですから。したたかだったな、ということしかないんですけど。
ただ、今言ったように、中距離ミサイルを備えるか備えないかは、中台の問題としてですね、米国がここまで関与し、そして、米国に吊るされるかたちで日本関与っていうのは、避けるべき事態じゃないですか?」
小西議員「だから、日本は絶対、台湾問題には軍事面では関与してはダメです。これ、自殺行為です」
岩上「ですよね」
小西議員「で、そんなことする必要もないので、そこは。する必要がないっていうのは、さっき言ったように、台湾は本気で自衛するんだったら自分で自衛はできるし、日本は、台湾に対しても中国に対しても友好関係をもって、むしろ逆に、台湾海峡で絶対有事が起きない、戦争が起きないように、必要な調整をし、やるのが日本の役割だと思います」
岩上「そうですよね。そのためにも集団的自衛権行使容認、安保法制っていうのは、あれ、2015年ていうのは非常に痛いことであり、あれ、もう一回ひっくり返さなくちゃいけないぐらいの話じゃないですか」
小西議員「いやいや、憲法違反だから、ひっくり返さないといけないんですけど。何年かかろうが、ひっくり返さなきゃいけないんですけども」
岩上「なるほど。ということで、パート1は、ちょっとここで終わりましてですね。大丈夫ですか、まだ」
小西議員「すいません、ちょっと、いつもとトーンが違うから」
岩上「でも、議論になってる部分、全然、僕は違和感ないですよ」
小西議員「私は、だから安保法改の時に、ぶん殴られるまでやりましたけど、基本的に現実主義者なので。ただ、現実主義なんだけど、政治家である以上、一番大事な国民の命、あと普遍的な価値である民主主義だとか、そういうものは絶対守んなきゃいけないと思っているんですね。それで、やってきて。
安保法改の時も、ぶん殴られるまでやったのは、それは、自分で集団的自衛権の憲法違反のからくりを、一番初めにこちらで、国民の皆さんに説明」
岩上「はい、詳しくやっていただきました」
小西議員「自分で立証したので。自分で立証した憲法違反の法律が今、目の前で成立させられる」
岩上「現実化しようとしているというね」
小西議員「それで、いつか必ず、国民、死ぬことになりますから、アメリカを守る戦争でね。
で、その法案が成立されようとしているのに、指くわえて黙ってたら、それは政治家としても人間としても、私、立ってられないんで、最後は何が何でも止めてやるっていうので、ああいうことになったんですが。
ただ、『小西議員は安保国会で殴られた議員だ』っていう、小西洋之という国会議員の認識の仕方でいる以上は、ちょっと、なかなか大変ですよね。安保国会で私がやったそういう、じゃあ、事実と論理をもって、集団的自衛権容認の違憲を立証しているっていうところを、国民の皆さんは、社会は、見てほしいです、実は」
岩上「そうですよ」
小西議員「そこなんですよね。『安保国会の小西は殴られた』じゃなくて、実はそういう質疑をし、そういう論戦を組み立てて、安保国会で元法制局長官や元最高裁の判事の皆さんが、集団的自衛権は違憲だって陳述してくださったのは、それは、私がお願いしに行ってるんですよ、当時の民主党を代表して。
実は安倍政権は、こういうめちゃくちゃな……。昭和47年見解、今日持ってきてますけど。この、懐かしいですね、昭和47年見解」
岩上「懐かしいですね、昭和47年見解」
小西議員「この中に、集団的自衛権が合憲と書いてあると。だから、合憲だ、っていうことしか安倍政権は言ってない。7.1閣議決定も、それしか。これ、ペテンなわけですよ。9条はここにあって、9条をもとに作られた古い文書に集団的自衛権は合憲と書いてあるって、嘘を言ってですね、集団的自衛権を容認しているわけです。
で、それは、そんなバカな話があるかっていうことを、宮崎礼壹元法制局長官、濱田邦夫元最高裁判事は、国会で言い切ってくださってる。そのことは、ちゃんと今でも会議録に残ってるので。
どうか、国民の皆さん、国会の会議録は誰でもご覧になれるので、国会図書館のホームページで『会議録検索』ってグーグル入れたら一発で出てきますから。そこに『集団的自衛権、宮崎』『集団的自衛権、濱田』、あるいは『小西洋之』でもいい。全部その時の会議録、出てきますから。マスコミの皆さんもぜひ、それを今でも、必ず報道していただきたいと思うわけですよね」
岩上「うちで詳しくアーカイブありますから、御覧になっていただければと」
小西議員「なので、最後にひと言。私が今、一生懸命、私、立憲民主党の外交安保の副部会長で、参議院の外交防衛委員会の野党の筆頭理事なんですね。なので、実は日本の国会の参議院の外交防衛委員会、つまり外交防衛の政策、あるいは外交防衛の法律に関する野党の筆頭理事ですから、実は一番の責任者なんですよ。
で、私が今やってる、ずっと毎日やり続けてることは、憲法違反をやった安倍政権、それを引き継いだ菅政権は、やっぱり、いつか倒さなきゃいかんと。その時には、真っ黒くろすけの憲法違反、集団的自衛権は、やっぱり廃止しなきゃいかんと。安保法制も廃止しなきゃいかんと。
じゃあ、その時に、さっき、私の見解ですけど、覇権的な行動に出ている中国との関係を、あと、日米同盟もすぐ廃止はできませんから、ありますから、アメリカとの関係を持ちながら、中国とどうやって対峙して、日本の、はっきり言いますけど、日本の国益と、日本国民の皆さんの幸せを守っていくか。
安保法制とは違う手段でやっていくか。その答えを作って実行するのが野党の、われわれ議員の役割だと思ってるんですが、それを実は考えてる。
だから、すいません、議論すると、私なりに認識する現実感で、お話はさせていただくんですけれども。ただ、今、口で言ってるだけじゃなくて、私なりの安保法制に代わるものっていうのは、今、考えてますよ。考えてるってのは、単にオンゴーイング(進行中)で考えてるんじゃなくて、もう、一定の答えは出してるレベルまでにいってます」
岩上「発表してないですよね」
小西議員「発表、まだしてない」
岩上「じゃあ、今度、発表したら、ぜひ、ここでご披露ください」
小西議員「それは政権を取る前に、密かにアメリカとも水面下できちんと話はしますよ」
岩上「なるほど、これは楽しみです」
小西議員「それはしますよ。だからアメリカも、日本にいつか、政権交代があるかもしれないってなれば、われわれの意見交換の、今でも普通にアメリカと、大使館と意見交換できますけど、アメリカのまさに中央政府と、そういう意見交換をして。
安保法制ってのは、めちゃくちゃな憲法違反なんですよ。だから、同盟国が法治国家じゃなくなったら困るでしょ、と。だから、安保法制の集団的自衛権はカタつけなきゃいかんと。
なので、その時には、これはもう、今でも言いますけど、その時は、日本は集団的自衛権はしないです。別に、する必要はない、アメリカとの関係で。集団的自衛権しなくても、別に日米同盟、崩壊しませんから。このあとの時間で、しゃべる機会があるかもしれませんけど」
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(※26)中距離ミサイル配備の話っていうとね、これは冷戦時代に、ソ連と、ミッテルオイローパ(中欧)であるドイツとかに、SS‐20と、もうひとつパーシング、中距離ミサイルをお互いに配備し合った:
岩上安身が2021年7月21日行った、須川清司・東アジア共同体研究所上級研究員のインタビューで、冷戦時代の米ソINF条約(中距離核戦力全廃条約)締結までのプロセスをおうかがいした。
SS‐20は、ソビエト連邦が1977年に配備を開始した多弾頭化した地上発射・移動式の中距離核ミサイル。
ウラル以東からも欧州全域を射程に収めを射程内に収めることから、危機感を強めた米国とNATO同盟国はこれに対抗して、1979年12月、ドイツ等へ地上発射・核搭載可能な巡航ミサイル及び中距離弾道ミサイル「パーシングII」を配備し、それと同時にソ連に対してミサイル軍縮を呼びかけることを決めた。西側のこの対応は「二重決定」といわれた。
1970年のソ連経済(名目GDP)は、米国経済の4割程度。1980年になるとソ連経済の規模は米国経済の13%となり、国力が停滞低下した。
米国レーガン政権は海軍力・空軍力・核戦力を大増強、スターウォーズ(ミサイル防衛)計画を打ち上げた。米国に対抗することはもはや困難と悟ったゴルバチョフが、中距離ミサイルを米ソともに全廃するINF条約の締結に応じた。
・米中戦争対立激化時代の東アジア安全保障・第2回「台湾有事」急浮上で各国の軍拡競争激化 日本列島はミサイル要塞化! 新INF条約を樹立することは可能か?~岩上安身によるインタビュー第1047回 ゲスト 東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員 2021.7.21
【URL】https://bit.ly/2WFVLAM
コロナ禍で「緊急事態」という言葉に国民が慣れてしまった! だが、改憲の「緊急事態条項」は災害対策ではなく、戦争のための独裁体制づくり!
▲日本は「原発を抱いたまま米国の戦争に自動参戦する国」に! 菅政権はコロナ禍のドサクサに紛れて改憲のための国民投票法改悪採決を画策! 改憲の目的はナチスばりの戦時独裁体制の樹立!
岩上「日本は『原発を抱いたまま米国の戦争に自動参戦する国』になってしまうのかと。そういう警鐘を鳴らす企画をやっていこうと思ってるんですけれども、小西さんには、そこの、一番核心的なところをですね、お話いただきたいなと思っています。
『菅政権はコロナ禍のドサクサに紛れて改憲のための国民投票法改悪採決を画策』。問題はその改憲の中身で、4項目あると言ってますが、あとで詳しく言いますけれども、『目的はナチスばりの戦時独裁体制の樹立』であると。大変危険な内容が含まれてます。
この平時と言いますか、コロナで苦しんでる人はいると思いますけれども、コロナにかかりさえしなければ、穏やかな平和な日々を送っている方々がたくさんいらっしゃる。戦争なんて、思いもつかないと思うんですけれども、あろうことか、与党政府は、その(戦争への)道をですね、ひた走ろうとしているんですね。このことをですね、本当にきっちり、うかがってまいりたいと思います。
小西議員「今日のお話は、本当にものすごいお話が次から次へと出てくるので。
いつのまにか日本は、アメリカのために本当に戦争する国になっていて、現に、2~3年前の話なんですけどね、アメリカの戦争に引きずり込まれそうになって。というか、逆にもう、自ら戦争をふっかけるような国にですね、そういう行動を、実はとっていたっていうことですね」
岩上「しかも、そういうことを決めるにあたって、国会を通過しない、国民的な議論もない」
小西議員「ないんですよ」
岩上「そして、恐ろしいことにですね、御用メディアと言いますか、記者クラブメディアは報じないんですよ。日米安保の機微、日米同盟の機微に関することについて、報じないんです」
小西議員「報じないですね」
岩上「報じないということ自体が、ものすごく恐ろしいことですね」
小西議員「はい」
▲菅総理は会見で医療関係者に対して強権発動強化の回答! 腹の中にあるのは独裁樹立の緊急事態条項!?
岩上「で、(菅総理は)恐ろしいこと、ちょっと言ってるんですよね。記者会見の時にですね。出来合いの質問だと思うんですけれども、つまり、質問取りをしてたんだと思うんですね。医療機関が、要するに、思い通りに動いてないみたいなことに関して、どう思うか的な質問に対してですね、『少しも言うこときかない、我々、お願いベースしかない』と(※27)。お聞きになりました?」
小西議員「私もそれ、おかしいと思いました」
岩上「ですよね。だから、これ、いざとなったら強権発動できるようにしてやるというような、言葉に近いことを言ってるんです。これは、法制度でできることではないと思うんで、こんなの、緊急事態条項の、改憲の緊急事態条項、匂わせてるなって感じました。どう思いました?」
小西議員「その時の菅総理のですね、我々はお医者さんや病院にお願いしかできないんだって、確かに、この(コロナ特措法にもとづく)緊急事態宣言の発出の時の会見で言ったんですけど、2つの意味で間違ってると思います。
ひとつはですね、お願いだけじゃなくて、今でも法律でお医者さんや看護師さんや、あるいは病院に、コロナに対して協力してくださいっていう要請ができると。それで、要請に従わなければ、受けなければ、勧告して、最後は公表までできる。で、元々の別の法律では、指示も出すこともできるんですけど。
だから、今でも一定の、準強制的なことってできるんですよね。だから、そういう意味で、お願いしかできませんっていうのを、緊急事態宣言の会見で言ってる総理って、言葉は悪いですけど、『バカ』っていう言葉を言ったら、ちょっとあれなんですが、まともな論理的な思考が、まったくないですよね。それが一点。
で、もうひとつは、まさにおっしゃった、この後で出てくるんだと思うんですけども、法改正をして、お医者さんも含め、国民に対して一定の、本当の強制力を働かすことができるような法改正をやりたい、みたいなことを言ってましたですよね」
岩上「はい」
小西議員「えっ? って。何を今、言ってるんですか、っていうのは、ありますよね」
岩上「それはやっぱり、基本的人権に関わるような話でありますし、たとえば、コロナ禍で最前線にいる医療従事者の中にはですね、やっぱり、ストレスがかかったり、実際、自分だって罹患したりというリスクがあって、それを背負いながら、最前線で頑張ってらっしゃるわけじゃないですか。
それに対する侮辱でもありますし、敬意もないですし、自分が最前線でやってるわけじゃないわけですよね。
で、中には、やはり、それ(コロナ感染)の怖さから離職する看護師だとかいらっしゃるわけじゃないですか。でも、それ、基本的人権でしょ。職業の自由ですからね。それを、もし、政府がやるんだったら、バックアップするための予算措置ですよね」
小西議員「そう。予算と、あと、やっぱり、人ですよね」
岩上「そうですよね」
小西議員「今、ごくごく、本当、ごく一部の医療関係者、お医者さんや看護師さんだけが、コロナのことをやっていて、コロナのことをやっていらっしゃらない方が圧倒的多数なんです、お医者さんや看護師さん。
だから、もっと他のお医者さんや看護師さんたちが、コロナに、人海戦術で関わるような、そういう体制を組まないと、感染者数が増えれば、もう、すぐ今回みたいな緊急事態宣言、連発。現にそれでやってきてるわけですよね」
岩上「そうですね」
小西議員「そういう社会全体でコロナに対処する、日本の医療関係者、日本の医療の力を正しくですね、国家総動員法(※28)じゃないですよ」
岩上「そっちでは困るんですよ。
だから、これ(コロナ対策)と同時に、憲法改正の話を進めてるというところが、やっぱり。『緊急事態』という言葉、使いながらね。
今、『緊急事態宣言』って言葉に、国民、慣れてます。だから、緊急事態宣言ってのは、この程度のものかと思ってますよね。その時に、改憲で、もうちょっと強制性のある緊急事態条項入れますって言うと、じゃあ、効果のあるものになるのか、ぐらいに受け取る人、いると思うんですけど、まったく中身が違う(※29)」
小西議員「まったく違いますよね」
岩上「そこをね、ちゃんと押さえたいなと思いますね」
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(※27)『少しも言うこときかない、我々、お願いベースしかない』と:
2021年4月23日、政府は東京都、京都府、大阪府、兵庫県を対象とした緊急事態宣言の発出を決定し、菅総理が記者会見を行った。
会見でビデオニュース・ドットコムの神保哲生氏は「緊急事態を出さなきゃいけなくなった一番の原因は、日本の非常に脆弱な医療体制」だとし、全病床数の1パーセントしかコロナ病床がないという状況を変えられないのはなぜかと質問した。
菅総理は、コロナ禍でも医療関係者に対して政府は要請しかできないのが現実で、国内治験を必要とするためにワクチンも世界に遅れをとったと回答、「こうした緊急事態に対しての対応の法律を改正しなければならないと、私自身そこは痛切に感じています」と訴えた。
参照:
・令和3年4月23日 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見(首相官邸)
【URL】https://bit.ly/3fe7rRL
(※28)国家総動員法:
1937年(昭和12年)7月7日、盧溝橋事件を契機に日中戦争が勃発し、第1次近衛文麿内閣は1938年4月、国家総動員法を公布した。
「国家総動員」の定義を「国の全力を最も有効に発揮せしむる様人的及物的資源を統制運用する」ことであるとし、政府は国会審議の必要なしに、天皇の命令(勅令)のみで、物資の総動員、兵役を妨げない範囲での国民の徴用、輸出入制限、総動員物資の使用と収用、民間工場の軍需工場化や新聞,出版物の検閲(制限、差押え)が可能となった。
これによって、あらゆる経済活動や国民生活を戦争遂行の一点に集中させ、人、モノ、金を国家が強制的に調達できる体制が整えられた。
すでに、生ゴムの統制や綿糸、ガソリン、重油の切符販売制が実施されていたが、さらに戦時インフレによる物価高騰によって、1939年末から統制を受ける生活必需品が増大、国民は耐乏を強いられることになった。
1940年6月に砂糖とマッチが切符制となり、地下足袋やゴム靴、木炭、清酒なども切符制または割当制、米は1941年4月から米穀通帳による配給制となった。
太平洋戦争に入ると生活物資不足は深刻化、1942年1月から味噌、醤油、塩などが配給制、2月からは衣類が点数切符制となり、やがて野菜や魚などの生鮮食料品も配給対象となって、1943年末にはほとんどの生活物資が配給制となった。
終戦によって、国家総動員法は1945年12月20日に廃止された。
参照:
・奈良県立図書情報館「国家総動員法と経済統制」
【URL】https://bit.ly/3iRUZIf
・国立公文書館 公文書にみる日本のあゆみ「国家総動員法ヲ定ム」
【URL】https://bit.ly/3ybWBTF
(※29)(緊急事態条項は緊急事態宣言よりも)効果のあるものになるのか、ぐらいに受け取る人、いると思うんですけど、まったく中身が違う:
2020年3月14日、当時の安倍晋三総理が前日の13日に新型コロナウイルス対策の特別措置法が成立したことを受けて、記者会見を行った。この特措法により、政府は緊急事態宣言を発出することができるようになった。
岩上安身は14日の記者会見で、安倍前総理に以下のように質問した。
「今回の特措法に盛り込まれた非常事態宣言、これが発令されたときに私権が制限されるということですけれども、報道それから言論の自由、ここは担保されるのでしょうか。
また、総理は改憲に大変熱心でらっしゃいますけれども、自民党改憲草案の中には9条の改憲とならんで、緊急事態条項が盛り込まれております。
今回の特措法の非常事態宣言がひとつの布石となって、国民を慣らし、その後にこの緊急事態条項を導入するのではないか、という懸念があります。
これは大変強力な内容、安倍独裁を可能にするような内容を含んでおります。その点につきぜひお答え願いたいと思います」
これに対して安倍前総理は次のように答えた。
「まず報道の自由は守られます。これは明確に申し上げておきたいと思います。
緊急事態宣言については、先ほど申し上げましたように、国民のまさに生活、そして健康と命を守るためにこれは発動宣言するわけでありますし、これは各都道府県にそういう措置をとっていただくように、これはやっていただくようになるわけでございまして、これは我々がこの独裁するということではまったくないということであります。
それと、これとですね、自民党の改憲案とは全く別のものであると思います、そもそも憲法改正というのは、3分の2の発議があって、さらには国民の皆様の国民投票によって、皆様の過半数の皆様の賛成を得て、成立するものであります。さらに国民の皆様が決めるものであるということを、どうか理解をいただきたいと、このように思います」
安倍前総理は、特措法の緊急事態宣言では報道の自由は守られる、独裁ではないと答えながら、改憲による緊急事態条項については、「国民の皆様が決めるものだ」と回答するにとどめ、「独裁」を否定しなかったのである。
また、2021年5月16日に行われた菅義偉総理による緊急事態宣言地域拡大の記者会見で、質問に指名されなかった岩上安身は、官邸にメールで以下の質問を送った。
「今から1年2か月前、2020年3月14日に、当時の安倍総理に対し、コロナ対策のために行う特措法による緊急事態宣言と自民党の改憲案4項目の中にある緊急事態条項との違いを私は質問いたしました。
そうしたところ、コロナ対策に対して用いられるのは、特措法にもとづく緊急事態宣言であり、報道の自由も守られる等々とお答えになり、同時に特措法による非常事態宣言と、改憲による緊急事態条項は、まったく別のものである、と安倍前総理は明白にお答えになりました。
しかるに菅総理は5月7日の会見で産経新聞記者の改憲による緊急事態条項についての質問に、『コロナの感染が拡大する中で海外の国を見ると強制的な執行を私権制限がない中でできる』とか、『コロナ禍の中で、緊急事態(これは改憲による緊急事態条項という意味だと思われます)への国民の皆様の関心は高まっている』とお答えになっており、コロナ禍を理由として、改憲による緊急事態条項の導入と発令に前向きともとれる姿勢を示されました。
5月3日のビデオメッセージでも同様のことを話されています。
自民党内の有力政治家も同じように、コロナと改憲による緊急事態条項を結びつける発言を次々とされています。石破茂さん一人を除いては、です。
菅総理は、安倍前総理とまったく違う姿勢を見せたわけですが、その違いについての理由をお聞かせ願いたいと存じます。
実際には、感染症対策は、法レベルで対処可能であり、改憲による緊急事態条項は国家権力の過度の集中を招き、有害であると多くの憲法学者ら有識者が批判しています。
まして自民党の改憲案4項目の緊急事態条項は、他国の国家緊急権とは比べものにならないほど制約のない危険なシロモノであり、ナチスの全権委任法に匹敵する、万能で、期限を定めず、解除の規定もない、半永久的な戦時内閣独裁条項であり、憲法秩序を心肺停止にさせるものです。
コロナ対策に必要で、かつ相変わらず不足しているのはPCR検査の拡充であり、独裁条項がコロナ対策のために必ず必要であるとは到底思えませんし、そう称してコロナ禍を奇貨として『スガ独裁』の準備を押し進めようとされるのであれば、国民が苦しんでいる今のコロナ禍を政治的に悪用していると批判されてしかるべきではないでしょうか。
お考えをお聞かせください」
これに対する官邸(菅総理)からの回答は以下のとおり。
「憲法改正については、安倍前総理も述べられたとおり、国会が発議し、最終的には、国民投票により、主権者である国民の皆様が決めるものです。
いずれにせよ、新型コロナへの対応を受けて、緊急事態への備えに対する関心が高まる中、まずは、憲法審査会において、与野党の枠を超えて、様々な論点について建設的な議論を行い、国民的な議論につなげていただきたいと思います」
さらに2021年6月17日に行われた菅総理の記者会見では、岩上安身は、前日成立した重要土地等調査規制法を受けて、次のように質問した。
「総理、菅政権は、今国会で重要土地規制法に見られるように、総理の権限を異常なまでに強化しようとしております。これは、内閣独裁を実現する改憲による緊急事態条項の先取りと思われます。
なぜかくも、戦時独裁体制の確立を急ぐのか? ミサイル配備もそうですけれども、日本国民には十分な説明もありませんし、同意もありません。
また、もし内閣独裁体制となれば、日本は先ほど総理がおっしゃった『普遍的な価値を重んじる民主主義国家のグループ』から、脱落する事を意味してしまいます。
米国の覇権を守るため、中国との戦争の先兵となることを自ら買って出るような、原発を抱えたまま、破滅的な戦争に挑む愚というのは、避けるべきではないかと思われます。
EUのように、米中対立に冷静に距離を置く、そうした道というものも探るべきではないかと考えますが、それはまた、従属国ではなく主権国家のあり方ではないかと思いますが、総理のお考えをお聞かせください」
これに対して菅総理は、「独裁国家みたいな話ありましたけど、これは国会で堂々と、国家として必要だから法案を提出をして、国会で議論をいただいて、決定をしたわけでありますから、きわめて民主的な中で行われてることだというふうに思いますし、自らの国を自らが守るということが、ある意味で独立国家として当たり前のことだというふうに思います」と回答した。
菅総理は、内閣への過剰な権力の集中は、「改憲による緊急事態条項の先取り」であるとの、岩上安身の指摘に、まったく回答していない上、改憲による緊急事態条項で内閣独裁が可能になることについても否定していないのである。
参照:
・総理会見で岩上安身が直撃質問!「報道、言論の自由は担保されるのか?」「非常事態宣言で国民を慣らし、改憲で緊急事態条項を導入!?」安倍総理は「安倍独裁」を否定せず「国民が選ぶこと」と回答!! 2020.3.16(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3xbJgtd
・【岩上安身のツイ録】会見に出席したが、指名されなかった岩上安身が菅総理へ質問状!! コロナ禍を奇貨として緊急事態条項おし進める菅政権に質す!! 危険な緊急事態条項は有害そのもので、コロナ対策にはまったくの必要なし!! 2021.5.16(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3fb1Trg
・令和3年5月14日新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問と回答(首相官邸)
【URL】https://bit.ly/3j29Hg3
・菅総理会見で岩上安身が「内閣独裁体制になれば日本は民主主義国グループから脱落」と指摘! 総理は重要土地規制法の強行採決を「極めて民主的」と言い逃れ、「米中対立に距離を」の質問に「対中包囲網なんか、私、作りませんから」とうろたえ!~6.17菅義偉総理会見 2021.6.27(IWJ)
【URL】https://bit.ly/2UZP0JK