【号外第5弾】【特別寄稿】旧ユーゴ解体からウクライナ危機へと続く「現代のファシズム」! ジャーナリスト ジョン・ピルジャー氏の2015年の論文をIWJ会員「松元保昭@札幌」様が翻訳! 2022.3.21

記事公開日:2022.3.21 テキスト
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 IWJ会員の「松元保昭@札幌」様から、「日本語でまともな報道はIWJくらいです。たいへんだと思いますが、是非ジャーナリズムの「王道」を走りつづけてください」との激励のメッセージと共に、ご自身が7年前に翻訳された、ジャーナリストで映画制作者でもあるジョン・ピルジャー氏による論考「今なぜファシズムの台頭がふたたび問題になるか」をご寄稿いただきました。

 2015年に『インフォメーション・クリアリング・ハウス(ICH)』誌に発表されたこの論稿でピルジャー氏は、2014年のウクライナでの「選挙で選ばれた政府に敵対するクーデター」の背景に、旧ユーゴ解体劇からイラク、アフガニスタン、リビアへと続く米国の「現代のファシズム」の意図を解き起こしています。

 ピルジャー氏は、2014年、当時の米国・オバマ政権は、ウクライナでのクーデターに50億ドルの資金をばらまき、ネオナチが台頭、そのファシストらが「現在、キエフ・クーデター政府のメンバーになっている」と指摘した上で、米・NATOはウクライナばかりでなく、「ロシアが欲しいのだ、ロシアを解体すること」が彼らの野望だと論じています。

 詳しくは、ぜひ以下の記事をご一読ください。

記事目次

  • はじめに
  • リビア
  • ユーゴスラビア
  • アフガニスタン
  • 現代のファシズム、またはアメリカ
  • 結び―ウクライナと現代のファシズム

はじめに

 2015年に『インフォメーション・クリアリング・ハウス(ICH)』誌に発表されたこの論稿でピルジャー氏は、2014年のウクライナでの「選挙で選ばれた政府に敵対するクーデター」の背景に、旧ユーゴ解体劇からイラク、アフガニスタン、リビアへと続く米国の「現代のファシズム」の意図を解き起こしている。

▲ジョン・ピルジャー氏(Wikipediaより、By SCU Media Students、John Pilger)

 ピルジャー氏は、2014年、当時の米国・オバマ政権は、ウクライナでのクーデターに50億ドルの資金をばらまき、ネオナチが台頭、そのファシストらが「現在、キエフ・クーデター政府のメンバーになっている」と指摘した上で、米・NATOはウクライナばかりでなく、「ロシアが欲しいのだ、ロシアを解体することが彼らの野望だ」と論じている。

 ピルジャー氏は、論文の最後を次のように締めくくる。

 「我々の責任は、はっきりしている。戦争挑発者の無謀な嘘を確定し、暴くこと、そして彼らと決して結託しないことだ。現代の数々の帝国国家に、脆弱ではあるが文明をもたらしてきた偉大な民衆運動を再び呼び覚ますことだ。最も重要なことは、我々自身が―その精神、人間性、自らの尊厳―を征服されないことである。もし沈黙したままなら間違いなく打ち負かされてしまう。そしてホロコーストが顔を出すだろう」。

 著者のジョン・ピルジャー(John Pilger)は、1939年オーストラリア生まれ、ロンドン在住のジャーナリスト、ドキュメンタリー映画作家。

 50本以上のドキュメンタリーを制作し、戦争報道に対して英国でジャーナリストに贈られる最高の栄誉「ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー」を2度受賞、記録映画に対しては、フランスの「国境なき記者団」賞、米国のエミー賞、英国のリチャード・ディンブルビー賞などを受賞している。

 ベトナム、カンボジア、エジプト、インド、バングラディッシュ、ビアフラなど世界各地の戦地に赴任した。邦訳著書には『世界の新しい支配者たち』(井上礼子訳、岩波書店)がある。また、過去記事は、デモクラシー・ナウやTUPなどのサイトにも多数掲載されている。

【訳者注記:原文に小見出しはないが、長文のため訳者が挿入した。原著者が文中で()に挿入したところはすべて[]に、訳者が挿入したところはすべて()とした。また人名はかならずしも原音表記とはなっていない】

ジョン・ピルジャー(松元保昭訳)
インフォメーション・クリアリング・ハウス(ICH)誌、2015年2月27日

 先のアウシュビッツ解放70周年記念は、私たちの意識に深く刻み込まれているナチの象徴と共に改めてファシズムの巨大な犯罪を想起させるものであった。ファシズムは、チラチラする古い映像で黒シャツ隊がガチョウ足行進しているような歴史として保存され、その犯罪性は極まりなく疑いようもないものだ。しかし今、この同じ自由社会では戦争をつくり出すエリート集団が我々に決して歴史を忘れないよううながしながらも、加速する現代のファシズムの脅威は隠されている。それが彼ら自身のファシズムであるゆえに。

 1946年に、ニュールンベルク裁判の判事は語った。「侵略戦争を始めることは国際的な犯罪というだけではない。それ自体の中に蓄積された全体の邪悪が含まれており、もっぱら他の戦争犯罪と異なる点でそれは究極の国際犯罪である」

 ナチスがヨーロッパに侵略しなかったら、アウシュビッツとホロコーストは起こらなかった。アメリカ合衆国とその取り巻きが2003年のイラク侵略戦争を始めなかったら、ほぼ100万人の人々は今日まだ生きていただろう。そして、イスラム国あるいはISISが我々をその野蛮の虜にしなかっただろう。これらすべては、爆撃と殺戮と「ニュース」と呼ばれる、現実とはかけ離れた劇場が醸しだす嘘で育てられた現代ファシズムの所産なのである。

 現在、1930年代と1940年代のファシズムのときのように、メトロノームのような正確さでデマ宣伝が届けられている。偏在し反復するメディアとその不作為による悪意に満ちた検閲のおかげだ。リビアの破局がいい例である。

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■皆さまへ緊急のお願いです!! 3月のご寄付・カンパは18日までに月間目標額の38%の達成率にとどまっています! 昨年8月1日から始まったIWJの今期第12期7か月間にわたる累積の不足金額は、トータルで470万4268円です! これに今月3月分の目標額未達分の259万4787円が加わり3月末までに729万9055円必要となります。どうか3月も緊急のご支援をよろしくお願いいたします!!

 IWJ代表の岩上安身です。

 IWJでは、今期第12期の年間の予算を立てる上での見通しとして、代表である私、岩上安身への報酬をゼロにすることを筆頭に、支出をぎりぎりまでにしぼった上で、IWJの運営上、必要なご寄付・カンパの目標額は月額420万円(年間5040万円)と算出させていただきました。

 昨年8月から始まったIWJの今期第12期は、3月で8か月目に入りました。

 3月1日から18日までのご寄付・カンパは142件、160万5213円です。18日間で月額目標額420万円に対して38%の達成率となっています。

 今期8月1日から2月末までの7ヶ月間の累計の不足分は、470万4268円となっております。

 さらに今月3月の月間目標額のうち未達成分の259万4787円が加わりますと、3月末までに、729万9055円が必要となります。このままですと、不足額が雪ダルマのように膨れ上がっていきます!

 どうか会員の皆さまのお力で、3月もIWJをお支えください!

 IWJの会員数は現在3254人です。そのうちサポート会員は1130人です(2022年2月28日現在)。本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が2243円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが全員1人6459円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます!

 伏してお願いいたします! どうか皆さまのお力で、この窮状をお助け願います!

※ご寄付・カンパはこちらからお願いします。

 コロナ禍は、日本のすべてを直撃しています! IWJも例外ではありません!

 同じように皆さまもそれぞれ、コロナ禍で厳しい状況に直面されていることと拝察いたします。こうした状況で皆さまに、会員登録のお願いとご寄付・カンパを繰り返しお願いすることは、心苦しいことではあります。

 しかし、どうしても声を大にして、お伝えしなければならないことがあります!

 改憲による緊急事態条項の導入と、米国による中国との戦争に日本が巻き込まれる現実的な懸念が、迫っているからです!

 また、ロシアによるウクライナへの侵攻とそれに対する世界中からの反発・非難が、どのような第2幕を迎えるか予断を許しません。

 台湾をめぐる米中の対立と、このウクライナ危機が連動する可能性も、しきりに取り沙汰されています。その場合、ウクライナがそうであるように、日本が米国にとって都合の良いミサイル前線基地となってしまいます。日本がウクライナのような運命をたどり、戦場と化してしまうようなことは絶対に避けなければいけません!

 IWJは、中立の立場を守り、ロシアとウクライナの間でどのような確執が起きてきたのか、2014年のユーロ・マイダンのクーデターの時点から、ずっと注目して報じてきました。

 2022年の2月23日、それまで何の前提もなく突然、ロシアのプーチン大統領が狂気にとりつかれて、ウクライナに侵攻し始めたのではありません。そこに至るプロセスがあります。独自取材を続けてきたIWJだからこそ、この事態に対してしっかりと客観視する視点をもつことができた、と自負しています。

 こうした「侵攻前」のプロセスを伝えず、「ロシア侵攻」のみを大騒ぎして伝えるイエローペーパーばかりですが、これは本来のメディアの役割を放棄していると言わざるをえません。我々は、どんなに石つぶてを投げられようとも、メディアの王道をいく仕事をし続けます。

 戦争は発火した時が、最終段階です。その前に、政治的・経済的・社会的な不満がマグマとしてたまっているのであって、戦争が勃発する前にそのマグマの存在を明らかにし、対話と議論によって平和的解決の道を探して、「戦争」という「政治的解決の最終手段」に至る前に、未然に防ぐことが一番重要です。

 特定の政党や、特定の政治団体などから、隠れ資金を受け取ったことなど、IWJは1度もありません! 市民の皆さまに直接、真実をお届けすることができるのは、市民の皆さまから直接の、会費、ご寄付・カンパによるお支えがあってこそです!

 非会員の方はまず、一般会員になっていただき、さらに一般会員の皆さまには、サポート会員になっていただけるよう、ぜひご検討いただきたいと存じます!

 その会費と、ご寄付・カンパによって支えられてはじめて、IWJは、市民の皆さまのために役立つ、真の独立市民メディアとしてその活動を継続し、その使命を果たすことが可能となります。

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 本年、2022年は、本当に日本の分水嶺の年となります!

 決して負けられないこの戦いに、私は、IWJのスタッフを率いて全力で立ち向かいたいと腹をくくっています! 皆さまにはぜひ、ご支援いただきたくIWJの存続のために、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

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店番号 022
預金種目 普通
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岩上安身拝

(…会員ページにつづく)

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