史上空前の株高! しかしこれは日本経済の復活をあらわすものではなく、日本株が「株式の世界ではありえないぐらい割安」だから買われているだけ! 岩上安身によるインタビュー第1206回ゲスト エコノミスト田代秀敏氏 第4弾 後編2 2025.9.5

記事公開日:2025.9.17取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)


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 2025年9月18日、「岩上安身によるインタビュー第1206回ゲスト エコノミスト田代秀敏氏 第4弾 後編2」を初配信した。

 田代氏は、『週刊新潮』2025年8月28日秋初月増大号に、日経平均株価の史上最高値更新について、「これは日本株が安すぎるから買われているだけで、日本経済の復活でもなんでもない」とコメントしている。

 インタビューは、このコメントについて、田代氏に詳しく説明していただいた。

岩上安身(以下、岩上と略す)「(8月18日に)日経平均株価が4万3714円ついた、と。(中略)

 しかし、日本経済が復活したというのは、どう考えても間違いだろう、というわけですよね」

田代秀敏氏(以下、田代氏と略す)「これが(日経平均株価の1年の推移のグラフを指して)、その問題の8月18日ですね。

 確かに史上最高値の更新になったわけですよね。で、その後は、なんとなく少しずつ(ゆるやかに下がっている)。

 じゃあ、8月18日の時点でどうかというと、岩上さんもおっしゃっているように、大阪の証券取引所は、これは先物に特化してるんですね。現物は扱ってないんです。

 で、東京と名古屋が現物を扱っていますね。その取引所での取引の記録を見ると、売り買いの約6割は海外投資。その77%は、なんと欧州勢です。アメリカじゃないんです。

 そういった金融機関のファンドマネージャー、つまり、実際に売り買いを管理している人達っていうのは、日本にいません。日本語もわからない。『日経新聞』も読まない。そういう人達が、日本の株式相場を動かしている」

岩上「なるほど。

 そして、先ほど『コモディティー(投資商品)としか見てない』というお話がありましたね?」

田代氏「(日本株が)割安なら買って、割高になると売る。つまり、原油や小麦の先物と一緒ですよね。

 しかも実際、売り買いをやっているのは、そのトレーダーじゃないんですね。コンピューターがやってる。モニターを見ながら腕組みして、うーんと呻吟して、『ようし、ここで買いだ』と、まあ、そういうのはもう昔話。

 今は数千分の1秒単位で、AIが売り買いしています。このAIは、生成AIじゃなくて、こうやって金融取引に特化して作られているAIです。(中略)

 もう相場は、人間が解釈できるものじゃないんですよ。まあ、(人間は解釈を)勝手にしてるんだけど、その解釈によって相場が動くことはないわけ」(中略)

田代氏「プロの投資家なら、『ポートフォリオ』―――どれにいくらずつ、今、投資しているかという、『ポートフォリオ』を持ってるわけ。

 その中で、日本株を、何%の枠にするのか、というのを決める。これがファンドマネジャーの役割。

 ファンドマネージャーは、かつては日本株専門の担当者がいたんだけど、そういう人達は、みんな解雇されちゃった。それはそうですよね、 ずっと日本株があんなに下落していた最中に。

 で、いったん、そのポストがなくなっちゃうと、今、日本株がこういうこと(高値)になっても、やってるのは、韓国株とか、中国株とか、そういった時間帯が近いゾーンの担当のファンドマネージャーが、片手間で日本株をやっている。片手間だから、いちいち企業の業績とか、あるいは日本の経済状況とか見ている暇はないわけ。

 ここでどうするかというと、アルゴリズムを頼む。全体のポートフォリオの中で、『上限何%まで、日本株を買うんだよ!』ということは、やってるんですね」

岩上「そして、海外の投資家達からすると、日本株っていうのは、ターゲットになっちゃっている、という?」

田代氏「うん、なぜかというと、『割安』だから。

 何度も言うように、今、日本株も上がっているというんだけど、冷静に考えれば、1989年の大納会(*)のあの日のピークからすると、名目でも11.5%しか上がってないんです」

(*)1989年末の「大納会」と呼ばれる年内最終取引日には、史上最高値の3万8915円87銭(終値)を記録した。

岩上「バブルのピークですね…」

田代氏「これは同じ期間で言うと、ダウ・ジョーンズ平均株価って、1000倍以上がってますよね。

 だから、もう株式の世界ではありえないぐらい割安。日本のラーメンと一緒」

岩上「それは為替を入れたら、そういうことになるわけですね?」

田代氏「いや、為替を入れなくても。為替レートを入れたら、もっと安い。ものすごい円安が起きてるんだから。1995年に、1ドル79円まで行ったわけですよね」

岩上「円高、超円高でしたね」

田代氏「で、あの時に、岩井俊二監督が『スワローテイル』という映画を作ってるでしょう。あれは、世界最強の通貨『円』を求めて、日本に押し寄せてきた不法移民達の町ですよね。『イエン・タウン』って。

 今からすると、びっくりですよね。ちゃんと、あの映画は冒頭で、『ワンス・アポンナ・タイム』と、『昔々、円が世界最強の通貨と言われた頃』って、昔の話をしてますよね。今思うと、すごい予言的でね。

 それから考えたら、こんなバカみたいに円安になっているわけでしょう。もう、名目で11.5%しか上昇しないけど、物価水準の変動と為替レートの変動を加味したら、ドルの世界から見たら、『バカ安』。『バカ安』だから、ちょっと買ってみようかと。(中略)

 ドバイだったら、一杯4500円のラーメンが、(日本では)1000円。しかも、(日本の方が)もっとうまい。食べたくなるよね。だから、もうどんどん食べるじゃない」

岩上「インバウンドの客とかね」

田代「そう。

 だから別にね、なんか庶民の感覚からすれば、ものすごく生活大変なのに、日本株高いと。それは、まったく関係ないわけです」

岩上「なるほどね。『日本経済大復活だ』って、喜んで言っているような人達も、中にいるのかもしれませんが、全然、それは大間違いだったんすね? がっかりするような話です」

田代氏「たまたま、それは、ニューヨーク市場が閉じたときに、日本株市場が開くでしょう。最初に、大きいマーケットとしてはね。

 そうすると、ニューヨークでドーンと、含み益が出ているんだったら、ついでに日本株も買っちゃおうかと。格安だし、割安。めちゃくちゃ割安です」

岩上「最高値だから、『日本経済が復活した』なんていうのは、大間違いだと」

田代氏「何度も言うように、勝手にそういうふうな解釈をしてもね、相場には何の影響もない。まあ、気持ちが良くなるだけ」

 話は、このあとも、続いていく。

■ハイライト【後編2】

  • 日時 2025年9月5日(金)15:00~17:00
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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