【第558-560号】岩上安身のIWJ特報!ウクライナ東部独立は悪? 東の「台湾有事」危機と西の「ウクライナ有事」危機が同時に迫る!(第4回・前編)岩上安身による元外務省国際情報局長 孫崎享氏インタビュー 2022.7.1

記事公開日:2022.6.30 テキスト独自
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(IWJ編集部)

 2022年2月24日、ついにロシアは、ウクライナに侵攻した。「ロシアがウクライナを攻撃するぞ!」と、1月から騒ぎ立ててきた米国のバイデン大統領の「未来予想」が現実となった瞬間だった。

 侵攻に先立つ2日前の2月21日、プーチン大統領はウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認している。ロシア語話者が多く住むこの地域の安全確保のために、ロシアは一定数の部隊を出すだろうと思われていた。

 しかし、ロシア軍はウクライナの首都キエフ、第2の都市ハリコフ、南部の諸都市など、ウクライナ全土に侵攻を開始。これに全世界が驚愕し、プーチン大統領への反発と非難が湧き上がった。

 また、プーチン大統領は2月28日、核戦力を含むロシア軍の戦力を特別態勢にするよう、ショイグ国防相、軍参謀総長に指示している。この「指示」はプーチン大統領が核兵器使用の脅しをかけたとして受けとめられ、「プーチン=巨悪」という西側のプロパガンダに拍車をかけた。

▲元外務省国際情報局長・孫崎享氏(IWJ撮影、2022年3月3日)

 ロシアによるウクライナ侵攻から1週間が経った3月3日、東京都内のIWJ事務所で、岩上安身は元外務省国際情報局長の孫崎享氏に4回目となるインタビューを行った。

 孫崎氏と岩上安身は、今回の侵攻で、核保有国同士は核を使用しないという相互確証破壊戦略(MAD)が崩れつつあることを懸念し、「これまでは、相互確証破壊戦略によって、核保有国同士が睨み合いをしても、『これ以上はやらない』という絶対のラインがあった。しかし、(そのMADという絶対のラインが崩れつつあり)これからは人類史上初めて、相互に核兵器を使用する世界になるのかもしれない」と危機感をあらわにした。

 孫崎氏は、「米ロの対決の中で、ウクライナが駒として使われた」と指摘する。そして、ゼレンスキー大統領が「横暴な大国に蹂躙されても逃げずに戦うヒーロー」のような存在になったことを、このように解説した。

 「非常にうまかったなぁ、と思う。われわれは、コメディアン出身の大統領が戦略的にすごい事をしてくるとは思わない。ところが、後ろにしっかり(米国が)いるわけだよね」

 その米国は、ウクライナと合同軍事演習をやってきたにもかかわらず、いざ、ロシアが攻めてきたら派兵はせずに、自国製の兵器をどんどん供与するだけだ。この図式を東アジアにあてはめれば、もし、台湾有事などの米中対決になれば、米国は背後にひいて、日本が駒として使われることは想像に難くない。

 孫崎氏は、「ウクライナの運命と、日本の運命は、決して別物ではない」と警鐘を鳴らした。

記事目次

  • 相互確証破壊戦略にほころび!? 人類史上初めて「核ミサイルを相互に撃ち合う時代」が到来してしまうのか?
  • 反トランプの期待を集めたバイデン大統領と軍産複合体との結びつき! 米国の歴代政権の中でも「より戦争する大統領」に!
  • 核配備へのハードルが急激に低下したタイミングで、わざわざ「核共有」を言い出して日本を危険にさらす安倍元総理!
  • 米ロ対決の狭間で丸め込まれ「駒」として使われたウクライナ! 次の「駒」になるのは日本では!?
  • 「2日で陥落」と思われたウクライナが抵抗!「ゲリラ戦の象徴」スティンガーミサイルを欧米が提供し、戦いは長期化へ!
  • 傭兵募集禁止条約を批准しているはずのウクライナが「義勇兵募集」の条約違反! もし、日本人が応じたら私戦予備罪に!
  • ロシアとの停戦交渉の矢先、欧州委員長が「ウクライナは我々の一員」とEU加入の誘い水!「ウクライナは踊らされている」

相互確証破壊戦略にほころび!? 人類史上初めて「核ミサイルを相互に撃ち合う時代」が到来してしまうのか?

岩上安身(以下、岩上)「皆さん、こんばんは。ジャーナリストの岩上安身です。

 本日は元外務省国際情報局長、孫崎享先生をお呼びいたしまして、通しタイトルは、ずっと変わらず続いてるんですが、『ウクライナ東部独立は悪? 東の「台湾有事」危機と西の「ウクライナ有事」危機が同時に迫る!』。これ、3回目で、前回、やった時に孫崎さんが、ひと通り話はついたから、もうしばらく、これ、いいだろうと、いう風におっしゃって」

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