米中戦争前夜における日本主体の安全保障論(3)バイデン政権でも米軍の戦略に変化なし? 米中両国のミサイル戦略の狭間で日本列島全土が戦場になる!! 岩上安身によるインタビュー 第1018回 ゲスト 東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員 2020.11.12

記事公開日:2020.11.15取材地: テキスト動画独自
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(IWJ編集部)

特集アメリカ大統領選挙2020
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 2020年11月27日、テキストを追加しました。

 2020年11月12日(木)18時より、岩上安身による東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員へのインタビューが行われた。

 同日、菅義偉総理はジョー・バイデン次期米大統領と初めての電話会談を行ったことが伝えられた。

 菅総理は「日米同盟は、厳しさを増す我が国周辺地域、そして国際社会の平和と繁栄にとって不可欠」だとして、一層の強化と「『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けての日米の連携」を伝えたとのことだ。

 一方、バイデン氏は「日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用についてコミットメントをする」との表明があったということだ。

 他方、外務省は11日、日米両政府がワシントンD.C.で、現地時間の9日と10日に在日米軍駐留経費に係る正式交渉、いわゆる「思いやり予算」についての交渉を行ったことを明らかにした。

 日本側の在日米軍駐留経費負担額を定める特別協定は、5年ごとに協議されている。現行の特別協定は、来年3月31日に期限を迎える。政府は、来年度予算案の編成作業の必要性から早期の交渉妥結を目指す方針とのことだ。

 一方で、在日米軍駐留経費負担の4倍増を求めていたトランプ大統領から、バイデン氏に大統領が変わることについて、産経新聞が「政府関係者の話」として、「仮に日本側負担額を増やす内容で合意したとしても、バイデン政権でやり直しになるかもしれず、今は突っ込んだ話はできない」と、伝えた。

 須川清司氏の第3回インタビューでは、まずは岩上安身が、話を切り出した。

 「米中の軍事的な戦略について日本では報道されることもないし、実際に須川さんがお知り合いの外務省官僚とお話をしてもご存知ないと。びっくりするぐらい前提が共有されていないんですね。

 日本では中国・韓国・北朝鮮についてはめちゃくちゃな嘘が蔓延し、実態から程遠い話が氾濫しています。その実、日本の中で、アメリカを客観視した米国研究もまったく行われていない」

 この、岩上安身の問題提起に対して須川氏は「日本こそ、中国研究するための世界一のシンクタンクを作れと言ってきた」と応じた。

 続けて、岩上が「中国もアメリカも万が一ことを構えることがあれば、日本をバトルフィールドにすることを前提としています。米中開戦したら日本全土が戦場になります。今日のインタビューのタイトルラスト部分は『米中両国のミサイル戦略の狭間で日本列島全土が戦場になる!!』スタッフがつけたのは『!?』でしたが私が『?』をとり、『!!』と断定調にしました」と報告した。

 菅総理が初めてバイデン氏と電話会談したことの報道について、「尖閣諸島周辺域で『日米安全保障条約5条』を適用すると表明したことの意味を後でしっかりうかがいたいと思います」と岩上が述べた。

 須川氏は「2010年だったか、国務長官だったヒラリーが最初にこれを言って、国務長官が言ったと話題になったんですね。その後、オバマ大統領、トランプ大統領、バイデン氏が引き継いできたという流れがあります」と応じ、「安保5条適用」という言葉が、日本を守るため、米軍が即軍事行動を起こすかのような印象を与える決まり文句と化してきたプロセスを説明した。現実には、そのようなことはない。日本側が期待し過ぎの幻想である。

 さらに日米政府が思いやり予算についてワシントンで交渉に入ったという報道について、須川氏は「今交渉する相手はトランプ政権。日本は現状でも(米軍の駐留経費の)8割を負担し、世界一負担が大きい。トランプ政権が言うように現状の4倍といえば、実費の何倍も払うことになる。日本が(米軍を)雇っているような状況になってしまうので、『やや増やす、ほどほど』ということでまとめるのではないかと思います。日米が合意できなければ、(駐留経費は)払われないですから。本当は日本政府が強気に出られる問題なんですね」と解説した。

 そして、須川氏は「それよりも国防予算の総額、GDPの2%を要求してくるのかといった話の方が大きい。金額も莫大になります」と懸念を示した。

 「バイデン政権になれば、オバマ時代の国際協調路線のアメリカが戻ってくる」という見方に対して、須川氏は懐疑的である。

須川氏「オバマさんの時代は、子ブッシュと比べて『国際協調主義』だというレッテルが貼られたんですね。しかし、当時実際に日本政府の中にいて感じたのは、それは間違いだということ。バイデン氏も『国際協調主義』だと見ると見誤るのではないかと思います。

 『国際協調』と言う方が、都合が良ければそういうということです。『同盟重視』というと、『同盟国を大事にする』という意味に聞こえるけれども、実際は同盟を『手段として重視する』という意味であって、経費の負担を増やすとかそういう意味だということ」

 前回(第2回インタビュー)の振り返りとして、岩上がトランプのアメリカとはなんだったのか、貧富の差を生んだ構造、ワシントン・コンセンサスへの「NO!」がトランプへの票になったのではないかと述べた。須川氏はそれに加えて「米国民の反中感情と重なっている部分も多い」と指摘した。

須川氏「中国がその構造に乗っかっていると見ているんですよ。中国に雇用を奪われたと。ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が3月に行った世論調査によると、中国にネガティブなのは共和党支持者で72%、民主党支持者で62%。10年前はどっちも3割ぐらいだったのに、近年反中感情が高まっています。

 これはヨーロッパなどでも同じです。冷静にみれば、今、中国が先にコロナを抑えて経済活動しているので、世界も米国も助かっているんですけどね」

 そして須川氏は、世界の動向を見るためには、ドイツをよく見ておく必要性を指摘した。

須川氏「ドイツをよく見ておく必要があるかなと。欧州にあってアンカーの役割をしてきました。しかし、メルケルさんの任期が切れるんですね。再任はしないと言っています。メルケルさんの後継者も弱いんですね。

 もし、今の状況でドイツが『トランプ化』した場合、オーストリア、ハンガリー、イギリスなどの状況、フランスも難しい国でどうなるか。ドイツに中道的なリーダーシップを持った人がいなくなると、世界中見渡した時に『これはやばいな』と」

須川氏「コロナへの対応で、米中で大きく差がついた。米中覇権の分岐点になる可能性があります。そして、こうした世界的なコロナの感染拡大にもかかわらず、世界的にはむしろ軍事費が増えている状況があります。日本も防衛費を増やす方向に行き、福祉などが削減されるのではないでしょうか」

 その後、会員限定配信のインタビューの中で、中国が現在保有するミサイル数とその性能、第1列島線から第3列島線までの戦略についてお話をうかがった。

 須川氏によると、米軍、特に海兵隊は「スタンドアウト」戦略から「スタンドイン」戦略へ移行しつつある、とのことだ。

 「スタンドイン」構想とは、米軍が第1列島線と第2列島線の間に中距離ミサイルを中国に撃ち込める小規模で移動型の部隊を、数多く配備し、ゲリラ戦のように戦うというものだ。南西諸島はもちろん、日本列島本土もその範囲に含まれる。

 こうした米軍の対中国戦略の変更は、日本にとってどんな意味を持つのだろうか?日本列島は米軍ゲリラの展開する「ジャングル」のようになるのだろうか。そして、安倍前総理をはじめとして、自民党内からしきりに出てくる「敵基地攻撃能力保有論」と米軍「中距離ミサイルの日本配備・スタンドイン」戦略の関係は呼応しあっているのだろうか。

 政府自民党は、12月に改定される新防衛大綱に「敵基地攻撃能力の保有」を明記するのは時期尚早であるとして、ひとまず取りやめた。

 しかし、米中間で有事となれば日本も否応なく巻き込まれていくことになる。詳しくはぜひ、IWJ会員となって、インタビュー全編を御覧いただきたい。

■ハイライト

  • 日時 2020年11月12日(木)18:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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