2021年11月5日午前11時40分頃から、東京都千代田区の厚生労働省庁舎にて、後藤茂之厚生労働大臣の定例会見が開催された。
後藤大臣と各社記者との質疑応答では、米国で5歳から11歳の子どもに対して、ファイザー社製のワクチン接種が推奨されることになったことについて、記者から「子どもがワクチン接種を受けることのメリット・デメリット」などについて、質問が続いた。
IWJ記者は、新型コロナワクチン接種後の死亡例について以下のとおり質問した。
「10月22日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の資料によると、10月3日までに、ファイザーとモデルナ両社のワクチンで合計1255件の死亡事例が報告されています。
そのうち『情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できない』が1248件となっています。
情報不足なのであれば、その不足を速やかに特定し、必要な対策をとるべきではないでしょうか?
例えば、9月16日第5回医薬品等行政評価・監視委員会において、佐藤嗣道委員長代理(東京理科大学薬学部 准教授)は、『住民基本台帳など、何らかの死亡の情報がきちんと分かるデータとのリンケージが必要だと思う』と発言されています。
必要な情報が欠落していれば、データとしての体を成しませんし、『情報不足』の状態を放置することは、明らかに行政の怠慢ではないでしょうか? 後藤大臣のお考えをお聞かせ下さい」
この質問に対し、後藤大臣は次のように答えた。
「ワクチンとの因果関係っていうのを判断するということは、非常に難しいというふうに考えております。
たとえば、ワクチン打って、その日、交通事故で突然亡くなったっていう場合に、それは、『ワクチンとの因果関係なし』というようなことは言えると思いますけども…。
たとえば、くも膜下だとか心筋梗塞だとか、いろんな病気で亡くなった方について、因果関係を明確に否定できるかどうかということから言うと、それは相当に難しいことだというふうに思っております。
で、因果関係を判断するときに、ひとつひとつの因果関係がどうかということだけじゃなくて、たとえば、一般的な高齢者の、全体で言えば、1億数千件が打っているんですけれど、そういう、たとえば、病気の罹患率だとか、そういうものとの間の、全体としての違いを分析をしたり、そういうことは可能であるというふうに思っています。
それから、『1248名不明』ということはご指摘のとおりであります。因果関係が不明と言わざるを得ない、と。そういうことではありますけれども、ワクチン接種のリスクとベネフィト(副作用のリスクと有効性)を考える時に、1248名の皆さんの因果関係が不明ということであっても、リスク・ベネフィットという点から言えば、ベネフィットの効果は大きいという認識で、専門家の皆さんがおられると。と、いうふうに理解をいたしております」
後藤大臣は、「情報不足」の内実については一言も触れず、かわりに、ワクチン接種後の死者数をリスクとベネフィト(副作用のリスクと有効性)の観点で判断している。しかし、本当にそれが妥当な姿勢であるのかについては相当な疑問が残る。
ワクチン接種後に亡くなった人それぞれに、その死を悼み、精神的・経済的な打撃を被るであろう肉親などの関係者がいるはずであり、その人々への手当が必要であると考えるからだ。
死亡事例を含め、ワクチン接種の副反応による健康被害については、今後とも注視していく必要がある。
後藤大臣と各社記者との質疑応答の一部始終については、全編動画を御覧いただきたい。