2021年12月28日午後1時より、東京都新宿区の外務省庁舎にて、岸信夫防衛大臣の定例会見が開催された。
冒頭、岸大臣より、以下のとおり報告があった。
・新型コロナウイルスについて、3名の自衛隊員が新たに感染したことが判明。これで累計4890名となる。
・防衛産業の支援策の強化について、防衛産業は自衛隊のオペレーションに不可欠な装備品の研究開発、生産、維持・整備を担っている我が国の防衛力の一部であり、基盤強化が急務であるため、防衛省は来年、防衛装備庁装備政策課に「防衛産業政策室(仮称)」を新設する。また、令和4年度の予算案において、防衛産業支援に関する事業経費32億円を確保している。
・毎年恒例となっている、防衛大臣が選ぶ「今年一年の漢字」について、今年は「烈(れつ)」となった。
この選択について、岸防衛大臣は「我が国をとりまく安全保障環境が一層厳しさを増し、熾烈なものとなっていることに加え、今年の夏、熱海での災害派遣や新型コロナウイルス等との戦いなど、活動現場の熾烈さと困難さを思えば、防衛大臣として、自衛隊員の皆さんには頭の下がる思いである。その私の思いを表す漢字である」と説明した。
岸大臣からの報告の後、各社記者と岸大臣の質疑応答となった。IWJ記者は自衛隊と米軍が「台湾有事」を想定し策定中の日米共同作戦計画の原案について、以下のとおり質問した。
「12月23日以降、自衛隊と米軍が、台湾有事を想定した日米共同作戦計画の原案を策定していることが報じられています。
それは、有事の初動段階で米海兵隊が南西諸島に攻撃用軍事拠点を置き、住民が戦闘に巻き込まれるものであり、玉城デニー沖縄知事が24日に防衛省を訪れ、『台湾有事によって沖縄が再び攻撃目標になるようなことがあってはならない』と危惧を表明し、その詳細を明らかにするよう求めてもいます。
2022年1月に開催予定の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(いわゆる『2プラス2』)での正式な計画策定以前に、米国側の意向に押されるようにして計画が進行することを防衛省としてはどうお考えでしょうか?
防衛すべき日本、守るべき平和と安全には、南西諸島とその161万人住民は含まれないのでしょうか? また、自衛隊は住民の避難を助けないのでしょうか?」
この質問に対し、岸大臣は次のように答えた。
「防衛省・自衛隊としては、平時より、あらゆる事態に対処できるように、しっかりとした防衛体制というものを確立しておく必要があると考えております。
今、おっしゃられたようなことにつきましては、2015年に策定されましたガイドラインのもとで、日米両政府は、我が国の平和と安全に関連する緊急事態に際し、防衛省、自衛隊と米軍がより緊密に連携して、適切に対応できるように、共同計画を策定・更新することとしています。
共同計画の策定状況や具体的内容等の詳細については、緊急事態における日米両国の対応に関わることですから、事柄の性質上、お答えを差し控えさせて頂きます。以上です」
岸大臣の冒頭報告、および岸大臣と各社記者との質疑応答の詳細については、ぜひ全編動画でご確認いただきたい。