2021年11月30日午後1時頃より、東京・厚生労働省庁舎にて、後藤茂之厚生労働大臣の定例会見が開催された。
会見冒頭、後藤大臣より、「雇用統計」の問題について報告があった。
後藤大臣「令和3年10月の有効求人倍率1.15倍と前月より0.01ポイント低下致しました。また、完全失業率は2.7%と、前月より0.1ポイント低下致しております。
求人・求職の動向や、労働力調査の結果を見ますと、現在の雇用情勢は、求人に底堅さが見られる中で、求人が求職を上回るように推移をしているものの、求職者が引き続き、高水準にありまして、全体として厳しさが見られます。
有効求人倍率が一番下回る地域があると、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に、より一層注意する必要があると考えております」
続いて、各社記者と後藤大臣との質疑応答となった。各社からの質問は、11月25日に南アフリカで確認された新型コロナの新型変異株である「オミクロン株」に集中した。
IWJ記者は、今後、来年早々にも起こると懸念されている感染の再拡大への対応策について質問をし、後藤大臣と以下のやりとりを行った。
IWJ記者「新型コロナウイルス感染症について、質問致します。
日本の現状はただ今、落ち着いているように見えます。これは、ワクチン接種が行き渡ったという見方もあります。ですが、日本に先行してワクチン2回接種を完了した人々が多い欧米諸国では、11月の初旬頃から感染が再拡大しています。
医療ガバナンス研究所の上昌広医師は、ワクチン接種が完了しているのにも関わらず、感染が確認される原因として、ワクチンの予防効果が時間の経過とともに落ちていくからと、指摘しています。英国、欧州、イスラエル、米国など、ワクチン2回接種が先行した国ほど、効果が早く切れ、感染が再拡大しているとのことです。
日本は、ワクチン接種の開始が比較的遅かったことから、現在は感染者数が増えていないと思われますが、欧米の先行事例にみていると、ワクチンの効果が切れ始める来年早々、この冬の後半にも、感染の再拡大が起こるのではないかと懸念されています。
加えて、25日、南アフリカ発のオミクロン株が確認されています。このオミクロン株は、感染力が非常に強いとも指摘されています。
これらの対応策として、水際対策やワクチンのみでなく、PCR検査の徹底こそが、重要ではないでしょうか。岸田政権は、安倍・菅政権とは異なりPCR検査を拡大する方針を示していますが、具体的にどの程度PCR検査を拡充させるのでしょうか。
また、先進国だけワクチン接種を行い、アフリカなどの途上国でワクチン接種が十分に行き届いていない状態が世界的に続いており、このまま続けば、今回のオミクロン株のように、新しい変異株が続々と出てきてしまいます。
ワクチンを途上国や発展途上国にも届け、接種してもらうことが、新種の変異株を出現させないために必要だと思います。日本として、発展途上国などワクチン接種が不十分な地域に、ワクチンの提供あるいは、資金の提供などはお考えでしょうか?」
後藤大臣「今、お尋ねのありました『ワクチンの効果』ですけども、おっしゃるように、予防効果につきましては、抗体価が…、予防っていうのは、ごめんなさい。感染予防効果につきましては、抗体価が下がるにつれ、割合に早く効果が無くなっていくということは、今、専門家の間で共有されております。
重篤化防止効果、あるいは、発生の予防効果については、相当長く効果が続く、そういう評価になっていると思います。
そういうことも含めて、感染予防効果が減じて来ることを前提に、ブースター接種、3回目の接種をしっかりと、12月1日より取り組んでいくというふうに考えているところであります。
それから、PCR検査、今、一日あたり、36万回、検査キットで、今現在で、大体1日あたり、87万回くらい、能力がありますけれども、今後、必要なPCR、あるいは検査キットはじめとしてですね、そのことについてしっかりと対応していくべくやりたい、というふうに思っております。
それから、発展途上国へのワクチンの供与の点についてですけれども、2国間のバイ(bi)による直接供与、それと、COVAXファシリティ(※)によるマルチ(multi)の支援を行っておりまして、大体、6000万回の約束を我々、国際的にしていますけれども、約半数、合計3000万回の供与が今、実際に済んでいます。
※COVAXファシリティ:GAVI (ワクチンと予防接種のための世界同盟) がCOVID-19ワクチンの公平な普及のために立ち上げた仕組み
あの、ちょっと、少し事前にお話があれば、もうちょっと丁寧にお話があるのですが、突然のご指摘なので、もし、あれでしたら、数字等、詳しいことについては、事務方の方に聞いてもらえると、ありがたいと思います」
後藤大臣と各社記者との質疑応答の詳細については、全編動画をご確認いただきたい。
また、後藤茂之 厚生労働大臣の定例記者会見については、以下をご参照下さい。