「ワクチン接種後の死亡者数の報告が少ないのではないか?」IWJ記者の質問に「仮定の質問に答えるのは適切でない」としながら適切な制度運用を表明~11.26後藤茂之 厚生労働大臣 定例会見 2021.11.26

記事公開日:2021.11.26取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2021年11月26日午前11時40分頃より、東京・厚生労働省庁舎にて、後藤茂之厚生労働大臣の定例会見が開催された。

 会見冒頭、後藤大臣より、「ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症に係る定期接種の今後の対応について」以下のとおり報告があった。

後藤大臣「HPVワクチンの接種につきまして、本日、積極的な勧奨を差し控えるとしていました、平成25年の通知を廃止しまして、基本的に来年4月からの個別の勧奨を順次実施する旨の通知を発出致しました。

 これまでに、接種機会を逃した方々に対する、公費による接種機会を提供すること等については、引き続き、厚生科学審議会で議論をいたしておりますので、今後、取り扱いを考えていきたいと、いうふうに考えております」

 続いて、各社記者と後藤大臣との質疑応答となった。各社からは、「新型コロナウイルスワクチンの追加(3回目)接種」、「南アフリカで確認された新しい変異株」、「『黒い雨訴訟』の広島高裁判決についての厚労省と広島県・広島市の正式協議」、そして「診療報酬の改定」などについて質問があった。

 IWJ記者は、「コロナワクチン接種後の死亡事例」について質問をし、後藤大臣と以下のようなやりとりが行われた。

 まず、前回(11月9日)、IWJ記者が質問し、厚労省側で「引き取り」扱いとなっていた「『疾病・障害認定審査会』での審査」について、後藤大臣より回答があった。

後藤大臣「この間ご質問がありましたのは、新型コロナワクチンによる健康被害救済の申請件数が何件かということだったと思います。

 そのことについては、まず、『予防接種法』にもとづく健康被害救済制度は、接種に関する過失の有無に関わらず、予防接種と健康被害の間の因果関係が認定された方を迅速に救済する。そういう制度でございます。

 この『予防接種法』にもとづく健康被害救済制度、11月25日の時点で、592件の新型コロナワクチン接種にかかる健康被害救済申請が国に届いております」

IWJ記者「この592件の数字は、厚労省のほうで定期的に死亡者数の状況をHP上で発表されていますが、それに含まれているのでしょうか?」

後藤大臣「今は、健康被害救済の申請件数で、死亡者とおっしゃっている、死亡者の件数を言っているわけではありません」

IWJ記者「わかりました。

 政府の施策において、健康被害を被られた方々に利用可能な行政サービスがあるのであれば、それをより広範に、より頻繁に周知して頂きたいというのが先ほどの質問の主旨であったのですが、よろしくお願いします。

 あと、もう一点追加で、新型コロナワクチン接種後の死亡事例について質問致します。

 厚労省の医薬品等行政評価・監視委員会にて、佐藤嗣道・委員長代理は、医師等からの厚労省への死亡例の報告について、『医療機関から報告されなかった死亡例というのも恐らくたくさんある』、『ワクチンの接種後の死亡や様々な有害事象についても、ツイッターなどのSNS上にたくさん上がっており、実際に厚労省に報告されている接種後の死亡例というのは、そのごく一部でしかないということが、何となくうかがい知れる』、また『もしかすると10倍ぐらい高い可能性も視野に入れておかなければいけないのではないか』などの旨、発言をされています。

 ワクチン接種と死亡との因果関係が、情報不足により、評価できず、ご遺族への補償がまったく行われていないことに加えて、死亡事例の全容が政府により把握されていない現状は、今後、ワクチンの追加接種やワクチンに不安を抱く未接種者への接種を進めていくにあたって、大きな障害になるのではないでしょうか? 後藤大臣のお考えをお聞かせ下さい」

後藤大臣「医薬品等行政評価・監視委員会において、佐藤委員の発言のご紹介がありました。その、佐藤委員の発言自身は、これは、あの、制度から言うと、『副反応疑い報告』のことについてのご指摘だと思います。

 で、健康被害救済制度は、本人が何らかの疾病と予防接種の因果関係判断を前提として、救済を求める制度でございます。一方で、『副反応疑い報告』は、医師等が報告をするもので、ワクチン接種後に生ずる症状等の傾向を把握するためのものであって、『副反応疑い報告』の審査結果が即、お尋ねになった健康被害救済の申請件数や申し立ての問題と同列のものではない、というふうに思っております。

 ただし、今、お尋ねがありましたけれども、『死亡者の報告が少ないのではないか』といった、仮定でのご質問に答えるというのは適切では必ずしもないというふうには思いますけれども、いずれにしても、『副反応疑い報告』制度にもとづいて、適切に、各医師等から報告をして頂けるように、制度の周知徹底と適切な運用を図っていくことについては、私もそういうふうな考えでおります」

IWJ記者「ありがとうございます」

 後藤大臣と各社記者との質疑応答の詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

 また、これまでの後藤茂之 厚生労働大臣の定例記者会見については、以下をご参照いただきたい。

■IWJ記者の質問シーン

■全編動画

  • 日時 2021年11月26日(金)10:50~
  • 場所 厚生労働省 記者会見室(東京都千代田区)

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