福島第一汚染水流出を止めろ!更田委員「東電は国でも何でも使え」 〜第1回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ 2013.8.2

記事公開日:2013.8.2取材地: テキスト動画

 「言い方は悪いが、国でも何でも使えるものは使ってほしい」――。

 福島第一原発の汚染地下水海洋流出を深刻に受け止めた原子力規制委員会は8月2日、「特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ」の第一回会合を開き、座長を務めた原子力規制委員会・更田豊志委員は「東京電力の手に余るのであれば、声をあげていただきたい。『東電の手に余るから出来ませんでした』では済まない。言い方は悪いが、国でも何でも使え」などと述べ、危機感をあらわにした。

 このワーキンググループは、汚染地下水の海洋流出をどのようにして止めるか、規制庁、東電、外部有識者を交えての検討会である。


【IWJウィークリー12号】(ePub版・PDF版を発行しました) 2013.8.2

記事公開日:2013.8.2 テキスト独自

※ サポート会員の方は、IWJウィークリー12号【PDF版・全73ページ】がご覧になれます。


「日本の若者がアメリカの鉄砲玉になるなんて、僕は耐えられませんよ!」 ~岩上安身によるインタビュー 第323回 ゲスト 山中恒氏 2013.7.31

記事公開日:2013.7.31取材地: テキスト動画独自

特集 戦争の代償と歴史認識
※全文文字起こしを掲載しました(2013年9月6日)
※2015年3月3日テキストを更新しました。

 「日本の若者がアメリカの鉄砲玉になるなんて、僕は耐えられません」

 『あたらしい戦争ってなんだろう?』(2003年7月、理論社)、『戦争ができなかった日本――総力戦体制の内側』(2009年8月、角川書店)など、膨大な史料にもとづいた戦史研究書を上梓している山中恒氏が、2013年7月31日、岩上安身のインタビューに答えた。


東京電力 記者会見 19:34 2013.7.31

記事公開日:2013.7.31取材地: テキスト動画

 2013年7月31日(水)19時34分ごろから、東京電力本店で定例記者会見が行われた。水ガラスによる遮水壁の効果により地下水位が上昇、結果遮水壁の側面や、遮水壁そのものを乗越え汚染水が流出する可能性もでてきたことがわかった。


「原発被災者の権利を守ろう!強制される帰還? 避難指示解除と賠償打ち切り」緊急報告会&政府交渉 2013.7.31

記事公開日:2013.7.31取材地: テキスト動画

 福島第一原発事故直後から現在に至るまで、避難を続ける住民からのこうした声は後を絶たない。

 7月31日、放射線量値が高いために避難をしている住民らは、避難を今後も続けるための政府による支援と、除染の延長を求め、NPO法人FoE Japanと福島老朽原発を考える会主催のもと、緊急報告会と政府交渉を行った。報告会では、原発事故後、自宅が避難対象区域に指定された人々が参加し、現状を報告。FoE Japanの理事で主催者の一人である満田夏花氏は、「避難対象区域に対する政府の賠償の打ち切りは、実質的に、避難を続けたいという住民の意思を無視する」ものであるとして、避難を継続するための政府支援を訴えた。


東京電力 「平成25年度第一四半期決算発表」 18:00 2013.7.31

記事公開日:2013.7.31取材地: テキスト動画

 2013年7月31日(水)18時から、東京電力本店で平成25年度第一四半期決算発表記者会見が行われた。三四半期連続の赤字となったが、具体的な黒字化の策は、柏崎刈羽原発の再稼働にしか言及しなかった。


「すれ違いに終わった」柏崎刈羽原発の再稼働に向けた安全審査申請をめぐり、甘利経済再生相と泉田新潟県知事が会談 ~甘利明経済再生担当兼TPP担当大臣 定例会見 2013.7.30

記事公開日:2013.7.30取材地: テキスト動画

 甘利明経済再生担当大臣は7月30日、朝早く内閣府大臣室で泉田裕彦新潟県知事と会談し、東京電力が柏崎刈羽6、7号機の安全審査申請をすることについて理解を求めた。甘利大臣は「非常に厳しい安全審査なので、安全性を高めるためにも受けるべき。原子力規制委員会による安全審査と、その後の再稼働判断は別物」などと理解を求めたのに対し、早期の申請に反対する泉田知事は「安全審査ではなく性能審査になっており、不備がいくつもある」と反論。会談後に行われたぶら下がりでは、両者とも「すれ違いに終わった」と報道陣に語った。


首相官邸前でオスプレイ反対抗議 〜オスプレイの追加配備中止を求める記者会見・官邸前抗議行動 2013.7.29

記事公開日:2013.7.29取材地: テキスト動画

 「沖縄は、人が住んでいる場所ではなく、ただの演習所」ーー。

 29日に開かれた記者会見で、映画監督のジャン・ユンカーマン氏は、米軍の沖縄に対する見方をそう説明した。 


「TPPの『ISD条項』は国家主権の侵害につながる」有志の弁護士318名が政府に撤退を求める要望書を提出 ~TPPに反対する弁護士ネットワーク設立記者会見 2013.7.29

記事公開日:2013.7.29取材地: テキスト動画

特集 TPP問題

※全文文字起こしを掲載しました。(7月31日)

 「TPPは農業や医療の問題とされがちだが、我々はISD条項について問題視する。TPPは関税ではなく非関税障壁の問題が本質だ」――。

 7月29日、弁護士会館において「TPPに反対する弁護士ネットワーク」の結成記者会見が開かれた。このネットワークは、日本のTPP参加に懸念を示す弁護士14名が結成を呼びかけたもの。記者会見に先立ち、全国の弁護士318人が賛同人に名を連ねた「TPP交渉参加からの撤退を求める弁護士の要望書」を政府に提出した。会見では、共同代表を務める3名の弁護士がそれぞれ挨拶した。

 宇都宮健児弁護士(日弁連前会長)は、「TPP反対の動きにおいて、我々弁護士グループは遅きに失したが、今後は弁護士会の中からも賛同者を募っていきたい」と意気込みを述べた。加えて、ISD条項(投資家対国家紛争解決条項)に強い懸念を示し、ISD条項の問題啓発を重点課題として取り組んでいく姿勢を示した。

 伊澤正之弁護士は、米韓FTA締結に至る経緯を振り返り、「韓国では裁判官157名が、『ISD条項は、司法主権を侵害する可能性がある』として、タスクフォースチーム(特別対策部門)設置の建議書を大法院(最高裁)に提出した」と述べた上で、「同じことを日本の裁判官には期待できない。在野法曹である我々弁護士が、これを担っていく必要がある」と決意を述べた。


「完全に負け戦以外の何者でもない。何をどう考えても、日本が勝ち取ってこれるものはない」TPP交渉会合に参加した内田氏が日本政府の姿勢を痛烈批判 〜岩上安身によるインタビュー 第322回 ゲスト 内田聖子氏 2013.7.29

記事公開日:2013.7.29取材地: テキスト動画独自

特集 TPP問題
※全文文字起こしを掲載しました(2013年9月5日)

 マレーシアのコタキナバルで開催された第18回TPP交渉会合に参加し、25日に帰国したばかりのアジア太平洋資料センター(PARC)事務局長の内田聖子氏に29日、岩上安身がインタビューを行い、TPP交渉会合での最新報告を中心にお話をうかがった。


「日本人協力者は、私たちの論文に名前が載ることを嫌う」 ~ティモシー・ムソー講演会 「福島における動植物の変異とチェルノブイリとの比較」 2013.7.29

記事公開日:2013.7.29取材地: テキスト動画

 「高濃度汚染地域である浪江町、双葉町などでは、営巣中のツバメの巣の割合は10%ほどだったのに対し、汚染度合いが低い南相馬市などでは、50%程度が営巣中だった」──。

 2013年7月29日(月)13時30分から、東京都千代田区の衆議院第一議員会館で行われた講演会で、生物学者のティモシー・ムソー氏はこう述べて、福島の放射能汚染の深刻さを、生態学の観点から指摘した。


東京電力 記者会見 17:30 2013.7.29

記事公開日:2013.7.29取材地: テキスト動画

 2013年7月29日(月)17時30分から、東京電力本店で定例記者会見が行われた。3号機建屋上部の湯気(蒸気)や地下汚染水の海洋漏洩などの情報公表の遅れについて、東電の隠蔽体質を追求する質問が続いた。


【IWJウィークリー第8号より抜粋】<IWJの視点>原佑介式モンゴリアン・チョップ3

記事公開日:2013.7.28 テキスト

特集 秘密保護法

※IWJウィークリー第8号(2013年6月26日発行)より抜粋

♢<IWJの視点>原佑介式モンゴリアン・チョップ3♢

 モンゴリアン・チョップといえば、キラー・カーン、天山だ。が、今回の三連打目をもって、私の名前もモンゴリアン・チョッパーとして記憶していただきたい。

 先週は、秋の国会に上程されるという「秘密保全法」の概要や、法案が浮上した経緯、目的などについて考察した。秘密保全法制定の背景には米国からの強い要求があると指摘し、日本政府は、その要求に応じるため、憲法の保障する「国民の知る権利」や「報道の自由」「プライバシー権」までをも踏みにじろうとしている。

 特別秘密を扱う者は政府内部でもごく一部に限られており、その情報が特別秘密として指定されるに足るかどうかをチェックする機関も作られない。不当な拡大解釈や恣意的な運用によって、本来、秘密に指定される必要のない情報まで隠蔽される恐れがある。しかも、そこには米国の意志が多大に影響を与える可能性が高い。ここまでは、前回、紹介したとおりである。

 今回は、秘密保全法が我々の生活にどのように関わってくるのか、いくつか事例を挙げて考えてみたい。

 秘密保全法とは、行政機関が「国の存立にとって重要なもの」と判断した情報を「特別秘密」に指定し、漏洩した者、情報にアクセスしようとした者などに重罰を科す、という法案である。「特別秘密」は、「国の安全」「外交」「公共の安全および秩序の維持」の3分野から選ばれる。

 「国の安全」は、主に防衛省を中心とした国防、安全保障に関する情報である。「外交」は、外務省を中心とした外交戦略やTPPなどの経済交渉に関する情報が指定されるだろう。では、この、「公共の安全および秩序の維持」という曖昧に表現された項目には、一体、何が含まれるのだろうか。

◇ 政府の情報隠しが強いた無用の被曝 ◇

 例えば、福島第一原発事故発生時に秘密保全法が導入済みであれば、「公共の安全および秩序の維持」に当たるとして、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」のデータは未だに公開されなかった可能性は高いように思う。

 現実にも、SPEEDIの情報が一部公開されたのは、事故から10日以上も経った、3月23日のことだった。細野豪志首相補佐官は、5月2日の統合会見で、公開しなかった理由について、「公表して社会にパニックが起こることを懸念した」と説明した。

 当時、SPEEDIは、国民がもっとも公開を臨んだ重要な情報の一つだった。にも関わらず、政府は、独断で、起こるかどうかも分からないパニックを恐れ、「公共の安全」や「秩序の維持」を優先したのだ。

 結果的に、南相馬市の住民などは、より線量の高い飯舘村に避難し、浪江町では、住民約8000人が同町内の津島地区に避難した。だが、実際には、避難先のほうが高線量だったことが後に明らかになった。

 もし、SPEEDIが早い段階で公表され、活用されていれば、住民に、このような無用な被曝を強いることはなかったに違いない。公益に反する決断をしたのは日本政府の方だったが、その責任は誰もとっていないし、根本的な反省もなされていない。

 おかしなことに、事故直後の3月14日には、文科省が外務省を通じ、SPEEDIのデータを米軍に提供していたことが発覚している。都合の悪い情報は国民には隠し、米軍の要請には素直に応える。日本の主権者はいったい誰なのか――。岩上安身は、政府が真っ先にSPEEDIの情報を提供していたことが明らかになった時点で、当時の文科大臣に、そう問いかけている。日本の政府の姿勢をあらわす象徴的な一件だが、秘密保全法が制定されれば、このようなことが往々にして繰り返されるのではないか。

 (関連動画 2012年1月17日「日本の主権者は誰なのか」岩上安身、平野博文文科相に質問http://iwj.co.jp/wj/open/archives/2444 )

◇ 「特別秘密」は誰のための「秩序」なのか ◇

 「公共の安全、秩序の維持」を主な任務としているのは、「警察」である。日弁連も、昨年12月20日付で発表した「秘密保全法案の作成の中止を求める意見書(http://bit.ly/15jjxzT )」の中で、「公共の安全及び秩序の維持」について、次のような見解を示している。

 「『公共の安全及び秩序の維持』という文言は、警察法1条で警察の所掌事務として規定されている文言と同じであり、有識者会議に警察庁、公安調査庁、海上保安庁の官僚が同席していたことからすると、警察の所掌する事務全般にわたって秘密の網が掛けられることを予定していると考えられる」

 「警察官は、町のお巡りさんから上層部にいたるまで、100%全員が『裏金』で汚染されている」――こう語ったのは、仙波敏郎氏だ。

 仙波氏は愛媛県警察の元警察官。2005年当時、現職警察官として初めて警察の裏金問題を実名で内部告発した人物である。

 裏金作りに必要な「架空の捜査協力費の領収書」を作成するよう、上司から命じられた仙波氏は、これを拒否。「全国27万人いる警察官の中で、唯一、自分だけが一度も裏金作りに加担しなかった警察官である」と話すほど、警察による組織的な裏金作りが常態化していたというのだ。

 仙波氏は、上司から、度重なる「裏金作り」の命令を受けたが、全てを拒否した。結果、同期でもっとも早く巡査部長昇任試験に合格したにも関わらず、以降、定年退職するまでの35年間、一度も昇進することなく、巡査部長という階級に留まることとなった(日本警察史上、最長記録だという)。

 さらに仙波氏は、岩上さんによるインタビューの中で、「愛媛県警の女子職員に対して現職の刑事がレイプする、そういうことも極々、普通ですね」と、裏金づくりにとどまらない警察の腐敗の驚愕の実態を語っている。

 (2010年11月6日 岩上安身による仙波敏郎氏インタビュー http://iwj.co.jp/wj/open/archives/1373 )  

 こうした警察犯罪は、愛媛県警だけが例外なのではない。北海道警察は組織ぐるみの裏金(道警の内部調査では総額10億9600万円)作りが発覚し、現職警官、OB含め約2000人のポケットマネーから、合計9億6千万円を返還。数千人規模の警官、幹部が処分されている。

 関連動画

 ( 2010年6月30日 岩上安身による、道警裏金問題を追求した元北海道新聞記者・高田昌幸氏インタビュー:インタビュアー岩上安身 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/10954 )

 (2010年8月30日 道警を告発し、自らも裏金作りに関わってきた元北海道警釧路方面部長・原田宏二氏インタビュー:インタビュアー岩上安身 http://iwj.co.jp/wj/fellow/archives/1613 )

 もし、秘密保全法が成立すれば、このような警察内部の犯罪を内部告発することはほとんど不可能になるだろう。この国の「公共の安全及び秩序の維持」を独白的に担う警察の内部では、こうした不祥事が横行しているというのに、その内部告発は困難をきわめることになるのである。

 秘密保全法が導入されれば、一部の幹部のみで、裏金システムに関わる情報を、「特別秘密」にして公開できないようにすることも可能である。これに気付き、正義感から告発に踏み切った者は秘密保全法違反で逮捕され、厳罰に処されてしまう。筋が通らない、「正義」が実現しない世の中になってしまうのである。

◇ 秘密保全法が隠す権力者の腐敗 ◇

 警察の腐敗を内部告発によって明るみにする行為は、本来であれば、これは「公益通報者保護法」で保護されるべき「公益に資する通報」のはずである。秘密保全法によって、公益に適う内部告発の動きが鈍ることは間違いない。権力の腐敗を暴こうとする動きも失速せざるをえなくなるのではないか。

 多少強引にでも、暴いて明るみにさらさなければいけない「現実」というものがある。イギリスで起きた、「シークレットポリスマン事件」はその好例のひとつだ。

 これは、警察による人種差別が常態化しているというマンチェスターの警察署の実態を暴くため、イギリスの公共放送局「BBC」が、記者を警察にスパイとして送り込み、取材にあたらせたというものだ。

 記者はまず、正規の手続きを踏んで警察学校に入学。そこでは、すでに警察学校生たちによる人種差別発言が横行していた。記者は、7カ月間にわたって、隠しカメラとマイクで、その様子を収め続けた。

 警察学校を卒業した記者はその後、順調に警察官となり、警察署勤務を開始した。記者は、警察署で数ヶ月間、取材にあたったが、ある日、警察官に取材活動を見抜かれ、捕まってしまう。BBC記者でありながら警察官の給料を不当に取得したとし、「不当利益容疑」で逮捕され、起訴されることとなった。

 しかし、BBCは、警察に「違法取材だ」と大きな圧力を受けながらも、それまでの潜入取材の映像を編集し、30分のドキュメンタリーとして放映した。ドキュメンタリーのタイトルは「シークレットポリスマン」。警察官による人種差別の実態が白日のもとに晒され、番組は大きな反響を呼んだ。

 「シークレットポリスマン」の手法は、「違法」であったかもしれない。しかし、視聴者の多くは、「この報道は公共の利益にかなう」と判断したと思われる。現に、「シークレットポリスマン」への起訴は取り下げられ、人種差別に関わった警察官のうち、10人が退職、10人が処分対象となったという。

 このように、内部告発や潜入取材が、権力者にとっては不都合で、不利益な、しかし多くの国民にとっては利益をもたらす、すなわち「公益」をもたらすことは多々ある。「公益」は、「権力者の利益」に反することも少なくない。ところが、時として「公益」という言葉は、権力者側に都合よく用いられ、「権力者の利益」の保護膜のように使われることもある。

◇ TPP反対の声を上げた市民は「公共の秩序」を乱した「左翼」!? ◇

 秘密保全法は、「公共の安全および秩序の維持」を理由として、どの情報を「特別秘密」に指定するか、恣意的に決められる権力者側が、自己の腐敗の証拠を、合法的に、そして永久に闇に封印することを可能にする。

 秘密保全法の制定を目指している当事者中の当事者である安倍総理は、当然、「公共の安全および秩序の維持」のために「特別秘密」の指定を判断する側に立つ。

 6月9日、安倍総理は渋谷で街頭演説を行った。その時、偶然、同じ場所では「TPP反対」を訴える市民らが該当アピールを行なっていた。市民らは、安倍総理の演説中、「TPP」断固反対を掲げた公約違反を糾弾するシュプレヒコールを上げ続けた。

 市民らの反対の声を受けた安倍総理は、「私たちはあんな民主主義に対する挑戦には、絶対に負けない!」とその場で宣言し、その後、自身のfacebookに「左翼の人達が入って来ていて、マイクと太鼓で憎しみ込めて(笑)がなって一生懸命演説妨害してました」、「彼らは恥ずかしい大人の代表たちでした」と書き込んだ。

 どうやら、市民は、安倍総理にとっての「公共の秩序」を乱したようだ。しかし、実際には、TPP反対のアピールをしていた市民らは、約半年前、衆院選の直前に自民党が掲げていた公約と同様の内容をアピールしていただけにすぎない。権力側の都合で「公共の秩序」を判断する基準はコロコロ変わりうる。秘密保全法が制定されたら、何を基準にして、どんな情報が「特別秘密」に指定されるのか、公正さが確保されるか、きわめて疑わしい。

 果たして政府に、「公共の安全・秩序」とは何か、という価値判断をすべて委ねてしまっていいのだろうか。

 なお、自民党改憲草案でも、「国防軍」や「国民の責務」などの条文で、「公益及び公の秩序」という文言は、たびたび使用されている(当然のように、「表現の自由」もこの文言で制限されている)。また、初回のモンゴリアン・チョップで触れた「国家安全保障基本法」でも、自衛隊の任務について「必要に応じ公共の秩序の維持に当たる」と定めている。

 「公共の安全および秩序の維持」という言葉が、 こうした法案の施工後、どのように我が身に降り掛かってくることになるか、ここで挙げたいくつかの事例をもとに考えていただきたい。


【IWJウィークリー第7号より抜粋】<IWJの視点>原佑介式モンゴリアン・チョップ2

記事公開日:2013.7.28 テキスト

特集 秘密保護法

※IWJウィークリー第7号(2013年6月17日発行)より抜粋

<IWJの視点>原佑介式モンゴリアン・チョップ2
~6月9日(日)

モンゴリアン・チョップは、連発してこそモンゴリアン・チョップである。

 先週の原佑介式モンゴリアン・チョップでは、「日本版NSC構想」と「国家安全保障基本法」を取り上げ、「事実上の憲法改正」が進行しつつあることを指摘した。菅義偉官房長官が、日本版NSC創設法とともに、秋の国会で成立を目指すと明言した「秘密保全法」もまた、「国民の知る権利」などを侵害する「事実上の憲法改正」である。そうした観点から、2発目のチョップとして、今号は秘密保全法にスポットをあてたい。

 秘密保全法案とは、「国の安全」「外交」「公共の安全及び秩序の維持」の3分野の中から、行政機関が「国の存立にとって重要なもの」と判断した情報を「特別秘密」に指定し、特別秘密を漏洩した者、または特別秘密にアクセスを試みた者などを処罰する法案である。

 こうした概要だけを見れば、特に問題点のない法案にも思える。だが、具体的な中身を見てみると、多くの危険性をはらんでいることに気付く。

 まず、特別秘密を扱う者は、事前に「適正評価制度」と呼ばれる身辺調査にかけられる。調査事項は、「人定事項(氏名、生年月日、住所歴、国籍、本籍、親族等)」「我が国の利益を害する活動への関与」、「渡航歴」、「犯罪歴」、「信用状態」、「精神の問題に係る通院歴」などだ。

 「我が国の利益を害する活動への関与」が、具体的に何を指すのかは不明だ。どうとでも受け取れる曖昧な表現であることから、時の政権の意に反する抗議活動(脱原発運動、反TPP運動)への参加や、宗教活動なども含まれる可能性がある。外国との接点がある者が、それだけでスパイとなる可能性を疑われるかもしれない。これだけ国際化が進んでいる時代に、疑えばキリがなく、また、「仮想敵国」の設定も恣意的に進められる可能性がある。

 「人定事項」や「精神病の通院歴」などは、プライバシーの最たるものだろう。国籍は、帰化情報までさかのぼって調査するとされており、出自や病歴による差別が懸念される。

 また、対象者だけでなく、「配偶者のように対象者の身近にあって対象者の行動に影響を与え得る者」についても、同様の調査が行われると規定されている。配偶者だけでなく、恋人、家族などの一般国民にも国の調査が及ぶのだ。すでに先日可決した、国民一人ひとりの様々な個人情報を集約して管理する「共通番号法(マイナンバー法)」を「活用(悪用が正確な表現かもしれないが)」すれば、こうした調査もはかどることだろう。

 最高刑は「10年以下の懲役」と重く、長期3年以上の懲役が見込まれる場合、逮捕令状を待たない「緊急逮捕」も可能となるため、取材中、偶然「特別秘密」に接触したジャーナリストなどが、突如、令状なしに逮捕されるといったことも考えられる。

 秘密保全法の制定に向けた動きの発端は、2010年、「尖閣沖漁船衝突事件」の映像がインターネット上に流出したことだとされている。ビデオの流出を受けた仙谷由人官房長官(当時)は、同年11月8日の衆院予算委員会で、「国家公務員法の守秘義務違反の罰則は軽く、抑止力が十分ではない。秘密保全に関する法制の在り方について早急に検討したい」と述べ、「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」を設置。法案の中身を固めた。

 まるで国家機密が流出したかのような言いぶりだが、そもそもあのビデオは「秘密」に指定されておらず、海上保安庁内では研修資料として広く共有さえされていた。現に、ビデオの流出が国の安全や外交に重大な悪影響を与えた形跡もない。

 あまり知られていないことだが、日本の秘密保全体制は、すでに十分整備されている。・国家公務員法──国家公務員を対象とし、職務上知り得た秘密を漏洩した者などに対し、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金。・自衛隊法──防衛秘密を取り扱うことを業務とする者の漏洩行為に5年以下の懲役。・日米刑事特別法──日米安全保障条約に基づく特別法。米軍の安全を害すべき用途に供する目的、または不当な方法による探知、収集、そして漏洩などに10年以下の懲役(日本は米軍の動向について情報収集できない、した場合は厳罰に処せられるという、実に不平等な法律である)。・日米相互防衛援助協定(MDA協定)──米国から日本に提供された装備品などに関する特別防衛秘密の探知・収集、漏えいなどに10年以下の懲役。

 日本の秘密保全体制は、これらの法で十分で間に合っていることが、秘密保全法有識者会議自身の取りまとめた報告書(官邸HP http://bit.ly/yAkD94 )によっても証明されている。

 報告書の中では、上記の法などに違反する「主要な情報漏えい事件等の概要」として、8件の事件が挙げられているが、起訴されたのはわずか2件だけである。一つは自衛隊法違反で懲役10ヶ月、もう一つはMDA協定違反で懲役2年6ヶ月、執行猶予4年。

 つまり、これまでの情報漏洩事件のほとんどが起訴猶予となっており、起訴されたケースにしても、決して重罪には問われていないのだ。これ以上の厳罰化を求める必要性がどこにあるのか。国民の知る権利、報道の自由、プライバシーなどの、憲法で保障された国民の権利を害してまで秘密保全法を作る根拠がないではないか。

 「尖閣沖漁船衝突事件」は、おそらく口実に過ぎない。本当の理由は、日米安全保障・防衛協力の強化にある、と思われる。問題は、その「強化」なつものの中身である。

 2005年10月に開催された日米安全保障協議委員会で、「日米同盟:未来のための変革と再編※」が公表された。その中では、日米間の安全保障、防衛協力のための必要不可欠な措置として「情報共有及 び情報協力の向上」という項目があり、「共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置をとる」と書かれている。(※外務省HP「日米同盟:未来のための変革と再編」 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/henkaku_saihen.html

 その追加的措置が、 2007年8月に新たに締結された、秘密軍事情報保護の取り決めである「日米軍事情報包括保護協定(GSOMIA)※」だ。GSOMIAの条文中には、たびたび「秘密軍事情報を受領する締約国政府は、自国の国内法令に従って、秘密軍事情報について当該情報を提供する締約国政府により与えられている保護と実質的に同等の保護を与えるために適当な措置をとること」という文言が登場する。

 (※外務省HP「秘密軍事情報の保護のための秘密保持の措置に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/kyotei_0708.html

 「米国と実質的に同等の保護を与えるための適当な措置」こそが、秘密保全法の制定なのだ。

 「情報共有をする上で、米軍情報が日本側から漏れては困るから、相応の法整備を」──。一見もっともらしいこうした米国の要求に応じるためには、憲法すら犯しても構わないというのが、自民党政権、民主党政権ともに共通する日本のスタンスなのである。

 それどころか自民党・安倍政権は、改憲草案の第9条の2項で、「国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める」と明記し、集団的自衛権の行使を可能とする「国家安全保障基本法案」の第3条で、「国は、我が国の平和と安全を確保する上で必要な秘密が適切に保護されるよう、法律上・制度上必要な措置を講ずる」と規定しているように、日本の戦争参加に向け、積極的に秘密保全法を活用していく方針を明確にしている。

 秘密保全法案が浮上した経緯からもわかるように、米国主導による、一部の官僚らの恣意的な情報統制が懸念される。

 特別秘密を扱う者は政府内部でも限られており、かつ、その情報が特別秘密として指定されるに足るかどうか、正当かどうかをチェックする機関の設立も想定されていない。不当な拡大解釈によって、本来、秘密に指定される必要のない情報まで隠蔽される恐れがある。

 国民投票を経ることなく「事実上の憲法改正」に着手する安倍政権は、民主主義、立憲主義を軽んずるあまり、「国民の知る権利」まで米国に売り渡してしまうのだろうか。


復興景気に沸く仙台国分町アーケードでも、女川原発再稼働反対を高らかにアピール! ~No Nukes day in Sendai ~みやぎ脱原発カーデビュー記念&みやぎ日曜デモ 2013.7.28

記事公開日:2013.7.28取材地: テキスト動画

 デモ行進の先頭には、この日お披露目された、みやぎ脱原発カー。みやぎ日曜デモは「女川原発再稼働反対!」「大飯原発ただちに止めろ!」「 六ヶ所核燃再処理中止!」のシュプレヒコールで溢れた。

 2013年7月28日(日)11時より、仙台市匂当台公園野外音楽堂で「No Nukes day in Sendai ~みやぎ脱原発カーデビュー記念」が行われた。イベントのあと、15時からは、第49回脱原発みやぎ日曜デモが行われた。前半は、脱原発を訴える有志による、歌、コンテンポラリーダンス、ギター弾き語りなどが披露された。この日は仙台市長選挙の告示日でもあり、角野達也候補者も駆けつけて、「市長選の争点は、脱原発だ」と訴えた。


「有識者会合で議論したい」-規制委調査団、建屋南側の新たなトレンチを入念に調査 〜大飯発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合による現地調査(第3回2日目) 2013.7.28

記事公開日:2013.7.28取材地: テキスト動画

 大飯原発敷地内を南北にのびるF-6破砕帯が、活断層であるか否かが調査の争点だ。F-6破砕帯が活断層であると判断されれば、大飯原発3・4号機は停止せざるを得ない。

 27日から28日の2日間にわたり、原子力規制委員会の有識者らが、福井県おおい町の大飯原子力発電所で現地調査を行なった。調査に参加したのは、島﨑邦彦氏(原子力規制委員会 委員長代理)
、渡辺満久氏(東洋大学 社会学部教授)、廣内大助氏(信州大学 教育学部准教授)
の三人。岡田篤正氏(立命館大学グローバル・イノベーション研究機構(歴史都市防災研究センター)教授)と重松紀生氏(産業技術総合研究所 活断層地震研究センター 地震素過程研究チーム 主任研究員)は、予定が合わなかったため、後日調査へ出向く予定だ。


貴重な「鵜殿ヨシ原」の環境破壊を食い止める ~新名神建設工事の影響を考える緊急フォーラム@上牧本澄寺 2013.7.27

記事公開日:2013.7.27取材地: テキスト動画

 2013年7月27日(土)14時より、大阪府高槻市上牧の本澄寺で「新名神建設工事の影響を考える緊急フォーラム」が行われた。新名神高速道路の、京都府八幡市から大阪府高槻市まで約10キロメートルのルートが、鵜殿のヨシ原の上を通る形で計画されており、宮内庁で楽器に使われる質の高いヨシが消滅する可能性や、生態系への影響が指摘されている。この日は、大阪大学の深尾葉子教授が司会を務め、地元住民、雅楽の関係者をはじめ、地域経済、環境保全、歴史・文化などに関心をもつ人々が集まった。


「有識者会合で議論したい」-規制委調査団、建屋南側の新たなトレンチを入念に調査 〜大飯発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合による現地調査(第3回1日目) 2013.7.27

記事公開日:2013.7.27取材地: テキスト動画

 大飯原発敷地内を南北にのびるF-6破砕帯が、活断層であるか否かが調査の争点だ。F-6破砕帯が活断層であると判断されれば、大飯原発3・4号機は停止せざるを得ない。

 27日から28日の2日間にわたり、原子力規制委員会の有識者らが、福井県おおい町の大飯原子力発電所で現地調査を行なった。調査に参加したのは、島﨑邦彦氏(原子力規制委員会 委員長代理)
、渡辺満久氏(東洋大学 社会学部教授)、廣内大助氏(信州大学 教育学部准教授)
の三人。岡田篤正氏(立命館大学グローバル・イノベーション研究機構(歴史都市防災研究センター)教授)と重松紀生氏(産業技術総合研究所 活断層地震研究センター 地震素過程研究チーム 主任研究員)は、予定が合わなかったため、後日調査へ出向く予定だ。


東京電力 記者会見 2013.7.26

記事公開日:2013.7.26取材地: テキスト動画

 定例会見に応じた東電の今泉氏は、汚染水漏洩の発表が遅れたことに対して「データをきちんとまとめることに固執していたために報告が遅れた。反省している」と謝罪。


「岩をめぐる中国との撃ち合いに巻き込まないでくれ!」がアメリカの本音 ~政策シンポジウム「改憲と国防」 2013.7.26

記事公開日:2013.7.26取材地: テキスト動画

特集 憲法改正

 「安倍政権の新憲法草案は、アジアの平和を乱し、日米同盟の基本的価値観に矛盾する」。

 元防衛官僚の柳澤協二氏は「この改憲議論には、国家的メッセージがない。なんのための改憲かわからない」と指摘した。2013年7月26日(金)18時30分より、沖縄県那覇市の市町村自治会館にて、政策シンポジウム「改憲と国防」が開催された。6月に刊行された『改憲と国防』(旬報社)の共著者3人が、集団的自衛権の危険性、安倍政権が成立を狙う「国家安全保障基本法」の実態、尖閣諸島をめぐる、日本、アメリカ、中国の思惑など、この国の安全保障の現状と課題を、それぞれの視点から語り合った。