【IWJ検証レポート!】ファイザーのワクチンには感染予防効果があると報じられた、その真実を追う! イングランド公衆衛生庁がファイザー/ビオンテック・ワクチンに無症状性感染にも症状性感染にも予防効果が認められたという査読前論文を発表!? 2021.3.6

記事公開日:2021.3.6 テキスト
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(文・尾内達也、文責・岩上安身)

 イスラエルと英国で、ファイザー/ビオンテック社のワクチンに予防効果があったとする報道が行われています。

 イスラエルの国内で接種を担う保健機構「クラリット」によると、発症予防効果が94%、重症化予防効果も92%だったとしています。さらに、イスラエルの別の保健機構「マカビ」によると、このワクチンの感染予防も95%と推計されたといいます。そのイスラエル政府の発表をほとんどそのままうのみにした記事が日本で流されています。

 英国においても、公衆衛生庁(PHE)が、2月22日、ファイザー/ビオンテックのワクチンを1回接種すると、感染自体のリスクを7割以上低減できるとの研究結果を発表したと報道されています。

 これも事実かどうか検証する視点が欠けている報道ですが、そうした報道を批判的に検証する者もほとんどいません。

 こうした報道も、真実であれば、本当の希望になります。しかし、日本では一般の人が、ワクチンはどの程度、どんなことに関して効果があるのか、全然、知らされていません。

 政府もワクチン接種の優先順位や接種スケジュールばかりをアナウンスして、その効果については、「ワクチンには効果がある」といった漠然とした言い方をするばかりで、その効果の中身について具体的なアナウンスはありません。

 IWJは、田村憲久厚労大臣と新型コロナウイルス感染症対策分科会の脇田隆字感染研所長に直接取材して、ワクチンの具体的な効果について問ただしています。

 この結果、わかったのは、ワクチンは、発症予防と重症化抑制については、臨床データが存在し、効果があることが証明されていますが、感染予防に関しては、十分なエビデンスがなく、その効果はまだわからない、ということでした。接種された者が、コロナに感染しない体質になるかどうか。あるいは感染したとしても他者に感染させる力が弱まるかどうか、その点はエビデンスがないのです。

 感染予防効果が確実に証明されなければ、ワクチンによって、感染しても重症化や発症がくい止められ、無症状の感染者ばかりが増えてゆき、次々に感染を拡大させてゆくことになります。さらに、 ワクチン接種によって発症しにくくなるので、無症状感染者の実体すらつかみにくくなる可能性があります。

 しかも、現在のワクチン接種方針では、16歳未満のワクチン接種はありません。英国変異株のように子どもへの感染力も強力なものなら、16歳未満からの家庭内感染や16歳未満同士の感染拡大という可能性もありえます。

 日本国内各地で英国変異株はすでに発見されており、市中感染で拡大しているありさまです。こうした状態を把握するためにも大規模PCR検査の実施が望まれます。

 そして、忘れてはならないのが、ワクチンには副反応がつきまとうということです。

 昨日も日刊IWJガイドの【速報】でお伝えしたように、基礎疾患も、アレルギー歴もない、60代の医療従事者が、ワクチン接種3日後に死亡するという、もっとも懸念すべき最悪の事態が起きています。

 こうしたワクチン効果に関する大臣や分科会の専門家の言質があり、実際に、ワクチンの副反応で死亡したのではないかと疑われる事例も発生しているにも関わらず、政府と多くの大手メディアのふりまく「ワクチン楽観論」によって、ワクチンさえ打てばコロナ禍以前の元の生活に戻れるという幻想が膨らみつつあります。

 イングランド公衆衛生庁(PHE)は、2月22日に、英国のワクチン接種から得られたデータをもとにした査読前論文を発表しました。それはファイザー/ビオンテック・ワクチンの第1回目の接種の感染予防効果に関する研究です。IWJはこのPHEの研究を精査し、検証しました。

 英国のワクチン接種は2020年12月8日から開始され、接種率は2021年2月5日段階で89%に上ります。

 最初にワクチン接種を受けたのは、介護施設の居住者・スタッフ、80歳以上の個人、医療従事者・公的介護従事者でした。

 この研究は、65歳以下の公立病院の医療従事者を対象に、症状があってもなくても、2週間ごとに検査(PCR検査と抗体検査)を実施しました。

 この研究によると、1回目のワクチン接種で感染リスクが72%減少し、2回目の接種では感染リスクが86%下がりました。1回目の接種で感染リスクが72%減少したという英国の結果は、イスラエルの第1回目の接種で75%感染リスクが下がったという結果と非常に近くなっています。

 イスラエルの感染リスク75%減は、無症状性感染・症状性感染すべてに対する数値で、症状性感染であれば85%減でした。英国の数値は、72%減も86%減も、無症状性感染・症状性感染すべてに対する数値です。

 PHEは、「この研究が示すのは、ウイルスに感染しなければ感染させることはできないので、ワクチンはウイルス感染を遮断するのに効果があるかもしれない」と述べています。

 この研究は結論として、「我々の研究は、ファイザー/ビオンテック・ワクチンが勤労年齢の成人の症状性感染も無症状性感染も予防するのに効果があることを証明した」としています。

 ルーティン・テスティング・データ(コロナの症状のある人に検査)が示すのも、1回のワクチン接種で80歳以上の人の症状の発症を抑制するのに57%の効果が認められています。

 2回目の接種によって、80歳以上の人に発症抑制改善が30%認められ、最大で85%以上改善しました。

 入院率と死亡率はすべての年齢集団で下がりました。初期データによると、ワクチン接種した人が死亡または入院する可能性は非常に低くなりました。全体的に見て、ファイザー/ビオンテックのワクチンを1回接種した人は、入院・死亡する可能性が75%以上下がるだろうとされました。

 ワクチン接種で人工感染した80歳以上の人は、ワクチン接種していない人と比べて入院する可能性が約40%減少しました。

 2020年12月に英国南東部で確認された英国変異株に対してもこうした高いレベルのワクチンによる保護効果(感染予防効果、発症予防効果、入院率・死亡率低下)が認められました。

 これらの結果に対して、PHEの予防接種の責任者、マリー・ラムゼイ博士は次のように述べています。

 「これはファイザー/ビオンテックのワクチンが、入院・死亡を防ぎながら、感染を止めたという強いエビデンスです。今後、数週間・数ヶ月に渡ってもっと多くのデータを確認することになりますが、当然、この初期の知見には強く勇気づけられます」

 「しかし」とラムゼイ博士は針を刺します。

 「保護は完全ではありません。そして、こうしたワクチンが他の人に感染させるリスクをどの程度減らすことができるのかまだわかっていません。ですから、ワクチンを接種された人も自分がウイルスを持っているものとして行動し、手指衛生行動を取り、ステイホームを実行することが大変重要です」

 このように、ラムゼイ博士は、この研究が査読前論文ではあるものの、ワクチンの感染予防効果を一定程度認めています。しかし、他方で、それは完全ではなく、まだ、感染リスクをどの程度減らせるのかわからないとして、ワクチンを接種しても、自分がウイルスを持っているものとして行動するように推奨しています。これは、現実をかなりシビアに見ているということでしょう。

 さらに、後段の厚労省への取材でも明らかになりましたが、PHEの最新研究について厚労省は情報収集と検討を行っているとしていますが、PHEの研究が出たからと言って、「ワクチンの感染予防効果は明白ではない」というこれまでの見解をまだ変えるつもりはないということです。

 ワクチンを接種すれば、コロナ禍とサヨナラができ、マスクもいらないすべて元通りの生活に戻れる、というのは、気持ちとしては理解できますが、まだ、現状では、公衆衛生上のルールに則った行動が求められます。油断は禁物です!

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