「製造業が復活するはずがない米国への、こんな馬鹿げたこと(5500億ドルの対米投資)は、誰もやらない!」「兆円単位の金が米国に投資されるとしたら、恐るべきバブルが発生する! それが崩壊する時が恐ろしい!!」岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾(中編) 2025.8.5

記事公開日:2025.8.13取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)


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 2025年8月14日、「岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾(中編)」を初配信した。

 日米関税交渉で、日本は関税率を15%に抑えるための見返りとして、米国への5500億ドル(約80兆円)もの投資と、その投資に対する利益の9割は米国が手にし、日本への還元は1割だけという約束をしてしまった。書面は作成されず、口頭の契約である。

 岩上安身は、「令和の不平等協約」だと指摘し、「国富をごっそり抜かれるような屈辱に対し、怒っているメディアがない」と批判した。

 米国との交渉を担当した赤沢亮正経済再生担当大臣は、国会で、この5500億ドルについて、政府系金融機関(JBIC=国際協力銀行やNEXI=日本貿易保険)の融資保障だと認めた上で、「JBICやNEXIが、法令上のいろんな履行の時の条件とかを守りながら、我が国の民間企業も参加して、両国が協力して、米国内にサプライチェーンを作り上げる」「一方的にお金を出して終わり、ただアメリカに言われるがまま、というようなものではない」と主張した。

  • 日本は無利子の銀行なのか? 国民民主党の玉木雄一郎代表が8月4日の衆議院予算員会で直球質問! 日本側は、現在も、米国のファクトシートにある市場アクセスの数字を、日本側の理解事項として発表できない! 中国も、インドも、スペインも、スイスも、カナダも、理不尽な米国と戦っているのに、日本は関税率15%で大満足! その裏のリターン率1対9の不平等さを、米国の「やる気」と、奴隷的思考で都合のいいように曲解! 金をむしられているのに、いつまで米国にすがりつく!? おめでたすぎないか!?(日刊IWJガイド、2025年8月12日)
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 岩上安身は、「JBICは、設立時、資本増強時の出資金というのは、国が一般会計、つまり税金から拠出されている」と指摘し、「融資をして、主に財政投融資特別会計を通じて調達していると言うが、その財源は、郵便貯金、年金積立金、政府発行の財政投融資、財投債など、もとをたどっていけば、個人の金」だと強調した。

 これに対して田代氏は、以下のように解説した。

 「たぶん、アメリカの銀行が、金を払うんでしょう。

 9割と言っているけれども、おそらく、アメリカの銀行から金を借りて、投資して、利益が出るとはあまり思えないけど、もし利益が出た時に、その利益をアメリカ側と日本とで折半すると。

 だけど、問題は、銀行から借りているから、その銀行に、金利を払わなければならないわけないでしょう。

 金利が、利益のうちの4割だとすると、通常はそれを、日本とアメリカ側で折半するんだけど、それは全部、日本で払ってくれと。そうすると、(利益を折半して、金利の4割を払った)残りは1割だと。

 そうすると、もしかすると、割と普通のビジネスと言えるのかもしれない」。

 その上で田代氏は、「肝心なのは、この金額で本当にやろうと思ったら、何年がかりですよね、どう考えたって」と指摘し、「トランプにとって、そんなことはどうでもよくて、問題は、来年の中間選挙ですよね。その時に、勝てばいいんであって…」との見方を示した。

 田代氏は、「日本から5500億ドルの投資をぶん取った。利益の9割は米国、日本は1割だけだ」という、今回の米側の発表は、トランプ大統領の支持者向けのアピール(プロレス)ではないか、との見方を示し、次のように解説した。

 「日本の側も、もう日本の財政のどこにも余裕がないから、そんな、どこかに穴を開けるようなことをやるとまずい。

 それともう一つは、アメリカの銀行で借りるというのが、もしそれが本当だとすると、賢いなと思うのは、結局これって、アメリカ側が踏み倒せないわけですよ。

 日本の企業が、アメリカの銀行から借りた金、何兆円かを、アメリカのどこかに投資すると。で、これがもし、踏み倒されちゃうと、(日本の)企業はアメリカの銀行に、『踏み倒されたから払えません』と。そうすると、アメリカの銀行に、穴を開けちゃうじゃないですか。

 それは、大ピンチですよね。踏み倒してもいいけど、アメリカの銀行が傾くんだから、その金融危機をどうしますか? ということになっちゃうわけ」。

 田代氏は、「日本の場合、主要なメディアは、訳のわからない(官僚の)説明を聞いて、そこから先、何も質問しない」と指摘し、「でも本当は、メディアは視聴者に代わって、代理で聞きに行っているんだから、とことん、視聴者が疑問に思うことを解消してもらうわなければいけない」と批判した。

 この5500億ドルの投資と、利益の配分が、米国が9割、日本が1割という点について、大臣会見などで質問したのは、IWJだけである。

  • トランプ大統領が15%の相互関税で日米合意したとトゥルース・ソーシャルにポスト! そのポストには、日本への誤解や強要もある! IWJは、経産省に、このポストの内容について緊急取材! 交渉にあたった赤沢経済再生担当大臣は「ジャパン・インベスト・アメリカ・イニシアティブ」という協定を結び、日米2国間だけでサプライチェーンを構築すると発表! 半導体、医薬品、鉄鋼、造船、重要鉱物、航空、エネルギー、自動車、AI、量子等の10分野に5500億ドル(約86兆円)を政府系金融機関が投資! この資金源はどこから捻出するのか? しかも、その投資から得られる利益の9割を米国のものとするという奴隷的協定!
    (日刊IWJガイド、2025年7月24日)
    会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20250724#idx-1
    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/54934#idx-1

 さらに田代氏は、「でも言えるのは、こんな馬鹿げたこと(5500億ドルの対米投資)を、誰もやらない」と述べ、以下のように指摘した。

 「実は最初に、日本の造船会社が、『とてもアメリカなんかに投資できません』なんて言っちゃいましたよね。

 というのは、もうアメリカは造船業が、ほぼ消滅したんです。もう今、船を1隻も作れないし、修理もできない。(中略)

 もう、日本にもそんな力がなくて、今、世界の造船能力の8割近くは、中国が持ってるわけですよね。次は韓国。日本は、ちょっともう、という感じだけど、アメリカは完全に消えたわけですよ。

 それなのに、アメリカに投資なんて言われても、そんな…」。

 また田代氏は、次のようにも指摘した。

 「トランプはアメリカの製造業を復活させると言っているけど、何兆円投資しても、復活するはずがないんですよ。

 復活するはずがないんだから、もしこのスキームが本当に動き出して、兆円単位の金がアメリカに投資されるとしたら、それは、製造業じゃないはず。別のところ。

 ただ、それでもこれ、そんな受け皿はないから、言えるのは、恐るべきバブルが発生しますよね。

 あっという間に、バブルが膨れ上がって、その時はトランプが大得意で、で、それが崩壊する時はすごい」。

 このあと、インタビューの後半では、石破総理の退陣を主張する、高市早苗氏など自民党の保守派や、参政党や保守党などの間で高まっている、スパイ防止法などについて、岩上安身と田代氏が、詳しく検証した。

■ハイライト 前編

  • 日時 2025年8月5日(火)15:00~17:00
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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