IWJが独自に仮訳して紹介!「米国最高の知性」とも目される言語哲学者、ノーム・チョムスキー氏の米大統領選に関するインタビュー!! 過去40年間に90%の低所得層から超富裕層へ50兆ドル近くの富が移転された! トランプの共和党も、民主党のクリントン派も共犯!! 2020.11.12

記事公開日:2020.11.12 テキスト
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(仮訳・尾内達也、編集協力・IWJ編集部)

 世界的に著名な米国の言語哲学者、認知科学者で、反戦論者、グローバル資本主義批判者としても知られるノーム・チョムスキー氏の独占インタビューが、米国のニュースサイト「truthout」に掲載された。このインタビューの内容を、IWJが仮訳し、ご紹介する。インタビュアーは政治経済学者・政治学者のC.J.ポリクロニユー氏である。

 大統領選でバイデン氏が勝利したものの、トランプ氏も高い支持率を得た。その理由についてチョムスキー氏は、伝統的に民主党支持だったテキサスの郡でのトランプ氏勝利は、バイデン氏が「地域経済の中心の化石燃料(石油)からの(再生可能エネルギーへの)移行」を示唆したためとする。背景に、保守的な共和党員の60%が、人間が地球温暖化に「責任がない」と考えている事実があるという。

 しかし、そうした傾向の原因は、「民主党が、生活や仕事を改善しながら環境の大惨事を回避するための真剣なプログラムを国民に提示できなかった」ためだと民主党の責任を指摘。しかも、その回避プログラムは存在するにもかかわらず、「民主党を牛耳っている献金者(大金を献金するグローバルな企業・資本・投資家を指す)志向のクリントン派の新自由主義者にはアピールしない」から提示しなかったと、民主党も批判するのである。

 チョムスキー氏は、トランプ氏が白人至上主義や外国人恐怖症を増幅させた一方で、新自由主義で虐げられた労働者や中間層の怒りを利用したとする。

 過去40年間に、90%の低所得層から超富裕層へ50兆ドル近い富が移転され、米国の労働者が低賃金国の労働者と競争させられながら、超富裕層は市場から保護されている。

 ところが、民主党は労働者階級を見捨て、この構造の協力者となったのに対して、トランプ氏は「エリート」を罵倒することで(労働者階級の)支持を得た。実際には、トランプ氏は富裕層向け税制などで、民主党よりさらに労働者を傷つけてきたにもかかわらず。

 「トランプ氏が最高裁で決着をつけようとしたらどうなる?」「国は戒厳令下に置かれる可能性は?」との問いには、チョムスキー氏は、トランプ氏が「彼が作らなかったものすべてを破壊する」という「イチかバチかの賭けに出る」可能性を示唆している。

 「米国最高の知性」とも呼ばれるチョムスキー氏の貴重なインタビューを、ぜひ御一読いただきたい。

※文中の注記(*)はすべてIWJ編集部。

▲エイヴラム・ノーム・チョムスキー氏(Wikipediaより)

「投票は私たちの仕事の終わりではない。それは始まりに過ぎない」とチョムスキーは語る。

 ジョー・バイデンは、2020年の選挙の勝者である。しかし、トランプ氏が敗北した一方で、民主党はいくつかの予想された青い波を実現することができなかった。そして、トランプ氏は、パンデミックにもかかわらず、非常に良好な結果を出した。この独占インタビューでは、ノーム・チョムスキー氏が、トランプ氏の継続する人気と、左翼が今後数年間で何をすべきかについて、いくつかの洞察を共有し、投票は決して終わりではなく、始まりに過ぎないことを強調している。

C.J.ポリクロニユー「バイデン氏が当選したものの、民主党はブルーウェイブの地滑りを実現することができず、今後も大規模なトランプ人気に対処していくことは明らかです。あなたは初日からの世論調査に非常に懐疑的でした。バイデンはトランプ以上の高い投票率を獲得しましたが、トランプの高い投票率には何が貢献したと思いますか? あるいは、別の言い方をすれば、なぜ国の半分近くが危険なペテン師リーダーを熱狂的な情熱で支持し続けているのでしょうか?」

ノーム・チョムスキー「COVID-19への悲惨な対応によって何十万人もの米国人が殺された後に、誰かが真剣な候補者とみなされる可能性があるという事実は、トランプにとって特別な勝利であり、この国にとっても、世界にとっても、そしてまともな未来への希望にとっても、敗北です。

 トランプ氏の勝利の中には、非常に明快なものもあります。NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)のレポートは、ハーディング(*1)以来、100年間共和党に投票しなかった貧しいラテン系住民が多い、テキサスとメキシコの国境にある堅実な民主党の郡でのトランプ氏の勝利について論じています。

*1 ウォレン・ハーディング
第29代米国大統領。1920年大統領選で共和党から出馬、「アメリカが一番」というキャンペーンを行い当選。

 NPRのアナリストは、バイデンの敗北を、前回の討論会での彼の有名な『失言』のせいだとしています。

 このとき、バイデンはそう遠くない将来において、破壊から人間社会を救うために行動しなければならないと述べたのです。もちろん彼の言葉ではありませんが、この時のこの発言の意味は、地域経済の中心である化石燃料からの移行に向けた動きをしなければならないということでした。

 それが急激な変化の理由なのか、それとも民主党の組織化の大失敗が原因なのかはともかく、今回の失言が原因とされたこと自体が、支配的文化の腐敗を示しています。米国では、大災害を避けるために行動しなければならないのに、それをあえてほのめかすのは、深刻な『失言』と考えられています。

 国境地域の貧しい労働者たちは、破局へ向かうトランプ氏の予測可能なレース結果に投票しているわけではありません。彼らは単に科学の予測に懐疑的なだけかもしれません。

 保守的な共和党員の60%(穏健な共和党員の35%)は、人間が地球温暖化に『あまり責任がない/全く責任がない』と考えています。

 『サイエンス』誌に掲載された世論調査によると、科学者は「国にとって正しいことをする』と大いに信頼している共和党員はたったの20%しかいないことがわかりました。

 では、なぜ悲惨な予測を信じるのでしょうか?

 これらは、結局のところ、ホワイトハウスとそのメディアの反響によって、毎日、彼らの頭の中に叩き込まれているメッセージなのです。

 テキサス州南部の労働者は、君たちは騙されているというエリート層の主張にもとづいて、今日の生活や地域社会を犠牲にする気はないのかもしれません。

 つまり、こうした傾向は、トランプ氏の悪意だけのせいにすることはできません。民主党が、生活や仕事を改善しながら環境の大惨事を回避するための真剣なプログラムを国民に提示できなかったことが原因です。

 そのようなプログラムが存在しないからではありません、存在するのです。

 そうではなく、その理由は、こうした計画が、民主党を牛耳っている献金者志向のクリントン派の新自由主義者にはアピールしないからです。

 他にもあります。

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