【第635号-第636号】岩上安身のIWJ特報!「クリミア半島が奪われることになれば100%と言っていいぐらい戦術核を使う可能性が高まる! これは確実です!」岩上安身によるロシア・ウクライナ研究の第一人者である評論家 元日本経済新聞記者・元朝日新聞モスクワ特派員・元高知大学大学院准教授・塩原俊彦氏インタビュー(その1) 2024.4.1

記事公開日:2024.4.1 テキスト独自
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(文・IWJ編集部)

特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!
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 2024年2月24日、大手から独立系まで、各メディアには「ロシアのウクライナ侵攻から2年」の記事が並んだ。増え続ける犠牲者への追悼や、疲弊したウクライナの人々に焦点を当てたものが多く、「終わりの見えない戦い」「出口のない戦争」といった表現が使われている。

 ウクライナ政府は自軍の戦死者数を公表していないが、米メディアによると、米政府は2023年8月時点で、約7万人が戦死したと推計している。ウクライナの死者は同年4月時点で1万7500人だったが、6月からの「反転攻勢」によって一気に跳ね上がった。特に、入隊したばかりの若い兵士に多くの犠牲が出ているという。

・ウクライナの戦死者が大幅増 東部の死体安置所をBBCが取材(BBC NEWS JAPAN、2023年8月30日)
【URL】https://bit.ly/3TggrtO

 ロシア国防省は、2022年2月24日にウクライナ紛争が始まってから、2023年12月までに、ウクライナ軍の死傷者は38万3000人以上、さらに2024年1月に2万3000人以上が死傷したと報告している。

・【第3弾! ウクライナは1月に2万3000人以上の兵力を失った! 2022年2月の紛争開始から2023年12月までのウクライナ軍の死傷者は38万3000人以上! 現時点ですでに40万6000人以上が死傷していることに!】西側各国から投入された最新兵器も大量に破壊され、ウクライナの「反転攻勢」は完全に失敗に終わった!(『RT』、2024年2月2日)(日刊IWJガイド、2024年2月9日)
会員版 https://bit.ly/48yGEse
非会員版 https://bit.ly/49PVQCf

 バイデン米大統領は、ウクライナ侵攻2年にあわせて、ロシアに対する最大規模の追加制裁を、新たに発表した。

・バイデン政権 ロシアなどの500超の団体個人へ新たな制裁を発表(NHK、2024年2月24日)
【URL】https://bit.ly/49T1wLS

 米国のウクライナへの軍事支援は、440億ドル(約6兆6000億円)に上り、他国を大きく引き離してトップだが、戦争の長期化による「支援疲れ」と、11月に控えた米大統領選挙を巡る駆け引きで、野党・共和党の一部が支援継続に反対している。ウクライナ支援を含む緊急補正予算案は、共和党主導の下院では、可決の見通しは立たない。

・NATO国防相会合でストルテンベルグ事務総長は100万機のドローンの提供を約束! 有志国連合ならぬ無人機連合! しかし米・バイデン政権は、600億ドルのウクライナ支援法案を議会に反対され、オースティン米国防長官はNATO国防相会合とミュンヘン安全保障会議を病欠! 次期米大統領とも目されるトランプ前大統領は「金を出さないNATO諸国はロシアから守らない」と発言! 欧州と米国の間にも亀裂! しかもミュンヘン安保会議の真っ最中に、アウディーイウカ陥落が報じられ、ゼレンスキー大統領は「敗退の原因は武器不足」だと、西側諸国に責任転嫁して非難!(日刊IWJガイド、2024年2月21日)
会員版 【URL】https://bit.ly/49QDqkS
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▲塩原俊彦氏(IWJ撮影、2024年1月22日)

 戦争が長期化するほど犠牲者と軍事支援費が増えていくことは、最初からわかっていたはずだが、「実は、アメリカが和平の動きを潰したんです」と評論家の塩原俊彦氏は指摘する。

 元新聞記者で、モスクワ特派員を務めた経験を持つ塩原氏は、ロシア・ウクライナ研究の第一人者であり、『知られざる地政学~覇権国アメリカの秘密』(社会評論社、2023年)、『ウクライナ戦争をどうみるか~「情報リテラシー」の視点から読み解くロシア・ウクライナの実態』(花伝社、2023年)といった近著のほか、『プーチン3.0 殺戮と破壊への衝動~ウクライナ戦争はなぜ勃発したか』、『ウクライナ3.0 米国・NATOの代理戦争の裏側』、『復讐としてのウクライナ戦争~戦争の政治哲学:それぞれの正義と復讐・報復・制裁』(いずれも社会評論社、2022年)や、日本語、英語、ロシア語の論文、および多数の著書がある。

 2024年1月22日、東京都内のIWJ事務所で行われた岩上安身による録画インタビューの中で、塩原氏は、「ロシアによるウクライナ侵攻から数日の初期戦の段階で、ロシアは完全に負けていた」と言う。

 「この段階で戦争をやめてしまえば、今のような(ウクライナにとって)悲惨な状況を避けられたのだが、ブチャの問題が出てきた(ロシア軍の仕業とされる虐殺が報じられた)ことによって、せっかく生まれた、『ウクライナが勝ち、ロシアが負けた状況の中で進もうとしていた和平協議』というのが、潰れた」と説明した。

 2022年2月28日にベラルーシで、3月末にイスタンブールで行われた和平協議がまとまりかけたものが、4月3日にブチャの虐殺報道があり、「そんな残虐なロシアとの交渉なんかできない!」という空気になって、戦いにのめり込んでいった、という構図である。

 さらに塩原氏は、和平が進まなかった「2度目」の例として、2022年11月に、米軍のトップに立つマーク・ミリー統合参謀本部議長が、和平協議の機が熟したことを示唆したにもかかわらず、バイデン米大統領がそれを無視したことを指摘し、次のように続けた。

▲マーク・ミリー統合参謀本部議長(米陸軍公式サイトより)

 「これは2022年の話ですから、去年の6月4日以降の、いわゆる『反攻(反転攻勢)』作戦に期待をかけて、あくまで戦争を続けるという判断をし、米軍で一番偉いミリーさんがここまで言ったのに、これを無視したわけですね。これもまさに、バイデンが和平への道を閉ざしたという証拠になるわけです」。

 そして、「ウクライナ支援は、アメリカ国内投資だ」とバイデン大統領自身が発言していることを例示して、米国、そしてウクライナの「戦争をやめられない事情」について、解説していった。

・現在のウクライナ戦争も2014年のウクライナ危機も、核心は第2次大戦後のヤルタ会談での米ソによる領土決定だった!~12.2 平和のための学習会 塩原俊彦さんが語る「ウクライナ戦争をどうみるか」 2023.12.2
【URL】https://bit.ly/3Ik0Ov6

・ロシア弱体化と孤立化は米国の大誤算!「米国の覇権は外部要因ではなく『自壊』によって崩壊する!」~岩上安身によるインタビュー第1130回 ゲスト 桃山学院大学法学部教授・松村昌廣氏 2023.8.20
【URL】https://bit.ly/3Iif7jP

・「第二次世界大戦後から覇権争いと軍産複合体により作られた戦争がほとんどだ。この構造を変えない限り平和は訪れない」~7.22 2023年(第43回)平和のための京都の戦争展「ウクライナ戦争と台湾有事」―登壇:孫崎享氏(外交評論家、元外務省国際情報局長) 2023.7.22
【URL】https://bit.ly/3IgeW8M

記事目次

2022年2月のウクライナ侵攻直後、実はロシアは負けていた!「あの時、戦争をやめていれば今の悲惨な状況は避けられたのに、バイデンが和平の芽を摘んだ」

▲まもなくロシアによるウクライナ侵攻から丸2年!「ウクライナ戦争長期化の理由」とは!?

岩上安身(以下、岩上)「ジャーナリストの岩上安身です。

 まもなく、2月でロシアによるウクライナ侵攻から丸2年ということになります。本日は、『ウクライナ戦争長期化の理由とは』と題しまして、評論家であり、元日経新聞、そして、朝日新聞記者を歴任されて、高知大学の大学院准教授もおやりになりました、塩原俊彦さんをお招きして、お話をうかがってまいりたいと思います。

 塩原先生、はじめまして。よろしくお願いします。

 塩原先生は、(デスクに並べた書籍を指して)これは、本当にごく一部なんですよ、とにかく、たくさんお書きになっているご著書があります。

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