原発への武力攻撃の防御もなく、再稼働と敵基地攻撃能力保有を進めるリスク! IWJ記者の質問に西村大臣は「『原発を攻撃対象としてはならない』とするジュネーブ条約がある」!? ~5.9 西村康稔 経済産業大臣 記者会見 2023.5.9

記事公開日:2023.5.9取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2023年5月9日午前9時30分頃より、東京都千代田区の経済産業省にて、西村康稔経済産業大臣の記者会見が行われた。

 冒頭、西村大臣からの報告事項はなく、そのまま西村大臣と各社記者との質疑応答となった。

 IWJ記者は、4月27日に衆議院を通過した「GX脱炭素電源法案」について、以下の通り質問した。

IWJ記者「『GX脱炭素電源法案』が衆院で可決されました。

 ウクライナ紛争おいては、戦時に原発が攻撃の対象になりうることが明らかになりました。狭い国土に原発を54基も抱えている日本は、それだけたくさんのミサイルの標的を抱えていることになります。

 政府は、台湾有事、および、中国を意識して、敵領土内に届くミサイルを、増税してまで準備していますが、なぜ、原発の防御はおろそかなまま、防御のための予算が組まれないのでしょうか?

 複数の原発を、たとえば、飽和攻撃で破壊され、日本が放射能まみれになり、敗北する戦争を準備している、というのは、正気の沙汰とは思われません。

 西村大臣は、日本の安全保障における『原発のリスク』をどのように評価されているのでしょうか?」

 これに対して、西村大臣は以下のように答弁した。

西村大臣「まず、ウクライナの原子力発電所に対する武力攻撃についてでありますが、『ジュネーブ条約(※)』がございます。『原子力発電所を攻撃対象としてはならない』とする内容のジュネーブ条約であります。

 この観点から、原発に対する武力攻撃、これは断じて容認できるものではありません。

 こうした立場から、ウクライナにおける原子力関連施設の安全確保に向けた取り組みを進めるIAEAを支援するためですね、私自身、先月、オンラインで会談をいたしましたけれども、グロッシー事務局長に対しまして、経産省として、新たに200万ユーロ(約3億円)の拠出を実施するということを申し上げたところであります。

 また、私が議長として取りまとめましたG7札幌会合のコミュニケにおきましても、原子力安全及び核セキュリティーの重要性を強調するとともにですね、『ロシア依存』を減少させるために信頼できるパートナーと協力するということとしております。

 G7でも、アメリカ、イギリス、カナダ、フランスと、このことを確認したところであります。

 さらに、この連休中に訪問いたしました、東欧の中東、チェコ、ポーランド、ルーマニア、こういった関係国の閣僚に対しても、価値観を共有する同志国とのサプライチェーン強化などの働きかけ、あるいは合意などを行ったところであります。

 また、IAEAはですね、現在、ロシア及びウクライナの両国に対して、原子力安全セキュリティー保護エリアを設定することを提案するなど、国際法にもとづく働きかけを行っているものと承知をしています。日本としても、今後ともこうした取り組みを積極的にサポートしていきたいというふうに考えております。

 その上で、原子力発電所に対しては、武力攻撃も含めて、あらゆるリスクを想定して、対応を行うことが極めて重要であります。こうした観点から、原子力発電所などに関する各種事態発生時における関係機関相互の連携確保についても、政府全体で必要な備えを行っているところであります。

 原子力施設の規制の問題ではなくて、むしろ、我が国自身の防衛の問題でもあるということであります。原子力施設へのミサイルによる武力攻撃に対して、イージス艦やPAC3により対応するほか、事態対処法(武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律)、あるいは国民保護法の枠組みのもとで、原子力施設の使用停止命令、あるいは住民避難などの措置を実施・準備しているところであります。

 昨年の11月28日には、福井県の大飯町において、PAC3の機動展開訓練も行われたと承知をしておりますし、これまでも自衛隊と警察による共同訓練なども積み重ねてきております。

 いずれにしても、あらゆる事態への対応に万全を期すため、平素から関係機関相互の連携強化にも不断に取り組んでいきたいというふうに考えております」

 西村大臣は、ジュネーブ条約の「原子力発電所を攻撃対象としてはならない」の内容について言及し、その観点から、「原発に対する武力攻撃は断じて容認できない」と語気を強め、現在、政府が行なっている様々な取り組みを並べたてた。

 しかし、元東芝・原子炉格納容器設計者の後藤政志氏は、4月25日、東京・たんぽぽ舎で行った講演(※)で、「有事における原発への武力攻撃のリスク」について、次のように述べている。

 後藤氏「原発が攻撃を受けることについて、どうお考えですか?』って、更田元委員長ね、『原発は、そのような攻撃の対象になることは一切、考慮しておりません。これからもそんなこと考慮できません』と、はっきり言ってるでしょ。(中略)

 原発は事故を起こすリスクがある。これが一点。ものすごく細かいリスクがある。その上で、攻撃対象になったときには、もっとひどいことになるので、そうすると、原発は、平和時も、有事のときにも、使い物にならないガラクタなんですよ。はっきり言えば」

 記者会見の詳細については、ぜひ全編動画にてご確認ください。

■全編動画

  • 日時 2023年5月9日(火)9:00〜
  • 場所 経産省内記者会見室(東京都千代田区)

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