バイデン米大統領候補「勝利宣言」をIWJ仮訳!! 国内融和訴える陰で、経済で凌駕された中国に「覇権」だけは譲らない!? トランプの経済的「宣戦布告」を引き継ぐのか!? 経済の敗北を受け入れず、武力という最終手段に訴えるなら、日本も他人事でない!! 2020.11.10

記事公開日:2020.11.10 テキスト
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(文:辻部亮子)

特集アメリカ大統領選挙2020|特集 #新型コロナウイルス

※2020年11月19日、テキストを更新しました。

 米大統領選の開票結果を受け、現地時間11月7日、バイデン候補が勝利宣言を行った。IWJはこの宣言全文を仮訳し、掲示する。

 演説の中でバイデン候補は、国内向けに「分裂ではなく統一を目指す」とともに、新型コロナ対策に最優先で取り組むことを宣言した。

 これを受けて、米国株は一時的に急騰した。その後、コロナ禍の深刻さに嫌気してNY市場は再び急落し、乱高下が続いている。

 東証も大きく影響を受ける米国NY市場の値動きについては、エコノミストの田代秀敏氏に11月16日に岩上安身がインタビューし、貴重かつ、希少なお話をうかがっているので、ぜひ、下記より御覧いただきたい。

 バイデン氏の演説内容に話を戻す。

 バイデン氏は、「アメリカの魂を取り戻す」として、中間層の立て直しを訴求。「分裂ではなく統一」の具体例として、副大統領に女性で、アジア系・アフリカ系でもあるカマラ・ハリス氏を選び、性別や人種を越えて結びつく必要性を示した。

 諸課題、特に新型コロナとたたかうために、良識と公正、科学と希望の結集を訴え、科学無視の批判を浴びたトランプ政権との違いを示唆した。

 そしてリンカーンからケネディまで歴史上の大統領を例に出し、米国が世界各国にとって、模範にもとづくリーダーとなることを宣言した。

 他方、国内の団結を訴えつつ、中国に対してどのような態度を示すのか、決定的な対立へ向かうのか、緊張をはらみつつも、融和を探るのか、この演説からはまだわからない。

 「世界のリーダー」であり続けると宣言するということは、世界の覇権を手放さない、という宣言にも聞こえる。

 それはコロナ対策の上でも、経済規模と成長速度の点でも、米国に大きな差をつける中国に対し、覇権だけは譲らない、と国内外に宣言したことを意味する。

 折しもトランプ大統領は、任期残りわずかのこの時期に、中国企業31社への投資を禁じる非常事態宣言に署名した。

 経済的な「宣戦布告」ともいえるこの大統領令を、バイデン政権が引き継ぐのか、撤回するのか、注視しなくてはならない。

 経済的な競争で米国の敗退が決定的となっても、米国が敗北を受け入れない場合、争いは武力という最終手段に移る。米中が戦えば、日本を含め、全世界が瞬時に巻き込まれるのは避けられない。日本人の我々にとっても、決して他人事ではないのである。

 全世界の今後に、大きな意味を持つ米大統領選の、バイデン氏勝利宣言を、ぜひお読みいただきたい。

記事目次

▲バイデン氏(wikipedia)

バイデン候補の勝利演説「分裂ではなく統一を目指す大統領」

 米大統領選で当選を確実にしたジョー・バイデン民主党候補は、現地時間の11月7日20時30分(日本時間11月8日午前8時30分)過ぎから約15分、デラウェア州ウィルミントンで、勝利演説に臨んだ。

 米NBCがこの演説の全文を掲載した。

 バイデン氏は演説で「分裂ではなく統一を目指す大統領になることを誓う」と述べ、共和党と民主党を合わせた合衆国の大統領になると、国内の融和を訴えた。

コロナ対策優先でニューヨークダウ急騰!

 演説は、そうして国内向けの「あるべきアメリカの姿」に終始した感はあるが、最優先課題として新型コロナ対策に力を入れることが強調された。

 これを受けて、11月9日、ニューヨークダウが急騰した。バイデン氏が早速、コロナ対策として200兆円規模の財政出動を示すなどし、先行きの不透明感が払拭されたことに加え、ファイザーが公開した新型コロナウイルスワクチンの治験結果が、予想以上の好成績を示したことに、市場が反応したと思われる。

 しかし、冒頭で記した通り、その後、株価は反転して下落した。そこには日本ではほとんどまともに報じられない「カラクリ」があったことがわかっている。

 その点について、11月16日に岩上安身がインタビューしたエコノミストの田代秀敏氏が明らかにしているので、ぜひ会員の方々は御覧になっていただきたい。

トランプ政権の逆行くCOVID-19(新型コロナ)対策

 バイデン氏は8日、政権移行に向けて設けたウェブサイト「BIDEN-HARRIS TRANSITION」で、早速、来年1月20日の就任式後から最優先で取り組む4つのテーマを公開した。そこでは、COVID-19、経済再生、人種の平等、気候変動という、選挙戦で訴えてきた4つの課題への対処方針と具体策が示された。

 COVID-19への対応としては、「科学に耳を傾ける」こと、公衆衛生の専門家による決定過程の重視、「政府の信頼性、透明性、説明責任」を基本姿勢とすることという、まさにトランプ政権の逆の姿勢が打ち出された。

 さらに、パンデミック検査委員会の立ち上げを通じて、数千万の検査を実施可能にすることを提示。これにより、検査数は桁違いに拡大されることになる。また、米国公衆衛生局を設立し、高リスクにさらされているコミュニティの信頼できる地域組織の支援を通じて、追跡調査と高リスク集団の保護を徹底することも明記された。

 こうしたバイデン氏の徹底した姿勢が、市場の好感を一般的には喚起したと思われる。

 また、米ファイザーが、開発中の新型コロナウイルスワクチンの治験について、発症を防ぐ有効性が90%を超えたと発表した。まだ、副作用がないかなどの安全性を確認するとしているが、このニュースも株価を押し上げたと思われる。

 一方で、こうしている間にも、米国の感染爆発は、指数関数的に伸びており、手がつけられない状況にある。この点の最新情報も、ぜひ前記の田代氏のインタビューを御覧いただきたい。

バイデン氏勝利演説の仮訳全文! 「赤(共和党)と青(民主党)の合衆国ではなく」

 IWJはバイデン氏の勝利演説の全文仮訳を行った。仮訳文全文は次の通り。

 「わが友人たるアメリカ人、この国の人々の意思が示されました。

 彼らは私たちに明確な勝利を届けてくれました。圧倒的な勝利を、『我々国民』のための勝利を。

(…会員ページにつづく)

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