「すれ違いに終わった」柏崎刈羽原発の再稼働に向けた安全審査申請をめぐり、甘利経済再生相と泉田新潟県知事が会談 ~甘利明経済再生担当兼TPP担当大臣 定例会見 2013.7.30

記事公開日:2013.7.30取材地: テキスト動画
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(IWJ・佐々木隼也)

 甘利明経済再生担当大臣は7月30日、朝早く内閣府大臣室で泉田裕彦新潟県知事と会談し、東京電力が柏崎刈羽6、7号機の安全審査申請をすることについて理解を求めた。甘利大臣は「非常に厳しい安全審査なので、安全性を高めるためにも受けるべき。原子力規制委員会による安全審査と、その後の再稼働判断は別物」などと理解を求めたのに対し、早期の申請に反対する泉田知事は「安全審査ではなく性能審査になっており、不備がいくつもある」と反論。会談後に行われたぶら下がりでは、両者とも「すれ違いに終わった」と報道陣に語った。

 泉田知事は7月5日、新潟県庁で東京電力の廣瀬直己社長と面会し、「安全審査を申請する際には、地元の事前了承が必須」とする新潟県と東京電力との安全協定に反して、早期の申請を進める意向を示した廣瀬社長に対し、「東京電力は約束を破る会社なのですね」などと強い不快感を示していた。

 甘利大臣はこの泉田知事と東電の対立を受けて、7月9日の定例会見で「規制委員会に『安全かどうか』チェックさせないのは、(泉田知事に)誤解があるのではないか」と発言。これに対し、泉田知事は「『規制基準に合致するかだけを判断するのが規制委員会』という言い方なら正しいと思うが、もし『安全性』ということになると、少し認識がどうかなということかと思う。何を懸念しているかを含めて甘利大臣にはご説明したい」として、会談を申し入れた。

 会談で泉田知事は「住民が被曝しないようにするのが重要」とし、現在工事が進んでいるフィルター付きベント設備の設計上の問題点や、規制基準は事故時の収束体制が不十分であることなど、懸念事項を伝えた。

 これに対し甘利大臣は、「安全審査を受ければ原発の安全性は現状より高くなる。審査と再稼働の判断は別物。足りない部分は後からでも指摘すれば良い」と、東電の早期の申請に理解を求めた。会談は両者すれ違いのまま進み、時間切れで終了となった。

 13時からの閣議後定例記者会見で甘利大臣は、閣議前に茂木敏充経済産業に「泉田知事のご懸念はこういうことでしたよ」と会談内容を伝えたことを明かした。

 甘利大臣は泉田知事との会談を振り返り、「『世界一厳しい安全基準』と言われているのだから、審査をやらないよりはやった方が良い、と話をしたが、泉田知事は『あれは安全基準ではなく性能基準』と語った。私はそうは思いませんが。(新基準には)津波に対してどうするか、とか新しい項目が加えられてますから」と語り、「すれ違いはありますよ」と茂木大臣に伝えたという。

■甘利大臣閣議後記者会見 ※泉田知事との会談に関する質問は5分10秒~

  • 日時 2013年7月30日(月)
  • 場所 内閣府(東京都千代田区)

 会見では他に、2014年4月に予定している消費税増税の最終判断に向け、近く安倍晋三首相を議長とする経済財政諮問会議の下に、増税の影響や経済対策について検証するため、有識者に話を聴いていく意向を示した。現在安倍総理は増税についての最終判断を先送りしている。総理は今後、有識者らの意見をふまえ、甘利大臣の報告をもとに、最終的な判断を下していくとみられている。

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