自衛隊によるオーストラリア軍に対する武器等防護問題についてIWJが有識者へメールで直撃質問! 有識者の回答2 東アジア共同体研究所上級研究員・須川清司氏「日本に対米隷従を強いるというよりも、日本が自ら駒になって喜んでいるように見える」!! 2020.10.23

記事公開日:2020.10.23 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJ編集部)

※2021年5月4日 フル公開としました。

 日刊IWJガイドで連日お伝えしているとおり、オーストラリア軍を自衛隊が武器等防護の対象とする方向で調整を進めていることを岸信夫防衛大臣が2020年10月19日の日豪防衛相会談後に発表した。

 武器の使用も可能となる自衛隊法95条の2を根拠とした今回の取り決めは、同盟国ではないオーストラリア軍を対象とすることに関して様々な問題点がある。

 そこでIWJではこの問題に詳しい有識者の先生方に意見をお伺いした。

 有識者の方にお送りしたメールの文面は次のとおりである。

 「10月19日に日豪防衛相会談が行われ、日本側がオーストラリア軍に対する武器等防護について調整を開始すると合意したと発表がありました。

 IWJも参加、取材をいたしました10月20日の防衛大臣会見で岸信夫防衛大臣は、『日本と豪州はともに米国の同盟国であります。普遍的価値や戦略的利益を共有する、特別な戦略的パートナー』であると述べました。

 続けて、岸大臣は『自衛隊法95条の2にもとづく、豪州軍の武器等の警護は、自衛隊と豪州軍が相互運用性を高め、平素から連携する基礎となるもので、我が国の平和と安全および日豪防衛協力にとって重要な意義があるものと考えております。

 防衛省・自衛隊としては、自由に開かれたインド太平洋の維持強化に向けて、豪州との防衛協力をさらに進化させてまいりたいと考えております』と述べています。

 コメントいただきたい第1点目は、①このオーストラリアと戦略的パートナーを組むことについてどのように評価されるか、ということです。

 2点目として、②この『パートナー関係』は国会を通さずに発表されたものですが、法的にはどのように考えることができますでしょうか。

 また、10月6日に日米豪印外相会合が行われました。この会合に出席したポンペオ米国務長は日本経済新聞のインタビューで『4カ国の協力を制度化すれば、本物の安全保障の枠組みづくりに入ることができる』と述べました。さらに、『中国共産党の挑戦に対抗する安全保障網』を築いていくという考えを示しました。

 次にお聞きしたいのが、③この『4か国同盟』または『日米豪印戦略対話』が、日本などに対米隷従を強いる枠組みとなっていないか、あるいはいたずらに中国と敵対する東アジア版NATOへと展開する可能性についてです。また、その他の問題点についてお考えがあればぜひお聞かせ願いたいと存じます。

 さらに、④この同盟国に韓国が入っていないことについて、なぜなのか。韓国は独自路線を歩むとお考えか。この点についてもコメントをいただければ幸いです。


東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員のコメントは以下のとおりである。


<ここから特別公開中>

【①このオーストラリアと戦略的パートナーを組むことについてどのように評価されるか】

 米国以外とも戦略的パートナー関係を強化することは、一般論としては間違っていない。

▲須川清司氏(IWJ撮影)

 ただし、最近緊張している中豪関係や先日のQUAD(日米豪印)外相会合等の流れとセットで考えれば、対中包囲網づくりの一環であると受け止めるのが自然。

 対中国は牽制と関与の両方をセットで進めなければ危ういと思うが、最近の日本政府は対中国で圧力優先のメッセージを送り続けているのではないか。安倍政権の時の方が米中のバランスにまだ配慮していたような気がする。

 武器等防護の武器使用の対象に豪州を加えるべく協議する、ということだが、これは非常に重たい話。「武器等防護の武器使用」は憲法の制約によって武力行使の敷居が高い日本に特有の概念であり、国内法上は武力行使ではないという建前だが、他国から見れば武力行使に映る。

【②この「パートナー関係」は国会を通さずに発表されたものですが、法的にはどのように考えることができますでしょうか】

 パートナー関係を持つことは、条約を結んで縛るのでない限り、国会での批准は不要。中国との「戦略的互恵」関係も同様。なお、豪州とは日豪ACSA(編集部注:日・豪物品役務相互提供協定、2013年発効)を結んでおり、訓練やPKO等で日豪軍が物品・役務を提供した時の決済手続きを決めている。これは国会で承認されている。

 とは言え、武器等防護の武器使用まで踏み込むのであれば、国会で説明・議論するべきことが当然必要だろう。菅内閣からは、とにかく政府だけで決めてしまえ、どうせ国民はついてくる、という雰囲気が窺える。

【③この「4か国同盟」または「日米豪印戦略対話」が、日本などに対米隷従を強いる枠組みとなっていないか、あるいはいたずらに中国と敵対する東アジア版NATOへと展開する可能性についてです。また、その他の問題点についてお考えがあればぜひお聞かせ願いたいと存じます】

 今日の中国を冷戦期のソ連と同一視しようという米国のレッテル貼りについていくのは愚策。中国を敵視するだけだと、中国は本当に敵になる。みんなで渡っても川が深ければ溺れるのだ。

 日本に対米隷従を強いるというよりも、日本が自ら駒になって喜んでいるように見える。

 少なくともインドは4か国同盟にはついてこない。

 豪州は中国と国境を接していないし、中国と領土問題、歴史問題も抱えてない。4か国の中で(インドと並んで)最前線にいる日本はもっと慎重になろうと考えるのが当然だと思うが、そうなっていない。

【④この同盟国に韓国が入っていないことについて、なぜなのか。韓国は独自路線を歩むとお考えか。この点についてもコメントをいただければ幸いです】

 日本の韓国アレルギーが一番大きいのでは。韓国の方が米中のバランスにより神経を使っているということもあるでしょう。日中韓首脳会談も日韓が悪いから開催開催が決まらない。日韓関係の悪化を放置する限り、日本も韓国も戦略的な外交などできないだろう。

 岩上安身が須川清司氏へ行ったインタビューは以下のリンクより御覧いただけます。この機会にぜひ御視聴ください。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です