法と秩序による選挙を、候補者が根拠なく法廷闘争に持ち込む前代未聞の事態! トランプ大統領が集計結果に不満のミシガン、ペンシルベニア、ジョージアで開票止める提訴! ジョージア州裁判官は訴訟棄却! 米国各地で社会の深刻な分断顕在化! 2020.11.21

記事公開日:2020.11.21 テキスト
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(文・辻部亮子 編集・近藤ゆり 文責・岩上安身)

 2020年11月3日投票日を迎えた米大統領選挙で、トランプ大統領の陣営は、現地時間の11月4日水曜日、開票作業中のミシガン州、ペンシルベニア州、ジョージア州の開票のカウントを止めるよう、訴訟を起こした。

 トランプ氏は、自身の敗北が伝えられていたり、結果がまだ出ておらず、拮抗していたりする州で、「結果を誤算している」と主張した。

▲トランプ大統領(Wikipediaより)

 しかし、訴訟を起こされた、ミシガン州のベンソン州務長官は、11月4日午後にトランプ陣営の提訴には「根拠がない」と断じた。また11月5日、ジョージア州チャタム郡の高等裁判所のジェームズ・バス判事は、訴訟を棄却した。

 トランプ陣営は、郵便投票に対して、選挙運動中から異議をとなえていた。さらに、トランプ氏は、選挙が最高裁で決着することに備えて、最高裁判事に保守派のエイミー・コニー・バレット氏の就任を急いだと指摘されている。

▲エイミー・コニー・バレット最高裁判所陪席判事(Wikipediaより)

 選挙という仕組みは、法と秩序による国家運営の象徴だ。今回の選挙はその中でも、まさに国家のリーダーを決めるものである。開票結果に不満であるからと、根拠もなしに候補者が法廷闘争に持ち込むなど、前代未聞の出来事である。

 指導者候補のそうした態度が、国民の意識に影響を与え、各々の支持層の激しい対立となって、全米で顕在化している。アリゾナ州では11月4日に、150人超のトランプ支持者が「票を数えろ!count the vote」と叫びながら、開票場を取り巻いた。同日4日、オレゴン州ではデモが暴徒化し、鎮圧のために州兵が投入される事態となった。

 この米国社会の深刻な分断は、今後ますます危険なかたちで顕在化するのではないかと危惧される。米国の政治社会情勢の混乱が日本にもたらす影響について、IWJは注視を続けていく。

トランプ大統領が集計をめぐり、自身の敗北が伝えられたり、結果がまだ出ておらず拮抗する、ミシガン、ペンシルベニア、ジョージアで開票を止めるよう提訴!

 トランプ大統領の陣営は、現地時間の11月4日水曜日、開票作業中のミシガン州、ペンシルベニア州、ジョージア州の開票のカウントを止めるよう訴訟を起こした。同日4日に、トランプ氏はさらに、ウィスコンシン州での再集計も要求した。

 また、ノースカロライナ州での郵便投票をめぐり、「期限前に郵送された場合に限り、遅配の不在者投票を認める」という取り決めに異議を申し立てる可能性がある。米政治サイトのPOLITICOが11月4日に報じている。

 ミシガン州では、米東部時間11月6日の午後2時時点で、99%の開票作業を終えてバイデン氏が50.6%、トランプ氏が47.9%の得票率で、バイデン氏の勝利が伝えられた。

▲民主党のジョー・バイデン候補(Wikipediaより)

 ペンシルベニアでは、89%の開票率で、まだ勝敗は出されず、米東部時間11月5日朝9時時点で、トランプ氏50.7%、バイデン氏48.1%と、トランプ氏がリードしていた。

 一方で、残りの未開票分の100万票ほどの大部分が、民主党の強い同州内で最大の都市であるフィラデルフィアからの投票であるため、24時間以内に逆転されるとの見方もされていた。

 激戦区のひとつ、ウィスコンシン州では、11月4日米東部時間の午後9時時点で、開票率99%でバイデン氏が49.6%、トランプ氏が48.9%を得票。バイデン氏が勝利と伝えられた。

 またAPによると、同じく11月4日米東部時間の午後9時時点で、ジョージア州は開票率99%で、トランプ氏49.5%、バイデン氏49.2%と拮抗していた。同時点でのノースカロライナ州では、94%の開票率で、トランプ氏50.1%、バイデン氏48.7%だ。両州とも、まだ勝敗結果は、米東部時間の午後9時時点では出されていなかった。

 トランプ氏はこのように、自身の敗北が伝えられていたり、結果がまだ出ておらず拮抗していたりする州で、「結果を誤算している」と主張した。

選挙期間中から郵送投票に対して異議をとなえていたトランプ氏! 選挙が最高裁で決着することに備え、保守派のエイミー・コニー・バレット氏の最高裁判事就任を急いだ!?

 トランプ陣営は、郵便投票に対して選挙運動中から異議をとなえていた。いくつかの州では、新型コロナの影響で郵便投票が増え、投票日後に到着した投票用紙も集計に加えることを許可しているが、トランプ陣営は「遅れて到着したすべての投票用紙が選挙前に郵送されたことを証明する方法がない」と主張し、「選挙の直前に規則を変更している」と批判している。

 トランプ氏は、選挙が最高裁で決着することに備えて、亡くなった最高裁のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の席を埋めるために、保守派のエイミー・コニー・バレット氏の就任を急いだと指摘されている。

 大統領選の結果が明らかになった後も、混乱は続きそうだ。

ミシガン州のベンソン州務長官は、提訴に「根拠がない」と断言! ジョージア州の裁判官は訴訟を棄却!

 訴訟を起こされた州のひとつである、ミシガン州のベンソン州務長官は11月4日午後に、トランプ陣営の提訴には「根拠がない」と断じた。

▲ミシガン州のベンソン州務長官(Wikipediaより)

 また、ジョージア州チャタム郡の高等裁判所のジェームズ・バス判事は、現地時間の5日(日本時間6日未明)、トランプ氏の訴訟を棄却した。

 選挙という仕組みは、自由と平等の原則にもとづく、法と秩序による国家運営の象徴だ。今回の選挙はその中でも、まさに国家のリーダーを決めるものである。開票結果に不満であると、根拠もなしに候補者が法廷闘争に持ち込むなど、前代未聞の出来事である。

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