2021年6月22日(火)、午前11時20分頃より、東京・防衛省庁舎にて、岸信夫防衛大臣の定例会見が行なわれた。
冒頭、岸大臣より、自衛隊の新型コロナウイルス感染者について、前回定例会見時(6/18)の報告から、新たに6名の隊員の感染が確認され、感染者は累計で1951名となったと報告があった。
また、6月24日(木)~7月11日(日)までの日程で、陸軍士官の日米合同訓練である「オリエント・シールド21」が実施され、これまでで最大級、日米の隊員併せて約3,000名が参加すること、また、日本時間の6月23日(水)午後4時から、欧州政策センター(EPC)からの招待を受け、岸大臣が「東アジアの安全保障課題および地域における国際協力の展望」と題して、オンラインでの公開インタビューを受ける予定であることなどについて、報告があった。
続いて、岸大臣と各社記者との質疑応答となり、IWJ記者は、前回の会見から引き続き、「米軍の海洋圧力戦略と重要土地利用規制法の関係」について、以下のとおり、質問をした。
IWJ記者「中国の台頭、特にミサイル力の充実を受け、米軍はエアシーバトルとオフショアコントロールの要素を取り入れた海洋圧力戦略による再編成を進めています。
海洋では、台湾有事の際に米軍主力は第2列島線まで退却し、残りの米軍と自衛隊によるインサイド部隊が日本全土に分散し、軍事標的となり、第1列島戦、つまり日本列島で中国のミサイルを吸収するとされています。
トランプ大統領の補佐官であったピーター・ナバロ氏は、『軍事標的を第一列島線に多数分散配置することで、中国はターゲットの絞り込みが困難になる』と述べていますが、『反面、自国を戦場にするこの戦略は、草の根的な住民の反対運動にあう可能性がある』としています。重要土地利用規制法が、この『草の根的な反対運動』の取り締まりに使用される可能性はないでしょうか?」
これに対し、岸大臣は以下のとおり答えた。
岸防衛大臣「まず、『台湾有事』という想定について、予断をもってお答えすることは差し控えたいと考える。重要土地規制法については、土地等の利用により、安全保障上重要な施設に対する機能阻害行為が行われるというリスクに対応するということを目的として、取りまとめられたものである。
その観点から、安全保障上のリスクとなる機能阻害行為を未然に防止するという本法案の目的は明確である。防衛関係施設の機能発揮を万全にする観点から意義がある、というふうに考えているところである」
「安全保障上のリスクとなる機能阻害行為を未然に防止する」「防衛関係施設の機能発揮を万全にする」とは、反対運動取り締まりの可能性を否定していないのではないか?
IWJ記者はつづけて、次のように質問をした。
IWJ記者「G7やNATO首脳会談にて、フランスのマクロン大統領は『我々は誰とも提携しない。米国と提携せず、中国のしもべにもならない』とし、イタリアのドラギ首相は『地球温暖化やパンデミック後の世界の復興について、中国と協力していく必要がある』と述べ、ドイツのメルケル首相は、中国に対してドアを閉めずに、”バランス”を求め、英国のジョンソン首相は『誰もが中国との新たな冷戦に陥ることを望んでいない』と、それぞれ発言しています。
各国は主権国家としての方針を掲げていますが、『米国との緊密な連携』一辺倒の日本政府は、本当に国土と国民を守れるとお考えでしょうか?」
この質問に対して、岸防衛大臣は次のように回答した。
岸防衛大臣「我が国の平和と安全を守る。国民の平和な暮らしをしっかり守っていく。そして、我が国の領土・領海・領空を守り抜いていく。これが、我々に課せられた使命であるというふうに思っている。
誰も、他国と戦争になることを望んでいるわけではない。その意味で、我々としても、平和を守り抜くための力をしっかりと示していくことができればというふうに思っている」
岸大臣の冒頭報告、そして各社記者との質疑応答は、全編動画にてご確認いただきたい。