甘利明経済再生担当大臣は7月30日、朝早く内閣府大臣室で泉田裕彦新潟県知事と会談し、東京電力が柏崎刈羽6、7号機の安全審査申請をすることについて理解を求めた。甘利大臣は「非常に厳しい安全審査なので、安全性を高めるためにも受けるべき。原子力規制委員会による安全審査と、その後の再稼働判断は別物」などと理解を求めたのに対し、早期の申請に反対する泉田知事は「安全審査ではなく性能審査になっており、不備がいくつもある」と反論。会談後に行われたぶら下がりでは、両者とも「すれ違いに終わった」と報道陣に語った。
泉田知事は7月5日、新潟県庁で東京電力の廣瀬直己社長と面会し、「安全審査を申請する際には、地元の事前了承が必須」とする新潟県と東京電力との安全協定に反して、早期の申請を進める意向を示した廣瀬社長に対し、「東京電力は約束を破る会社なのですね」などと強い不快感を示していた。
甘利大臣はこの泉田知事と東電の対立を受けて、7月9日の定例会見で「規制委員会に『安全かどうか』チェックさせないのは、(泉田知事に)誤解があるのではないか」と発言。これに対し、泉田知事は「『規制基準に合致するかだけを判断するのが規制委員会』という言い方なら正しいと思うが、もし『安全性』ということになると、少し認識がどうかなということかと思う。何を懸念しているかを含めて甘利大臣にはご説明したい」として、会談を申し入れた。
会談で泉田知事は「住民が被曝しないようにするのが重要」とし、現在工事が進んでいるフィルター付きベント設備の設計上の問題点や、規制基準は事故時の収束体制が不十分であることなど、懸念事項を伝えた。
これに対し甘利大臣は、「安全審査を受ければ原発の安全性は現状より高くなる。審査と再稼働の判断は別物。足りない部分は後からでも指摘すれば良い」と、東電の早期の申請に理解を求めた。会談は両者すれ違いのまま進み、時間切れで終了となった。
13時からの閣議後定例記者会見で甘利大臣は、閣議前に茂木敏充経済産業に「泉田知事のご懸念はこういうことでしたよ」と会談内容を伝えたことを明かした。
甘利大臣は泉田知事との会談を振り返り、「『世界一厳しい安全基準』と言われているのだから、審査をやらないよりはやった方が良い、と話をしたが、泉田知事は『あれは安全基準ではなく性能基準』と語った。私はそうは思いませんが。(新基準には)津波に対してどうするか、とか新しい項目が加えられてますから」と語り、「すれ違いはありますよ」と茂木大臣に伝えたという。