ウクライナ東部独立は悪? 東の「台湾有事」危機と西の「ウクライナ有事」危機が同時に迫る!(第3回)~岩上安身によるインタビュー 第1068回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏 2022.2.18

記事公開日:2022.2.20取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)

特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!
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 2月18日月曜日、午後6時頃から、「東の『台湾有事』危機と西の『ウクライナ有事』危機が同時に迫る!」の連続インタビュー第3回となる、岩上安身による元外務省国際情報局長 孫崎享氏インタビューを生中継した。

 米国政府と米メディアは、現地時間、「16日午前3時にロシアがウクライナに侵攻する」と、世界に大々的に「予告」をしていたが、実際にロシアの侵攻はなかった。

 しかし、バイデン大統領は、自らの国がばら撒いた、その虚報について、何の説明も訂正もしていない。していないどころか、舌の根も乾かぬうちから、今度は北京五輪とミュンヘン安全保障会議が終わる2月20日以降が危険だ、侵攻は数日以内だとさらに煽りをかけている。

 当事国であるウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの侵攻はない」と、常々明言をしていた(ほとんどの日本のマスメディアはゼレンスキー大統領の発言を報じません)ことを考えると、米国の強引さが際立つ。

 第3回となる今回は、昨年の年末からNATO、ウクライナとロシアとの間で高まっている緊張関係について、米国が過剰なまでに戦争を煽る理由、世界から焦点が当たっている、ウクライナのロシア系住民が多いルガンスク州とドネツク州の東部2州について、EU、米国、ロシアの国際関係について、引き続き元外務省元国際情報局長 孫崎享氏に、岩上安身がインタビューを行った。

 インタビューの冒頭、孫崎氏は、現地時間2月17日午前0時から19時までの間にドンバス地域であった、重火器やミサイル弾などの攻撃について、次のように述べた。

孫崎氏「(攻撃の)映像が出ているんですよ。映像が出ているということは、どっち側から着弾しているか分かるわけだから、そういう意味で、ミンスク合意では、そこに関してウクライナ側からこちら側(ドンバス地域)に打ったということだと思います」

 さらに、岩上安身とのやり取りで、孫崎氏は、17日に岸田総理が会見で、「ウクライナの領土一体性と、力による現状変更は認められない」と表明したことについて、日本政府の見解を次のように批判した。

岩上「岸田総理の言葉、ちゃんと聞くと、一つ異常におかしいと思われるところが出てきます。(中略)岸田総理、『私から(ウクライナの)主権と領土一体性への支持を表明し、力による現状変更は、認められない旨、述べるとともに、ウクライナに対し、少なくとも100億ドル規模の支援を表明し、各首脳との間で緊張緩和に向けた外交努力を粘り強く続けていくことで一致をいたしました』と、発言しました。

 それを受けて私、今日(18日)の日刊ガイドに書きました。そのまま読み上げます。

 『北京政府は、台湾を含めた「領土一体性」を主張しており、台湾の「分離独立」を認めていません。世界も、中国の国際社会の復帰とともに、「ひとつの中国」を支持してきました。米国・日本政府もそうです。今さら、台湾の分離独立を支援する、と言い出すことは、これまで自分たちが言ってきた「ひとつの中国」という言葉も、「領土一体性」の原則をも裏切ることになります』

 まさに今、ルガンスクとドネツクの領土を分離独立というのは、認めないと、住民自治はダメだ、と言っているわけですけども。また、『ウクライナ政府が、国内のロシア系住民に対して行っている暴力的な文化的浄化を是とするならば、中国政府が、チベット人やウイグル人に対して、中国語を強要し、同化政策を進めていることに対しても非難することができなくなります。岸田総理の言葉は、はからずも「中国支援」を表明したようなものなのです』自縄自縛ですよね」

孫崎氏「今、ものすごく重要なことを言っているんですよ。要するに、矛盾をしているんですけど、矛盾を統一しようとは(日本政府は)思わないんです」

岩上「矛盾のままいくんですね。このまま外交やるんですね」

孫崎氏「台湾は、分離独立していい。(岸田総理は)言っているわけですよね。(一方でウクライナに対しては)領土を分割してはいけないと。領土の分割をするようなことはいけない、と言ったら、台湾の分離独立はできないんですよ。原則として、領土の一体性を言ったならば、中国の言うように分離独立してはいけないんです。

 だけど、(岸田総理は)矛盾しているということを分からなくなっている。自分でものを考えていませんから。自分でものを考えている人だったら、もし『領土一体性』を支持したら、我々が台湾を支持するというのができなくなるんじゃないの、と思うんですけど、自分で考えていませんから、180度違うことをしていても、おかしいと思わないんですよ。

 同じようなことですよね。ウクライナの問題で、東部の人たちは、ロシア人が多いわけですから、ウクライナに強圧されるのは、嫌だということで、分離独立をしようとしています。

 それに対して、ウクライナがそんなことさせないよ、と言って、『侵略だ』ということになるわけですけども、ロシアがその分離独立を支援しようとしているわけです。その支援しようとしていることは、(ウクライナや欧米諸国は)けしからんと言っているわけです」

岩上「そういうことですね」

孫崎氏「ということで、台湾の問題で、台湾が独立しようとすると、当然のことながら中国はそれを、許さないという。それでも、分離独立のほうに、日本であるとか、アメリカであるとかが支援する方が正しいというわけです。ここも180度股裂きなんです」

岩上「しかも、台湾併合、暴力的にやるとは、何事だ、と言っていますけど、だったらルガンスクは、どうなるんですか」

孫崎氏「そういうことです。分離独立は許さない。仮に分離独立に正当性があったとしても、住民はそれを要求しているわけですから」

 孫崎氏は、その後も、バイデン大統領が過剰に危機を煽るのは、自身の支持率が下がってきており、米国民の目を海外に向ける事によって、支持率を回復する狙いがあることや、米国の力は衰えてきており、米国独自でロシアに制裁を課すことは意味をなさないことについて、ご自身の経験をもとに詳細な議論を展開した。

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■ハイライト

  • 日時 2022年2月18日(金)18:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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