米大統領選の開票結果を受け、現地時間11月7日、バイデン候補が勝利宣言を行った。IWJはこの宣言全文を仮訳し、掲示する。
演説の中でバイデン候補は、国内向けに「分裂ではなく統一を目指す」とともに、新型コロナ対策に最優先で取り組むことを宣言した。
これを受けて、米国株は一時的に急騰した。その後、コロナ禍の深刻さに嫌気してNY市場は再び急落し、乱高下が続いている。
東証も大きく影響を受ける米国NY市場の値動きについては、エコノミストの田代秀敏氏に11月16日に岩上安身がインタビューし、貴重かつ、希少なお話をうかがっているので、ぜひ、下記より御覧いただきたい。
バイデン氏の演説内容に話を戻す。
バイデン氏は、「アメリカの魂を取り戻す」として、中間層の立て直しを訴求。「分裂ではなく統一」の具体例として、副大統領に女性で、アジア系・アフリカ系でもあるカマラ・ハリス氏を選び、性別や人種を越えて結びつく必要性を示した。
諸課題、特に新型コロナとたたかうために、良識と公正、科学と希望の結集を訴え、科学無視の批判を浴びたトランプ政権との違いを示唆した。
そしてリンカーンからケネディまで歴史上の大統領を例に出し、米国が世界各国にとって、模範にもとづくリーダーとなることを宣言した。
他方、国内の団結を訴えつつ、中国に対してどのような態度を示すのか、決定的な対立へ向かうのか、緊張をはらみつつも、融和を探るのか、この演説からはまだわからない。
「世界のリーダー」であり続けると宣言するということは、世界の覇権を手放さない、という宣言にも聞こえる。
それはコロナ対策の上でも、経済規模と成長速度の点でも、米国に大きな差をつける中国に対し、覇権だけは譲らない、と国内外に宣言したことを意味する。
折しもトランプ大統領は、任期残りわずかのこの時期に、中国企業31社への投資を禁じる非常事態宣言に署名した。
- 最後の狂気か!? 練りに練った国家戦力なのか!? トランプ大統領が「国際緊急経済権限法」にもとづいた「国家非常事態」を宣言!! 米企業や個人が中国軍関連企業に新規投資することを禁じた!! 米中関係が悪化は必至!?(日刊IWJガイド、2020年11月16日号・非会員版)
- 最後の狂気か!? 練りに練った国家戦力なのか!? トランプ大統領が「国際緊急経済権限法」にもとづいた「国家非常事態」を宣言!! 米企業や個人が中国軍関連企業に新規投資することを禁じた!! 米中関係が悪化は必至!?(日刊IWJガイド、2020年11月16日号・会員版)
経済的な「宣戦布告」ともいえるこの大統領令を、バイデン政権が引き継ぐのか、撤回するのか、注視しなくてはならない。
経済的な競争で米国の敗退が決定的となっても、米国が敗北を受け入れない場合、争いは武力という最終手段に移る。米中が戦えば、日本を含め、全世界が瞬時に巻き込まれるのは避けられない。日本人の我々にとっても、決して他人事ではないのである。
全世界の今後に、大きな意味を持つ米大統領選の、バイデン氏勝利宣言を、ぜひお読みいただきたい。