日刊IWJガイド・非会員版「<速報!>袴田巌さんに再審で『無罪判決』!! 静岡地裁は『捜査機関によって証拠が捏造された』『袴田さんを犯人とは認められない』!!」2024.9.27号~No.4338


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~<速報!>あまりに遅過ぎた司法の正義の実現!! 事件から58年を経てようやく、袴田巌さんに再審で「無罪判決」!! 静岡地裁は「捜査機関によって証拠が捏造された」「袴田さんを犯人とは認められない」と指摘!

■9月も残り4日! IWJの財政的状況は大ピンチです! 今年1月に初めてコロナに感染した岩上安身は、その後遺症のためか、体調不良が、7月、8月も続き、たいへんご迷惑をおかけしています! 9月は24日までの24日間で、243件、192万3787円のご寄付・カンパをいただきました! 第14期の月間目標額は400万円で、仮にその目標額に当てはめると、48%どまり! まだ相当に厳しい状況です! 他方で、「IWJしか報じられない情報」が、激増しています! こうした時だからこそ、ぜひご支援をお願いいたします!

■【中継番組表】

■欧州のこの矛盾、表裏、本音と建前を見よ! 馬鹿の上にも馬鹿がつく単細胞岸田外交の幼稚さを嗤う! ロシア深部に届く長距離兵器をウクライナへ提供せよと欧州議会は決議しながら、二枚舌だらけの欧州中が、ロシアと活発にビジネスをしている!

■ストルテンベルグNATO事務総長が退任演説! ロシアの弱体化を目指す米国の代理戦争としてのウクライナ紛争の片棒を担ぎ続けてきた主役の1人が最前線を去る! 2014年ユーロマイダン・クーデターの年に、ノルウェー首相からNATO事務総長に就任したストルテンベルグ氏は、ノルドストリーム爆破事件の真相を知っていたのか? 残されたウルズラ・フォン・デア・ライエンEU委員会委員長は、反グローバリズム、反NATO、反EUのうねりの中で、どこまで米国に忠実に代理戦争を推進するのか?

■昨年、アジア版NATOを推進しようとするストルテンベルグNATO事務総長を、元オーストラリア首相ポール・キーティング氏が「最高の大バカ者」と痛烈批判!
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■はじめに~<速報!>あまりに遅過ぎた司法の正義の実現!! 事件から58年を経てようやく、袴田巌さんに再審で「無罪判決」!! 静岡地裁は「捜査機関によって証拠が捏造された」「袴田さんを犯人とは認められない」と指摘!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 9月26日午後2時、静岡地方裁判所で、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件の犯人とされ、自白を強要されて、死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さんの再審裁判で「無罪」との判決が、ようやく言い渡されました。司法の正義の実現まで58年間。あまりにも遅過ぎました。『NHK』などが報じています。

 静岡地裁は、捜査機関によって証拠が捏造されたと指摘し「袴田さんを犯人とは認められない」と説明しています。

 再審裁判の最大の争点は、現場近くのみそタンクから時間を経て見つかった「5点の衣類」に付いていた血痕に残っていた「赤味」でした。当時は、有罪の決定的証拠とされました。

 しかし、事件から1年2ヶ月もして発見された衣類が、みそに浸かった状態で、「赤味」を残しているのは不自然である、という疑問が指摘されていました。

 静岡地方裁判所の國井恒志裁判長は、「1年以上みそに漬けられた場合に血痕に赤みが残るとは認められず、事件から相当な期間がたった後、捜査機関によって血痕を付けるなど加工され、タンクの中に隠されたものだ」と述べています。これは、捜査機関によってでっち上げられた冤罪であり、でっち上げた捜査機関の面々こそ犯罪者です。

※【速報中】袴田巌さん再審で無罪判決“捜査機関が証拠ねつ造”(NHK、リアルタイム更新、2024年9月26日15時00分)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240926/k10014592391000.html

 半世紀以上も無実を訴え続けてきた袴田巌さんは今、88歳です。長期収容による拘禁症状が残り、自分では再審公判には出廷できませんでした。代わりに、姉のひで子さんが再審公判に出廷してきました。そのひで子さんも91歳です。

 1966年の事件から58年、1980年の死刑確定から44年、2014年に再審が認められてから10年、無実を訴え続けて、ようやく今、「無罪」を勝ち取りました。

 戦後、死刑事件の再審無罪は、袴田さんが5例目となります。『沖縄タイムス』は26日、「これまでの4例は検察が控訴せず確定している」と報じています。

※袴田さん、再審で無罪 58年前の一家4人殺害事件(沖縄タイムス、2024年9月26日)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1441689

 袴田さんの再審で検察が控訴するようなことがあれば、それはもう「鬼畜の所業」というべきでしょう。

 「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」がまとめた、これまでの年譜を以下にご紹介します。

1966年 6月30日 事件発生、8月18日 袴田さん逮捕
1967年8月31日 五点の衣類が発見される
1968年9月11日 静岡地裁死刑判決、東京高裁に控訴
1976年5月18日 東京高裁控訴棄却、死刑判決維持、最高裁へ上告
1980年11月19日 最高裁上告棄却、死刑確定
1981年4月20日 静岡地裁へ再審請求(第一次)
2008年3月24日 最高裁特別抗告棄却
2008年4月25日 静岡地裁へ再審請求(第二次)
2014年3月27日 再審開始決定、袴田巖さん 約48年の時を経て釈放される
2018年6月11日 東京高裁、検察の抗告を認め再審開始決定を取り消す
2020年12月22日 最高裁判所第三小法廷 東京高裁へ審理を差し戻す
2023年3月13日 東京高裁は検察の抗告を棄却、3月20日 検察は抗告断念 静岡地裁の再審開始決定が確定

 そして、2024年9月26日、静岡地裁、再審で「無罪判決」が新たに追加されました。

 IWJは、この袴田事件を継続的に追ってきました。この機会にぜひ、御覧ください。会員限定の記事も、2週間フルオープンとします。

<2024年>

※検事は「死刑」が正しいと思っていないから、大声で求刑できなかったのではないか!?「検事さんではなく、もっとその上の『指令を出す』検察庁と闘っている」とひで子さん~5.29「袴田事件再審!再審請求人として結審に思うこと」―登壇:袴田ひで子氏(袴田巌氏の姉) 2024.5.29
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/523298

<2023年>

※現役世界チャンプ・寺地拳四朗選手らが、東京高検前で「検察は有罪立証方針の取り下げを」「争うなら、ボクシング同様、正々堂々、証拠をすべて開示」とアピール!~10.3 袴田巖さん支援アピール「潔白を示す白いバンデージで拳を高く突き上げろ!」2023.10.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/518867

※「再審は裁判官次第のところがある。期限がないので優先順位が低くなりがちだ」~8.27 日弁連 再審法改正全国キャラバン 元裁判官と考える再審法の問題点「なぜこんなにも再審は認められないのか?」2023.8.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/518117

※「遅くとも年内には再審の公判が始まる。検察官は『新たに有罪を立証する』と言うだろうが、法律上、証拠にもとづかない主張は許されない。『却下』を求めていく」~7.25 日本外国特派員協会主催 袴田秀子氏、小川秀世氏(袴田弁護団事務局長・弁護士)記者会見 2023.7.25
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517604

※「検察は本当に殺人犯をつくろうとしている。国家によって人を殺そうとしている。そういう事件だということを改めて皆さんに感じていただきたい」~7.10 袴田事件 裁判所提出の冒頭陳述骨子と証拠調べ請求書について 2023.7.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517189

※袴田巌氏本人が登壇、発言!「戦いがあるということで今日は出場して来た。戦いに勝つということが重要」~5.19 再審法改正をめざす市民の会 結成4周年記念集会「袴田事件の再審確定 つなげよう再審法改正へ」2023.5.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516059

※検察の特別抗告断念を受け、「特別抗告ができるのは、著しく正義に反するということでなければ、あと、憲法違反がなければ、特別抗告の理由はないんです。いくらあがいても恥をかくだけです」と西嶋弁護団長!!~3.20袴田事件弁護団記者会見 2023.3.20
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514833

※袴田弁護団・村崎弁護士「『特別抗告』というのは憲法違反であり、最高裁判例であり、私としては、これは、再審請求が認められた人に対して、検察にできるはずがない!! 」~3.20「袴田事件」の再審開始に対して検察庁が特別抗告をしないように求めるアピール行動 2023.3.20
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514825

※東京高裁が袴田事件の再審開始を決定!! 歓喜の中、弁護団は、検察の「特別抗告」についての警戒を解かず、「特別抗告をするな」と検察庁へ申し入れ!! ~3.13「袴田事件」東京高裁前での決定報告 ―登壇:袴田ひで子さん、袴田事件弁護団 2023.3.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514701

※袴田事件弁護団・事務局長 小川氏「『特別抗告』をするなんて考えられないし、するということになれば、検察のわけのわからない権限乱用であり、検察にあるまじき行為だと思う」~3.13日本弁護士連合会主催 袴田事件弁護団 記者会見 2023.3.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514711

※検察の即時抗告を棄却した高裁決定は、捜査機関による証拠捏造の可能性が極めて高いと断定! 検察は特別抗告断念を!!~3.14 今度こそ! 誤った裁判のやり直しを「袴田事件」高裁決定報告集会 2023.3.14
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514722

※3月13日に再審可否が決定される袴田巌さんの無実を訴え、50人を超えるボクシング関係者が東京高裁前に集結!~2.6 袴田巌さんの再審開始・無罪判決を求める、ボクシング関係者を中心とした宣伝・要請アクション 2023.2.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513933

<2022年>

※「『合理的な疑い』という基準の曖昧さと、弁護士が同席できない密室での取り調べが冤罪を生んでいる!」と、木谷弁護士は訴える!! ~10.18無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会 公開学習会(part46)「冤罪と死刑」2022.10.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/511601

<2021年>

※「巌の無実はもうじき証明されます!」「最高裁が袴田事件が『誤判』と認めた。これは画期的!」~日本外国特派員協会主催 袴田秀子氏(袴田巌氏の姉)、西嶋勝彦氏(袴田事件弁護団団長)記者会見 2021.4.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/491164

<2018年>

※袴田事件・袴田巌(いわお)さんの姉・秀子さん「30歳で逮捕されて、それ以後『幸せ』という言葉は、巌には該当いたしません」元ボクシング世界王者の輪島功一氏らも参加~7.24日本外国特派員協会主催 記者会見 2018.7.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/428161

※冤罪防止・被害回復のために刑事再審法改正を!! 証拠捏造!? 知的障害者など供述弱者に過酷な取り調べ!? ~6.21「くり返すな冤罪!市民集会 II ―検察は、再審を妨害するな!―」2018.6.21
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/425276

※東京高裁「不当決定」!! 再審認めず!DNA型鑑定信用乏しい!? 弁護団は最高裁に特別抗告する方針~袴田事件 東京高裁での再審開始即時抗告審・判断決定・東京高裁前の模様と弁護団らによる記者会見 2018.6.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/424309

※「検察庁法14条で法務大臣は検事総長を指揮できる!特別抗告をしないよう要請していただきたい!」死刑の恐怖から今も妄想の世界に生きる袴田巌さんに無罪判決を!~「袴田巖死刑囚救援議員連盟」緊急総会 2018.3.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/415352

※有罪判決は真実そのものを追求した結果ではない!~守られぬ刑事裁判の鉄則・証拠開示は裁判所によってばらばら!?――布川事件・袴田事件・足利事件・冤罪被害者ら「再審法改正」を目指す院内集会 2018.2.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/413243

※冤罪被害者がこじ開けた再審の扉を閉ざす検察の横暴!袴田さんの自由確定こそ最終ラウンド!再審請求中の死刑執行にまで踏み出した現政権に警戒も~袴田巖さんの再審を開始せよ!全国集会 2018.2.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/413079

<2017年>

※控訴棄却!!「市民が政治・選挙に関わることを潰す地ならし!?」~「未必の故意による黙示的共謀!?」静岡市長選公選法違反被告事件控訴審判決後の記者会見 2017.5.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/378922

<2016年>

※「いったいこの国は、何人の無実の冤罪者を死刑台に立たせればすむのか!?」~日弁連が「2020年までに死刑制度の廃止を目指す」との宣言採択を控え福井でシンポジウム 2016.10.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/336491

※命を燃やすように生きよう!ボクシング名誉王者・袴田さんの生き方に学ぶ!そして王者・井上尚弥は4日に3度目の防衛戦!秘策は「スイッチ」!? 2016.9.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/329365

※【IWJブログ】俳優、絵師でもあった米倉斉加年さんの命日によせて~一日5時間ひたすら歩く元死刑囚・袴田巌さんをひそかな目標とする岩上さん「歩くことは生きること、自由であり続けるための闘い」2016.8.30
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/328540

※【岩上安身のツイ録】再度の心臓発作と酷いめまいに襲われた7月、リハビリの8月を乗り越え「復活」の「都心ウォーキング」2016.8.25
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/327750

※【IWJブログ・特別寄稿】「改憲問題は憲法審査会で」との首相発言は緊急事態条項改憲を隠すものだ!(弁護士・梓澤和幸) 2016.7.4
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/314191

※袴田巖さんの再審無罪を求める2・13全国集会 ~再収監を許さないために今何をすべきか~ 2016.2.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/287147

<2015年>

※袴田事件 9・3大要請行動~東京高裁前リレーアピール 2015.9.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/261356

※【岩上安身のツイ録】「盗聴法」は違憲立法! 冤罪を生み出す構造を放置し、人権を軽視したあげく、権力の乱用を狙う警察・検察の狙いとは――海渡雄一弁護士のニュースレターを特別掲載! 2015.6.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/248061

<2014年>

※米国が死刑廃止できなければ日本もできないのか――ジュリア・ロングボトム英国公使「私たちはいかなる場合でも死刑に反対します」2014.11.15
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/206257

※「死刑確定囚が無罪になった事案はない」松島みどり法務大臣、袴田事件の死刑冤罪を否定 ~外国特派員協会主催の記者会見で 2014.9.26
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/171061

※袴田事件は終わっていない!9.23再審無罪を勝ち取る全国集会 2014.9.23
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/170455

※代用監獄と過酷な取調べ、証拠の隠蔽はこのまま残るのか――袴田事件弁護団長が求める証拠開示、取調べ可視化の必要性 2014.6.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/146084

※元裁判官で袴田事件弁護人の秋山賢三氏が語るマスコミのメディアスクラム 2014.6.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/146086

※袴田巌氏、ピースサインで公の場に――袴田事件報告会 2014.4.14
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/134654

※「司法に正義を取り戻すという強い決意と思う」袴田事件再審決定を受けて、袴田氏の姉や弁護士らが記者会見 2014.4.9
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/133939

※【10/10までフルオープン!】「袴田事件のような捜査機関による証拠捏造は珍しいことではない」~岩上安身によるインタビュー 第415回 ゲスト 袴田事件弁護団長・西嶋勝彦弁護士 2014.4.4
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/133093

※収監から47年――袴田死刑囚の無罪を訴える弁護団が要請書を提出~「袴田巖死刑囚救援議員連盟」総会 2014.3.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/129887

<2012年>

※死刑冤罪事件をめぐる集会 再審無罪へ・袴田事件と名張事件 冤罪と死刑 2012.7.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/22238

■9月も残り4日! IWJの財政的状況は大ピンチです! 今年1月に初めてコロナに感染した岩上安身は、その後遺症のためか、体調不良が、7月、8月も続き、たいへんご迷惑をおかけしています! 9月は24日までの24日間で、243件、192万3787円のご寄付・カンパをいただきました! 第14期の月間目標額は400万円で、仮にその目標額に当てはめると、48%どまり! まだ相当に厳しい状況です! 他方で、「IWJしか報じられない情報」が、激増しています! こうした時だからこそ、ぜひご支援をお願いいたします!

 9月もあと1週間を切り、残すところ4日となりました。

 9月は1日から24日までの24日間で、243件、192万3787円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます。

 第14期の月間目標額は400万円で、仮にその目標額に当てはめると、48%どまりであるとわかります。

 8月のご寄付・カンパは、85件、156万2260円で、400万円の39%どまりでした。第15期が始まってから2ヶ月連続で、かなり厳しい状態にあると言わざるをえません。

 この8月1日から始まった今期・第15期の見通しは、7月中に立案するはずでしたが、今年1月に新型コロナに感染して、以降、岩上安身の体調不良が続き、毎月のように新たな病気が見つかり、入退院を繰り返したことで、経理とのミーティングが十分にできておらず、ご寄付の月間目標額を今すぐただちにお示しすることができません。

 もう少しお待ちください! 皆さまのご理解とご容赦のほど、よろしくお願いいたします!

 第15期こそは、赤字にならないようにするために、有料会員登録と、ご寄付・カンパで、財政難のIWJへのご支援をよろしくお願い申し上げます!

 8月末現在、IWJ会員の総数は2254人、このうちサポート会員の方は860人でした。ぜひとも、サポート会員様におかれましては、会員をそのままご継続いただき、一般会員様におかれましては、サポート会員へのアップグレードをお願いします!

 また、休会中の皆さまは、メールやお電話をいただければ、すぐに会員を再開できます。一度退会された方でも、会員番号は変わりませんので、改めて申し込みをいただくことで再び会員になっていただくことが可能です!

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 よろしくお願いします!

 岩上安身拝


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◆中継番組表◆

**2024.9.27 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee

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◆中継番組表◆

**2024.9.28 Sat.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「東アジアを不戦共同体に」! 対米自立を提唱する東アジア共同体研究所の鳩山友紀夫元総理大臣が「欧米は価値観の同じ国家だけを同志とみなし、価値観の異なる国家を敵視し、排除する」と指摘! 日本はG7とグローバルサウスの間で「グローバル南北戦争」を未然に防ぐべきと訴え!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/524701

◆2024年10月10日までフルオープン!動画をご視聴になり、記事をお読みになった方々は、ぜひ、この機会に会員登録をお願いします!◆

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「袴田事件のような捜査機関による証拠捏造は珍しいことではない」~岩上安身によるインタビュー 第415回 ゲスト 袴田事件弁護団長・西嶋勝彦弁護士
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自民党は39人処分するだけで幕引きをはかる!?「裏金問題はまだ始まったばかり」! 自民党議員らと岸田総理と後援会を次々と刑事告発!~岩上安身によるインタビュー 第1153回ゲスト 神戸学院大学法学部・上脇博之教授 2024.4.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/522485

「1994年の政治制度改悪が裏金作りを生み『米国の利益のための戦争をする国作り』に直結した!」~岩上安身によるインタビュー 第1154回ゲスト 神戸学院大学法学部・上脇博之教授 2024.4.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/522670

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■欧州のこの矛盾、表裏、本音と建前を見よ! 馬鹿の上にも馬鹿がつく単細胞岸田外交の幼稚さを嗤う! ロシア深部に届く長距離兵器をウクライナへ提供せよと欧州議会は決議しながら、二枚舌だらけの欧州中が、ロシアと活発にビジネスをしている!

 欧州議会は、表面だけを見れば、大多数の加盟国が束になって、ウクライナへの長距離ミサイル提供を推進しているように見えます。

 欧州議会は、9月16日、ウクライナによる長距離ミサイルの提供を含む、「EU加盟国によるウクライナへの財政的・軍事的支援の継続に関する決議案」を提出し、19日には、63の棄権を含む425対131の投票で決議されました。

※Let Ukraine strike into the heart of Russia, MEPs urge EU countries(ポリティコ、2024年9月19日)
https://www.politico.eu/article/meps-want-eu-countries-to-lift-block-on-ukraine-using-donated-missiles-against-russian-targets/

 この決議案は、次のように、ドイツがこれまでウクライナへの提供をしぶってきた、ドイツ製の長距離ミサイル「タウルス」の提供問題について、はっきりと名指しで言及し、一刻も早く提供しろと、ドイツに圧力をかける内容となっています。ドイツの主権がまったく尊重されていません。いい迷惑な話です。

 EUは、NATOと並び、不戦共同体として、長く理想化されてきましたが、加盟国同士の紛争は防いでも、NATOと他の国々の間の戦争を防ぐものではありません。

 「10. 武器・弾薬の納入が不十分または遅延している場合、これまでの努力が台無しになる恐れがあることを強調し、そのため加盟国に対し、緊急の課題として軍事支援を大幅に増やし、大幅に加速させること、特に(ドイツの)TAURUSミサイルを含め、明確に特定されたニーズに応える武器・弾薬の提供を強く求める。NATO首脳会議での決定後、ウクライナが受領するはずであったシステムの相当数がまだ納入されていないことを強調する。ロシア領内の合法的な軍事目標に対する西側の武器の使用に課された制限が、国際公法上のウクライナの権利に反するものであることを非難する」。

※MOTION FOR A RESOLUTION on continued financial and military support to Ukraine by EU Member States(欧州議会、2024年9月16日)
https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/B-10-2024-0028_EN.html

 ところが、欧州議会一丸となって、ロシアとの全面戦争を推進する一方で、欧州中がロシアとのビジネスをしているというのです! 欧州各国とEUは、馬鹿の上にも馬鹿がつく、単細胞な岸田外交とは違い、したたかな二枚舌外交を展開しているのです。

 この公然の秘密を暴露したのは、ハンガリーのピーター・シヤールト外相でした!

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■ストルテンベルグNATO事務総長が退任演説! ロシアの弱体化を目指す米国の代理戦争としてのウクライナ紛争の片棒を担ぎ続けてきた主役の1人が最前線を去る! 2014年ユーロマイダン・クーデターの年に、ノルウェー首相からNATO事務総長に就任したストルテンベルグ氏は、ノルドストリーム爆破事件の真相を知っていたのか? 残されたウルズラ・フォン・デア・ライエンEU委員会委員長は、反グローバリズム、反NATO、反EUのうねりの中で、どこまで米国に忠実に代理戦争を推進するのか?

 2014年から10年にわたってNATO事務総長を務めてきたイェンス・ストルテンベルグ氏が、いよいよこの9月いっぱいで退任します。後任はオランダの首相を退任するマルク・ルッテ氏です。

 ロシアの弱体化・解体を目指す、米国による代理戦争としてのウクライナ紛争に深く関与し、加担してきた人物が1人ずつ、その役割を終えて去っていきます。

 2022年春に進んでいたロシア・ウクライナ間の和平交渉を潰した英国のボリス・ジョンソン元首相は、2022年9月に失脚しました。後継の保守党首相は短命に終わり、左派のスターマー政権になっています。

 オバマ政権下で、副大統領としてウクライナ方面を担当していたバイデン大統領も(すでにレイムダック状態ですが)、11月で政権の座を離れます。

 11月の米大統領選挙で、トランプ氏が勝つか、バイデン氏の後継のハリス氏が勝つかによって、ウクライナ方面の政策には、大きな変化が起きる可能性があります。

 米国の国務省で、2014年のユーロマイダン・クーデターの時点からウクライナ政界に深く関わってきた、ヴィクトリア・ヌーランド国務次官も、とうとう国務副長官になることなく、今年3月に退任しました。

 ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ前首相(2017年12月~2023年12月)も昨年、失脚しました。

 そして、ノルウェー首相からNATO事務総長に就任した、ストルテンベルグ氏もその座を離れます。

 ノルウェーは、ウクライナ戦争から不当ともいえる利益を得ている数少ない国のひとつです。対露制裁などによって、ロシアからの天然ガス・原油の供給が急減し、欧州が非常に厳しいエネルギー危機に見舞われる状況で、ノルウェー産石油・ガスへの需要が急増しました。

 ロシアとドイツを結ぶ「ノルドストリーム」パイプラインが爆破されたことによって、ノルウェーからの天然ガスがEUのガス輸入の約30%を満たすようになりました。見方を変えれば、「火事場泥棒」のようなものです。

 2023年の『ブルームバーグ』によると、ノルウェーの2022年の天然ガス輸出額は、1兆3600億クローネ(約17兆6000億円)と、約3倍増となっています。ノルウェーの輸出関係者は、笑いが止まらないことでしょう。

 ノルウェーの物品輸出額は、2兆6000億クローネ(約33兆7000億円、2021年比で87%増加)ですので、天然ガスの輸出額はその半分を占めています。

 また、対露制裁によって、ロシアからの原油供給が細る中、ノルウェーの原油輸出額は2022年に過去最高を記録しています。ロシアからの供給が減った分を、良くいえばカバーし、悪くいえば、需要を横取りしたわけです。

 『ブルームバーグ』は、エネルギー資源の輸出によるノルウェーの輸出額は、ノルウェー政府年金基金グローバル(運用資産額1兆3000億ドル=約167兆円)に大きな恩恵をもたらした、と結論づけています。

※ノルウェー年金基金にガス収入3倍の恩恵、17.6兆円 – 原油も過去最高(ブルームバーグ、2023年1月17日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-16/ROLKH1DWLU6801

 ノルウェーからかくもスムーズに、天然ガスの輸出を増やすことができた理由について、上記『ブルームバーグ』は説明していませんが、そこには「主役交代」がスムースに行われるための、ちゃんと仕掛けがありました。

 ノルウェーからデンマーク経由でポーランドに北海ガスを輸送する「バルティック・パイプ」(年間最大100億立方メートル)が開通したのは、ノルドストリームが爆破された翌日の2022年9月27日のことでした。海底も通るパイプラインの敷設に、何年もの時間がかかることはいうまでもありません。こんな都合のいいタイミングでの爆破と開通が、偶然に起こりうると考えるのは、岸田政権のような単細胞くらいのものでしょう。

 ノルウェー首相から、NATO事務総長に就任したストルテンベルグ氏が、ノルドストリーム爆破計画をまったく知らなかったとは、誰が断言できるのでしょうか。

 米国の独立ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏は、2023年2月に、ノルドストリームの爆破に関わったのは米国とノルウェーだとする調査報道をまとめた記事を発表しました。

※How America Took Out The Nord Stream Pipeline(Seymour Hersh、2023年2月8日)
https://seymourhersh.substack.com/

 IWJは、ハーシュ氏の記事の全文仮訳、そして関連情報を数多く出してきました。

※シーモア・ハーシュ関連記事
https://iwj.co.jp/wj/open/?s=%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A5&area=

 JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)調査課長の原田大輔氏は、岩上安身のインタビューで、ハーシュ氏の仮説に触れながら、ノルドストリーム爆破とバルティック・パイプ開通の数奇なタイミングに注目しています。

 ノルドストリーム爆破事件については、欧米メディアの間で「ウクライナ真犯人説」がしきりともてはやされていますが、ハーシュ氏のレポートの具体性と現実性には到底およびません。

※「ノルドストリーム1、2」を爆破したのは米国か否か? そもそも「ノルドストリーム」とは何か!? なぜ爆破されなければならなかったのか!? 岩上安身によるインタビュー第1113回 ゲスト JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)調査課長 原田大輔氏 第3回 2023.3.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514714

※「ウクライナは、自分が持ってるアセットをうまく使えば、ロシアと渡り合えたはず」 ~岩上安身によるインタビュー第1114回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏 第4回 2023.3.23
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514875

※「パイプラインはお互いの経済を潤すもの。それを破壊するのは第三者」~岩上安身によるインタビュー第1120回 ゲスト 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 調査課長 原田大輔氏 第5回 2023.4.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515533

 『ジェトロ』によると、バルティック・パイプは、ポーランドのガス・システム(GAZ-SYSTEM)と、デンマークのエネルギネット(Energinet)の共同投資プロジェクトです。

 こうなると、北海ガスの供給国であるノルウェーの首相を務めたストルテンベルグ氏が、NATO事務総長に就任し、その後任をバルティック・パイプの受益国であるデンマークの前首相であるルッテ氏が引き継ぐというのは、単なる偶然とは思えません。

※ノルウェー~デンマーク~ポーランド間の北海ガスパイプラインが開通(ジェトロ、2022年10月6日)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/10/3b85c4b19cdb8cfb.html

 ウクライナ紛争の主役の1人に間違いないと推定されるストルテンベルグ氏は、19日、ドイツ・マーシャル・ファンドで、NATO事務総長としての退任演説と対談を行いました。

 『NATOニュース』は、19日付でその全文を紹介し、動画を『YouTube』で公開しています。

※Speech and conversation(NATO News、2024年9月19日)
https://www.nato.int/cps/en/natohq/opinions_228915.htm

※NATO Secretary General Jens Stoltenberg farewell speech and conversation, 19 SEP 2024(NATO News、2024年9月19日)
https://www.youtube.com/watch?v=VTgooc1FP48&t=1s

 イェンス・ストルテンベルグ氏は1959年生まれ、ノルウェー労働党(党首:2002~2014)に所属する政治家で、ノルウェーの産業・エネルギー大臣(1993~1996)、財務大臣(1996~1997)、首相(2000~2001、2005~2013)を歴任し、NATO事務総長に就任しました。

※Jens Stoltenberg(Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Jens_Stoltenberg

 母の、カリン・ストルテンベルグ氏(1931~2012、旧姓ハイバーグ)は、米国生まれのノルウェー人で、カナダを経てノルウェーに戻り、ノルウェーの商務省や貿易産業省で国務長官を務めたこともある官僚です。

※Karin Stoltenberg(Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Karin_Stoltenberg

 ストルテンベルグ氏は、2014年に、NATO事務総長のオファーを受けた際、退任演説の冒頭で「まず父に相談した」と冒頭で述べました。

 ストルテンベルグ氏は、父の時代はNATOは静かだったが、自分が事務総長を務めた10年間は、「ロシアによるクリミアの違法な併合。ISISの台頭。ロシアによるウクライナへの全面侵攻。中国との競争の激化。新型コロナウイルスのパンデミック。より巧妙になるサイバー攻撃。そして、安全保障に対する気候変動の影響の増大」など、大変多忙であった、と振り返りました。

 父のトルーヴァル・ストルテンベルグ氏(1931~2018)は、国防大臣(1979~1981)、国連大使(1989~1990)、外務大臣(1990~1993)などを歴任した、ノルウェー労働党所属の大物政治家です。

 1961年から1964年までは、ユーゴスラビア連邦共和国でノルウェー大使館に勤務していた経験もあります。

 トルーヴァル氏は、1993年5月、旧ユーゴスラビアに関する国際会議の国連共同議長であるストルテンベルグ氏が、国連事務総長特別代表(SRSG)に任命され、旧ユーゴスラビアにおける国連ミッションの責任者として活動しました。

※Thorvald Stoltenberg(Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Thorvald_Stoltenberg

 ストルテンベルグ氏は、高級官僚である母と、外交に強い政治家である父の間に生まれたサラブレッドだといえます。

 ストルテンベルグ氏は、当時マルクス・レーニン主義団体「赤い青年」のメンバーだった1歳年上の姉、カミラの影響を受けて政治に興味をもったとされています。

 ベトナム戦争末期には、北ベトナムの港湾都市ハイフォンへの激しい米軍の爆撃を受けて、オスロの米国大使館前での抗議集会に参加しました。

※Jens Stoltenberg(Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Jens_Stoltenberg

 後にNATOのトップを務めることになるストルテンベルグ氏ですが、興味深いことに、10代の頃は「表紙にレーニンの写真が使われている歌集に載っていた反NATO抗議歌を夜ごとに歌っていた」と、ノルウェーのメディアに話しています。

 「私達は、『ノルウェー、ノルウェーはNATOから脱退しよう』というコーラスを歌いました。ヒット曲でした」と回想しています。

 ストルテンベルグ氏は、1972年、13歳の時に初めて労働者青年同盟(AUF)のキャンプに参加し、1985年から1989年まで労働者青年同盟のリーダーを務めました。

 1972年当時、ノルウェー労働党はノルウェーのEU参加運動を展開していましたが、国民投票でEU参加が否決され、その青年団体であるAUFから穏健派が離れ、極左過激派が率いており、反NATO、反EUという方針でした。

 しかし、ストルテンベルグ氏がAUFを率いるようになると、AUFはNATOを支持する方向に政策を変更していきます。

※Nato boss sang anti-Nato songs as a youth(The local Norway、2015年8月6日)
https://www.thelocal.no/20150806/nato-boss-sung-anti-nato-songs-as-a-youth

 ストルテンベルグ氏の退任演説に戻ります。ストルテンベルグ氏は、自分が事務総長に就任した頃は、NATOの妥当性が疑問視されていたが、今や「かつてなく重要」になったと、自らの業績を誇りました。

 「私が事務総長を務め始めた頃、NATOの妥当性が疑問視されてきました。NATOは次のように評されてきました。

 『分裂している。時代遅れで、頭が悪い』。

 しかし、実際には、NATOは強固で団結しています。そして、かつてないほど重要です。

 この10年間、我々は、最大の変革を遂げました。

 我々は、防衛力を強化しました。

 東側では、戦闘可能なNATO軍の兵士が、ゼロから数万人に増強されました。即応態勢にある部隊は、数千から50万に増強されました。

 そして、少なくともGDPの2%を防衛費に充てている同盟国が、3ヶ国から23ヶ国に増えました。

 我々は、NATOという機構を強化しました。共通予算を倍増し、効果的な成果を確実に実現できるようにしました。

 そして、同盟国およびパートナーの家族は拡大しました。モンテネグロ、北マケドニア、フィンランド、スウェーデンが同盟に加わりました。

 そして、ウクライナは、かつてないほどNATOに近づいています」。

 北大西洋条約機構、すなわちNATOは1949年に創設され、冷戦時代のソ連の脅威に対抗して「『集団防衛』、『危機管理』及び『協調的安全保障』の三つを中核的任務としており、ソ連に対峙して加盟国の領土及び国民を防衛することが最大の責務」でした。

※北大西洋条約機構(NATO)(外務省、2024年9月23日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nato/index.html

 しかし、ソ連が解体した際には、NATOは拡大するどころか、存在する理由もなくなっていました。ソ連とワルシャワ条約機構軍が解体すると同時に、存在理由のなくなったNATOも解体すればよかったのです。

 ベイカー国務長官が、ゴルバチョフ氏との会談で「西側は、NATOは1インチたりとも拡大しない」と約束したことを、西側諸国は「約束はなかった」「神話だ」などととぼけていますが、ロシア側は決して忘れていません。

 百歩譲って「NATOの東方不拡大」は口約束の域を出なかったものだとしても、NATOの東方拡大は、ロシアにとっては自国の存亡に関わる問題であることを、プーチン政権は一貫して主張してきましたし、その主張をNATO側が聞いてこなかった、ということはありえません。

 それなのに、ストルテンベルグ氏は、NATOを強化し、拡大したことを大きな功績だと表明しているのです。さらに、「ウクライナはかつてないほどNATOに近づいています」などと付け加えています。初めから、NATOを拡大してウクライナまで加盟させ、ロシア国境までNATO軍を配備して、ロシアを挑発し、東西の緊張を再度高めて、既得利益集団化しているNATOの存続を図るのが目的だったのではないかと思わずにはいられません。

 ストルテンベルグ氏は、「NATOが今後も成功を続けるために重要な5つの教訓」として、「第一に、平和の代償を払う意思を持つこと」をあげ、「より多くのお金を費やし、より強固な防衛力を備え、より効果的な抑止力を発揮し、より大きな安全保障を実現する」ことだと述べ、「欧州とカナダにおける総防衛支出が2%の目標を上回」ったことを賞賛しました。これでは、まるで、米国の軍需産業のスポークスマンです。NATOの増大した予算は、大半が米国製の兵器の購入にあてられるからです。

 ストルテンベルグ氏は、中国とロシアを念頭に、「対話には軍事力が前提条件」だと述べ、「ウクライナに、さらに多くの武器を提供することで、プーチン大統領に武力では望むものを手に入れることはできないと気づかせることができる」と主張しました。

 「ウクライナに、さらに多くの武器を提供することで、プーチン大統領に武力では望むものを手に入れることはできないと気づかせることができます。

 そして、ウクライナが主権国家であり、民主主義国家であり続ける権利を主張するのを、プーチンが受け入れざるを得ないほど、(ロシアに)多大な犠牲を強いるのです。

 逆説的ですが、ウクライナに提供できる兵器が増えれば増えるほど、平和が訪れ、戦争が終結する可能性が高まります。

 そして、長期的な軍事支援が信頼に足るものであればあるほど、戦争は早く終結します」

 まるで、戦争継続をひたすらに望むゼレンスキー大統領と瓜二つの主張です。

 問題は3つあります。

 ひとつは、戦争は武器だけで戦えるものではない、ということです。兵士となる人間がいなければ、軍隊は成立しません。ウクライナは、ロシアに比べて人口が少なく、マンパワーが絶対的に欠けています。ストルテンベルグ氏の話には、限りあるウクライナの人口、という概念がまったく出てきません。

 第2の問題は、国力・経済力の問題です。戦闘を行っている最前線の後衛で、戦争を遂行し、兵器や弾薬を外国から買い続ける国力・工業力・経済力と、それを支えるマンパワーが不可欠です。この点も、ウクライナはロシアに遠く及ばず、資源もロシアと比べると、はるかに乏しく、無償提供されてきた兵器などで戦ってきたのが精いっぱいでした。

 第3の問題は、核保有国のロシアは、まだ手加減をしている、ということです。通常兵器の戦力で十分、ウクライナとは渡りあえるとして、戦術核兵器を用いてきませんでしたが、本当に首都モスクワが危機に陥ったり、国家存亡の危機となれば、核を用いるでしょう。ストルテンベルグ氏のいう、通常兵器がウクライナに数多く提供されればされるほど、ロシアが多大な犠牲を強いられ、和平が近づく、という理屈になるのが、まるでわかりません。

 ストルテンベルグ氏は「安定したウクライナなくして、欧州に持続的な安全保障はあり得ません。そして、NATOに加盟せずして、ウクライナに持続的な安全保障はあり得ません。NATOの門戸は開かれています。ウクライナは加盟するでしょう」と、宣言しました。

 この後に及んでまだ、ウクライナのNATO加盟を口にするのは、現実を無視した夢想か、ロシアに対する非論理的なまでの敵対心なのか、正直、理解できません。

 いずれにしても、少なくとも2014年から米国の代理戦争の片棒を担ぎ続けてきた主役の1人が、ウクライナ紛争の最前線から離脱することになります。欧州のウクライナ紛争を指揮してきたNATOとEUの両輪のひとつが外れます。

 まだ、EUには、ウルズラ・フォン・デア・ライエンEU委員会委員長が残っていますが、欧州で「極右運動」「右傾化」と呼ばれている、反グローバリズム、反NATO、反EUの動きが止まる兆しはありません。「ウクライナ=善、ロシア=悪」の単純なプロパガンダによって、米国の代理戦争を肯定し、推進することは難しくなっていくと予測されます。

■昨年、アジア版NATOを推進しようとするストルテンベルグNATO事務総長を、元オーストラリア首相ポール・キーティング氏が「最高の大バカ者」と痛烈批判!

 この9月でNATO事務総長の座を去るイェンス・ストルテンベルグ氏ですが、実は、昨年で本来の任期は終了するはずでした。しかし、「後任問題」から1年任期を延長し、退任が今年9月になったという経緯があります。

 ストルテンベルグ氏の後任と目されていた、英国のウォレス国防相は、2023年6月の時点で自分が後任になることはないと事前に述べていました。

※ウォレス英国防相、次の内閣改造で辞任へ 政界引退も視野に(BBC、2023年7月16日)
https://www.bbc.com/japanese/66214323

 昨年、アジア版NATOを推進しようとするストルテンベルグNATO事務総長について、元オーストラリア首相のポール・キーティング氏は、当時、オーストラリアの『真珠と苛立ちジャーナル(PEARLS AND IRRITATIONS JOURNAL、ジョン・メナドゥ氏主宰)』に、痛烈な批判を発表していました。

 題して「NATOの挑発的な東方拡大と『最高の大バカ者(supreme fool)』イェンス・ストルテンベルグ」。短文ですが、簡にして要を得ていますので、以下に仮訳をご紹介します。

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NATOの挑発的な東方拡大と「最高の大バカ者」イェンス・ストルテンベルグ
―――マクロン仏大統領が、NATOのアジアへの拡大を警告するのは正しい。NATOの本来の目的と焦点を、あらゆる人々に思い出させることになる。

ポール・キーティング(ポール・キーティングは1991年から1996年までオーストラリアの首相を務めた)
2023年7月10日
https://johnmenadue.com/natos-provocative-lurch-eastward-and-the-supreme-fool-jens-stoltenberg/

 「冷戦の終わりにあたってNATOが存続し、冷戦後も存続したことで、広義の欧州における平和的な統一の可能性は、すでに否定されてしまっていた。冷戦の終結は、その可能性を開いていたのに。

 さらに、欧州人は300年近く互いに争い続けており、過去100年間の間に、我々に2度の世界大戦という苦しみを与えてきた。

 その悪意に満ちた毒を、アジアに輸出することは、アジアが自らに疫病を招くようなものである。

 長い間潜在的な貧困に苦しみながらも、近年、発展を遂げているアジアにとって、欧州の軍国主義、そして米国が煽動する軍国主義と関わりを持つことは、その発展の可能性を損なうことになるだろう。

 国際舞台に登場する人々の中で、『最高の大バカ者』は、現職のNATO事務総長であるイェンス・ストルテンベルグである。

 ストルテンベルグは、生まれつきの性質と政治的な立場から見て、ある必然的な流れの中でその地位に就いた人物と言える。

 2月には、彼は、ロシアによるウクライナへの攻撃と中国を比較し、『中国に対しては同じ過ちを犯してはならない』と発言した。つまり、中国は西側によって監視され、戦略的に封じ込められるべきだというのである。

 偏見に満ちたものの見方をするストルテンベルグは、中国が全人類の20パーセントを占め、現在、世界最大の経済大国であるという事実を見落としている。中国は米国とは異なり、他国を攻撃した前科がない。ストルテンベルグは米国の言いなりになっているが、それが嬉しいのだ。

 ストルテンベルグは、欧州安全保障のリーダーやスポークスマンとしてよりも、米国の代理人として振る舞っている。

 欧州に対する見解や欧州からの見解がどうであれ、ストルテンベルグは、欧州第2位の大国であるフランスを代表しているわけではない。そのことは、週末にエリゼ宮から発表されたタイムリーな声明が明らかにしている。(※IWJ注)

 エマニュエル・マクロン大統領は、ストルテンベルグの車輪(ストルテンベルグが進める政策)に釘を打ち込み、世界に貢献した。マクロン大統領は、NATOが軍事組織であり、民間組織ではないこと、また欧州と大西洋に焦点を当てた組織であることを我々に思い出させてくれた」。

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(※IWJ注)キーティング氏は、マクロン大統領のどの発言とは特定していない。しかし、時期から見て、リトアニアで開催されるNATOの年次首脳会議を前に、日本に連絡事務所を開設する計画について、マクロン大統領がそのような地理的拡大は、同盟の任務が当初の北大西洋の焦点から大きく離れるリスクがあると、反対を表明したことを指していると思われる。
 『ポリティコ』は当時、「フランス当局者は、NATOは地理的に北大西洋に限定されていると主張した。『NATOとは北大西洋条約機構のことである』と同当局者は述べ、同盟の中核となる条項である第5条と第6条は『地理的』なものだ」報じている。
・Macron blocks NATO outpost in Japan amid Chinese complaints
https://www.politico.eu/article/emmanuel-macron-block-nato-outpost-japan-china-complaints/

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

 ご支援のほども、よろしくお願いします。

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