米中戦争前夜における日本主体の安全保障論(2) バイデン新大統領の誕生で米中関係は? 米中覇権交代がコロナ禍で加速か!? 自発的対米隷従国家・日本はどうする!? 岩上安身によるインタビュー 第1017回 ゲスト 東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員 2020.11.10

記事公開日:2020.11.11取材地: テキスト動画独自
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(IWJ編集部)

特集アメリカ大統領選挙2020
※2020年11月19日、テキストを追加しました。
※公共性に鑑み全公開します。
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 2020年11月10日(火)18時30分より東京都港区のIWJ事務所にて、岩上安身は東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員インタビューを行った。

 インタビューの中で、岩上安身が、11月7日土曜日に家の近くの路上で、左足を路面の窪みにとられて転倒。左足を骨折してしまったことを明らかにした。

 また、皆様に未報告だった、先日の総合病院における睡眠時無呼吸症候群の精密検査の結果についても、一部触れた。睡眠時にかなりの回数と長い時間、無呼吸状態になり、血中酸素飽和濃度が極端に低くなっており、CPAPという鼻から空気を送り込む装置を装着しての治療を開始していることも明らかにした。

 これほど睡眠が取れていないのでは、体調が悪いのは当然だが、そこに加えての転倒、骨折。弱り目に祟り目である。

 「ご心配をおかけしていますが、必ず、骨折も睡眠時無呼吸症候群も治して、また、バリバリと仕事をしますので、それまで、IWJをお支えください」と、岩上安身は、皆様にご挨拶をさせていただいた。

 どうぞ、このピンチを皆様の会費、ご寄付・カンパで、お支えください! 応援をよろしくお願いします。

 なお、このインタビューは、10月14日に行われたインタビューの続編である。

 須川氏は、住友銀行勤務後、シカゴ大学で国際関係論の修士号を取得。民主党に勤務して政策調査会および役員室部長代理として外交・安全保障等を担当した。

 その後、米ブルッキングス研究所客員研究員、内閣官房専門調査員、民主党の政策調査会部長等を歴任。

 今年4月から東アジア共同体研究所の上級研究員を務める、外交安全保障の専門家である。著書に『米朝開戦』(2007年、講談社)、『外交力を鍛える』(2008年、講談社)等がある。

 また、須川氏は現在、東アジア共同体研究所発行の『Alternative Viewpoint』に「米中対立時代の安全保障論議」と題するレポートを連載している。

 米大統領選は、民主党のバイデン前副大統領の当選が確実となった。バイデン氏とともに注目されているのが、米国史上初の女性でマイノリティー(有色人種)の副大統領となるカマラ・ハリス氏だ。バイデン・ハリス政権で、米国の安全保障政策はどう変わり、それは今後の日米同盟にどのような影響をあたえるのだろうか?

 ハリス氏は、2019年8月21日の大統領選出馬時の外交問題評議会の質問への回答で、「米国の外交政策の最大の成果は、我々がその構築を支援した国際機関・法・民主主義国家からなる戦後の共同体である」と答えている。これについて、岩上安身が「まさにトランプ氏があちこちで破壊してきたものを、尊重し直すと言っているように聞こえる」と述べると、須川氏は次のような見方を示した。

 「これは、今から見てみないと。バイデン氏も基本はこうだと思うんです。

 じゃあオバマの時代に戻せるのかというと、戻せない。オバマの時代でさえ、米国は戦後の共同体から少し手を引き始めていたところがありますから、教科書的にはこういうことなんでしょうが、本当にバイデン ・ハリスコンビでこういうことを目指すのか、できるのかというと、懐疑的ですね」。

 米大統領選は、現在わかっているだけでも7500万人以上がバイデン氏に、7100万票以上がトランプ氏に投票した。

 須川氏は「前回の大統領選と違うのは、今回はトランプがどういう大統領なのかを分かった上で、これだけの人がトランプ氏に投票した人が半分いた」と指摘。上院もまだ議席が決まっていないが、共和党が善戦していることから、「『トランプのアメリカ』を支持する人は多い」と述べた。

 その上で須川氏は、ブルッキングス研究所のアンドレ・ペリー氏の、現在の米国は「トランプが原因ではない。トランプは、過去の政策決定者、(米国社会の)価値観、実践を反映している」という言葉を紹介した。

 そして、「オバマ以前、クリントン、ブッシュ、あるいはそれ以前の過去の米国の政策の決定者が作り上げてきた、米国の価値観や社会のあり方というものを反映している」と解説し、こうした分断が今や米国だけではなく、ドイツをはじめとした欧州や日本にも広がっていると危惧した。

 さらに須川氏は、「米中の国力が接近している中で、コロナがあった今年、中国は効率的な集権によってコロナを抑え込み、プラス成長を維持した。一方で分断の米国はコロナ感染者が跳ね上がり、経済は落ち込んだ。あとで振り返った時にコロナへの対応、あるいはその対応を左右した国の性格違いが、米中の歴史的な分岐点になるんじゃないかと思う」と指摘した。

 また、須川氏は「中国でも、トランプからバイデンに政権が変わったからと言って、米中関係が良くなるわけじゃないという論調が支配的だが、それでも貿易や安全保障面での決定的な対立を少しでも先送りするために、バイデン政権のスタート時に中国がどのような態度に出るか、注目している」と語った。

 そして、気になる日本への影響については、トランプ大統領が在日米軍経費を4倍に増やすよう要求したことを念頭に、「バイデン政権になれば、軍も含めて官僚同士が交渉する。バイデン政権になれば、過去4年間政権から出ていた人が戻ってくる。その人たちと日本の官僚の間では、過去に『握り合い』ができている」として、「在日米軍駐留経費の負担増については、トランプよりもバイデンの方が『やさしい』だろう」と予測を述べた。

 その一方で、「米国の防衛費はトランプの時ほど増やせない。しかし近代化しなければならないところもあるので、同盟国への防衛費負担増の要求はあるだろう」と予測。

 さらに「第一列島線に中距離ミサイルを配備したいという国防総省の議論の積み上げを踏まえ、中距離ミサイルの日本配備はバイデンの方がむしろ対日要求を強める可能性がある」と分析した。

 インタビューの休憩の際には急遽、須川氏への続編インタビューを行うことが決定し、11月12日木曜日、午後6時に実施した。ぜひ下記で御覧いただきたい!

 なお、インタビューのハイライトは、IWJのYouTubeチャンネルでもアーカイブを公開しているので、YouTubeのIWJチャンネルへの登録も、ぜひよろしくお願い申し上げます!

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■ハイライト

■全編動画

  • 日時 2020年11月10日(火)18:30~21:30
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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