ロシア軍侵攻で世界に衝撃!東の『台湾有事』危機と西の『ウクライナ有事』危機が同時に迫る!(第4回)~岩上安身によるインタビュー 第1069回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏 2022.3.3

記事公開日:2022.3.6取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)

 3月3日木曜日、午後6時30分頃から「ウクライナ東部独立は悪? 東の『台湾有事』危機と西の『ウクライナ有事』危機が同時に迫る!(第4回)まさかのウクライナ全土にロシア軍侵攻で世界に衝撃! 世界は制裁へ! 核兵器の配備や使用の声が東西から! 核戦争までエスカレートさせるな! 岩上安身による元外務省国際情報局長 孫崎享氏インタビュー」を生中継で配信した。

 2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻から、昨日3月3日で1週間が経った。当初、侵攻があるとしても、ウクライナ東部のロシア系住民が多く住むドネツク州、ルガンスク州の2州だろう、というのが大方の見方であった。

 ウクライナからの独立を2014年に宣言して、ウクライナ共和国軍と戦ってきたこの2つの州の独立を現地時間21日にロシアが承認したため、この二州の安全を確保するために一定数の部隊は出すのではないか、と見られていたからである。

 ところが、ふたを開けてみたら、ロシア軍はウクライナの首都キエフ、北東部で第二の都市ハリコフ、南部オデッサなどウクライナ全土に侵攻を開始し、全世界を驚かせ、同時に反発と非難を招いた。

 また、プーチン大統領は2月28日に、核戦力を含むロシア軍の戦力を特別態勢にするよう、ショイグ国防相、軍参謀総長に指示しており、かつてない程に核戦争の脅威が高まっている。

 インタビューの冒頭、孫崎氏と岩上安身は、ロシアによるウクライナ侵攻でこれまでの核保有国同士は核を使用しないという、相互確証破壊戦略(MAD)が崩れつつあることを指摘した。

岩上「先生は、相互確証破壊戦略(MAD)があるから大国間の間で、これ以上はやらない、という絶対のラインがある、核が開発されて以降、日本にこそ2発落としましたけど、その後、一回も使われてないわけですね。核保有国同士が睨み合いをして、お互いに使わないことによって、小国で代理戦争みたいなのはありましたけど、ずっとやらない歴史が(第二次世界大戦終了後)70数年続いて来たわけですよね。

 しかし、戦術核とか中距離核ミサイルとか、こういう物を必至に配備しようとし、さらには使用してしまうかもしれない(という瀬戸際にきている)。今、そこが問われているんですね。

 先生は70年以上、私は60年以上世界を見てきたわけですけども、人類史として初めて核を使用してしまう、相互に使用してしまう世界に入ってしまうのかもしれない、ということを自覚しながら、続きをお伝えしていきたいと思っています」

孫崎「岩上さんとお話した時に、アリソンを出しましたよね。彼は歴史の転換点であることを示したわけですよね。冷戦というものがあった。冷戦が終わったあとアメリカ一極支配になったと、誰もがみんな、『アメリカの言うことを聞きます』と、こういう時代になった。

 ところが、中国の経済的台頭と、ロシアはアメリカに支配されているのは嫌だということを言い始めて、新しい時代に入りつつある。

 しかし、新しい時代に入りつつあるものに対して、アメリカはまだ『ブループリント』ができてないと、これがアリソン論文なんですね。

 ところが、『ブループリント』はあったようだと。そのブループリントの一番大きいことは、1950年くらいから米ソの間で核の戦争はしないと、いうことを決めてたわけですね。

岩上「相互確証破壊戦略、MADですね」

孫崎氏「それまでの私の理解は、一時期は相互確証破壊戦略があるから、それを守るために小さい紛争は米露の間でやらないようにしましょうと、これが冷戦時代だったんですね。

 ところが、ある時期から、核戦争ができないならば地域紛争やっていいじゃないかと。どんなことやったって、大陸間弾道弾を使うところまでエスカレートしないから、それなら取れるだけ取ろうと言うのがアメリカ(新たなやり方)だったんですね。そういう時代があって、今なんですね。

 ここが、ウクライナ問題の一番重要なところなんですね。NATOにウクライナを入れることによって、そこに中距離弾道ミサイル、短距離弾道ミサイル、クルーズミサイルを配備するわけですよね。今までは、大陸間弾道弾は相互に打てないよ、というのはあったわけですよね。ところが(違うところから)全然別のものが出てきたわけですよ。

 アメリカに対しては、中距離弾道ミサイル、短距離弾道ミサイル、クルーズミサイルを使えないですけど、ロシアに対しては使える。ということになると、これだけでアメリカ側は、いつでもロシアに戦争を仕掛けられると。自分たちは核の分野で優位を取れるんだってところに、入ってきたってことですね」

 また、孫崎氏は米国がこれまでウクライナと合同軍事演習をやってきたにも関わらず、いざロシアが攻め込んできたら、米国は自ら派兵しなかったことを上げて、日本の日米同盟も信用ならないと解説した。

岩上「『2020年7月20日から黒海で、ウクライナ海軍、米海軍らの共同訓練「シーブリーズ」が実施された。オデッサを拠点に、8カ国から20隻の艦艇、19機の航空機、2千名以上の将兵が参加。「問おう。演習は何の意味があったのだと」』と、孫崎さん書いてらっしゃいますが、どういう意味ですか」

孫崎氏「要するに、ロシアとの緊張が高まったらこれが動くから演習をやっているわけですよね。だけど、今回はまったく動かなかったわけですよ。20隻の船で2千名が入ったんですよ。そうしたら少なくとも黒海に並べばいいんですよ」

岩上「今、沿岸沿いを潰していってますからね。オデッサをとられたらもう終わりですよね」

孫崎氏「並べれば、(ロシア側にとって)下手すればアメリカとやらないといけないかもしれないから、ちょっとやめようとか、いろんなことがあるのに、まったく出ない。ついこないだこういう訓練やっていて、いざ必要だとなったら何もやらないんですから」

岩上「だから、日米同盟を信用している人ってどういうこと、って感じですね」

孫崎氏「だから、今回起こったのに対して普通の頭を持っていれば、『アメリカは助けに来ないのではないか』と思うわけですよ」

 この後も、孫崎氏と岩上安身は、以下の項目で大手メディアでは得ることのできない情報をお届けした。

1.「ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始」
2.「和平への道は遠い!? ゼレンスキー大統領がEU加盟を申請」
3.「西側では誰も『直視』しないドンバス地方の惨状!!ロシア・ウクライナ間に横たわる諸問題」
4.「実は、米欧に利用されただけ…? ウクライナの誤算」
5.「NATO―ウクライナ関係史」
6.「コメディアンから大統領へ『ゼレンスキー』とは何者なのか」
7.「イスラエル・ロビーを上回る『ウクライナ・ロビー』が米国で猛烈な活動を展開!」
8.「ロイター/イプソスによる 最新米世論調査」
9.「バイデン大統領『選択肢は2つだ。第3次世界大戦を起こすか。または、国際法に反した国に、その代償を支払わせるか』」
10.「欧米諸国によるロシアへの経済制裁」
11.「欧州の戦後最大の変貌か!? 欧州はエネルギー資源でもロシアと切断を決心」
12.「黒海の通行権を握るトルコ『ロシアによる侵攻を戦争と認識する』『すべての国に対して軍艦の海峡通過を認めない』」
13.「注目が集まる中国の反応『米国が火に油を注ぎながら、他の人を非難するのは無責任で不道徳』『制裁は決して問題を解決するための根本的かつ効果的な手段ではない』」
14.「ウクライナにいる 6000人の中国人が出国開始」
15.「戦況がエスカレートしてゆくとともに、核使用の現実性が高まり始めている!!」

 これまでのウクライナ危機の経緯について、岩上安身は今年に入り孫崎氏に3回の連続インタビューを行っている。詳細は下記のURLから御覧ください。

■【ピックアップ】相互確証破壊戦略(MAD)は大国間での核戦争を抑止していたはずが、「核使えないなら通常兵器の戦争はできる」という解釈に変わってしまった

■【ピックアップ】ゼレンスキー大統領の正体

■ハイライト

  • 日時 2022年3月3日(木)18:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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