バイデン候補の米国大統領就任が確実になった時点で、イスラエルの代表的なメディア、ハアレツ(Haaretz)が11月7日、「バイデン勝利が米イスラエル関係に持つ意味」と題する記事を掲載。バイデン政権のイスラエル政策を予想している。
記事によれば、バイデン氏は、オバマ政権までの米国の政策だった、イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和安全に共存する「二国家解決」を支持する、という。バイデン氏はイスラエルのパレスチナ入植に反対だが、トランプ大統領がエルサレムに移した米国大使館をテルアビブに戻す意思はない、と断言。
他方、トランプ政権が離脱したイランとの核合意をバイデン氏が復活させる可能性があるとしている。
バイデン氏は、米国の援助をイスラエルが利用することは「巨大な間違い」とする一方で、イスラエルに対するボイコット・投資引き揚げ・制裁(BDS)運動は「反ユダヤ主義に陥る」可能性があるから、という理由で反対している。
バイデン政権では、米国の中東政策がこれまでのトランプ政権と比べて多少変化する可能性がありそうだが、現イスラエル政策が基本的に継続されることに変わりはないと思われる。ハアレツの記事では、元駐ワシントンイスラエル大使による「オバマ時代に完全に戻るとは思えない」との見方も示されている。
岩上安身はこれまで、ユダヤ教徒で、かつ「シオニズム」批判者であるヤコヴ・M・ラブキン・モントリオール大学教授や、パレスチナ情勢に詳しい岡真理京都大学教授、早尾貴紀東京経済大学准教授、パレスチナの平和を考える会事務局長の役重善洋氏、高橋和夫放送大学名誉教授、板垣雄三東京大学名誉教授などの方々に、イスラエルとはどのような国で、なぜ米国に対し、あれほどの影響力があり、中東をかき回しているのか、繰り返しインタビューを行なっている。
複雑なイスラエルとパレスチナの情勢を理解いただくために、ハアレツの記事と共に、この機会にぜひあわせてお読みいただきたい。