新国立競技場の建設問題で市民の立場から発言してきた「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」は、国立競技場の解体工事着手を発表した日本スポーツ振興センター(以下、JSC)に対して9月16日、工事着手へ強く抗議する緊急声明を東京都庁で発表した。
(IWJ・松井信篤)
特集 新国立競技場問題
新国立競技場の建設問題で市民の立場から発言してきた「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」は、国立競技場の解体工事着手を発表した日本スポーツ振興センター(以下、JSC)に対して9月16日、工事着手へ強く抗議する緊急声明を東京都庁で発表した。
■ハイライト
勉強会や各関係機関への要望書提出、IOCとの面会等、様々な活動をしてきた「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」には、すでに3万5000人を超える賛同者がいる。
同会は「IOCアジェンダ21」に沿った現国立競技場の改修案を支持。JSCに対して、質問の回答が遅いことや、情報公開資料が黒塗りであること、市民やメディアが参加した公開の場での議論を一度も持っていないということに抗議している。
今回の緊急声明では、新国立競技場の建設問題で都民300世帯が暮らしている都営霞ヶ丘アパートが、何ら公的な手続きを経ることなく、協議なしで住民の居住権が脅かされていることなど、様々な問題に対して関係者の猛省と真摯な対応を求めた。この抗議声明は、JSC、JOCを含む組織委員会、文部科学省、東京都にそれぞれ提出する予定だ。
同会の共同代表である森まゆみ氏は、会としてJSCに公開質問状を送っており、JSC側からは2度回答があったというが、真正面から質問に回答しているとは到底言えないものであったという。
森氏は、都営霞ヶ丘アパートについて「都営住宅の住人を移転させるという決定が正式には都の内部で書面化もされていないし、決定もされていない」と言及。また、久米設計が2011年に制作した国立競技場の改修案の全容を市民が情報公開請求しているにも関わらず、開示されていないことにも問題があると主張した。
「現国立競技場は耐震性能が劣るから建て替える」とJSCが伝えていることに対して同じく共同代表の大橋智子氏は、一部公開された資料を見る限り、「耐震調査を見ても耐震改修できない数値とは思えない。開示されていない7000ページを見なければ全てかどうかは言えない」と答え、迅速な情報公開の必要性を改めて訴えた。