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【特集】スポーツのためのスタジアムか、景観を破壊する「要塞」か~新国立競技場建設問題を考える

 2020年東京オリンピックのメーン会場として建設が予定されている新国立競技場。この新国立競技場をめぐって、専門家や建築家などから、疑問の声が相次いでいる。

 日本スポーツ振興センター(JSC)が5月28日に承認した基本設計案は、高さ70メートル、総工費1625億円という巨大なもの。東日本大震災と福島第一原発事故からの復旧・復興が道半ばである中で、これだけの巨額の費用をスタジアム建設に使うことには疑問が残る。また、現在の設計案が選ばれたコンペの過程も不透明だ。

 その巨大さのあまり、周辺の明治神宮外苑の景観と調和が取れないのではないか、との声もあがっている。世界的建築家として知られる槇文彦氏や伊東豊雄氏などが、シンポジウムや勉強会などで、現在の設計案に対し批判の声を積極的にあげている。

 IWJでは、この新国立競技場の問題点について、シンポジウムや東京都知事会見などを通じ、取材を続けている。以下、その取材成果を、一挙ラインナップする

目次

  1. 岩上安身によるインタビュー
  2. 注目記事ピックアップ
  3. 特別寄稿

岩上安身によるインタビュー

 新国立競技場の問題に取り組んでいる市民団体「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」の共同代表である作家の森まゆみ氏は、6月20日に岩上安身のインタビューに応じ、「新国立競技場を作るのではなく、既存のスタジアムを改修して活用すべきだ」と述べ、神宮外苑の景観や環境に負荷のかからないオリンピックを目指すべきだと主張した。

 インタビューでは、過去のオリンピックで使われ、今は廃墟と化してしまった海外のスタジアムの事例も振り返りつつ、リーズナブルで環境にやさしい、市民にとってよりよいオリンピックのあり方を模索した。

注目記事ピックアップ

 2016年の東京五輪招致を進めていた当時の担当課長である鈴木知幸氏を講師に迎え、2015年7月6日(月)、東京都渋谷区の建築家会館で、神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会主催「まだまだ終わらない公開勉強会3 新国立競技場は、ほんとうに使えるものになるのか?」が開催された。

 ノンフィクション作家で神宮外苑と国立競技を未来へ手わたす会の共同代表でもある森まゆみ氏は、現行案に対して、第三者機関による検討の必要性を訴えた。6月20日の岩上安身によるインタビューにおいても、森氏は「新国立競技場の建設は、誰も幸福にならない公共事業の見本」だとして、あらゆる問題を指摘。新国立競技場ではなく、既存のスタジアムを改修するなど、代替案を提示している。

 「今、騒がれている問題は、1年前から指摘されていたこと。1年放置した挙げ句、『屋根が間に合わない』『予算が足りない』となるのは、第三者が公共事業を検証する仕組みがないからではないか」──。

 作家の森まゆみ氏らが共同代表を務める、神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会は、2013年の発足以来、国立競技場の新築ではなく、改修する方向での計画見直しを訴えてきた。旧競技場は2015年初めに解体されたが、同会は2015年6月16日、東京都渋谷区の建築家会館で、「新国立競技場現行案に対する緊急市民提言・記者会見」を行った。

 提言では、現行案を白紙に戻し、首都圏にある既存のスタジアム(横浜、浦和、調布、駒沢など)を活用すること、現行案によって立ち退きを迫られている都営霞ヶ丘アパート住民の居住権の確保、さらに、第三者による検証委員会を設置し、問題のある計画が精査なしに進められた原因を追及することなどを求めている。

 東京都の舛添要一知事は12月2日、都庁で定例の記者会見を行ない、都営霞ヶ丘アパートの移転、第2回の国家戦略特区区域会議、東京五輪の競技施設などについて、それぞれ記者からの質問に答えた。

 国立競技場の建替えにさまざまな業界や市民から疑問の声が上がる中、2013年10月から新国立競技場建設計画に異議を唱えてきた「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」は9月26日(金)、国立競技場の解体に着手しようとする日本スポーツ振興センター(以下、JSC)に抗議するシンポジウムを日本青年館で開催した。

 自民党行政改革推進本部は9月25日(木)、多方面から問題が指摘されている新国立競技場建設の問題について、文部科学省と日本スポーツ振興センター(以下、JSC)から説明を受け、有識者との意見交換を自民党本部で行なった。

 新国立競技場の建設問題で市民の立場から発言してきた「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」は、国立競技場の解体工事着手を発表した日本スポーツ振興センター(以下、JSC)に対して9月16日、工事着手へ強く抗議する緊急声明を東京都庁で発表した。

※記事本文に一部誤りがありましたので、速やかに訂正し、再アップいたしました。第三者委員会の調査の結果、「談合が認められないと判断」とするところを、「談合が認められた」と記載していました。謹んでお詫び申し上げます。(2014.9.18更新)

 国立霞ヶ丘陸上競技場とりこわし工事に関する説明会が、9月12日、日本青年館で行なわれた。しかし、工事事業者が会場に姿を見せなかったことから、参加者から不満の声があがり、場内は紛糾した。

 新国立競技場の建設問題をめぐり、前回、7月30日の中間報告で発表した新国立競技場計画における情報公開と参加調査に関して、調査結果の報告を8月22日に千葉商科大学・丸の内サテライトキャンパスで行った。

 新国立競技場建設計画をめぐり、「情報と参加に関する調査」と題したアンケートを近隣住民に実施した「参加と合意形成研究会」が7月30日(水)、建築家協会で調査結果に関する中間報告を行なった。

 国立競技場で最後となる「さよなら大イベント」が5月31日に行われた。新競技場建設は、もはや既成事実化している。事業主であるJSC(独立行政法人日本スポーツ振興センター)は、環境アセスメントができていない中で、7月の解体を予定していたが、5月29日に行なわれた解体工事の一般競争入札が不落に終ったことから、解体は当初の計画よりも遅れる見通しである。

 5月12日に行われた、建築家の伊東豊雄氏による改修案発表会に続き、帝京大学の三上岳彦教授、東京工業大学の大澤昭彦助教、千葉商科大学政策情報学部長で元IAIA[国際影響評価学会]会長を務めた原科幸彦教授らを招いて、環境問題の観点からシンポジウムが開催された。

 「財政が危機に瀕している今の日本で、そこまでお金をかけて競技場を刷新する必要があるのか」「あの斬新な外観は、お台場ならまだしも、住宅が多い周辺地域に馴染まない」「施設の維持コストが跳ね上がるに決まっている」──。

 国立競技場改築を巡って反対の世論が日増しに強まる中、6月13日、メディア完全シャットアウトで行われた地元住民への説明会では、多くの不安の声があがった。

 2013年6月13日(金)19時から、東京新宿区の国立競技場霞ヶ丘体育館で、2020年開催の東京五輪に向けた「新国立競技場基本建設(案)概要説明会」が、日本スポーツ振興センター(JSC)によって行われた。

 2020年に東京で開催されるオリンピックのために、新しい国立競技場が建設されようとしている。国際コンペティションで建築家ザハ・ハディット氏の案が選ばれ、建設準備が進められているが、環境面やコスト面で非常に多くの問題が残されている。6月13日、この問題について建築家らが会見を行い、新国立競技場の建設について、再検討するべきと主張した。

 新国立競技場の建設のため、現在の国立競技場の解体工事が7月から始まる予定である。5月末には、「SAYONARA国立」というイベントが行われる。新国立競技場のデザインは、昨年11月に行われた国際コンペで、イラク出身の建築家ザハ・ハディド氏の案が選ばれた。しかし、この案に対して、多くの専門家や知識人から様々な問題が指摘されている。5月12日(月)、昨年プリツカー賞を受賞した建築家の伊東豊雄氏、人類学者の中沢新一氏、建築エコノミストの森山高至氏、建築史家で京都工芸繊維大学教授の松隈洋氏がシンポジウムを開催した。

 2020年東京五輪のメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設計画に反対する建築家の槇文彦氏や、市民グループ「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」共同代表の森まゆみ氏ら6人が4月23日、東京都内で会見し、現在の国立競技場の取り壊しの延期や、新国立競技場における練習用のサブトラック設置計画の見直しなどを求める要望書を、近く文部科学省と東京都に提出することを明らかにした。

 2020年開催予定の東京オリンピックに向けて建設が進められている新国立競技場について、さまざまな批判や意見が出てきている。これまでも、建設費用や維持費、オリンピック後の施設の使い途などについて問題が指摘されてきた。

 3月末までに基本設計を完了させ、4月から実施設計に入ると言われている新国立競技場の計画について、舛添要一東京都知事に「IOCアジェンダ21」を尊重し遵守するよう要望書を提出した「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」が、3月25日、第4回目となる勉強会を開催した。

 この日、日本における都市計画について講演した東京大学大学院教授の松原隆一郎氏は、規制緩和によって街の景観を壊していくことを「空に対しての暴力的な侵略は、『首都を歩くな』と言われているように感じる」と語った。

 2月に東京都知事に就任した舛添要一氏が、3月19日、日本外国特派員協会で記者会見を行った。舛添氏の同協会での会見は、都知事選最中の1月31日以来となる。都知事として初めての登場となった今回の会見では、4年間の任期中に実現を目指す政策の具体的な内容について語った。

 舛添都知事は、東京を「世界で最も災害に強い安全な都市にする」「世界で最も住みやすい都市にする」「2020年オリンピックを成功させる」という、3つの主要政策を掲げている。会見では、「東京は、日本の首都として、日本全体を牽引する大きな役割を担う」と、都政に対する意気込みを語り、主要政策に沿った具体的なビジョンが示された。

 新国立競技場をテーマに、森氏から現状の問題点などが説明された。新国立競技場は、「橋げたを飛ばした橋」となっている構造上、値段が下がらないという。森氏は、「建築というよりプロダクトデザインだという方もいる」と指摘した。

 さらに、材質も不明であることから、風害や光害の影響が何も分からないままにできてしまう可能性もあるという。屋根が電動の設計となっていることについて森氏は、これまでのケースを踏まえ、「まずうまくいかない。最近のような大雪があると、屋根がたわんで傷んでしまう」と懸念を示した。森氏がスポーツ専門家に聞いた話によれば、70Mの高さで穴が開いていると、雨が降れば風で内部に吹き込んでしまい、屋根の役目を果たさないという問題もあるという。

 2020年東京五輪のメーンスタジアムとなる新国立競技場の設計見直しについて、「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」(共同代表・森まゆみ氏)が主催する3回目の公開勉強会「スポーツ施設としての新国立競技場を考えよう」が18日、渋谷区の日本建築家協会ホールで行われた。

 東京都の職員として、2016年東京オリンピック招致準備担当課長を務めた経験を持つ鈴木和幸氏は、「将来の活用法を十分議論しないまま、デザインコンペを行ったことが一番の誤り」とし、「設計計画を熟議する時間は十分にある」と述べた。また「公共施設の維持のためには多機能化が不可欠」とし、海外では増加している多目的複合施設の可能性にも言及した。

 世界的な建築家で、昨年9・11同時多発テロで崩壊した世界貿易センタービル跡地「グラウンド・ゼロ」に建てられたビルの設計も手がけた、槇(まき)文彦氏による記者会見が、2月4日、日本外国特派員協会で行われた。会見は、すべて英語で行われた。

 槇氏は、2020年開催の東京オリンピックに向けて建設予定の「新国立競技場」案を、「巨大過ぎる」「費用がかかり過ぎる」「安全性に疑問」として、批判している。槇氏の批判は、東京新聞や産経新聞などでも大きく報じられた。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設に絡み、1月15日(火)、神宮外苑の景観について議論する公開の勉強会が開かれた。主催したのは、作家の森まゆみ氏が共同代表を務める「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」。参加者はそれぞれ、新国立競技場の建設に慎重な立場から意見を述べた。

 11月29日、河野太郎衆議院議員が座長を務める「自民党無駄撲滅プロジェクトチーム」は28日に続き、JSC(日本スポーツ振興センター)や文科省の担当者を招集し公開ヒアリングを開催。2回目のヒアリングでは、新国立競技場のオリンピック以降の利活用に議論が集中した。

 1300億円で見積もっていた工事費が一時3000億円まで膨らんだことが世間の批判を浴び、スポーツ博物館や飲食店等の商業施設面積を削減した結果、試算は1785億円に落ち着いた。しかしこの日、新たな事実が発覚。1785億円以外に、JSCビルの新築費用がかかるというのである。

 2020年の東京オリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設計画について、自民党の議員から激しい質問が投げかけられた。 28日、自民党の河野太郎衆議院議員を座長とする自民党の無駄撲滅プロジェクトチーム(PT)が、文部科学省と日本スポーツ振興センター(JSC)の担当者を呼んでヒアリングを行った。

 新国立競技場のデザインには、昨年11月に行われた国際コンペで、イラク出身の建築家ザハ・ハディド氏の斬新な流線型のデザインが選ばれた。しかし、コンペの選考過程は公表されておらず、また、1300億円とされる総工費の妥当性も明らかになっていない。

 2020年の東京オリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設計画の見直しを求める公開の座談会が、25日、渋谷区の日本建築家協会ホールで行われた。主催したのは、「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」(共同代表・森まゆみ氏)。

 新国立競技場のデザインは、昨年11月に行われた国際コンペで、イラク出身の建築家ザハ・ハディド氏による流線型の斬新な提案が選ばれた。しかし、このデザインが、東京ドームの約2.6倍となる延べ面積29万平方メートル、高さ70メートル、8万人収容というオリンピック史上最大の規模となることから、建築家の槇文彦氏をはじめ、多くの識者から「神宮外苑の景観を壊す」といった批判が出ている。

 「国立の施設なので国が全額負担するのは当たり前、ただし都民の便益となるものについては東京都負担という考え方もある」ー。猪瀬直樹東京都知事は8日の定例記者会見で、2020東京五輪に向けて建設される予定の新国立競技場の工事費の負担について、周辺整備費に限定して都が負担する考えを示唆した。

 東京都の猪瀬直樹知事は25日(金)の定例会見で、2020年東京五輪の会場となる新国立競技場の整備費が約3000億円に膨らむとの試算について、「1500億円でできる」と述べた。新国立競技場の本体費用は当初1300億円と見込まれていたが、下村博文五輪担当相が23日(水)、整備費が最大で約3000億円にのぼるとの試算を発表。「あまりに膨大だ」として見直しを指示していた。

 「新国立競技場案は、非常に粗雑な国際コンペで決まった」ーー。

 11日(金)夜、競技場にほど近い日本青年館で行われたシンポジウム「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」に約700人が参加し、建築家の槇文彦氏ら5人のパネリストがこの改築について問題提起を行った。

 過去に東京体育館や幕張メッセなど手がけた槇氏はまず、神宮外苑の歴史にふれ、「ここは明治天皇の崩御のあとを国民が永く記念しようという趣旨で生まれた。この地域は東京でも緑地の多い場所で、しかも歴史的文脈の非常に濃いとこでもある」と説明。

 昨年、国際コンペで採用された新国立競技場案については、「好きとか嫌いとかそういう感情を超えてこれが巨大であるかということに非常に驚愕した」と述べ、「こういう大事な景観の問題があるにも関わらず、外観パース1枚(鳥瞰)だけでいいという審査基準だった。非常に粗雑なコンペだったのではないかと言わざるを得ない」と語り、今後どういう形で実現していくかということに関して、強い懸念を示した。

特別寄稿

 「オリンピックはもうかる」という通説があるが、ほんとうにそうなのか。

 五輪が終わった後、開催地や競技場はどうなっているのか。5つの例を見てみよう。

 モントリオールでは、当時世界初とうたわれた開閉式屋根の巨大競技場が計画された。しかし、建設費が予算の6倍に跳ねあがったことで、五輪全体の赤字は約10億ドル(現在の約1兆円相当)に膨張。原因は市長のコスト感覚のなさや組織委員会の官僚的体質だと指摘されたが、結局、赤字はモントリオールの市民らが、その後30年にわたり税金で返済させられた。

 2020年の東京五輪のメイン会場となる新国立競技場が今、大問題になっている。神宮外苑の国立競技場を建て替える計画で、8万人の観客席に開閉式屋根をかけ、スポーツだけでなくコンサートにも使える多目的施設にするという。この案は2012年の国際デザイン・コンクールで決まった。審査員は建築家の安藤忠雄さんら10人。世界各国から46点の応募があり、イギリスの建築家、ザハ・ハディドさんの案が選ばれた(図1-2)。現在はザハ案を25%縮小し、日建設計などの4社JVにより設計作業が進められている(図1-4/図2)

コメント “【特集】スポーツのためのスタジアムか、景観を破壊する「要塞」か~新国立競技場建設問題を考える

  1. とにかくデカイものを作れば儲かる人がいて、天下り先が確保されたり、集票できたりするお馴染みの構図

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