2025年9月16日、「岩上安身によるインタビュー第1206回ゲスト エコノミスト田代秀敏氏 第4弾 前編2」を初配信した。
9月3日、北京の天安門広場で、日中戦争勝利80周年と第2次世界大戦終結80周年を記念する軍事パレードが開催された。
軍事パレードには、その直前に天津で開催された上海協力機構(SCO)プラス首脳会議に出席した、ロシアのプーチン大統領が主賓として参加し、同じく主賓として参加した北朝鮮の金正恩総書記とともに、中国の習近平国家主席と3人が肩を並べる姿が、世界中に報じられた。
田代氏によると、今回の軍事パレードは、「10年前より、規模も時間もダウンサイズしていた」とのことだが、その一方で、「出てきた兵器が、なかなかちょっと驚くものだった」という。
中でも、新型道路移動型長距離ミサイル(ICBM)について、田代氏は、「これは、非常に驚いた。アメリカは持っていない」と述べ、「基本的にアメリカの核戦力って、70年代で止まっていて、それを大事に使ってきているから、こんなすごいのは持っていない」と語った。
中国は、ICBM、SLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)、戦略爆撃機の核攻撃能力「3点セット」を、軍事パレードで公開した。
田代氏は、「中国は核弾頭の保有個数は、アメリカとは桁違いに少ないけれど、核弾頭の持っている破壊力を考えると、もう既に、アメリカと同じように、ICBMと、SLBMと、戦略爆撃機を持っている。もう、アメリカとしては、中国に圧力をかけるなんていうのは、よく考えましょうね、という話です」と述べた。
さらに中国は、極超音速の対艦ミサイル群を発表した。これは、「米国の世界戦略基盤の根拠の一つである空母打撃群が、『張子の虎に』なってしまう」兵器だと、田代氏は、次のように指摘した。
「アメリカは、航空母艦を一番大切にするという戦略で、今でも、空母の周りを他の軍艦が同心円を描くように隊列を組んで航行するという戦略をとっています。
リンケージを組んで、そこにイージス艦をたくさん配置して、航空母艦に飛んでくるミサイルを途中で迎撃するというシステムを作ったわけです。
問題は、これ(極超音速対艦ミサイル)って、イージス艦では、時間が短すぎて、反応できないわけです」。
田代氏は、「こういうテクノロジーの競争は、どれくらいその国が、教育に力を入れてるかというのがポイント」だと述べ、以下のように続けた。
「膨大な技術者が、必要なわけです。
その点では、中国は本当に、世界で圧倒的な地位を占めてると思うんですね。
中国の普通の公立の中学校でも、授業開始は7時半。終了は、午後8時半。
中学生は、全国統一試験を経て、成績の上位半分が、高等学校に行く。
その高等学校、特に進学校じゃなくても、普通の高等学校でも、授業開始は午前6時半。授業終了は、午後9時50分。
それが、ごく普通の学校で、進学校となったら、こんなものじゃないわけですよ。
で、その高校生達が、また全国統一試験を経て、大学に進学するわけですね。(中略)
東京大学も、北京大学も、定員は、ほぼ一緒なんです。だけど、人口が10倍違うでしょ。それだけでも、まず、競争率は10倍違うわけですよね。なおかつ、その10倍多い高校生、さらに高校生の予備軍である中学生、その予備軍である小学生、それの勉強の度合いというのは、全然ケタ違いなわけですよ。(中略)
そうやって選ばれた人達が、大学に入ると、もっと厳しい競争なわけです。
その点でも、中国の教育システムというのは、こういうものを作り出す点において、世界最高なんですよね」。
田代氏は、「米国にはもう技術者がいない。全部お払い箱にして、工場を移転してしまったのだから、今さら無理だ。できないものは、できない」と断言し、「こういうもの(最新のハイテク兵器)を作るといっても、膨大な、教育レベルからの、ものすごい蓄積がなければ、何もできないわけです」と語った。
インタビューでは、このあと、田代氏に提供していただいた、軍事パレードの公式ガイドブックを見ながら、さらに中国の最新兵器の数々を検証した。


































